ウッズ不倫騒動と流行語大賞に見る二つの言葉

2009-12-03 09:12:53 | Weblog

 

 最初の一報はプロゴルフのスーパースター、タイガー・ウッズ選手が運転していた車を自宅近くの消火栓と樹木に衝突させ、妻がゴルフクラブでリヤガラスを叩き割ってウッズ選手を救出したという一種の美談。

 ゴルフを愛し、家族を愛するスーパースターならではの夫婦愛と把えた趣向からのその報道が一転、実はウッズの不倫に逆上した妻から逃れるために、多分慌てて走らせた末の自動車事故で、妻がゴルフクラブでリヤガラスを叩き割ったのはウッズを救出するためではなく、ゴルフクラブを持って追いかけていったまま収まらない怒りをガラスを叩き割ることで表現した行為だといった趣向の報道に一変した。
 
 慌てて逃げたからだろう、ウッズは裸足だったとか、相手は2001年9月の米同時多発テロで婚約者の写真を掲げて捜しまわりマスコミに取り上げられて全米で有名になった女性だとかマスコミは格好のネタとした。

 ところがこれで幕が下りたわけではなかった。別のロサンゼルスでホステスとかしている別の女性がテレビ番組に堂々の出演をしてウッズとの2年にも及ぶ二人の関係を暴露、二人が遣り取りした300通にも及ぶ携帯メールの遣り取りも機密扱いから解除、公開したという。

 日本では政府関係の機密文書は機密扱いのままなかなか公開されないが、あちらでは外交機密の公開以上に不倫関係の機密扱いは簡単に解除されるようだ。

 妻は相手は私だけではなかったと怒りに駆られ、ロサンゼルスの女性も秘密の関係は私だけではなかったと怒り心頭に発し、さらに新たに相手は私だけではなかったと言う女性が現れたなら、芋づる式暴露合戦となるが、そのような暴露は一方でウッズの目覚しいばかりの女性関係――大活躍の不倫行動を浮かび上がらせることになる。

 ウッズの不倫報道を聞いているうちになぜかテレビタレントの石田純一が言ったとか言わないとか取り沙汰された、「不倫は日本の文化だ」という言葉を思い出した。

 「不倫は日本の文化だ」とすると、外国には存在しない文化ということになる。だがアメリカだろうがフランスだろうが、イタリアだろうが、その当事者がイタリアの首相であっても、不倫は堂々と存在する。

 石田純一は民放テレビでかなり前に報道番組のメイン司会者を始めたが、箸にも棒にもかからない程に満足に解説できない男だなと思っていたら、そのことが理由かどうか分からないが、早々に降板したのを覚えている。

 最近の不倫ではモナ騒動があり、彼女はなぜか芸能界活動の謹慎を強いられたが、この不倫で謹慎という文化こそ日本の専売特許のように思えるが、誰が誰と不倫しようがしまいがどうでもいいことで、不倫に関わる言葉が合理的な言葉になっているかどうかの点だけは気になる。

 世界中に不倫は存在するのだから、「不倫は日本の文化だ」は合理的な言葉だと言えるだろうか。

 「不倫は日本の文化だ」から、「不倫は男と女の文化だ」と言い直すことによって合理的な言葉となり得るように思える。

 いわば古今東西、どこの国と関係なしに男と女の文化だと。もっと大きく言うと、「人類の文化」だと言える。このように言うことによって、漏れのない整合性を持った全くの合理性を獲ち得ることになるが、どうだろうか。

 尤も「人類の文化」だとしても、社会的タブーとなっているのも事実である。

 だが、男にとっても女にとっても止み難い文化となっていて、多くの男と女がタブーを人跡未踏の地に足を踏み入れるかのような覚悟で踏み越えていく。

 まあ、二度目三度目となると、そうでもないだろうが。

 次に今年の流行語大賞に「政権交代」という言葉が選ばれ、鳩山首相が受賞した。授賞式には出席せずに首相官邸で受賞についての感想を記者団に述べた場面がテレビで流れていた。

 「政権交代が流行っては困りますがね。これは冗談です」

 とか笑いながら言っていた。

 「政権交代が流行る」かどうかは民主党政治の結果責任であって、「政権交代」が一人歩きするわけではない。影が人について回るが如くに時の政権が演ずる諸々の結果について回る。

 いわば今回の政権交代は麻生自民党政権の結果責任として現れた政権交代でもあり、政権交代の主役はどちらかと言うと鳩山首相よりも麻生前首相とも言える。政権交代を提供した最大の功労者として麻生太郎前首相を表彰しなければ片手落ちとなるのではないだろうか。

 鳩山首相の「政権交代が流行っては困ります」の言葉にしても、受賞者が鳩山首相一人で、政権交代提供の最大の功労者たる麻生太郎前首相を受賞者の一人に加えなかったことも、いささか合理性に欠いていると思うのだが、どうだろうか。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする