民主党が15日、国会近くのホテルの大広間を借り切って、菅直人代表代行や山岡賢次国対委員長、平野博文役員室担当ら党首脳を指南役に今回当選した新人と元議員195人を対象に議員心得のガイダンスを開いたという。時間は2時間20分に亘り、内容は特に注意すべきこととしてマスコミ対策。ヨイショするとなったら、徹底的にヨイショするが、叩くとなったならヨイショしたことも忘れて徹底的に叩くから気をつけるべしということなのだろう。
一般社会の一般的慣習から外れていても自分では刺激的な恋愛の一つとしか思っていない男関係のスキャンダルが発覚することも面倒を誘うが、ちょっといいことをして持ち上げられ、何様気分にさせられていい気になる、いわば天狗にさせられて、その気になって不用意に行動すると思わぬことで足をすくわれ、今度は逆の扱いで叩かれて、その落差が大きい程負う傷も大きくなって、有権者の拒絶反応となって撥ね返ってくるといったこともあるから、マスコミの持ち上げ―― ヨイショには余程の注意が必要になる。
出席者を上回る数百人もの報道陣が詰めかけたというから、特に「小沢チルドレン」と呼ばれている新人議員、その中でも若い女性議員がマスコミネタの格好の提供者として注目を集め、その一挙手一投足が鵜の目鷹の目で狙われることになる。
「FNN」(フジテレビ)が動画で横粂勝仁新人議員を横須賀市内の事務所から新しく宛がわれた議員会館の自室、そこからタクシーを利用せずに徒歩で地図を片手に会場のホテルに時間に間に合わせるように小走りに走って時間ギリギリに到着する姿を途中途中を省きながらずっと追っかけていたのは小泉純一郎元首相の世襲候補小泉進次郎の対立候補として神奈川11区から民主党候補として立候補したが、ジバン・カンバン・カバン共雲泥の差があること、また小泉進次郎の政治家一家という由緒ある経歴と違って、父親はトラック運転手、本人は奨学金とアルバイトで東大法学部を卒業後弁護士となったこと、土地の祭りの中で握手しようと進次郎に手を差し伸べたが無視されて逆に知名度を上げたこと、小泉王国と言われる中で父親の純一郎が4年前の郵政選挙で獲得したこれまでトップだった19万7037票から4万6千票奪う、進次郎15万893票に対する9万6,631票も獲得したなかなかの健闘振りといった話題性が豊富にあったからだろう。マスコミは話題性の上に新たな話題性を創り上げて対象人物の注目度を高め、視聴者の目を惹きつけるが、マスコミのつくり上げたものでもある注目度を自身がすべてつくり上げたと錯覚する者が中にはいる。
ガイダンスは冒頭の菅代表代行の挨拶のみが公開で、あとは非公開だったということだが、早くも秘密主義の発揮なのか。堂々と公開で最後まで遣り通せばいいと思うのだが、あくまでも身内の研修集会と言うことで非公開なのか。だとしても新人議員の場合(マスコミ側からしたら新人議員以外にさして興味はないのではないのか)、マスコミのどんな内容だったのかという質問に正直に答えないと、早くもお高く止まっていると非難されるのは目に見えているから、中身は自ずと知れて、準公開の様相を呈するのは目に見えている。
実際に記事は出席議員に対する質問を武器に内容を炙り出している。
山岡国対委員長「1回の選挙で当選したからと言って、政治家ヅラしちゃいけない」
平野役員室担当「議員はメディアに狙われやすい。秘書も慎重に選ぶように。・・・・酒席の振る舞いも見られている。・・・・何かとマスコミの標的になりやすい。のぼせ上がってはいけない」
その他過去の事件の反省から、勤務実態のない公設秘書を雇うような行為は厳しく慎むようにという指示が出たという。
次いでガイダンスを受けた議員の声。
江端貴子議員(東京10区で小池百合子元防衛相を破った。49歳)「内容が事細かで、与党になった責任を感じてもらいたいという党の姿勢が表れていた」
小山展弘議員(静岡3区。33歳)は「国会の中には議員を尊大にさせたり、思い違いさせたりする強い空気があることがわかった。自分は目立たなくてもいいから、地元のために地道な活動をしていきたい」
福田衣里子議員(長崎2区。28歳)「小沢ガールズなどと言われないように努力していきたい」
