海上自衛隊補給艦給油量過少発表は意図的「隠蔽」

2007-10-27 10:03:00 | Weblog

 今朝10月27日(07年)の『朝日』朝刊≪防衛内局も給油量把握 「隠蔽」有無が焦点≫から、実際の給油量80万ガロンが20万ガロンの数値へと姿を変え、公にされるに至ったか、各報道を通じて既に周知の事実となっていることだと思うが、改めてその経緯を箇条書きにして見てみる。

 03年2月25日海上自衛隊補給艦がインド洋上で米補給艦へ80万ガロン
  補給する。
 03年2月26日、現地部隊から燃料の受領証を含む正確な情報を本国の
  防衛省海上幕僚監部運用課と需品課へ報告。
 海上幕僚監部運用課が80万ガロンを20万ガロンと取り違えて、集
  計表に転記。
 海上幕僚監部防衛課が集計表を元に石川亨統合幕僚会議議長に20万ガロ
  ンと伝え、03年5月8日の記者会見で「給油量は20万ガロン」と発表。
 この数値を元に内局の防衛政策課が応答要領を作成、03年5月9日の会
  見で当時の福田官房長官が「約20万ガロン」を根拠にイラク作戦への
  転用を否定。
 防衛省が07年10月22日に海上幕僚監部の需品課などが給油量の誤りに気
  づきながら上司や内局に報告しなかったと報告書で発表。
 6日後の07年10月26日に、内局にも正しい給油量が記載された資料が渡  
  っていたことを明らかにする。
 石破防衛相「物品管理上の記録としてファイルに保管したが、応答要領
  の担当者が参照することはなかった」として意図的隠蔽ではないと釈
  明。
 
 「海上幕僚監部の需品課などが給油量の誤りに気づきながら上司や内局に報告しなかった」と言っているが、「需品課」はいつ・どこで・どうして気づいたのだろう。このことが問題となるのではないだろうか。

 ごく普通に考えたなら、03年5月8日の石川亨統合幕僚会議議長の記者会見での発言か、翌日03年5月9日の福田官房長官のぶら下がりなのか正式なのか判らないが、「会見」で給油量を「20万ガロン」と口にしたとき、あるいはその後の短い時間内に気づいたのではないだろうか。例えそれぞれの発言の現場に居合わせなくても、新聞・テレビがその情報の重要性に応じて継続的に報道するのだから、運用課・需品課が全スタッフ共々部署ごとに外国に移動していて、日本からのすべての情報に接する機会がなかったということならともかく、そんなことはあろうはずがないから、いずれかの時点で「20万ガロン」化していることに気づいたはずであるし、気づかなければならない立場にあったはずである。

 単に集計表を作成する役目のみではあっても、運用課にしても需品課にしても、作戦に関わる当事者に列しているのである。現地部隊から報告を受けた「80万ガロン」という数値は記憶しておかなければならないだろうし、例え失念していたとしても、世間に公表された時点で、思い出さなければならない「80万ガロン」という数字でなければならない。

 ことさらになぜならと説明するまでもなく、その集計表にある数値を基に統合幕僚会議議長にしても内閣官房長官にしても、あるいは防衛大臣や総理大臣にしても経緯の一部か全体を把握し、その把握内容に従った態度を取ることになるからである。

 いわば事は運用課や需品課の集計のみの問題で終わらない。

 とすると、少なくとも石川亨統合幕僚会議議長と福田官房長官の会見を新聞・テレビが報道した時点で給油量の誤りに気づかなければならなかったのだから、直ちに誤りを「上司や内局に報告しなかった」ことは重大な誤りを放置したことになり、既にそのこと自体が隠蔽行為に当たる。

 果たして運用課や需品課といった一部局が隠蔽行為を犯すだろうか。誤りであることが露見したなら、責任は自分たちのところにまわってくるのである。

 「給油量の誤りに気づきながら上司や内局に報告しなかった」ことが事実なら、背負い切れない責任となるが、上層部で「80万ガロン」を「20万ガロン」として「イラク作戦への転用」否定の根拠とすべく偽装したが、偽装し切れずに責任を運用課や需品課にツケまわしたと言うことなら、背負い切れる責任となる。

 「内局にも正しい給油量が記載された資料が渡っていた」にも関わらず、「物品管理上の記録としてファイルに保管したが、応答要領の担当者が参照することはなかった」と石破防衛相は弁明しているが、内局は中身も改めず、機械的に報告を受領したのだろうか。中身を改めていたとしたら、「応答要領の担当者が参照することはなかった」とても「20万ガロン」という数字が公表された時点でその誤りに気づいたはずであるし、それを正さなかったということなら、運用課・需品課と同様に隠蔽を図ったことになる。

 誰一人、責任者の立場にある者にしても中身を改めない機械的な受領ということなら、職務を果たしているとは言えないその責任を問わなければならない。

 まずは「需品課」はいつ・どこで・どうして気づいたのか、民主党は追及すべきで、次いでなぜ「上司や内局に報告しなかった」のかを問い質すべきだろう。

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