日本も原発イエスかノーの国民投票を行い、今後の政府のエネルギー政策の参考にすべき

2011-06-16 10:29:47 | Weblog

 

 原発再開の是非を問うイタリアの国民投票の最終開票結果。《原発凍結賛成は94% イタリア国民投票、開票終わる》asahi.com/2011年6月15日7時0分)

 原発凍結賛成票94.05%、凍結反対票は5.95%の脱原発の意思表示。投票率は54.79%。

 ベルルスコーニ首相(13日夜)「政府と議会は結果を歓迎する義務がある。高い投票率は、自分たちの未来に関する決断に参加したいというイタリア国民の意思の表れで、無視できない。国民投票は複雑な問題を扱うには適さないと信じてはいるが、それでも国民の意思は明らかになった」

 記事はこの発言を、〈原発の新設や再稼働を当面断念する意向〉の表明だとしている。

 だが、原発を新設するにしても再稼動するにしても、再び国民投票を経なければならないはずだ。一度目は国民の決断意思に従い、二度目は従わないでは国家権力の恣意的発動となる。

 イタリアの結果に対して枝野詭弁家と石原自民幹事長がそれぞれコメントしている。

 《官房長官 コメントする立場にない》NHK NEWS WEB/2011年6月14日 11時56分)

 枝野詭弁家「主権国家において、その国の大きな政治方針を国民投票で決めるというプロセスの結果が出たもので、日本政府としてコメントする立場にない。原子力政策に限らず、さまざまな日本の国内政策に対し、諸外国の事情や動向は一定の影響を与える」

 イタリアの今回の国民投票の結果は日本の福島原発事故が影響した国民意思表明であろう。「日本政府としてコメントする立場にない」ということはあるまい。イタリア国民が福島原発事故で受けた衝撃の大きさに比例した投票結果でもあるはずである。

 ドイツやスイスにしても福島がなければ、脱原発へと舵切りをしなかったはずだ。

 いわば、「原子力政策に限らず、さまざまな日本の国内政策に対し、諸外国の事情や動向は一定の影響を与える」と一般論化する形式性で誤魔化す詭弁家ならではの言い回しを使っているが、実際は日本の「事情や動向」が発端となって外国の「国内政策に対し」て多大な「影響を与え」る逆の事態を生じせしめたのであり、そういった経緯が新たにつくり出すことになった外国の事情や動向が今度は福島の事故と併せて地震頻発国の原発といった問題を抱えている日本に何らかのプラスマイナスのブーメラン効果が波及しないはずはなく、官房長官であるなら、このことを予測した発言まで踏み込むことが国民に対する懇切丁寧な説明責任となるはずである。

 だが、一般論化の形式性で済ませて、何も影響がないかのように装っている。

 《自民・石原氏、反原発は「集団ヒステリー」》MSN産経/2011.6.15 07:57)

 6月14日の記者会見。

 石原幹事長「あれだけ大きな事故があったので、集団ヒステリー状態になるのは心情としては分かる。反原発は簡単だ。脱原発というのも簡単だ。しかし生活を考えたときどういう選択肢があるのか示さなければいけない」

 冷静な理解能力に基づいた冷静な判断能力からの投票行動ではないと言っている。

 但し枝野詭弁家官房長官とは違って、福島原発事故が多大な影響を与えた結果だとする視点だけは持ち合わせている。

 一昨日6月14日夜7時からのNHKニュースでイタリアの国民投票を取上げていた。イタリアが原発に頼らない、天然ガスや石炭、石油、水力を発電エネルギーとした電力と原発大国フランスから10%輸入している電力の現在の電力料金はドル換算で1キロワット当り日本の1.3倍だそうだ。当然、原発推進派からは原発稼動によって料金が安くなるという宣伝を受けていたはずである。このことを最大のメリットとした原発の存在意義だからだ。

 だが、NHK派遣の記者の現地からの報告は、原発事故の被害の莫大さから比較して現在の電気料金は許容範囲だとする声が圧倒的だったと解説していた。高い電気料金を承知の上で脱原発を望み、敢えて原発を再開しなくても、これまでどおりやっていけるとする声が圧倒的だったと。

 いわば、他国と比較した電気料金の高さよりも原発が与えるいつ顕在化し、甚大な被害をもたらすかもしれない潜在的な危険よりも安心を選んだというところだろう。

 また番組は、ベルルスコーニ首相は温暖化対策の必要性から自然エネルギーを推進していく方針を採っていて、太陽光発電の導入を急ピッチで進めているという。さらに火山国であることを利用して(地震国でもあると言うことにもなるが)、地熱発電の設備容量は世界最大だそうで、この拡大も目指しているという。