相互に関わりのある行動態度としての「責任と節度」を求められたようだ。
記事は最後に次のように書いている。
〈石川2区で敗れ、比例復活した田中美絵子議員(33)は、立候補前の映画出演などの経歴が一部メディアで報道されたためか、無言のまま足早にエレベーターへ乗り込み、会場を後にした。〉――
立候補前どころか議員後もヌードになって欲しい議員だと思うが、どんなものだろうか。
4人の新人議員を取り上げているが、内男性議員は1人、女性議員が3人。どちらにより注目しているか、取り上げ方でも分かる。唯一男性の小山展弘議員は一人ぐらい男を入れないと女性議員ばかり取り上げてと批判を受けかねない、その予防のための単なるバランス要員ではないかと疑えないこともない。
山岡国対委員長が「1回の選挙で当選したからと言って、政治家ヅラしちゃいけない」と言ったあと、どう続けたか詳しく知りたいが、詳しく伝えている記事は見当たらなかった。
山岡国対委員長の感覚・常識からしたなら、何回当選したなら、「政治家ヅラ」が許されるとしているのだろうか。山岡賢次は衆議院4回、参議院2回の計6回当選しているということだが、6回も当選したなら、「政治家ヅラしてもいい」と言ったのだろうか。
言ったとしたら、あの顔は「政治家ヅラ」の見本となる。政治家ヅラが許される程の当選回数を重ねていると自らを見ていることになる。
「政治家ヅラをする」とは自身を何様の政治家に見立てている人間の態度を言うはずである。国民のことを何も考えていないことによって可能となる心理状況が何様の政治家ヅラといったところだろう。
こう言うべきではなかったろうか。
「何回当選しても、政治家ヅラしてはいけない。ましてや1回の選挙で当選したからと言って、政治家ヅラするのは以ての外だ。そんなことをしたら、2回目の当選につながらないだろう」
1票を提供する国民と常に対等の位置に立つことが国民目線を意味するはずである。
尤も選挙となったなら、「政治家ヅラ」の仮面を外して自宅金庫に後生大事にしまい込んでそのときだけ国民目線を言い立てたなら、よくある手で、2回目の当選をも約束することになるかも知れない。
冒頭掲載写真は「国会正門が開門し、議事堂に一礼する新人議員ら=16日午前8時」と「東京新聞」インターネット記事は解説している。
深々と余りにも深々と頭を下げている。謙虚さの表現であろうが、マスコミのカメラ・人目のある場所で見せる形式・儀式の類で済ませることのできる謙虚さでもある。謙虚な姿勢は政治活動を負託した背後に控える国民に向かってその負託に恥じないように日常普段の政治活動の中で陰日なたなく、いわばマスコミのカメラが待ち構えていようがいまいが、人目があろうがあるまいが見せるべき姿勢であって、その心構えがあったなら、いくら国会議事堂だからといって、建物に深々と頭を下げてもさして意味は生じまい。
国会議員は背後に控えている国民との関係で活動を成り立たせ、そこに責任を置くという構図からしたら、国会議事堂に深々と頭を下げている姿勢は逆に背後に控えている国民に尻を向けた姿勢となる。
高校の野球部員は対外試合でバッターボックスに入るとき、帽子を取って挨拶をする。それが高校生らしさ、スポーツマンらしさ、謙虚な若者を示す礼儀上の表現となっている。
だが、今年の夏の甲子園に出場したあと、酒田南高野球部員の7人が寮で飲酒・発覚した事件はバッターボックスでの礼儀上の表現・謙虚さが形式・儀式の類でしかなかったことを証明している。観客の前では礼儀正しい姿を披露していた甲子園球児が後輩部員に体罰を振るった、万引きした、性犯罪を犯したといった話題も絶えない。
国民が望むのは目に見える場所での態度以上に目に見えない場所での態度であろう。そこに肝心さを置いているはずである。目に見えない場所での態度は、それが不正・邪な態度の場合、目に見える場所での態度に自分から関連付けることは決してないからだ。いわば目に見える場所での態度はその態度だけでその人間の人格の証明にはならない。
《「政治家ヅラするな」チルドレンにガイダンス…民主》(2009年9月16日08時18分 YOMIURI ONLINE)――