民主党政権だからこそ可能となった不法滞在インド人在留特別許可?

2009-12-01 11:53:48 | Weblog

(画像「asahi.com」より)

 最高裁で退去処分の取り消し請求訴訟の敗訴が確定、国外退去を命じられていた不法滞在の東京都足立区のインド人一家5人が、千葉景子法相が30日に在留特別許可(在特)を出したことで日本で生活することが可能になったと今日の「asahi.com」記事――《インド人一家に在留特別許可 最高裁で敗訴確定後に法相》が伝えていた。

 記事は〈決定は、法務省が7月に示した「学校に通い、10年以上日本で暮らす子がいる」ことなどを滞在を認める要素として明記した在特の新指針に基づいて出されたとみられる。〉と解説し、一家の経歴を次のように記している。

 〈サニー・アマルさん(45)は1993年、妻(46)と観光ビザで入国し、期限切れ後も日本に滞在。建設作業員などとして働いていた。3人の子どもが日本で生まれた。アマルさんは90年に兄名義の旅券で入国し、92年に強制退去処分になったこともある。

 2003年に入国管理局に自主的に出頭し、在特を求めた。しかし、3年後に「不許可」となり、強制退去処分に。処分取り消しを求める裁判を起こしたが、昨年9月、最高裁で処分が確定した。

 長男(16)と長女(13)は、今年そろって高校と中学に入学。長女は地域のバレーボールチームでの活躍が評価されて私立中学に特待生として入学した。アマルさんは「子どもたちにとっては日本が祖国。家族で日本で暮らせることになり本当にうれしい」と話した。 〉――

 そして最後に〈国外退去処分をめぐって最高裁で敗訴しながら、子どもにだけ在留許可が出たのは、埼玉県蕨市のフィリピン人のカルデロンさん一家の長女のり子さんや中国残留孤児の家族として来日した奈良市の姉妹のケースがあるが、家族全員に在留が許可されるのは異例だ。(山根祐作) 〉と述べている。

 ほかにも同様のニュースを伝えている記事がないか、「Google」で探したが、見つからなかった。そこで「ウエブ」検索してみると、2月25日の「東京新聞」がこのインド人一家の消息を伝えるニュースを配信していることが分かった。東京新聞のHPでは既に消去してあって元記事にたどり着くことはできなかったが、複数のブログでそっくりと引用している。そこで《どん底のブログ: 不法滞在のインド人少女、不法滞在中に中学に合格したので日本に居させろ》から同じくそっくりそのままの再引用の無断拝借と出ることにした。

 《仮放免中に中学合格 不法滞在インド人の長女》東京新聞/2009年2月25日)

 東京都足立区に住むインド国籍のサニー・アマルさん(45)の長女で小学六年のコーマルさん(12)が今月、都内の私立中学校に合格した。

 バレーボール部への入部も決まり、入学式を心待ちにするが、実際に校門をくぐれるかは分からない。一家は不法残留で強制退去処分を受け、現在は退去が猶予されている仮放免の身だからだ。

 アマルさんは1993、妻(45)と短期ビザで入国。期限切れ後の不法滞在中、コーマルさんと長男(15)、次男(9つ)の三人の子どもが生まれた。夫妻は少しでも自然な形で滞在できれば、との思いで子どもたちが通った小学校のPTA役員を務め、地域のボランティア活動にも積極的に参加してきた。

 コーマルさんが地元のスポーツ少年団でバレーボールを始めたのは小学二年の時。友だちに誘われたのがきっかけだが、177センチの長身と持ち前の身体能力を武器に頭角を現し、昨年は都大会に出場。強力なスパイクが注目された。

 合格した中学校のバレーボール部は今春に新設されるが、系列高校は関東大会の出場校。 中学チームの強化を目指す学校関係者は、コーマルさんの入部に熱い視線を送る。

 コーマルさんの夢はプロのバレーボール選手。夢に近づく第一歩となる合格に、コーマルさんは「泣きたくなるくらいうれしかった。練習が厳しくても頑張ってエースを目指す」と瞳を輝かせる。

 しかし、希望が膨らむにつれ、強制退去への恐怖も大きくなる。退去処分の取り消しを求めて起こした訴訟は昨年、最高裁で敗訴が確定。仮放免中の一家は、身柄の収容が一時的に停止されているにすぎない。東京入国管理局への毎月一回の出頭を義務付けられ、いつ収容されてもおかしくない状況が続く。