 こういったイタリアに於ける原発に変わる電力の様々な選択肢の模索を見ると、石原自民党幹事長が言っている「反原発は簡単だ。脱原発というのも簡単だ。しかし生活を考えたときどういう選択肢があるのか示さなければいけない」は不要な心配ということになる。

 番組はスイスが2034年までに全原発停止を閣議決定したと伝えていたが、スイスにしても原発に変わる電力を模索し、スイス国民も協力するだろう。

 イタリアの場合は現在原発を稼動していないため脱原発であっても現状移行が認容される状況にあること、取り立てて電力不足が生じないイタリアの状況と日本で原発をすべて停止した場合の電力不足が生じる状況とは異なるが、原発の段階的停止とこのことに併行した自然エネルギーその他の電力の段階的導入によって最終的な脱原発は決して不可能ではないはずだ。

 もし日本が技術大国を誇るなら、なおさらに不可能としていいはずはない。

 6月10日から12日にかけて実施した、原発に関わる世論調査記事がある。《世論調査 “原発縮小”半数近くに》NHK NEWS WEB/2011年6月14日 6時19分)

 「電力全体の3割を供給してきた国内の原子力発電所について、今後どうすべきだと思うか」

▽「増やすべきだ」   ――1%
▽「現状を維持すべきだ」――27%
▽「減らすべきだ」   ――47%(先月比+4ポイント)
▽「すべて廃止すべきだ」――18%

 「減らすべきだ」+「すべて廃止すべきだ」=65%に上る。原発の段階的廃止と併行させた他のエネルギーへの転換によって原発に否定的な両者を満足させ得る。

 記事は政府の震災対応・原発事故対応も調査している。

 「政府の震災対応を全体として評価するか」

▽「ある程度評価する」 ――32%
▽「あまり評価しない」 ――41%
▽「まったく評価しない」――20%

 「あまり評価しない」+「まったく評価しない」は先月比+13ポイント。

 「東京電力福島第一原子力発電所の事故を巡る政府の一連の対応を評価するか」

▽「大いに評価する」  ――2%
▽「ある程度評価する」 ――17%
▽「あまり評価しない」 ――44%
▽「まったく評価しない」――31%

 「あまり評価しない」+「まったく評価しない」=先月比+10ポイント。

 菅内閣の対応を評価しないが大勢を占めていながら、菅首相は瓦礫処理だ、仮設住宅入居だ、二次補正だと意欲を燃やしている。評価も期待もされていない首相が先頭に立ち続けること程迷惑ということを超えて、国益のムダはあるまい。

 調査を受けた65%もの国民が「減らすべきだ」と「すべて廃止すべきだ」を選択している。福島の事故が国内外の原発の是非に与えた影響は決して形式的な評価ではなく、実質的な意志と見るべきであろう。

 《菅原文太、政府に注文「原発国民投票を」》MSN産経/2011.6.15 11:33)

 東日本大震災被災者の移住や避難、疎開などの受け入れを表明している全国の自治体と被災者自身を、インターネットでマッチングさせるべく6月14日開設の「ふるさとから、ふるさとへ」情報センターの運営母体であるNPO法人「ふるさと回帰支援センター」(見城美枝子理事長)の記者会見。

 菅原文太同センター顧問「イタリアのように、原発の是非を国民投票したらいい。解散総選挙よりよほど重要」

 西田敏行(福島県郡山市出身)「原発事故で放射性物質は飛び散り状態で、被災者も何を頼りにしていいか分からないような状態が続いているが、こういった申し出(被災者と自治体のマッチングの申し出)は本当にありがたい」

 もし政府が再生可能エネルギーの導入を加速させるというなら、原発の是非を問う国民投票は必要となるはずである。国民の意思の所在を知ることになり、政府のエネルギー政策の強力な参考、もしくは後ろ盾となるはずだ。

 原発イエスなら、上記のNHKの世論調査からしてその可能性は低いが、そのリスクを覚悟した選択となるとしても、時代の趨勢として国は可能な限り再生エネルギーへの転換を図り、原発依存度を下げる義務を負はずだ。

 また“東海地震想定マグニチュード8クラス発生30年以内87%確率”を根拠に浜岡原発を停止させたが、予想される東海地震の規模を考えた場合、津波対策のみを以ってして放射能漏洩被害を防御できる絶対的保証はないはずだから、少なくとも浜岡原発は廃止すべきだろう。

 国民投票によって原発ノーが決断意思表示されたなら、5年とか10年年とか期限を区切って、全面的脱原発、地球温暖化防止のために火力依存も下げて、水力や風力、太陽光等の自然エネルギーへのソフトランディングを図るべきではないだろうか。


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