菅仮免首相の人間性が凝縮して現れた「一定のメド」騒動の一定の収束

2011-06-05 10:26:35 | Weblog


 
 菅仮免状態首相が、〈みずからに近い閣僚に電話し、早期退陣を求める鳩山前総理大臣と交わした確認文書について、「文書の思いは分かっている」と述べ、そう遠くない時期に退陣する意向を伝え〉たという。《“そう遠くない時期に退陣”の意向》NHK/2011年6月4日 19時36分)

 要するに警察の取調に散々に犯行を否定していた容疑者が遂に認める自白をした。鳩山前と取り交わした確認書は退陣を巡る内容だと認めて、「一定のメド」騒動が収束することになったということなのだろう。

 取調べの刑事は呟く。「散々手こずらせやがって」

 「第2次補正予算の早期編成のめど」をつけた段階で退陣すると舌を濡らした確認書の取り交わしを6月2日午前中に行っておきながら、同日正午から民主党所属衆院議員全員を対象とした代議士会で、その舌の根も乾かぬ短時間のうちに「第2次補正予算の早期編成のめど」をつけた段階からさらにさらに飛躍して、震災復旧・復興、原発事故の収束に一定のメドをつけ、やるべき一定の役割が果たした段階を退陣時期に変えた。

 そして同日夜の首相官邸での記者会見で、「工程表で言いますとステップ2が完了して、放射性物質が、放出がほぼなくなり、冷温停止という状態になる。そのことが私はこの原子力事故のまさに一定の目途だとこのように思っております」と「ステップ2」完了が俺れの言う「一定のメド」だとし、退陣時期がさも来年の1月であるかのように発言した。

 このことに反発した野党が翌6月3日に参院予算委員会で厳しい取調べに転じた。「お前、自供を翻すつもりか」

 特に自民党西田昌司刑事の外国人献金問題の追及が効いたのではないだろうか。名刺交換しなかったのか、名刺を貰った段階で外国人と分かるはずで、違法献金だったのではないのか厳しい追及にスムーズに答えることができずに、名刺交換したかどうかはっきりしない、後で確認してみると答弁。西田刑事は深追いせず、次ぎの取調べの機会に譲ることにしたため、菅仮免はやっとのことでその場を凌ぐことができた。

 但し、自白は時間の問題に思えた。

 名刺交換は両方向の行為である。貰うだけではなく、渡す行為を伴って成立する。政治家は自己宣伝のためにやたらと名刺を渡したがるし、特に首相、閣僚ともなると、相手が喜ぶことを知っているから、輪をかけて安っぽくバラ撒く傾向にある。数円しかしないたった一枚の名刺が多額の政治献金となって跳ね返ってくる打ち出の小槌に転じる経済効果への期待もあるだろうから、渡さなかった、貰いもしなかったは異例中の異例となる。

 また、何度か会食していると言うことだから、どちらかが、あるいは滅多にないことだが、どちらも初対面のときに名刺を持ち合わせていなかったとしても、最低、次ぎの機会に渡したはずだ。当然、名刺を貰ったかどうか記憶していないことは先ずないと見ることができる。

 しかも相手は政治献金という名のカネを出している。受け取ったことは菅仮免の政治資金団体のみが知っていた事実で、菅仮免自体は承知していなかった事実だとしても、名刺交換のないままの関係で政治資金を出したとしたら、逆に胡散臭い相手と見なければならない。

 そもそもからして名刺交換に関する取調べのときに限って特に言葉に勢いを失った不承不承の証言となっていた。この名刺交換の実態を突破口に全面自供は時間の問題に見えた。

 そして上記「NHK」記事の発信時間は「2011年6月4日 19時36分」、同じ内容を伝えている翌日の「asahi.com」記事は「2011年6月5日3時1分」、「YOMIURI ONLINE」記事も「6月5日03時01分」となっているから、自らに近い閣僚に電話をした時間は午後遅くから夕方に近い時間帯であろう。

 2日3日正午からの代議士会で確認書に違反する犯行を犯してから、当初頑強に自供を拒んでいたが、ほぼ1日置いただけで、拘留期限延長を申請するまでもなく、急転直下、あまりにも呆気なく犯行を自供した。

