『一休「狂雲集」の世界(柳田聖山 人文書院)に達磨大師が少林寺の巌窟で、面壁坐禅をしていると、雪積もる中、後に第二祖となる慧可が弟子入りを志願する。しかし達磨大師は相手にしない。そこで慧可は、自分の左腕を肘から切断し、決意のほどを示す。この話は普通は慧可の側から見るのだが、一休の受け取り方は違い、雪の中に一晩中立ち尽くす弟子の求道心の厳しさ、その清潔さよりも、寒い岩壁に座り込んで、慧可が来ても振り向きもしない、この男はなんという冷血漢だろうといっている。に笑った。私も雪舟の『慧可断臂図』を見て、同じことを思い、達磨大師を振り向かせたからである。さらに慧可は、その場で己の腕を切り落とす決意の割に泣き出しそうな顔をしているのも納得がいかなかった。 一休は一方で開祖達磨大師に尊敬の念を表している。