森鴎外像を出品する『鴎外の書斎から -生誕150年記念 森鴎外旧蔵書展-』10月18日(木)~11月16日(金)は医学部図書館ではなく総合図書館(東京大学附属図書館)であった。鴎外は19歳で東大卒業という今では破りようのない記録の持ち主である。
この鴎外像は、そこまで塗ったならついでに塗っておけばいいじゃないか、というぐらい背中の着彩をピタリと止めている。締切ギリギリでやっていたわけで、撮影したのは入稿日の朝であった。 先日の丸善の出品作にも感じたが、旧作を塗り直したりしていると、その時の想い、もしくは企みが記録されていてリアルに甦ってくる。この鴎外、軍医総監として制作したが、実に貫禄のある、まさに文豪と呼ぶにふさわしい面構えである。度々書いているが、明治以降の作家の顔は、あきらかに変わってきている。作家に限ったことではないのかもしれないが、食べ物の変化の影響もあるだろうし、しばらくジッとしていなければならなかった写真のせいでこわばった難しい顔をしていたり。職業としてものを書く、ということの意味も現在とは違っていたであろう。著作権という考え方を海外より持ち込んだのは鴎外である。それまでは最初に発表した原稿に対する原稿料だけが作家に支払われ、後は全集が作られようが何しようが作家には何も支払われなかった。物書きは全員、鴎外に足を向けて寝られない、といったのは正宗白鳥だったろうか。
丸髷の女房のカツラだが、かんざしや櫛などないと変だろう、とヤフオクに入札したまま飲みに行った。久しぶりにRさんとKさんと。相変わらず周囲に気を使うことが一切できず、私などいないかのようにRさんだけを見つめ、憑かれたように喋り続ける62歳に心底ウンザリする。このオデコに避雷針を立て、雷鳴とどろく嵐の日に、外に放り出してみたい、と想像していた。 帰宅したら、漆塗 本鼈甲 笄 櫛5点を落札していた。ラッキーだったが、シックで豪華過ぎる気も少々。
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