 記事は菅仮免に近い閣僚からの伝聞なのだろう、電話の内容を伝えている。

 菅仮免「先の記者会見で、東京電力福島第一原子力発電所の冷温停止について発言したが、そういうつもりで言ったのではない」

 退陣時期を「ステップ2」完了時期の1月をメドとしたわけではないと、マスコミや野党、その他が受け止めた解釈を否定している。

 だが、「ステップ2」完了発言の翌3日の参院予算委では言質を取られまいとしてのことなのだろう、「退陣」という言葉は一切使わずに、震災の復旧・復興の遂行と原発事故収束が一定のメドだ、その上で若い世代に責任を継いで貰いたい、このことを代議士会でも首相官邸での記者会見でも言ったことで、自分の言ったことには責任を持って行動したいと、確認書にはない「一定のメド」を勝手に作り出して開き直っていたのである。

 実態は「そういうつもりで言った」のである。退陣を先延ばしして居座りたくても状況が許さくなったことから言い換えた誤魔化しに過ぎない。

 状況が許したなら、指導力がないまま、統治能力を欠いたまま、いくらでも先延ばしし、居座ったことだろう。

 言っていることが狡猾な上、卑怯・卑劣である。

 NHK記事は統一地方選、その他の選挙で民主党が敗北しようとその責任を一切取らない岡田幹事長の発言も伝えている。

 岡田幹事長「菅総理大臣は居座るつもりはないと私も確信しているし、ダラダラと延命を図る気持ちは全くないと思う。しかし、すぐ辞めるということではなく、東日本大震災からの復興に真剣に取り組み、めどをつけて身をひくというのが菅総理大臣の考えだ。退陣時期について議論が乱れ飛んでいるが、言うべきではない」

 いや、菅仮免は「居座るつもり」は確信犯的にあったのである。鳩山前と確認書を取り交わし、確認書にはない居座りを謀ったのだから、確信犯そのものであろう。いわば鳩山前を騙した。鳩山前が確実な履行の保証に署名を求めたのに対して、「身内なんだから信用してください」(MSN産経)と信用させ、署名には応じなかった。確認書を裏切る意図がそのときからあった。

 いや、裏切る意図を隠して鳩山前と話し合い、取り決めを結び、確認書とした。そして約束を守るつもりもなく内閣不信任決議案を賛成の土壇場から反対の逆転に成功した。

 してやったりとほくそ笑み、例の締まりのないニヤニヤ笑いを満面に浮かべたことだろう。内心、鳩山前を「あのバカ野郎が、チョロイもんだ」と嘲ったとも疑うことができる。

 毀誉褒貶のうち、「毀」と「貶」が多かろうと、前首相であり、民主党を共に立ち上げた仲間である鳩山前を踏み台としてまで、「私には地位にしがみつくために発言、行動しているとの厳しい批判もあるが、首相という極めて重い立場の責任を、議員や内閣メンバーと一緒にどこまで果たせるかを考えてきたつもりだ」と代議士会で言ったことは白々しいカモフラージュで、実際は地位にしがみつくべく言葉を弄し、手段を選ばない策動に走ったのだから、これが菅直人と言う政治家の間違いのない人間性と確実に言える。

 勿論、リーダーシップ欠如や政権担当能力欠如に反した、欠如を埋め合わせる代償として人間性とするバランスを獲ち得ることになったのだろう、地位へのしがみつき、政権への執着は前々から多くから指摘されてきたことだが、人間性である以上、人間性としてこの期に及んでも露出し、自らのリーダーシップ欠如、統治能力欠如、合理的な判断能力欠如を自己省察できないままに政権にしがみつこうとした。

 このことも人間性のごく自然な露出・表現であったと言うことであろう。

 だが、野党ばかりか、民主党内からも包囲を受けて逃げ場を失い、政権に居座り、しがみつくことを断念して、そう遠くない時期の退陣表明を余儀なくされた。

 あくまでも追いつめられて逃げ場を失ったことが動機となった退陣表明でありながら、退陣時期を先延ばしして政権にしがみつこうとしたわけではないと最後の最後まで言葉一つで誤魔化そうとする。

 首相として体裁を張る必要があったことからの誤魔化しであろうが、その往生際の悪さにしても、自らの指導力に反した政権執着に通じる人間性の露出だと言える。


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