自民総裁選/谷垣総裁選出は森喜朗が主役の派閥政治の延命治療(1)

2009-09-23 18:40:47 | Weblog

 自民総裁選は9月18日告示、9月28日投開票となっている。谷垣禎一(さだかず)元財務相(64)が9月13日に先陣を切っていち早く出馬を表明。立候補表明と同時に多くの派閥領袖や閣僚経験者から支持表明が相次ぎ、所属派閥である古賀派をベースに派閥横断的に支持を広げ、その甲斐あってか、22日までの読売新聞社の国会議員199票に限った調査で谷垣が102票、共に14日に立候補表明した西村康稔(やすとし)前外務政務官(46)は30票、河野太郎・元法務副大臣(46)28票、未定39票となっている。(《自民総裁選、議員票の過半数が谷垣氏…読売調査》(2009年9月23日07時17分 読売新聞)

 記事はつぎのように支持に関する派閥の内訳を伝えている。

 〈西村氏は、支持議員の半数以上の17人が(所属派閥の)町村派だ。伊吹派の4人も支持しているが、他派閥は0~3人にとどまっている。

 河野氏支持も、所属する麻生派が7人で、無派閥の7人と並んで多い。

 派閥側から見れば、今回も統一行動が取れていないケースが多い。特に、最大派閥の町村派(47人)は、西村氏支持が最多だが、10人が谷垣氏、6人が河野氏を支持している。町村信孝・元官房長官や森元首相ら派の幹部が方針を表明していないことが影響していると見られる。

 当選回数別に見ると、衆院当選7回以上のベテランの約7割、当選4~6回の中堅の約6割が谷垣氏を支持し、西村、河野両氏をリードしている。

 当選1~3回の若手では、谷垣氏支持が9人、西村、河野両氏がともに8人で、ほぼ互角。「中堅・若手の代表」を掲げ、世代交代を訴える西村、河野両氏は、肝心の「足元」を固め切れていない。

 谷垣氏支持の議員からは、「経験も豊富で、清廉、政策にも明るい」(大島理森国会対策委員長)との声が聞かれる。河野氏については、「自民党の古い体質を引きずっていないのは河野氏だけだ」(義家弘介参院議員)との評がある一方、森元首相らベテランを名指しで批判する姿勢に、「議員からの反発が大きい」との指摘も出ている。〉――

 要するに派閥の利益に、あるいは派閥の恩恵に最も浴しているのは谷垣ということになる。そのような立場に立っている利害関係上、「誰を排除せよという議論より、全員野球でやらなきゃダメだと思います」(19日の日本記者クラブ主催の公開討論会での発言)という姿勢を形成せざるを得なくなっているのだろう。人間は利害の生きものであり、利害状況に応じて態度を変える。ときには損すると分かっていて変える場合もあるだろうが、そのような場合であっても、何らかの利益を目的として、得ている。

 「町村信孝・元官房長官や森元首相ら派の幹部が方針を表明していない」のは派閥主導と把えられることを警戒した自己利害からの“だんまり”の可能性が高い。

 派閥政治批判に歯に衣を着せぬ河野太郎はそれゆえに自民党の大勢を占めるに至っている派閥領袖や派閥からの恩恵を多く受けて、そこに自らの立脚点を置いている派閥依存議員から記事にあるように「議員からの反発が大きい」という待遇を受けることになっているのだろう。

 自らの政治活動に不利益となると分かっていて河野が派閥政治を批判するのは自らの正義感、自らが信じる政治思想等を満足させる精神的利益を満たすことだできるからだろう。だが、批判がいつまで経っても通じず、派閥議員を延々と敵にまわしていなければならなくなると疲れてきて、あるいはどうでもよくなって、大勢に妥協し、批判に反して派閥チームに於ける「全員野球」の積極的な一員と化したりすることもあり得る。

 西村康稔(やすとし)は町村派に所属し、森喜朗に近い議員だそうで、「若手分断のため擁立された」と言われているそうだが、本人は「私は1人で推薦人を集めた。中堅若手の分断といわれるのは大変不名誉」(日刊スポーツ)と噂を否定しているが、否定は当然、肯定するはずもないことで、もし言われていることが事実とするなら、西村30票、河野太郎28票は「分断」が功を奏していることを示している。

 尤も分断させるための立候補であった場合、西村支持の多くは人事と利権操作を専らの政治活動としている、森喜朗に代表される派閥領袖等の党内実力者の影の指図(さしず)に従った支持の可能性が高いから、西村が立候補しなかった場合、30票がそのまま河野に流れるとは限らない。未定の39票のうち何票かが河野支持だが、党内実力者に睨まれ、村八分にされることを避ける意味から前以ての支持を表明しない票の可能性が考えられるが、それがどのくらいあるかである。

 国会議員票が読売の調査どおりに出るかどうか、結果が楽しみとなる。

 18日に告示、3候補が届け出、午後になって自民党主催の共同記者会見が開催された。3候補の派閥政治に関わる部分の発言を見ると、それぞれが派閥政治をどう把えているかが自ずから炙り出すことができる。「全員野球」という言葉で派閥批判を封じ通した谷垣、露骨な批判を通した河野、若手であるにも関わらず派閥に立脚している矛盾に整合性を与えるためにそうせざるを得なかったのだろう、論理不明確に論ずることで、結果的にどちらとも態度を明らかにできなかった西村。

 共同記者会見後、19日の日本記者クラブ主催の公開討論会、都内演説会、そして地方演説会とスケジュールを進めているが、3氏の発言は場所は違えても、基本的には趣旨を同じくした主張となっているはずである。13日の共同記者会見から3氏の発言・主張を眺めてみた。

 「第2日テレNEWS24/ノーカット工房」の動画を参考にした。言葉を纏めるのが下手クソだから、私自身の感想は発言の途中途中に青文字で記した。

 ――朝日新聞の山浦です。鳩山政権、高支持率でスタートしたんですけども、オー、先ず政権奪回への決意、処方箋ですね。えー、この辺りを伺いたいんですが、あの、参院選に向けてですね、できれば、あのー、歴史的、この総選挙が、自民党、えー、歴史的惨敗、したんですけれども、この自らの責任、自らどこに原因があったか、そこは明らかにしたうえでですね、この参院選へ向けての、自民党をどう立て直していくかと、その辺りをお聞きできますでしょうか。

 西村「よろしいですか。西村康稔(やすとし)です。えー、3点申し上げたいと思います。一つは、今質問がありました反省点ですけれども、えー、景気が悪い中でですね、それぞれの、国民の負担、えー、非常に重くなってですね、非常に苦しい思いをしておられる方が非常に多いと。それにも関わらず自民党は、えー、いわば政権をたらい回しにするような形で、権力にしがみついて、官僚の天下りを許してきた。えー、そういうイメージのもとでですね、自民党の政治家だけがいい思いをしているんじゃないか、俺たちこんなに苦しいのに。こんな思いがですね、えー、我々がそれを感じ取れなかったと言うのが一番大きな敗因だと思っております。

 で、そこで建て直しの一つの方策はですね、えー、国会論戦を、しっかりやるということなんですけれども、そのために政策をですね、もう一度、地域のコミュニティーとか、地域再生、こうしたこと、我々がやってきた政策、社会政策を含めて、しっかりと見直して、これはもう官僚に頼らずにですね、野党ですから、官僚も離れていきますので、むしろこのチャンスに、自分たちの頭で、国民の思いをしっかりと受け止めた政策を立案していく。これを成長の、仕組みを建て直して、再編をしてですね、評価をし、そして、えー、それぞれのチームを作り、国会論戦、これは若手がですね、最前線に出てですね、論戦をしていく。

