閉廷するや否や、papasanを連れて町民センターに向かった。papasanは久しぶりの外出だ。歩道沿いに白線の上を腕を組んで、歩かせる。本来なら車から離れたところを歩かせたいのだが、ガタピシの側溝の上は危ない。「道幅を広げられたら一番いいのだけど、それは無理だから、せめてここを直してくれとずっと言っているんだ。でも、ちっともしてくれないんだよ、どうしようもない連中!」なんて怒りながら、車を避けながら。カーブを曲がりにくいのか、側溝をガタガタ言わせて通っていく車もある。白線の内側、ここは車道じゃないぞ。
町民センターにつき、近いからエレベーターで上がろうと入り口まで行くと、「休館」の張り紙。休館は承知してるよ。いつも休館日だって地下のドアは手動で開けられた。でも今日はロックされてしまっていて、引いても押しても開かない。確定申告に使っているくせに、住民サービス忘れてる。住民には障碍者もいるんだぞ、ともう一度papasanを抱えて階段へ誘導。ゆっくりと階段を上へ。横の入り口から中に入る。勝手知ったるセンター。確定申告は機能回復室。申告だけして、外の椅子に座らせ、私は一人階段を上って2階へ。入り口から大声で「だれか、屋上の電気消せる人いる?」言うと、若い職員が「僕できます」とカギを持って出てきた。「おとといの日曜の夜からつけっぱなんしになっているのよ。なんか工事があったのかな。昨日企画に伝えたんだけど、ここに伝えてくれなかったんだね」とあの排気塔の電気の話をした。「エレベーターも動かないから歩いて上ってきた」というと、「動くようにしました」とドアを開けた。「いいよ、歩いて降りる」というと彼が上って行ったよう。
戻ると、papasan、呼ばれて立ち上がるところ、急いで立ち上がらせて中に入る。コロナの密を避けるために中の待合室は2組しか入れないらしい。papasanを座らせ、後ろに立ったまま、相変わらず、私のおしゃべりは続く。しかも声が通るからにぎやかに。やっと番になった。「よっこらしょ」と立ち上げようとすると、受付にいた女性が手伝ってくれた「ありがとう。甘やかさなくてもいいですよ、ほら立ちなさい」と立たせ、中に入った。「いつも息子さんにお世話になっています」と。「どなた?」と聞くと「Kです」「Sちゃんの?」「そうです」「いつもテレビでお目にかかっていますよ」
担当は久しぶりにHさん。あんなにきちんと持ち物をチェックしてきたのに、マイナンバーカードを入れそこなってきた。ボケてるなぁ。しっかりしているようでもやっぱり83は高齢だ。障碍者手帳に入れておくかなぁ、というと、「なくすから入れておかない方がいいですよ」と言われてしまった。帰って来年も使うだろうから、自宅用の申請書に、赤のマジックで、マイナンバーを忘れずに、と書いた。来年使うときに見るから。
途中papasanがトイレに行きたい、と言い出した。すぐだから我慢しなさいというと、その間に書類書いておきますから、と言ってくれたので、papasanを連れてトイレに。するとKさんが車いすを持ってきてpapasanを乗せてくれた。ご親切に。でも待っている人たちの椅子で廊下が狭い。Kさんが車いすを押してくれた。私は、待っている人たちに申し訳ないと頭をさげながらもどった。提出もすんで、K さんが車いすを押して入り口まで送ってくれた。エレベーターを開け。papasanを乗せてくれた時、八芸会の仲間に出会った。彼女がゴミカレンダーを持っている。「それ、どこにあった」と聞くと「今あの方が」と2階へ上がっていく人を指さした。後ろ姿で誰だかわかる。「Iさ~ん、私にもゴミカレンダー頂戴」そして「すみません。先に地下に行っていてください」と頼んだ。ゴミカレンダーを受け取って、急いで階段を降りていくと、車いすが、またエレベーターに向かっていくところ。私も気が付いた。ドアがロックされているんだ。親切な彼女に無駄足させてしまったことになる。エレベーターで一階まで上がり、う~んと考えた。裏のドア開いていないかな、開いていればあっちの方が階段がない。彼女が確認にいってくれたくれたけど開いていなかった。「papasan。階段を下りるよ」というと、彼女が車いすを横のドアに向けて「バリアフリーじゃないですね」と言った。「真鶴町でバリアフリーのところなんてあってもほんのわずか。バリアフリーなんて言葉使えないよ。このセンターはね、全館手すりが付いているでしょ。たまたま仲間に障碍者がいてね、彼女の要望で、町長に頼んだら全館つけてもらったのよ。あれから30余年、高齢化した私たちがその恩恵に浴しているのよ」と話した。階段の上まで送ってもらい、彼女に礼を言って別れた。一段一段、声をかけながら降りた。するとまた八芸会の仲間に出会った。犬も歩けば棒に当たるじゃないけれど、たまに出ると知人に出会える。楽しきかな、だね。夜、和美さんに親切にしてもらったことを話すと、彼女、教育委員で、とても気配りのある人だと教えてくれた、なるほど。そういう人が町にいるのはうれしいね。
Iさんに「排気塔のつけっぱなしの電気、下の基盤で消せるようにしとかなきゃダメでしょ」というと「下で消せるようにしました」という返事。そうなの?じゃ~なぜあの若い子はカギをもって上に行ったの?そこでさらに疑問が一つ。なら毎日基盤を見て消灯するだろうから、ついていれば気が付いてもいいはず。となると職員の確認ミスになる。どっちが本当なのかはまだ確認していないけど。
なんでこんなことを細かく書いているか?細かいことだけど、町の姿勢は、まだまだ町民への気配りが欠けている、と言いたいから。
もちろん、家に帰ってからは疲れ果ててお茶は飲んだけど、二人とも寝てしまった。