 コーマルさんは今月10日、家族とともに出頭し「合格したのにインドへ帰りたくありません。私のたった一つのお願いです」と記した法務大臣あての手紙を提出した。

「中学合格が家族全員の滞在につながってほしい」と祈るコーマルさん。一家の残留を求める嘆願書は1万1千人分を超えた。

 ◆強制退去処分 07年2万8000人

 法務省によると、2007年に強制退去処分を受けた人数は全国で約2万8千人で、うち、アマルさん一家のように同処分を受けてから仮放免の身にあるのは約940人。

 だが、この一家と同じく15歳以下の子どもがいる世帯の数は統計上の数値がないという。

 同省は「在留を認めるかどうかは家族状況や在留を希望する理由など、ケース・バイ・ケースの判断になる」と説明している。


 最高裁で敗訴確定後の千葉法相による「家族全員に許可されるのは異例だ」とする在留特別許可は民主党政権だからこそ可能となった措置ではないだろうか。

 この点、自民党は血も涙もなかった。一家全員国外退去か、カルデロン一家のように精々家族生き別れの特別許可のいずれかであった。

 カルデロン一家にしても民主党政権下であったなら、親子離散の憂き目に遭わずに済んだのではないだろうか。

 例え不法滞在でも見知らぬ外国で長年真面目に働き、真面目に生活してきた、その種の逞しさ(バイタリティ)は日本人も見習うべきではないだろうか。見習うには様々な外国の文化と日本の文化を凌(しの)ぎ合わせて、文化として表されているそれぞれの生活上の価値観や思想を相互に刺激し合い、高めていくことだが、そのためには書物やインターネット等、文字で表した情報で学ぶよりも、その国の様々な階層の人間と触れ合うのが一番の直接的な刺激剤となると思う。

 日本の社会が少子高齢化へと加速し、労働力の不足が言われている中で、外国からの移民を高学歴者を対象に限定して受容れる考えがあるが、どのような国であっても、富裕層の文化と低所得者の文化は同じ国に住んでいても異なる。富裕層の文化は生活の大本を離れて形式に走りがちで、低所得者の文化はすべてではないにしても、生活の大本に根づいた逞しさ(バイタリティ)を反映する。玉石混交こそが、文化を強くする力となるはずである。

 不法滞在者の子どもが勉強して、あるいはスポーツに励み、ついにはアメリカンドリームならぬジャパニーズドリームを獲得するのを見たら、多くの日本人が痛快に思い、見習わなければならないと考えるのではないだろうか。

 考えないとしたら心が狭いというだけではなく、見習わなければならないと考えることによって刺激のし合いが生じる。

 日本が戦争に負け、さらに世界第2位の経済大国の地位を中国に譲り渡しつつあるのは日本人は優秀だとする単一民族一国主義の独善、自惚れに歴史的・伝統的に浸って、政治に於いても経済に於いても中国と比較して逞しさ(バイタリティ)に欠けていたからだろう。中国が持つ雑草の根強さがなかった。

 政治、経済に逞しさ(バイタリティ)が見い出せないとなったなら、文化に於いても逞しさ(バイタリティ)を欠くことになる。

 茶道だ、着物だと伝統文化をさも優秀だと価値づけているが、文化の逞しさ(バイタリティ)は生活そのものの逞しさの中から生まれる。文化が逞しさ(バイタリティ)を備えれば、政治も経済も逞しくなるはずである。

 高学歴者だけの移民を受容れ、安心していたのでは逞しさ(バイタリティ)は獲得できない。

 また不法滞在者の真面目な生活態度とその逞しさを何ら情状酌量せずに不法滞在は犯罪だ、犯罪者は強制送還が妥当、例外は認めるなの一律的・絶対的不許可で国外退去の排除を是と取るか、非と取るかの判断は同じ日本人でも、それぞれのポリシー上の精神的利害に影響を受ける。

 《カルデロンが片付いたと思ったら今度はインド人が出たぞー!!》

 《仮放免中に中学合格 不法滞在インド人の長女・・・またか・・・》

 知り得たブログのタイトルだが、そうと取ることによってポリシーの点で精神的な利益を受けるのだろう。

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