 自民党も結構いい若手がいるじゃないか、そう思われるような論戦を是非やりたいと思います。

 二つ目が、やはり選挙で勝たなければなりません。政権奪回であります。自民党の弱いところはやはりリクルーティング機能、だと思うんですね。候補者がどうしても、えー、世襲候補であったり、えー、あるいは官僚出身、あるいはえー、地方からの出身と、狭い範囲で選んできた。これをもっと幅広くですね、いい人材をピックアップできる仕組み、えー、選べる仕組み、NPOで働いている女性、若い民間人、こうした人たちを是非見つけ出して、支援して、指導していく。そうした仕組み、しっかりとつくりたいと、いうふうに思います。

 えー、三つ目は、そうは言っても、最後は党のイメージであります。これまで密室で物事を決めてきた。あるいは、えー、決めるのにえらい時間がかかって、調整に時間がかかった。これをなくすためには、えー、総裁がリーダーシップを取ってですね、えー、調整せずに、勿論調整するなんてことありますけれども、スピーディに意思決定する仕組みをつくっていく。そして適材適所に人を配置していく、いうところをですね、えー、やらなければいけないと思っております。

 私はそのために、えー、派閥を離脱をいたしましたので、中立的な立場で、えー、リーダーシップを発揮してですね。いい人材を、これは若手を中心に国会論戦をやったり、最前線で働くのは若手がやりますけども、えー、老壮青、これは力を合わせないとですね、たった200人しかいないのですから、巨大な与党に向かっていくわけですから、適材適所で、いい知恵を結集してですね、戦っていく。そういった体制をつくっていきたい。スピーディでクリーン、そして透明な意志決定をする、党のイメージをつくっていきたい、いうふうに思います」

 (自民党に関してこれまで常に問題となってきた一つが派閥主導型政治であり、派閥主導型人事であった。小泉以後、1年を持たずに3人の首相が入れ替わったのも派閥主導の首相人事であったがゆえに国民の自民党に対する政治不信を買った。当然、「政権奪回への決意、処方箋」にしても、総選挙の「敗因」にしても派閥主導型の政治活動をどうするかを視野に入れた議論が為されるべきであることからすると、西村が若手が最前線に出て国会論戦をしていく、あるいは適材適所だと人選を差別化することは当然の対応だが、その舌の根が乾かないうちに、「老壮青」という言葉を使って差別化を否定し、年齢的バランスを重視する矛盾を犯している。「老壮青」が谷垣が言っている「全員野球」と同じ全体性を持つことから、その擁護対象は谷垣と同じく派閥主導に立つ党内実力者だろう。そういった議員を肯定的存在と看做している。

 いわば派閥主導型政治・派閥主導型人事容認の「老壮青」なのである。)


 河野太郎「えー、河野太郎でございます。あの、8月30日に国民のみなさんが選んだ、鳩山内閣でございますから、我々は、その船出を、しっかりと、見守って、エールを送っていきたい。えー、いいことについては一生懸命、後押しをさせていただきたいというふうに思っております。

 えー、それとは別に、我が党をどう建て直すか、ということは、冷戦が終わって、自由民主党というのは、一体何なのかということが、非常に曖昧でした。自民党は政権与党ですとしか言えなかった。そこが一番の問題だと私は思っております。

 自由民主党というのは効率のよい、ムダのない、小さな政府を中心にして、この国の経済をきちんと成長させる、健全な、公正な競争環境を、つくり出して、経済を成長させて、その果実を、以って、国民のみな様一人ひとりの豊かさにつなげていく。そういう政党なんだ、ということをはっきりさせなければならない、と思っています。ここ暫く、小さい政府でいくのか、バラ撒き型の大きな政府でいくのか。自民党の中も揺れたことがあります。それでは駄目なんだと、私は思っています。きちんと自由民主党という政党はこういう政党で、日本の国をこういうふうにしていきたい、そういう旗を立てた。その元で、それに賛同する国民のみなさんに集まっていただいて、二大政党の一つの軸として、自由民主党がきちんと対立軸として、立っていく。そういう状況をつくっていきたいと、思っています。

 我々は自民党の政策を自民党のためにやるわけではありません。この国に二つの、二大政党という、二つの対立軸のはっきりした政党があって、それがお互いにきちんと議論するからこそ、この国の政治が深まっていき、日本の国がさらに前に進んでいく、そのために自由民主党を建て直す。それが私の考えでございます。

 特にリーダーシップの世代交代をしっかりやらなければ、なりません。これはもう自由民主党の、支援者の皆様から、いつまで、同じ手垢のついた、古臭い政治のメンツでやるんだ、ということを、何度も私は、聞いて参りました。挙党態勢という言葉で、そういう人間がまた復活するようなことはないように、きちんとリーダーシップを、世代交代をし、派閥政治から脱却する。

 人間は必ず群れをつくります。その群れに、あたかも党の公式機関のような人事権や候補者の決定権、そういったことを与えない。決めるのは党が決める。それを決定することによって、世代交代と、派閥政治からの脱却をしっかりやっていきたいと思っております」

 (河野太郎は世代交代と派閥政治からの脱却を表裏一体のものとして明確に認識している。

 このこととは別に河野は自身が考えている自由民主党のあるべき姿として
「効率のよい、ムダのない、小さな政府を中心にして、この国の経済をきちんと成長させる、健全な、公正な競争環境を、つくり出して、経済を成長させて、その果実を、以って、国民のみな様一人ひとりの豊かさにつなげていく」に置いている。勿論、これは河野一人の考え方ではなく保守を掲げているいる大方の自民党議員の考え方だが、あとで次の言葉を同じ趣旨で言っているが、「小さい政府と大きな経済成長」は大企業を擁護することによって可能となる保証であることを、あるいは気づいていないのか、隠している。

 ゆえに自民党は特に大企業の利害を最も代弁する政党となっている。これは国家を優先する考え方に立っていることからの中央政治家・中央官僚、特に大企業等の国家の上層に位置する組織・集団の利益を強化し、それを以て国家の力とする思想の現れであり、それを基本とした自民党の国家経営であったから、政・官の政策の恩恵を受けて得た企業の利益を下に位置する中小企業、あるいは一般国民に段階的に還元するとき、段階に応じて必然的にそうならざるを得ない上により厚く、下により薄くしていく配分を成り立たせることになっていた。

 企業の人件費カット、製品コストカットにつなげ国際競争力をつけるという名目で行われた労働市場の規制緩和にしても大企業の利害代弁の姿勢から出た政策だが、その結果、その政策の恩恵を最大限に受けて日本の大企業各社に戦後最高益を約束することとなったが、最高益に応じた利益配分は段階に準じた量さえも従来どおりには一般国民にまわってこなかった事実は広く知れ渡っている。

 この教訓に立つなら、河野の言う「経済を成長させて、その果実を、以って、国民のみな様一人ひとりの豊かさにつなげていく」は不確かな約束となる。)


 谷垣「谷垣禎一(さだかず)です。あの、今度の選挙の敗因ですけども、やはり景気が悪かったり、あるいは、セーフティネットが何となく綻びている。そういう不安感に対して、我が党はきちっと対応を必ずしも示せなかった。

 (セーフティネットは「何となく」程度の「綻び」だったのだろうか。「何となく」と見る生活感覚は本質的には自民党政治は間違っていなかったと見ていることから起きている判断に違いない。だからこそ、派閥政治擁護もできる。)

 それから色々と出した政策。これはあの広報宣伝ということもありますが、必ずしも十分理解できるような、理解させて、理解していただくような形で説明が行われなかった。それに加えて、イメージの問題。しばしば総理大臣が代ったり、しかも党内で対立の図式で、国民目線というよりか、権力闘争に明け暮れているじゃないかと、こういったようなことが、あー、あの戦争の敗因の背後に、あったと思います。

