明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



明治の初期に『光線画』というものが登場する。ガス灯の普及で都会の夜景に強い直線的光線による新たな陰影が生み出された。日本人は『写真』といい『光線画』といい実に珍妙な名前を着ける。 これは浮世絵に陰影を取り入れるという、写真から陰影を排除する、私とはまさに真反対のことを試みた連中である。私に言わせれば、西洋画のリアリズムに毒された?連中ではあるけれども、先達が真剣には描いて来なかった陰影を主役に持って来たという意味で、乃木大将とステッセル。話してみたい気がする。連中が輪郭線の排除の理由も判る。明るくなった現代から見ると心地良い風景ではある。 陰影を消しながら濃淡による立体感を出す、というある種の矛盾をねじ込んでみたが、お陰で、別の矛盾を受け入れる可能性も生まれた、と私は考えるのだが、果たしてどうだろう。

石塚HP



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