ドラマでもタイムトラベル物で良くあるが、ちょっとしたことで行先が変わってしまう。私は最後は全ての作品から選抜した作品を、オイルプリント化して終えるものと思い込んでいた。そのために、90年代、突然横道にそれ、人形も作らず孤軍奮闘したのだ、と。あの頃の私は大正時代の作家を倒すつもりでいた。そうでもしないと、本業を放っておいてこんなことを、と罪悪感に耐えられなかった。当時の作家でも被写体を自ら作るなんていなかったし、さらにパソコンによる画像合成は連中には出来なかった。どんな手でも構わない、連中とは違う世界を、と考えていた。しかし改良を加えたものの、私が開発した手法ではない、という負い目が取れることはなかった。 12年にデボラ・クロチコさんに作品を見てもらい私と同じようなアプローチの人は?聞きたいのはそれだけだった。うーんと唸って。さらにその後、陰影を無くした手法に。今回もネットを通じてデボラさんにも見てもらった。地球上でただ一人。私が本当に目指していたのは実はこれだった。
石塚HP