 それで私はやはり、その政策面からしますとですね、あの、これから野党になりますから、国会論戦が中心でございます。国会の中で、えー、我々も政策を練磨しながら、しっかり野、与党の政策の問題点を突いていく。

 しかしその場合にですね、えー、その追及する、あるいは批判する視点が滅茶苦茶であっては、これはどうしようもありません。やはりこの保守政治の正道に立って、えー、批判をしていくという視点が必要でございます。そうやってコツコツと、おー、与野党の政策に、ま、風穴を開けていくという努力が先ず第一だと思いますね。

 ですから、そこの国会の論戦に当たるに優秀な人材を配置しなければいけない。そしてそういう政策を批判するための政策をつくれる党の政策機関をきちっと充実しなければいけないということは台にあると思います。

 それから、あー、二番目の広報宣伝ですね、やっぱり、その辺りは、それを専門に扱う、部署というものを、もう一回強化する必要があるのではないかと、オー、思っております。

 うー、イメージに関しては、今もご議論がありましたけれども、やはり派閥があんまり跋扈跳梁するというようなイメージを乗り越えていく。そして若くて清新な人材も発掘していく。それに加えましてね、やっぱり、一番大事なのは、みんなでやろうぜ、オー、気持ちでもって、えー、全員一体となって、当たっていくことが大事だろうと思います。

 それで、選挙の具体的な戦略ということになりますとね、やはり、あのー、新しい総裁が選ばれましたら、その総裁は、まあ、来年、この年度内ですね、来年の3月までぐらいに全都道府県をきちっとまわって、えー、地域の声、そして、地域の選挙事情、じゅうーぶん自分で見ていくということは、必要だと、おー、思います。

 そしてまあ、今、あの、我が党の衆議院の方は、たくさーんこの苦杯を飲んで、将来、これ、どうやって勝ち抜いていくか、いう不安があるわけですから、やはりそこに党本部として、執行部として、対応していく。そういうことが必要ではないかと思います」

 (自民党は組織としてはどうあるべきか、どうやって国民の支持を取り返し、自民党を再生させるかの本質論を正面から論ぜずに、国会論戦だの、地方をまわるだの、イメージがどうだの、肝心要の本質論とは程遠い表面的な活動を論じている。自民党の再生は自民党が大企業の利害を代弁している以上、政・官・財の上の利益が国民の最末端にまでより公平に循環させていく政策を見い出すことだと思うが、そのためにも利益配分の不公平の象徴となっている、あるいは利益の独り占めの象徴となっている天下り、派閥型政治、あるいは族政治を排除し、その構造を受けた企業優遇を正す議論が必要となるのだが、西村にしても谷垣にしても、そういった必要性はサラサラ感じないらしい。)

 自民総裁選/谷垣総裁選出は森喜朗が主役の派閥政治の延命治療(2)に続く

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自民総裁選/谷垣総裁選出は森喜朗が主役の派閥政治の延命治療(2)

2009-09-23 18:37:10 | Weblog

 18日自民党総裁選共同記者会見続き

 ――じゃあ、すみません、二問目をお伺いします。共同通信の須佐美(?)と申します。えーと、あの、衆議院の争点の一つで、小泉構造改革の是非というか、あー、総括というか、それが小泉構造改革があー、正しい方向だったのか、それとも少し修正した方がよかったというのが、あの、まあ、自民党内でも、両論があったと思いますし、えー、まあ、えーと、今回の、自民党の、敗因が、その小泉構造改革を貫けなかったからなのか、えー、貫いたからなのか、色々と意見があると思いますが、えー、三候補にどう総括しているのか、伺いたいと思います。

 あの、過去に小泉政権があった時代に、えー、その小泉構造改革にどう関わってきたかというのと併せて、現在の考え、それから、今後どうすべきか、というのをお聞かせください。お願いします。

 河野「それでは二問目ですから、あの、私からいきたいと思いますが、これは官から民へ、中央から地方へ、という改革は決して間違っていないと思います。小さな政府を目指し、えー、大きな経済成長を遂げようとする、その精神は、小泉構造改革、決して間違っていたものではない、と思っています。

 しかし例えば、中央から地方へと言ったときに、権限は行っても、財源は渡せなかった。つまり役人と一体化して、地方へ権限とカネを渡すことに反対をした人間が党内にいた。その財源の移譲が不十分だったがゆえに、本来なら地方がきちっと財源とカネを持ってやれたことが、権限だけはきたが、財源はこなかった。遣り切れなかった、ということがあった。そういう面では不十分であった、ということは言えると思います。

 もう一つ、反省をしなければいけないことは、そのー、公共事業を削減する、あるいはODAを削減する。そのときに社会保障だけが聖域になるのかという議論がありました。結果として、社会保障も、あの、2千2百億ずつ削減していこう、と。ええ、それは残念ながら誤った妥協、であったと思っております。

 社会保障については、きちっと必要な財源をつける。その分、他を削ってでもやる、ということが、できなかった。えー、それぞれの省庁をバックに、バックにした族議員の反対があって、それを徹底できなかった、というのが二つ目の失敗、反省点だと思います。

 三つ目として、規制緩和するときに、事業者の規模の小さいところから、規制緩和をやってしまった、というのが反省だったと思います。例えば空港のようにですね、事業規模の大きいもの、あるいは官の関与が極めて大きいところから、規制緩和をする。えー、それが本来正しい道、だったと思いますが、えー、小さいところから、事業規模の小さいところから、あー、規制緩和を始めてしまって、あたかも規制緩和で色々なことがあたかも悪くなってしまったという、おー、イメージが先についてしまった、というのがオー、反省点であります。

 えー、構造改革というのは、これをきちっとやり遂げることによって、自由民主党が本来目指すべき小さい政府と大きな経済成長、そして安定した社会保障というものを、実現することができると、私は思っています。

 それを族議員や色々な雑音で遣り切れなかった。それが残念ながら、我々が反省しなければならない点だというふうに私は認識しております」

 (小泉改革にしても様々な抵抗・妨害の類や方法論の間違いもあったろうが、何よりも上の利益・果実の下に対する配分が十分に果たされなかったことに尽きるはずである。いわば上の利益・果実が一般国民にとってそれ相応の利益・果実とはならなかった。その結果としての所得格差・収入格差・生活格差であり、都市と地方の格差という社会矛盾が生じた。労働市場の規制緩和を行い、大企業にその何層倍にも当たる最高益を献上しながら、一般国民には無縁のものとした。にも関わらず、社会保障費を削って、その「安定」を目指したものの、一般国民には新たな負担となった。利益の配分もなく、負担だけが増えたのである。

 譬えて言うと、小泉改革は国家や企業にのみ目を向け、一般国民には目を向けていなかった。強い日本国家の構築に目を向けていたが、国民生活の強化には目を向けていなかった。)


 谷垣「小泉構造改革につきましては、私は小泉内閣5年余の間3年程、財務大臣を務めておりましたので、特に骨太2006等々、私も大きく関与しているわけであります。それでー、構造改革自体につきましてはね、やっぱりそれだけ国際的な大きな競争がある。それから日本は少子高齢化が進んでいる。こういうことを考えますと、おー、そのために必要な改革、構造の変化というのは、必ずしなければ、いけないだろうと思います。

 ただ、小泉構造改革の理解というのは、えー、小泉政権の中にあっても、実は、二つあるんだと思います。一つは小さな政府そのものが、日本全体をよくするものだという考え方のもとに、ムダを徹底的に排除して、小さな政府をつくっていこうという考え方が一つあったと思います。

 それともう一つの流れは、さはさりながら、これだけ少子高齢化が進むと、今も2千2百億の話がございましたけども、社会保障はムダを省くとしても、そうそう小さくはできない。それから地方分権というものを進めたとしても、確かに権限がなければ、財源だけ持っていっても、地方分権はうまくいかない。そうすると、必ず何かの財源措置を取らなければならないが、それはおそらく消費税ということになるだろうと。

