連休も終わってやっと買い物に出られるようになった。連休中は町外には出ない。でも休みが続くので、事務的な処理に追われてむしろ忙しかった。
ロビンソンで買い物を済ませ、帰ろうとして、4階の北海道展のお知らせに気がついた。行ってみよう、と上がって行った。お目当ては六花亭だったが、まず目が行ったのは牛乳だった。「北海道の牛乳、ここのところめずらしいのよ~」と言いながら、ジャージー牛乳を手に取った。パパラギと書いてある。「パパラギ?アメリカインデアンが白人のことをパパラギと呼んでいたな」「そうですか。ウチはパパラギ牧場と言います。パパラギはサモア語です」「ヘ~、サモア語は知らないなぁ」ただ、牛乳は大瓶は売り切れて、180mlの小瓶しかない。その場で味見することも出来ないので2本買うと「2本ばかりじゃ悪い」とPapasanが言う。「じゃ~ハスカップのジャムを買ったら」そしてPapasanにハスカップの説明をした。「果実もご存知なのですね」「ええ」
奥に行くと、もう一軒牛乳のお店があった。こちらは大瓶があり、味見にポリカップに注いでくれた。「美味しい」「飲むヨーグルトも味見してください」とそのカップにヨーグルトも注いでくれたが「酸っぱい、これはパス」賞味期限を見ると10日まで。1階でジャージー乳を買ってきたのだが、この賞味期限も10日。さっきの小瓶も10日。でもがんばって飲む、と、欲張って多めに買いこんできた。
さっそく家に帰って、牛乳を飲んだ。まずは味見をしなかったパパラギ牛乳。ノンホモだった。因みに絞ったばかりの牛乳は、クリームが分離して浮いている。これを飲みやすいように攪拌して品質を一定にしたのが、ふだん飲んでいるホモジナイズド牛乳。ノンホモは文字通りしぼったそのままの牛乳だ。ふたの裏に乳脂肪がついていたので、かき混ぜて飲んだ。美味しいねぇ、と表示を見ると63℃ー30分、低温殺菌だ。あら、パパラギって、池田町にあるんだ。ついでさっき味見をした750mlのふたも開けた。こちらのはルーキーファーム、帯広だ。何だ、どちらも近いね。殺菌方法は80℃ー15分。75℃ー15分というのは知っているが、80℃ー15分って言うのは初めてだ。これは低温殺菌には入らないとは思うけど、それでも美味しい。
低温殺菌(62℃~65℃ー30分)の方法はパスツールがワインの保存を研究していて、発見したので、彼の名をとって、パスチャライズド(pasteurized)というのだそうだ。たしかイースト菌を分離したのもパスツールじゃなかったっけ。
東北地震の影響で、北海道の牛乳が消費者に届かなくなっている。別に北海道でなくてもいいのだが、生産地の北海道は流通が途絶えて、苦労しているだろうと気にはなる。なければ我慢するさ、と手に入る牛乳で我慢していたが、しばらくするとわがままが出て「美味しい牛乳が飲みた~い」とわめいた。富士川を越えれば、中部電力だから、停電はないから、牛乳の生産もしているのではないか。ロビンソンに「いでぼく牛乳」(富士宮市)という瓶入りがあった。殺菌方法は75℃ー15分。ジャージー牛乳とホルスタイン牛乳の2種類があった。そこで両方買って飲んでみた。ジャージー牛乳の方が口にあった。久しぶりに牛乳を飲んだ気になった。で、これを飲んでいる。ビンは返すと一本37円返してくれる。デポジットなのだ。ビンはリサイクルになればいい。
スーパーで買っていた牛乳は成分無調整の生乳。北海道とか、根釧とかネーミングはしてあるが、製造元は内地だった。京都というのもあった。どういうルートで入っているんだろう?一口飲むと、なんかエバミルクのような味がする。表示を見ると、殺菌方法は130℃ー2秒。いままでの普通の牛乳は120℃ー2秒だったから、10℃も高い。高い温度で殺菌するからこんな味がするのかな。120℃ー2秒だって、失われる成分がある。かつてロングライフミルクというのが生産されていた。今もあるかどうかは知らないが、常温で保存できる牛乳だった。たしか145℃で殺菌していた。だから焦げ臭いし、味もひどいもので、これは牛乳じゃないとをわめいたことがある。震災の影響で、殺菌温度を高くしているのかな、と思ったが、パックの印刷はそんなに簡単には変えられないだろう。そこでパックを丹念に調べた。ESLという文字をみつけた。そこでESLを調べた。
簡単に言うと、高温で加熱殺菌すると焦げ臭さがつく。この焦げ臭さを取り除くために導入したのがESL方法だ。これをまず成功させたのが明治乳業、続いて森永乳業。両社とも、焦げ臭さが消費者に嫌われると判断。そこで明治乳業は加熱前に酸素を取り除き、一気に高温殺菌する方法を導入。森永乳業はいままでの加熱した金属板の間を通す殺菌方法では焦げ臭さがつくので、高温の蒸気と混ぜ、一気に規定の温度に上げ、殺菌をすませ、蒸気を抜き取る、という方法。水蒸気は100℃のはずだから、それ以上の高温の蒸気はどうしてつくるのかな??
焦げ臭さは回避できたとしても、牛乳が生もので、食品であるということを忘れているような気がする。実際、ESL処理の牛乳を毎日飲んでいて、美味しいとは思わなかったし、後味が悪かった。どういうコンセプトでこれを開発したんだろう??
まぁ、そこまでこだわらないが、特別牛乳というのがある。特別な人たち(誰のことだかわかるかな??)用で、久しく庶民の人の手には入らなかった牛乳らしい。もちろん今では庶民にも手に入る。子どものころ、殺菌していない絞りたての生温かい牛乳をのんだことがある、ヤギの乳もそういうのを飲んでいた、特別牛乳はこの類なのだろう。
いま、特別牛乳を生産しているのは全国で7ケ所、その生産者の牛乳への思いを読むと、やはり頭が下がる。
日本で唯一加熱しない牛乳を生産・販売しているところ: