提案/政治資金収支報告書領収書全面公開の問題

2007-10-13 11:59:04 | Weblog

 今朝10月13日(07年)の『朝日』朝刊に≪政治資金の透明化 自公合意 全面公開 なお曲折≫なる記事が出ている。

 なぜ「なお曲折」なのかと言うと、領収書の「全面公開」と同時に、《公開に当たっては行政コストの肥大化防止に配慮して実効性あるものとする》と付記された文言を取り上げて、記事は「抜け穴」になりかねない制限事項だとしている。

 <現在、領収書の写しの添付が義務づけられている「政治家個人の資金管理団体の政治活動費のうち5万円以上の支出」の場合、対象となる領収書は約10万枚。だが1円以上として政治団体の範囲を広げると、100万枚~200万枚に増える。総務省で収支報告書の審査や情報公開請求に対応している職員は現在10人だが、200人以上必要になる>(同記事)だけではなく、保管場所が新たに必要となって、その建設費等を考慮すると否応もなしに行政コストの肥大化に撥ね返ってくる。

 そこで行政コストの肥大化を防ぎながら透明化を図る二律背反的命題に応える方法として自民党が考えている制度は政治資金をチェックする第三者機関を設けて、国会議員はそこにすべての領収書を公開(公明党には地方議員まで含めるべきとの意見もあると記事は伝えている)、第三者機関がすべての領収書の不正の有無をチェックすることにとどめて、国民への公開については対象金額を上げたり、情報公開請求の対象外とする制限を設ける。

 このような制度だと確かに行政コストの肥大化の防止は確実に約束できるが、「透明化」の点で国民に向けた「公開」が条件付きとなることから、「抜け穴」となりかねないと記事は指摘している。

 1円以上の領収書公開に自民党が反対してきた理由は事務処理が煩雑になる、新たに採用しなければならない事務処理の人間とそのコスト増及び行政コストの肥大化、政治活動の自由が損なわれるといったことからだが、特に政治活動の自由の確保の問題と絡めて、「ときには秘密にしなければならないケースがあるにも関わらず、誰と会食したかも分かってしまう」と全面公開の反対の理由としていたが、領収書の発行元と日付とから裏付け捜査を受けて誰と会食したか判明したとしても、話の内容の憶測を受けることはあっても、実際の内容までは判明するわけではないから空呆けて済ませることができる。何ら不都合な点はないはずである。

 だが、会食相手が政治活動とは無縁な愛人だとか家族だとか、これから口説こうとしている女のために特に値の張る店に連れて行かなければならなかったとか、裏付けを取られた場合、支出代金が政治資金からの流用となるから、そういったケースを想定してまずいということなのだろう。純粋に政治活動であり、どのような流用もないということなら、領収書から誰と会ったか、どこで会ったか探られたとしても、不都合は生じないはずである。

 行政コストの肥大化を防ぎながら透明化を図る方法がある。

 議員は地方議員も含めてすべての領収書を1枚1枚デジタルカメラで撮影し、それを記憶・保存させたフロッピーディスクを総務省に提出する。勿論、議員側に対してそのバックアップを取っておくよう義務づけておく。この方法は領収書の写しをコピー機で作成するのとたいして時間は変わらないはずである。

 デジタルカメラを使用するのはスキャナでデジタル化した場合、いくら少数派になったとはいえ、まだ存在する手書きの領収書の場合は文字化けすることが生じることもあるからであり、また改竄目的でレジスターを通した領収書を手書きの領収書に書き替えるケースも考えなければならないからである。すべての領収書を公開することによって、手書きの領収書を発行していない会社なり店の手書きの領収書の存在が発見されることによって改竄が判明する。あるいは元々手書きの領収書を発行している場合でも、筆跡によって改竄されているかどうかが判明する。

 総務省側はすべての議員が提出したすべての領収書を検査するのではなく、議員1人1人に付き適宜抽出検査をする。もしある議員に関して不明な点を発見したなら、その議員のすべての領収書を点検する。

 このような抽出検査なら領収書の枚数が「100万枚~200万枚に増え」たとしても、検査人数をさして増加させなくて済むはずである。

 総務省は提出を受けたフロッピーディスクの内容をすべてホームページ化してホームページを通して全面公開する。

 国民の側で、特にマスコミは雑魚・陣笠の類の下っ端議員は相手にしないはずである。閣僚になったとか、何か問題発言したとかの有力議員を狙ってホームページを通してその議員のすべての領収書のチェックに取り掛かるだろう。野党なら、新たに代表になったとか、役員になったとかの議員の領収書が対象となる。当然のことで総務省職員の抽出検査で不正を見逃していた場合でも、マスコミの検査で発見される可能性が出てくる。総務省の職員はいい加減な抽出審査はできなくなる。

 一般国民にしても、検査してみたいと思う議員の領収書に望む時間に望むだけアクセスが可能となり、そこからどのような政治活動をしているか大体のことを知ることができる。ここでも国民が不正を発見する可能性も生じる。

 ホームページ化はそれ程難しい技術を必要とするわけではなく、その知識を持つ人間を何人か職員に採用して自前で行ったなら、ホームページ制作会社に依頼するよりもコストを抑えることができるし、1枚1枚領収書のまま提出させて保管する施設も必要なくなり、新たに建設した場合のコストよりも少なく済む。

 このような方法は役立たないだろうか。役立たないと言うことなら、素人考えとして、ご容赦を。

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