 それはしかしいきなり、じゃあ消費税をやりますよと言っても、なかなかそうはうまくいかないから、ムダを排除していこうと。そういう流れの人と、つまり、小さい政府派と、そこまで小さくできないだろうと、二つの流れが、私はあったと思います。で、私は後者でございまして、社会保障や地方分権のために、もう少し財源をつくらなければうまくいかないという考え方、でございます。今後もそれで臨んでいく必要があると思います。

 因みに申しますと、民主党がムダを省いて17兆余の財源を生み出してくるということをマニフェストで盛んに主張いたしました。あの話を聞いておりますと、小泉時代にあったムダを省く、徹底的にムダを省いて小さな政府をすると、あれをもう一回やると言っているというように聞こえまして、そこまで、それだけ削ったのに、出てくるかなと、私は思っております」

 (小泉以後も、安倍内閣のときも、福田、麻生内閣のときも、中央官庁や公益法人、地方自治体からいくらでもムダが見つけ出されている。予算執行された事業の中にもムダがなかったとは断言できない。民主党の「ムダをなくす」というスローガンをとやかく言える立場にはないはずだが、鉄面皮な男だ。

 一例を挙げると、インターネットで国への申請手続きを行う電子申請システムの利用率が検査対象となった20の中央官庁の49システムのうち4年間で約119億円もかけた12のシステムでは総申請数の10%を下回っていたという会計検査院の調査(asahi.com記事から)はムダの最たる例であろう。

 記事は書いている。

 〈電子申請システムは、森喜朗内閣が推進した「電子政府政策」(IT戦略)の目玉として01年以降に始まったが、国民のニーズを度外視し、「何でもかんでもオンライン化してきた」(中央官庁幹部)ことが利用率低迷の原因とみられる。 〉――

 利用率の高いシステムもあると言うことだが、低いシステムをカネをつぎ込むだけで放置してきた諸官庁の怠慢を政治は何ら監督できなった。)


 西村「よろしいですか。えーと、小泉構造改革は、私は一年生、二年生でしたので、主として党内の議論に参加しておりましたが、えー、二つのことを。一つは官から民へ。一つは競争原理。これは官から民へで言いますと、道路公団民営化をやりました。えー、最近のサービスエリアを見ていただければ分かりますが、非常に色々なサービス、トイレも綺麗になったし、やっぱり民間で知恵を出してやれば、よくなると、いうところはですね、これは成功した民だと思うんですね。料金もできるだけ下げようと、努力しています。私も言うまでもなく、サービスエリアに観覧車ができて、非常に賑わって、そういう面は、民間の知恵が出ている面だと思いますね。

 そして郵政民営化。これは田舎に於いて若干サービスが低下している面は、修正が必要な面もありますが、え、昨年度で確か、4千数百億円の税金を国家に納めて、これまで税金を納めてませんでしたから、そういう意味では新しい財源を民営化によってできたわけでありますので、こうした官から民へのプラス面は大きな面があると思います。

 それから競争原理。これはIT産業初めとして、みなさんお使いのケイタイやいろんな面で、規制緩和によって生まれてきており、成長しております。こうしたプラス面は大いに評価しなければならないと思います。

 ただ、一方で、財政再建を初めとして、えー、小さな政府、あの経済面はいいのですけど、社会保障の削減をした。あるいは地方の予算を削ってしまった。これによって地方の経済が非常に疲弊をしている。さらに言えば、えー、本来地域のコミュニティ、相互扶助、をする、つながりのあるま、連帯のある、その、地域コミュニティ、地域の構造まで壊れてしまっているという面まであります。これは市場原理が働かない分野があるということだと思うんですよね。

 一つはそうした地域のつながり、の分野、地域共同体の分野。お互いに競争だけでやっているわけではない。ええー、それから社会保障の分野。これも競争だけでやるんじゃなくて、セーフティネットであり、また万人に振り分けをする、サービスを提供する、競争原理だけではうまくいかない、市場原理だけでうまくいかない面があるんだと思いますし、この辺りの面の改善をしていかなければならない。

 さらに言えば、競争原理や、それを、まあ、信奉したがゆえにですね、エー、カネ儲けがすべて、えー、ていうような、何となく広がってきた、ところが非常に心配でありまして、もう一度、そうした、グローバル化した、対応した、経済成長でいくという面と、一方で、地域の共同体を守る。市場原理ではない、えー、お互いの信頼関係、えー、つながり、連帯、こうしたもので築かれた社会、あるいは安心できる社会保障制度、おー、あると、こうした両面を進めていかなければいけないと、思います。

 まあ、いわば、新しい保守主義て言うか、健全な保守と言うか、ですね、優しい保守と言うか、守るべきものを守りつつ、且つ一方でグローバル化が新しい時代の産業、新しいニューフロンティアにも挑戦していく、この両方が必要だというふうに思います」

 (功罪を言うなら、差引きプラスだったのか、マイナスだったのか指摘して国民生活上の利益・不利益を論ずるべきだが、道路公団の民営化をやった、高速道のサービスエリアのトイレが綺麗になった、観覧車ができて賑わっていると部分的利益のみをあげつらっている。しかもムダな道路建設に国の予算が注ぎ込まれない保証はなくなっていないことを棚に上げている。

 また郵政民営化で昨年度4千数百億円も国に税金を納めたから、新しい財源ができたと言っているが、これまでも郵便貯金・簡易保険を財政投融資の「財源」として散々に利用してきている。地方で郵便サービスが低下していると言うなら、4千数百億円の税金からいくらかを使ってサービスの充実を図る政策を言うべきであろう。)


 自民総裁選/谷垣総裁選出は森喜朗が主役の派閥政治の延命治療(3)に続く

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自民総裁選/谷垣総裁選出は森喜朗が主役の派閥政治の延命治療(3)

2009-09-23 18:31:01 | Weblog

 18日自民党総裁選共同記者会見続き

 ――幹事から三問目です。テレビ朝日の足立です。えー、派閥ですけれども、えー、党再生会議の提案にもありましたけれども、解消すべきだとお考えでしょうか。もし解消するなら、どのような形で解消を実施するのでしょうか。え、総裁になったときに党役員人事などをするときに、そのバランスなどを意識した人選をするのでしょうか。それについても答えてください。

 谷垣「派閥の弊害というのは乗り越えていかなければいけないと思うんですね。例えば人事を壟断(利益を独り占めにすること)するとかね。えー、党あって、派閥あって、党なし、おー、いうようなことが行われるようではいけないと。やはり人事は、おー、何て言うんでしょうか、特に政権交代ということになればですね。えー、派閥の情実人事であるとか、順送りであるとか、あの人は次の選挙で引退するから、閣僚にしてやろうとか、こういう人事であっては、あー、政権交代、この可能な時代には、負けてしまう。

 だから、ベストメンバーでのぼらな、臨まなければいけない。そういう意味で、派閥の論理や何かはこの人事に関しては乗り越えなければいけない。これは当然のことだろうと思います。そうして派閥が人事や、それからカネを配る機能、カネを配るっていう機能もですね、野党になって、そんなものは非常に衰退化していくことは明らかでありますから、そうしますと、派閥の機能っていうのは、弱ってくると思うんです。

 ただ、派閥の機能を弱めていくは、弱まっていくといいますか、もう一つ考えなければならないことがあると思います。それは今、党ではですね、必ずしも、あのー、何て言うんでしょうか、新人を教育したり、新人を発掘したりする作業が必ずしも十分にできていない。それから現在ですね、ええ、例えば落選をしておられる方が、どこに頼ろうかということになると、党に頼るというよりも、圧倒的に人間関係のあるところにいって、色々指導を受けたりですね、励ましを受けたりしているのは実情だろうと思います。従って、党にですね、やっぱり新しい人材を発掘し、そうして、その新しい人材に、何て言うんでしょうか、あー、選挙教育って言うんでしょうか、選挙指導というものを施してですね、それから落選している方々にも、きちっと連絡を取って、そうして、その何て言うんでしょうか、まあ、孤立化しないというか、あんまり淋しい気持になると、選挙も続きませんから、やっぱりそういうことをきちっとしていく、いうようなことが必要なんじゃないかと思います。

 私はこういう野党になって、派閥の機能は段々なくなっていくと思いますけど、その今果たしているものに代える機能等をつくる努力をしなければいけないと思っています。

 そうしますと、結局残るのは仲良し同士が時々メシを食うとか、えー、仲良し同士が、えー、政策を議論をやろうかと、いうような集団としては、ま、残っていくだろうと、そういうふうに思います」

 (「あの人は次の選挙で引退するから、閣僚にしてやろうと」いった人事が与党時代の自民党では行われていたわけである。だが、そういった派閥の弊害を直接的には指摘も批判もしない。ただ、「派閥の弊害というのは乗り越えていかなければいけない」と一般論化して述べているだけである。

 野党になって、派閥は衰退化していくと言っているが、野党となっても党役員の選出、影の内閣を置くだろうから、その閣僚の選出と人事作業は与党時代と変わらずに行われるはずである。そこに与党時代と同様の派閥力学が働かない保証はない。河野太郎に言わせると、総裁選立候補の段階で既に派閥は動いているということになっている。

 にも関わらず、「派閥の機能は段々なくなっていく」から、派閥がこれまで担って来た新人教育・新人発掘を派閥に代って党が担う機能を構築しなければならないと野党化による派閥衰退がさも現実のものであるかのように言う。)


 西村「ハイ。えー、派閥の機能を、これまで果たしてきた機能というか、やってきたこと、まあ、二つ三つあると思いますけど。一つが、えー、カネ、ポストの配分、ですね。で、え、まー、大臣ポストは総理が派閥に関係なく選ぶような仕組みで段々できてきましたけれども、残念ながら、えー、副大臣、政務官といったポスト派閥順送りでやっていたわけです。これがなかなか大臣を長として政策、政治主導でやるチームができなかった。これは大きな反省をしなければならない点だというふうに思います。

 えー、そんな中で、えー、野党になりですね、あの配るポストもない、おカネもない。えー、段々段々もう派閥という機能がなくなっていく。まあ、いわば緩やかな、えー、おそらくサロンのような機能、むしろ、えー、これまでも派閥に属していたとしても、議連、議員連盟があったり、それぞれの組織、政策の勉強会があったりですね、横断的にやってきていますから、必ずしも派閥の機能がすべてを決めてきたということはないですけれども、これはもう、えー、機能は段々小さくなってきているんだろうと思います。そういう意味で、私は解消していく途中の中にあると思いますし、私自身は離脱をいたしましたので、えー、中立的な立場で、リーダーシップを発揮し、えー、適材適所で人事をやっていく、そういう覚悟でいます。

 もう一つ、先程申し上げました。えー、残念ながら党に、あるいは地方組織にリクルーティングの仕組みがなかった。従って、派閥のグループが人間関係の中で、知り合いの中で、何かいいのがいないか、中であいつがいる、こいつがいる。そういう選び方をしてきて、そこで人材規制をしてきた、だろうと思います。まあ、いわば個人商店、自民党の議員はそもそも個人後援会が主として中心でありますし、そしてまた、そういう機能も個人個人で、個人のグループでやってきた。これを、ま、近代政党というか、新しい党に生まれ変わるためには、党主導で、党がしっかりと人材を見つける仕組みをつくり、必要とする仕組みをつくる。

 そしてまた地方組織、えー、今までのような県会議員、市会議員の馴れ合いでやってんじゃなくてですね、え、しっかりとした仕組みにこれから生まれ変わる党改革、主要組織の改革をやって、そこで新しい人材を発掘する、あるいは人材育成をしていく。そして今落選をしている人たち、にしっかりと支援をしていく。こうした仕組みをですね、これからも活動していかなければいけないのではないかと思います。

 えー、そういう意味で、えー、これから派閥を、ま、自然に解消しますけども、ま、人事とおカネでしっかりと党中央でやれば、党、党、党執行部は、えー、総裁が幹事長が、しっかりと、それをやっていけばですね、派閥がカネを配ったり、あるいは人事を派閥順送りにしなければですね、派閥の機能はなくなりますから、これはもう、解消していくと、言うことになるというふうに思います」

 (西村も「大臣ポストは総理が派閥に関係なく選ぶような仕組みで段々できてきたけど、副大臣、政務官といったポスト派閥順送りでやっていた」と谷垣と同様に派閥が自民党の組織運営を担っていたことの種明かしをしている。

 そして野党化したことで派閥は解消に向かうと谷垣と同様の考えを示している。だとしたら、何も総裁選の問題として取り上げる必要もないし、離脱をする必要もない。古い政治家の誰が派閥という自己存在証明及び自己実現、自己活躍の虎の子の手段であり、そうであるゆえに、自らのメンツを満足させ、うまい汁を保証してくれる既得権を手放すものか。

 また派閥力学に依存し、その恩恵を受けて活躍の場と活躍の機会を得ている有象無象の議員がその恩恵をつくり出している組織の機能、派閥に担わせている機能を自ら無縁のものにすると思っているのだろうか。逆に既得権益として手放すまいとするのが人間の自然であろう。認識能力のない男たちだ。)


 河野「森喜朗さんに派閥の解消をすべきだと言って、森さんが派閥を解消するでしょうか。絶対しないと思いますね。派閥をやめたけど、勉強会をつくった。派閥をやめたけど、仲良しグループをつくった。昼飯会をつくった。そうなるに決まっています。自民党のこれからを考えたときに派閥をどうしてくださいとか、派閥はどうあるべきだ、なんていう議論は全く無駄だと私は思っています。森さんを初め、派閥の領袖が、自分たちの力の源泉を自分たちでどうかする、そんな気はサラサラないわけであります。

 じゃあ、どうするかと言ったら、派閥には何も触らせない。人事は、全部、党が、やる。政治資金はすべて党がコントロールをする。候補者の選定はすべて党が決める。それでも森喜朗さんと週に1回、昼飯を食べたいという人が何人いるか。それでもご飯を食べる友達がいるんだったら、それはそれで、いいことなんだと思います。しかし派閥が果たす役割は、河野総裁の元では、何もありません。それで誰かと一緒にご飯を食べたいと言うなら、それはどうぞ一緒にやってください、と言えばいいだけの話であります。

 派閥が人を発掘し、候補者を決めてきたから、ベストのメンバーが候補者にならなかった、ことはこれまでも多々あります。党本部が人を見つけ、人を育て、そして地方と一緒になって、候補者を決めて、これが一番自由民主党にとって、最適な人事だ。そういうことをやっていかなければ、いけないと思います。

 なぜ、大臣が今まで1年ごとに代ったか。あるいは党のマルチメディア局長なんていう役職ですら、なぜ1年で代ったのか。これは派閥が、その属する議員が満足して貰うために1年毎に、そのポジションを代えていかなかったら、不満が出るからです。そんなことをやっていたから、今の自由民主党の体たらくがあります。

 私のところでインターンをやってくれていた、イギリスから来たある仲間に、イギリスの人事と、日本の自由民主党の人事、トニア・ブレアさんの労働党の人事と自民党の人事を較べて貰いました。自由民主党は綺麗に年功序列で、ポジションが代っておりましたけれども、イギリスでは全くそういうことは見られませんでした。河野太郎総裁の元では、派閥も年功序列も関係ない、能力オンリーで人事をやらせていただきます。それについて誰かからとやかく言われる筋合いは全くないと私は思っておりますので、だからこそ、この総裁選挙に立たせていただき、河野太郎の元にこの党を新しく生まれ変わらせていただきたいと思っております」

 (河野だけが派閥利害から離れて立っているから、客観的な認識能力を示すことができる。

 「森喜朗さんと週に1回、昼飯を食べ」る。それを望む人間からしたら、自らの忠誠心を示す場であり、森喜朗からしたら相手の忠誠心を計る場であろう。結果、政治が各自の政治的創造性によってではなく、忠誠心で動くことになる。

 河野は派閥主導型政治に反対なら、私に総裁の1票を入れるべきだ、今のままの派閥支配の党運営でいいなら、谷垣さんなり西村さんなりを総裁に選べばいいと宣言して、誰を選ぶかを派閥主導を許すかどうかの踏み絵とすればいい。谷垣が選ばれたなら、自民党の大勢は派閥容認派に占められていることが明らかとなる。派閥容認でありながら、そう見られたくないために河野に投票する行動に出る者も出てくるに違いない。

 その上で河野が選出されなかったなら、自民党の派閥政治を壊すことはできないだろう。)


 ――幹事からの質問は以上です。各社さん、どうぞ。

 ――産経新聞の・・・(?)・・・です。今の質問に少しかぶるんですけども、この前、あのー、落選議員の方々が党本部で開いた会合の中ではですね、キングメーカーが人事を歪めたりする。そういうやり方だったから、結局有権者に嫌われた、いう意見がかなりありました。あの、これから総裁になってですね、役員人事をやったりするときに、こうしたキングメーカーの声は今の段階で、完全に排除できる、そういう覚悟はおありなのかということと、具体的にそうするための手法を、どういうふうなことを考えていらっしゃるのか、それをお伺いしたいと思います。

 西村「ハイ。えーと、私自身は総裁になったとき、こういう人事でやりたいっていうを頭に持っております。えー、これは比較的たくさんの、私、一年生、二年生、一期、二期のとき、からですね、各政策分野での事務局長をやらせていただいたり、委員会議事で色んな現場をやらせていただいてきましたので、えー、色んな先輩、先生方、あるいは同僚、後輩、一年生はまだ分かりませんので、一期生はまだ分かりませんけれども、えー、色んな付き合いの中でこの人はどんな能力があり、どんなことを考えておられるのか、私なりに、えー、よく知っているつもりであります。
 えー、分担とか含めてですね、多少仕組みを変えたいと思っていますけども、分野ごとにですね。そうした分野でこの人を長にして、この人を、おー、の意見を聞きながら、そしてその人が国会論戦をやってもらいたいなあ、という大まかな絵は描いておりますから、これは総裁になればですね、直ちにそれを具体化していきたいというふうに思っております。従って、えー、全く相談する気はありません」

 河野8月の30日の投票の日からまだ一ヶ月も経っていない、この総裁選挙の推薦人を集める段階で、何を考えていらっしゃるのか分かりませんが、何人かの派閥の領袖が私の推薦人のところに電話してきて、河野太郎の推薦人には絶対なるな、そう電話をかけてこられた方がいらっしゃいました。全く懲りていない方がいらっしゃる。えー、これを何とかしないければ、自由民主党の再生はない。私はそう思っています。

 ですから、私はその老壮青とか、挙党一致とか、色んなことを、おー、言葉がありますけども、だから、今までのことはなかったことにして、みんなで力を合わせようということには、ならないんだと思います。やっぱり自由民主党を新しくつくり上げるためには、切らなければならないという部分ははっきりある。それを切るかどうかがこの自由民主党の再生のカギを握っていると私は思っております。河野太郎の推薦人に名を連ねてくれた方々は、そういうことに賛同して、名前を連ねてくれたわけですから、我々の、うー、グループが担いでくれた河野太郎が総裁になったら、そういうところに耳を傾ける必要は私は何も感じておりません。

 むしろ、そういう人には申し訳ないけども、自民党の中にどれだけ居場所があるのか、というのを考えてもらわなければいけない。というふうに思っております」

 谷垣「ま、これは総裁になりましたら、どういう人事をするか。やはり、これは何と言うんですかね。えー、総裁が全責任を持って、自分の判断できちんと選んでいくんだと、この挙党態勢を揺るがしたらいけないんだと思います。そして、そいう中で適材適所。先程、あのー、甲子園野球のこと、喩えを申し上げましたけども、今の自民党には、あー、何て言うんでしょうか、人事の遊びをしている余裕はないんだと、それぞれのベストメンバーを当てていくんだと、えー、今度野党になった総裁は、その信念を徹底しなければいけないと思います。

 ただ、私、まだ具体的に考えているわけじゃありませんが、色々と考えを巡らせますとね、なかなか難しいのは、人を知るっていうのは、簡単ではないんですね。あのー、自民党の中にも随分人材がいらっしゃいます。それぞれがどういう能力を発揮するかと、あの、何て言うんでしょうか、あのー、議員の、あの、年鑑を見ましてね、ずっと見ましてね、なかなか、そこは容易ではありません。その辺りをどうしていくか、というのは、普段の付き合いもありますけれども、かなり、色んな声に耳を傾けなければ、私はうまくいかない場合もあると思います。

 その辺りの、何て言うでしょうか、一方に偏してはなかなかできないのかなあという気もしております」

 (谷垣は終始一貫して派閥主導型政治の弊害から話を逸らしている。逸らすために「人事の遊びをしている余裕はない」などという。だが、この言葉を裏返すと、今まで派閥主導に任せた「人事の遊びをしている余裕」があったことになる。

 また、谷垣は派閥の機能に代る党の新人教育・新人発掘の機能の育成を説いていた前の発言を忘れて、ここでは「自民党の中にも随分人材がいらっしゃいます」と派閥の新人教育・新人発掘の機能を評価している。発掘・教育した新人が派閥温存によって後々政治的能力からではなく、派閥力学を受けて活動を左右される弊害の可能性こそを問題とすべきだが、物事を表面的に把える能力しかないらしく、頓着ない発言の進め方となっている。)


 自民総裁選/谷垣総裁選出は森喜朗が主役の派閥政治の延命治療(4)に続く
  

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自民総裁選/谷垣総裁選出は森喜朗が主役の派閥政治の延命治療(4)

2009-09-23 18:13:07 | Weblog

 18日自民党総裁選共同記者会見続き

 ――(各自別々の質問をぶつけたようだが、質問の声に雑音が混ざり、聞き取れない。それぞれの発言から推し量るしかない。)

 西村「ハイ。えー、河野太郎先輩と何度も仕事を一緒にさせていただいておりますし、共通点も結構あります。えー、それはムダを削減していこう、ムダ撲滅のリーダーしておられて、私も一端を担ってやっておりましたし、えー、外務省外務委員長で、私は外務政務官で、勿論あの、意見の相違があったり、遣り取りすることもありますけれども、大きな方では外務省の改革をしていこうという点では一応一緒にやってきた面もあります。

 で、違いはですね、えー、大きく言うと、二つあるかなあと、思っております。一つは、えー、まあ、それは生い立ちが全然違いますので、私は世襲でもありませんですし、それから田舎の選挙区を持っておりますし、地方の痛みを知っている。私自身は裕福な家でもありませんし、えー、本当に苦しい、人たちの選挙区もあり、また私自身、周りもそうであったということも含めて、それが分かる点、えー、この点は、えー、ま、私も勿論、あの、激しく遣り取りすることもありますけれども、あの河野さん、突破力とか、破壊力は圧倒的に強い。いいものがありますので、この激しい、いわばこの攻撃力、私も評価しておりますけれども、ここは先ず手法の違いがある。あるいは生い立ちも違いがある、というのが一つ。

