クルーザー用のエンジンは多少普通のエンジンとは異なるのですが、基本的にヤンマー製のものは素直。
故に漁船含めてこの世界のエンジンを支配していると言えるわけです。
今回クルーザー(ヨット)をお持ちの方から、エンジンの係りが悪い、排気の色が悪いとのことで、
「インジェクターノズルを交換したいので手伝ってくれないか」とのお話があり、のんびりと整備におつきあいをしてきました。
エンジンはヨット等の機走用に良く搭載される24PS出力のエンジンですが、この世界(船舶整備は車より遥かに規模が小さい)の整備で食べている人のことを考慮し、あえて形式等は書きませんので、図などをみて自分のと同じかどうかご判断ください。
自分の物と同じだという人の中で、更に自分でノズルを交換してやろうという意志をお持ち、そして当然事ですが自己責任という言葉が理解出来る方のみ参考になればという気持ちで書いています。
グロウプラグもなく、デコンプも無い副燃焼室式シンプルエンジン
このエンジンは3タイプあり、一気筒、二気筒、三気筒の3種類で、基本的にインジェクターは共用です。
部品そのものは価格的に一万二千円くらいから一万五千円くらい、です。
注文する必要があるのはインジェクターそのものと、ラバー製のオーリング、出来ればノズルトップにあるリターンラインの銅製シールリングになります。
黙っているとオーリング(本来消耗品)注文を忘れられたりするので注意してください。
図1と図2で、赤線で囲ってある部品です。
交換手順、
基本的に作業は極簡単ですが、有る部分にコツがありますので注意してください。
1.まず、図2にある 9番のネジを緩めます、10mmスパナもしくは+ドライバーのいずれかです。
2.次に燃料パイプ1,2,3でインジェクターにコネクトされているフレアナット(17mm)を緩めます、インジェクターノズル側のやつです。
フレアナットレンチを使えばGOODですが、無ければオープンレンチでも大丈夫です。
ナットがゆるむとパイプ内にある燃料が漏れてきますのでウエスなどで受けてください、量的にはたいしたこと有りません。
燃料ポンプ(26-1)側も緩めると、後の作業性が良くなりますが、パイプ内の燃料が完全になくなりますので、作業後のエンジン始動時にクランキングの時間が長くなるので注意。
3. 図2の23のボルト(確か14mm)をゆるめて抜き取りますが、この際に24の銅製シールリングがぽろりと落ちてしまうので注意してください。
無くなることも考えて、この部品も注文されることをお勧めします。
4. 図2の22の燃料リターンパイプが外れます。
5. インジェクター(図1ではFuel Valve)を押さえているリテーナー(図1 Fuel Valve retainer)のナット2個を緩めますが、この際にナットのから出ているネジ部分の長さを測ってだいたいどのくらい締めてあるのかを覚えておきます。
緩める際にも、どのくらいの力で締めてあるのかを、半回転くらいゆるめた後に元の位置まで締めてみるなどして感覚的な物を覚えておいてください。
6. 図2の28-1がノズルですので、これを引き抜いてください。
エンジンが錆だらけでもない限り簡単に抜けます、多少固着している場合は、ゴムハンマーなどで軽く叩けば抜けます。
これで抜けない場合はマイナスドライバーあててこじるなどしますが、傷つきますので覚悟。
それでも駄目名場合はクランキングしますが、危険なのでお勧めしません。
7. 新しいインジェクターにラバー製オーリングを取り付け、一つ一つインジェクターノズルを交換していきます。
この際に燃料パイプ1,2,3のフレアナットを戻し、指後からで奥まで締め付けておきます。
8. 再びリテーナーを取り付けますが、実はこのリテーナーは底部分が出っ張っており、取り付けるとシーソーみたいに動いてぐらぐらします。
リテーナーを締めるナットを二つとも取り付け、指でリテーナーが同じくらいの締め加減になるように調整し、後はスパナで交互にバランス良く締めていきます。
このときに作業番号5にあるボルトの出っ張り長さ程度まで締めることと、手に覚えている締め感覚が大切になります。
何故出っ張りがあってシーソーみたいにぐらぐらなのかというなら、リテーナーのナットをやたら回してノズルが不要な力で押し込まれない事と、それによりエンジンを壊さないようになっている。
簡単に説明すると、締めすぎるとこのリテーナーが真っ二つに割れ、それによりエンジンを保護するようになっているわけです。
9.先ほど指で締めておいた燃料パイプのフレアナットを、17mmのスパナで、これまた外したときと同じくらいの力で締めます。
10. 燃料リターンパイプを戻しますが、実はこの際に銅製のシールリングがポロポロ滑り落ちてきわめて作業製が悪いので。
底面にグリスを塗ってノズルの上に置き、その上にリターンパイプを乗せて23のボルトを戻していくと簡単に作業ができます。
11.最後に9のネジを締め付けて完了(もしポンプ28-1)のフレアナットを緩めていたらそれも戻します。
12.全体を見渡して 作業忘れなど無ければこれで完了です・
13. エンジン始動ですが、ノズル交換作業により燃料パイプ無いの燃料が空ですから、始動までに多少長いクランキングが必要となります。
また、その際にスロットルは全開にして置かないと、素早く燃料が廻りませんので注意。
14.エンジンが始動し、燃料配管周りから漏れがないかを最低10分程度は確認して下さい。
漏れがなければ、これで交換作業は終了です。