明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



森鴎外の『寒山拾得』は寒山詩集の序文をもとに書かれている。その寒山詩は、寒山が、岸壁や家屋の壁など、ところ構わず書きつけられたのを集めた物とされている。なので良く描かれたモチーフで、岩を硯に墨擦る拾得、詩を書きつける実得を作りたかったが、背景を実写でなく作ることに決めてしまい、必要な技術は必要になってから、というモットーが裏目に出てしまい、そのためには個展一ヶ月前まで追い詰められることになった。なので深山における寒山と拾得は追加制作しない訳にはいかないだろう。 ところで今回齧ってみた仙人などの道教の世界は、いわゆる不老長寿、桃源郷などがイメージされる。私は興味がないので、意識したことはないが、幾多の写真家が〝桃源郷”をテーマに写真集を作ったりしているだろうことは容易に想像出来るが、私見を言わせてもらえば、〝実写”でそれをやろうというのはおそらく間違っている。あくまで桃源郷風な物にしかならないだろう。写真は〝まこと”を写すには良いかもしれないけれど。

石塚HP



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