 (裕福な家庭に育たなかったから、貧しい人の気持ちが理解できる、田舎に育ったから、地方の痛みが分かると言うのは固定観念的。)

 もう一つは、、えー、考え方の違いだろうと思いますけども、私は、あの、先程申し上げたような地域の共同体、競争原理ではない、えー、つながり、あるいは連帯感のある、そうした共同体があり、別の価値で、他の価値を求めて動いていく家族、健全な家族であったり、職業観であったり、という保守の、新しい保守、そうしたものをベースにしながらも、守りながらも、グローバル化し新しい時代をつくっていくという、そういう考え方に立っておりますので、えー、ここは恐らく違うんだろうと思いますね。

 そして、まあ、追加して言えば、今まで色んな議論をした中で、原子力政策とかですね、日米安保、そうした問題で意見が違いますので、ま、保守の政策を私は、新しい政策を体現していきたいと思っております」

 (何を言いたいのか、何を言っているのか意味不明。)

 河野「森喜朗さんを初め、例えば談合で福田内閣をつくり上げた。ああいう人たちの古い政治のスタイル、というものが、自由民主党というものに対する信頼を、著しく損ねた、と思っています。特にこれだけ総選挙に負けたにも関わらず、そのあとの本当に党をどうやってつくり直すかという、極めて大事な総裁選挙であるにも関わらず、派閥の力を利用して、それに強行に介入してきた人間がいる、というのは私は極めて憤りを感じております。

 小野寺さんにしろ、石破さんにしろ、本来なら、手を上げて、ここに立っているべき人なのに、あいつのところが何人か足らないから、お前、悪いけど推薦人になってやってくれないか。そういう頼みをする先輩がいるなら、私はこの党もなかなか捨てたもんじゃないと思いますが、あいつだけはダメだから、推薦人にはなるな、というみたいな介入をすることが、自由民主党をつくり直すときにどれだけ役に立つかと言ったらですね、まだそんなことをやっている人間がいるのか、ということにしか、見られないんだと思います。ですから、そういうところをきちっと切り捨てなきゃあ、いかん、というふうに思っています。

 私は谷垣さんの政治家としての能力に疑いを持っておりません。しかし残念ながら、派閥を足場にして何かをやろうとしているというスタイルは、私は間違っていると思っていますんで、是非この総裁選挙を通じて、そうではない、そういうことを是非証明していただきたい、と思っています」

 谷垣「先ず、派閥を足場にして何かをしたいというスタイルというご発言がありましたけども、私は派閥を足場にして何かをしたいなんて全く考えておりませんし、それは今後の行動で見ていただきたいと、おもっております。

 それで、まあ、派閥の領袖を執行部に入れる入れるのか入れないのかを、ということでありますが、私はみんなでやろうぜということを言っておりますので、予めこういう人入れる、入れない、こういう、何て言うんでしょうか、判断基準を持って、執行部を選ぼうとは、あー、思っておりません。ただ私が考えておりますのは、やはり世代交代、政権交代が起こりまして、自民党のフェーズ(局面)も一つのページがめくられた。そうすると、今までと全く同じような顔ぶれで執行部を選んで、これが野党になった自民党が再生を目指すんですよと、いうわけにはなかなかいかないだろうと。やはり自民党の中で若い世代が育っている。次の世代が育っている。こういうことも示していかなければいけないんだろうと、思っております」

 (派閥の弊害は一切ないと言っているのと同じ。結果として育っている若い世代が派閥の選別を受けて活動の機会が左右されることもないと見ていることになる。自身は上手に派閥力学に乗っかって政治の世界を巧みに泳いできたのだろう。)

 ――共同通信の小倉と言いますが、えーとあの、党総裁に関するお話は大分出たと思うんですが、あの、これからの総裁選挙戦でですね、えー、内政・外交について、政策面ではどういうことを訴えていくのか、ということをメイン的なものを一つ二つそれぞれ。先程谷垣さん、消費税の話がありましたが、あと、日米安保の話をいただけましたら、えー、その辺りを具体的にお願いします。

 河野「順番で私から。あの、今度の総裁選挙はですね、まだそのレベルではないと、私は正直思っております。本来、あの、私が日程を決められるんであれば、もっと総裁選を後ろにずらしたかった。なぜなら、やはり自由民主党っていうのは、どういう政党なのかという議論を先ずきちっとやった上で、この旗の元に集まるのは誰なんだ、というのがあった上で、そこに集まった人間の中から、リーダーを選ぼうと言うのが、本来あるべき総裁選の姿だというふうに思っております。残念ながら、日程が先に決まって今日からスタートということですから、総裁選挙をやりながら、自由民主党と言う政党はどういう政党なのかという議論を一緒になってやらなければいけないことになってしまったというのは、私はちょっと残念な気がしております。

 私は、その自由民主党というのはなるべく、小さい政府で、公の中で官が果たす役割は極小化していく。そして公正で健全な競争の環境をつくることによって、日本経済を切磋琢磨の中で成長させていく。そういうことを目指す政党なんだ。日本の経済が成長することによって、一人ひとりの豊かさが大きくなってくる。

 あるいは一人ひとりがリスクを取って経済の中で挑戦をしてもらうためには、リスクを取って挑戦して失敗した人がきちっと受け止められるセーフティネットというものをつくらなければなりません。特に少子高齢化ですから、セーフティネット、社会保障、というのは残念ながら本来目指すものよりも遥かに大きくならざるを得ない。

 その中でも大きな社会保障を抱えながらも、政府はなるべく小さくして経済成長をきちっと目指していく。そういう政党であるんだという旗が先ずきちっと立った上で、色んな議論を、政策議論をそこから細かくやっていくべきだと、私は思っております」

 谷垣「私はね、あのー、政策論というのは野党になったときに、どのくらいやるべきかというのは若干迷いがございまして。先ず自民党は国民のために何をやる政党なのかという議論から、あー、出発するのが正しいと思っております。

 それから国会論戦が野党になると、一番の主軸であると言うことを申し上げましたけれども、オー、与党の政策を、オー、徹底的に追及していくと言うことは、野党はやらなければなりません、問題点は。しかしそのとき、追及する視点がバラバラでですね、どんな政策だってそれは100点万点ありませんから、どこか欠点ありますよね。その欠点を指摘する視点がバラバラであったんでは、あー、何の党かということになると思います。ですから、私は自由民主党が保守政治の王道に立つんだと。まあ私の言葉で言えば、自由や平和を、きちっと守り、繁栄をつくり、そうして色々な人間の絆を大事にしてみんなでやろうぜという精神でやってきた。

 そういう保守主義をきちっと位置づけるというところから出発して、政策論もそっから批判していくということになるのではないかと思っております。ただお尋ねですので、若干申し上げますと、先程申し上げましたように、やっぱり、これは、これだけの少子高齢化が進んでいる、国際的な競争も激しい、日本は資源が乏しいと、こういうことで、どうやって生きていくかということになりますと、そういったものに対応する改革を避けて通ると言うことは、できないだろうと、オー、思います。

 で、そういたしますと、結局、同時にセーフティネットをもう少しほころびを直し、手直ししていくということは、必要だろうと思います。しかし結局それは最後は人の問題になってくるんで、以下に人材を育て、そしてやっていくかと、こういうことを考えていかなきゃいけない。それはやはり保守政党の視点から、考えたいということであります。

 もう一つ申し上げますとね、やっぱり保守政治という場合は、何でも政府に頼ろうというんではなくて、政府も必要なとこは出なくてはいけませんが、やっぱり自分たちでできることは自分たちでやろうと言う精神が大事だと思います」

