今日6月9日午前の衆院復興特別委員会で、周囲が、お前では物事が順調に前に進まないからと6月中の退陣を求めているのに対して先延ばしの8月退陣を答弁で示唆したという。
その答弁で言っている先延ばしの続投要請に正当性があるかどうか検証してみる。
次ぎの記事から全文を参考引用させてもらう。 《菅首相の答弁=衆院復興特別委員会》(時事ドットコム/2011/06/09-12:34)
菅直人首相が9日午前の衆院復興特別委員会で、自らの進退に関して答弁した内容は次の通り。
菅仮免「6月2日の民主党代議士会では、東日本大震災に対するいろいろな努力に一定のめどが付いたところで、責任を若い世代に引き継いでいきたいと言うと同時に、それまでは私に責任を持ってやらせていただきたいと言い、民主党の大多数に了解していただき、衆院本会議で大差で内閣不信任決議案を否決していただいた。私に、めどが付くまではしっかりやれと議決をいただいたので、仮設住宅に入った人が生活できるようにすること、がれきの処理、さらには原発(事故)の収束について一定のめどが付くまでは責任を持って仕事をさせてもらいたい。
私の内閣は、役割分担の中で全力を挙げて(復旧・復興に)取り組んでいる。一定のめどが立った段階で引き継がないといけない。(復旧・復興を)終わらせるわけにはいかない。だからちゃんと引き継ぎたいと言った。仕事をやめるのではない。やらないといけないことは続いていく。だから、がれきの処理は8月中には、生活している地域から搬出することを目標に今、頑張ってもらっているが、その後の2次処理、3次処理まで確かに時間がかかるだろう。それにつなげていくことも含めて私の大きな責任だ。
いろんな首相が任から外れた後の行動を見ている。細川護煕元首相は、今は陶器を作るなど別の分野で活躍している。私ももともとは、発明家にでもなりたかったのに違う方向に来ているが、やるべきことは責任を持ってやり抜く。やり抜いた後は、今の(退陣後は政界から引退すべきだとの)言葉を含め、私の中で考えたい。 |
退陣後の活動について代議士会ではお遍路の再開を言っていたが、記事にある限りの発言の中では触れていない。今始まったことではないが、言ったり言わなかったり、発言が当てにならず、どこに信用を置いていいのか分からない。
6月2日の菅内閣不信任決議案の大差の否決を以って、「私に、めどが付くまではしっかりやれと議決をいただいた」としている。
ここに明らかなウソ・誤魔化しがある。
民主党内に反乱が起きて、6月1日野党提出の不信任決議案が可決の情勢にあった。そこで菅仮免は6月2日午後採決の午前中に鳩山前と会談、守るつもりもない退陣を交換条件に民主党内氾濫組の賛成から反対への態度変更を取引し、その内容で契約は成立した。
守るつもりがなかったから、署名を求めらながら、署名にも応じなかったのだろう。
守るつもりはなかって点については、あくまでも本人の誠意・姿勢の問題であって、契約は契約である。破棄されるものではない。
契約の内容は次ぎのとおりである。
▽民主党を壊さないこと
▽自民党政権に逆戻りさせないこと
▽大震災の復興並びに被災者の救済に責任を持つこと
〈1〉復興基本法案の成立
〈2〉第2次補正予算の早期編成のめどをつけること
菅仮免は当初確認書を退陣を取り決めたものではないと薄汚く強弁していたが、6月4日になって自身に近い閣僚に電話し、「文書の思いは分かっている」(NHK)と述べて、確認書が不信任案可決回避の身代わりに退陣を差し出した取り決め契約であることを認めている。
退陣を守るつもりもなく、退陣時期を先延ばし先延ばしして契約自体を最終的に無効にするつもりでいたから、自身の退陣を交換条件とすることができたのだろう。してやったりと思っただろうが、“菅首相退陣”のマスコミ報道が全世界を駆け巡る方が早かった。
契約の無効意思はその後の時期を言い換える発言や態度が証明している。
不信任案否決が「私に、めどが付くまではしっかりやれ」という「議決」だとするのは真っ赤なウソ、その前提が崩れる以上、あるいは自らの退陣と引き換えに獲得した不信任案否決が事実も事実、そのことを前提としている以上、仮設住宅全員入居にも、瓦礫処理一次処理完了にも、さらには原発事故収束にも取り組みたいとする続投要請も自ずから崩れることになる。
このことは確認書の内容も証明している。菅仮免の役目は「第2次補正予算の早期編成のめどをつけること」までであって、それ以降の仮設住宅入居に関しても、瓦礫処理に関しても、原発事故収束に関しても一切契約事項の中に入っていないし、一切触れてもいない。
いわば菅内閣不信任決議案否決が「私に、めどが付くまではしっかりやれと議決をいただいた」云々はウソ八百の正当性のない言い分に過ぎなく、そうである以上、仮設住宅入居等の8月までの、それ以降も何だかんだと理屈をつけて居座る可能性が捨て切れないとしても、それらすべてを含めて続投要請自体も当然正当性はないことになる。
「職に恋々としない」、「一日でも長く(首相を)やる気はない」と言いながら、契約違反の、正当性のないウソまで持ち出して続投要請をする。言っていることとは異なる、その有言不実行は往生際の悪さをも証明して有り余る。
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