 「色々な人間の絆を大事にしてみんなでやろうぜという精神」とは派閥力学がつくり出す人間関係を重んじる協調精神のことなのだろう。

 また「自由や平和を、きちっと守り、繁栄をつく」る。そういった旗印を掲げているのは何も保守政治だけではない。それが「保守政治の王道に立つ」ことによってのみ実現し得る理想郷――「自由・平和・繁栄」だとするのは余りの独善性、独りよがりに過ぎない。独裁権力者にしても、自分たち権力層に限った、特に自身の権力維持のみに役立つ「自由・平和・繁栄」を求めて、あくなき権力の追求に勤しむ。

 問題はどの層に立った利害代弁者なのかである。大企業・富裕層の利害代弁者なのだから、そこに目を向けている以上、3人が言っている「セーフティネット」も、それを疎かにしてきたことが総選挙での大きな敗因となったことの裏返しとしてあるスローガンに過ぎない。)


 西村「あのー、これから国会論戦になりますので、民主党はマニフェストに書いた政策を出してきますし、これは我々にとっても、どう対処するか、どう反論していくか、どう建設的な議論をするか、これは大事な課題だと思います。

 一つは、えー、経済対策ですね。予算を、再編を、えー、国事業(「こくじぎょう」に聞こえたが)を初めとして使われていない補正予算を停めて、それを別のものに振り替えようということをやってきますので、えー、勿論、ムダな事業は彼らは見つけてきて、我々が気づかなかったムダ事業があれば、それを停めて、別のものに替えることは必要だと思います。

 けれども、景気がますます悪くなり、地方の景、雇用が問題になってきている中でですね、えー、経済対策どうするのかという議論を、それは論戦も、民主党との論戦もそうですし、先ず、大きな課題として、これをやらなければいけない、問題だと思います。そんな中で、家計におカネを配るんでなくて、基本はやっぱり仕事を創ると、えー、雇用を生み出すと、いうことだと思いますので、私は大胆な法人税の減税、えー、それから、えー、今予算の組み替えについて公共投資でもムダなものがあればやめるとしても、環境とか、あるいは防災対策とか必要な対策については、これは停めると、支障が出る、ということを言っていかなければいけませんし。

 そして子育て支援についてですね、2万6千円の出てきますので、えー、本当に金持にまで5兆円かけて配るのかと、財源どうするのか、あるいはそれが本当にいい政策なのか、私たちは所得制限を入れた、児童手当を拡充していくっていうのは、これは少子対策に意義があることだと思いますので、えー、そうしたことを、これから国会論戦でやっていかなければならないと思いますし、外交面では、二つのことを、地球温暖化の問題にどう対応するのか。本当に25%削減できるのか。ま、外から1兆円か何兆円かかけて排出権を買ってこれば、いいと言いますけれども、本当にそれだけの財源があるのか、あるいはそれを買ってくるんであれば、国内でそうした対策をやった方が経済対策になるんじゃないかと、そうした議論をですね、これから国会論戦の中でやっていきたいと思いますし。チームをつくって、しっかりと理論武装すべきだと思っております」

 (バカな男だ。ムダは誰から見てもそうであるかどうかを判断の基準とすべきで、そうでない判断は自分たちが利害代弁している立場に応じてムダかどうかが決まってくる。自身の利害まで代弁している自民党族議員にとっては自らが予算をつけた事業に決してムダはないだろう。

 また環境対策、防災対策だから、決してムダな事業はないと断言できない。事業方法による。官僚がよくやっている、他社との談合を経た随意契約に限りなく近い一社応札で事業を行っていけば、そこに高値契約というムダが先ず生じる。

 「大胆な法人税の減税」も結構だが、そのことによって得た法人の利益がどう国民に還元されていくか、そのことを保証する政策がより重要だが、そこまで考える能力はないのだろう。)


 ――朝日新聞の山浦と申します。あの先程から河野さんの話の中でしばしば出てくる森喜朗さんについて伺います。えーと、それぞれお三方、まあ、例えば西村さんは森喜朗さんに近いとされています。あと河野さんといえば、しょっちゅう森喜朗さんを批判されています。あと谷垣さんは、いっときは森さんを総理から引きずり降ろそうとしたこともあるかと思うんですけれども、オー、これ自民党の再生にとってですね、森喜朗さんというのは害になるのか、それとも、オー、これから再生に必要なのか、そこを具体的に伺いたいです。

 谷垣「私は先程申し上げましたように、みんなでやろうぜという考え方ですから、特定の方を総裁選挙に於いて議論すると言う、そういう考え方には立っておりません」

 「みんなでやろうぜ」の一言で、派閥主導型政治の体現者である森喜朗問題を片付けている。)

 西村「えーと、私、石川県庁に出向したときにですね、えー、当時から、国会におられたので、そのとき以来、あるいはつきあいであります。で、あのー、ま、私の色んな政策面での能力なんかを評価をしてくれているんだと思います。まあ、自分で言うのも何ですけど、思いますので、えー、そういう意味ではご指導頂いているお一人でありますけれども、私自身は、今回総裁選に出るに当たっても、私が出ますと言って、了解はいただきました。お世話になっている人ですから、それに仁義を尽くすのは当然だと思います。

 えー、ただそれ以後、えー、何かを頼って、えー、推薦人集めをお願いをしたり、えー、邪魔をしてくれと言ったりそんなことは一切やっておりませんし、自分の力で総裁、えー、推薦人を集めたわけでありますので、そういう意味では、えー、今回の総裁選に絡んで何かを頼んだりしたことはありません。えー、今後の害になるかというかと、まあ、個人の人のことを、まあ、そういうのは適当かどうか分かりませんけれども、えー、基本的に私が知っている森さんはですね、もう自分で何かしようと、そんなことを思っておられるんではなく、若い人にどんどんやれと、そういうことを思っておられると、私は、個人的には思っておられますが、まあ、イメージが一般的にどういうイメージができているか、色んなイメージができていますが、それ以上のことは私には分かりませんけど、基本的には行動隊、若手が中心になって自民党を変えていけと、そういう思いを持っておられるとそういうふうに思っております」

 (谷垣も西村も「自民党再生にとって森喜朗は害になるのか、再生に必要な存在なのか」との問いに直接答えていない。谷垣は「みんなでやろうぜ」「全員野球」だとしているが、政策の違いや人間の違い、好悪を無視して、すべての人間を等価値に置く不可能を可能と看做している。野球チームにしても、全員野球だからといって、すべての選手を等しく必要とするわけではない。活躍できない選手はベンチウォーマーに甘んじなければならないし、二軍に落とされもする。最悪、シーズン途中で解雇ということもある。シーズンを無事に終えても、來シーズンは契約の意志はありませんと球団から解雇通告を受けることもある。必要とするのは監督の采配に従って活躍できる野球能力を持った選手のみである。監督の采配を阻害する選手は排除される。

 一人の洩れもなく全員が必要だと言うなら、森をも党再生に必要な存在だと言うべきだろう。)


 河野「党のかつての総裁、総理でありましたし、かつての野党の河野総裁の元に幹事長を務めて、与党に戻った。えー、そういう過去の功績はあると、私は思っておりますが、そろそろ出処進退をお考えになるべきだと、私は思っております。

 あのー、これだけ惨敗したあとの総裁選挙ですから、奇麗事ではやはりダメなんだと思います。あの、きちっと変えるべきところは変える。そういうことでなければ、私はこの党を再生させることはできない、というふうに思っております。

 あの、総裁まで務めた方がですね、議員バッジがなければ何もできないと言うことは恐らくないんではないかと、私は思っておりますんで、そろそろ出処進退をお決めになられるべきときはきていると思っております」(以上)――

 (誰が総裁に選出されるかによって、自由民主党の派閥主導型政治の動向がはっきりしてくる。)

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