河野太郎に外相専用機は不要 何様だと思っているのか、日本の外相は首相のメッセンジャボーイに過ぎない

2017-12-21 09:07:18 | 政治

 「来年はぜひ外相専用機を」河野太郎外相、自民党部会で「おねだり」候補に米「650ER」産経ニュース/2017.12.18 18:07)

 「来年の話をすると鬼が笑うかもしれないが、来年はぜひ外相の専用機を1機…」

 河野太郎外相は18日の自民党外交部会で、平成31年度予算での外相専用機の導入に意欲を示した。候補機種に米ガルフストリーム社の「650ER」の名前を挙げ「20人乗りだが、(米国の)東海岸まで給油なしで行ける」と“おねだり”した。

 皇族や首相の外遊には政府専用機が使用されるが、外相は民間機が使われている。河野氏は海外で会談相手から食事に誘われても、飛行機の搭乗時間を理由に断っているエピソードを紹介し「小さくて良いし、中古でもかまわない」と切実に訴えた。

 出席者から三菱重工業が開発している国産ジェット旅客機「MRJ」はどうかと問われると「足が短くてだめなんです」と航続距離を理由に難色を示した。

 河野太郎はこの記事の〈“おねだり”〉に激怒した。2017年12月19日付の同じ「産経ニュース記事が伝えている。    

 河野太郎「『おねだり』などという、ふざけた言葉をメディアが報道に使うのは、私にはちょっと信じられない。

 経費を削減しながら訪問国や(海外要人との)会談の数を1つでも増やそうと、外務省一丸となって努力している。理解をして(記事を)書いているなら倫理にもとるし、理解しないで書いているなら能力に問題があるといわざるを得ない。

 (平成25年1月から現在までの約5年間で)日本は前任の岸田(文雄)自民党政調会長と私で延べ97カ国なのに対し、中国の王毅外相は延べ262カ国だ。日本の外務大臣は国会対応があるが、中国の外務大臣は国会対応がないというスタート時点で大きな差がある。

 日本の政府開発援助(ODA)が抜群に多いわけではなく、アフリカをはじめ、さまざまなところで中国の投資や援助が日本を遙かに上回る中でこの差をどう埋めるか。外務大臣やそのスタッフの移動にすべて民間の商用機を使わないといけないのは、日本の国益を考えるとかなりハンディキャップが大きい」

 外交能力、あるいは外交成果の多くは訪問国数や会談数で決まるわけではない。相手国の国益に対応可能な国の資金力(それが例え借金したカネであっても、借金できる余裕が資金という形に変えていくことができる)を裏づけとして生み出す国の力=国の影響力にかかってくる。

 当然、「日本の外務大臣は国会対応があるが、中国の外務大臣は国会対応がない」といった問題ではなく、中国と日本という国の対外影響力を考えた場合、河野太郎が日本の外相と中国の外相を比較すること自体が間違っている。

 例えば中国と日本はフィリピンを間に挟んで綱引きし合う形の援助合戦を演じているが、2016年10月22日の習近平とフィリピン大統領ドゥテルテの首脳会談では鉄道等フィリピンでのインフラ開発、経済貿易、麻薬犯罪対策、テロ対策など13分野の協力文書に署名、製鉄所の建設や鉄道・港湾の整備、麻薬中毒者の更生事業等々、支援総額は2兆5000億円に上る計算だという。

 一方日本の安倍晋三は2017年10月30日に訪日中のドゥテルテと首脳会談を行い、今後5年間の1兆円規模の官民による貢献策の実施、マニラ首都圏の交通渋滞の抜本的な解決ための事業総額約8000億円の地下鉄事業に対して実際の資金需要に応じて約6000億円の円借款供与の検討(あくまでも検討であって、決定ではない)を表明している。

 この差は歴然たるものがある。中国にはこの上、フィリッピンとは地続きであるゆえの現代版シルクロード「一帯一路」(2014年提唱)の経済圏構想なる強いカードを持っている。日本は最近になって一帯一路に乗り遅れまいとする動きを見せ始めた。

 河野太郎が日本の国としての影響力を考えずに王毅との外国訪問回数の違いだけで政府専用機を求めるのは正当な要求とはいえない。にも関わらず要求するのは自分を何様と思っているのか、見当違いも甚だしい“おねだり”の部類に入る。

 また、「中国の投資や援助が日本を遙かに上回る中でこの差をどう埋めるか」と言っているが、この差を埋めるのも、その多くが国の力=国の影響力であって河野太郎が政府専用機で外国を訪問する体裁や時間的利便性ではない。

 当然のこと、外交成果・外交能力は「民間の商用機」を使うかどうかで決まるわけではないし、政府専用機を使うか使わないかで決まるわけではない。

 大体が日本の外相は首相の外交姿勢の範囲内での活動を強いられている。外相が独自の外交方針を抱えていて、それが首相の外交姿勢に影響を与えて、それを変えさせしめたといった例があっただろうか。

 外相の役割の多くが前者に限られているために結果的に首相のメッセンジャーボーイの範囲を出ないことになる。例えば北朝鮮問題での中国向けの発言は中国に北朝鮮に対する圧力強化に建設的な役割を果たすよう求める、あるいは各国向けには北朝鮮に対する圧力政策での連携を求めて一致させる、あるいは厳格な制裁決議の履行求める。これは安倍晋三の対北姿勢であって、その姿勢を代弁しているに過ぎない。

 こういったことを外国を訪問したり、外国首脳と会談して繰返している。メッセンジャーボーイでなくて何であろうか。

 河野太郎は2017年11月21日、神奈川県での講演で「一帯一路がオープンに誰でも使える形でやれば、世界経済に非常にメリットがある」と発言している。

 これは安倍晋三の意向を受けてメッセンジャーボーイとして発信した中国向け発言であろう。安倍晋三が反対していた場合、内閣の一員に過ぎない外相がそのメリットを云々することはできない。安倍晋三自身が「一帯一路」が乗り遅れることができないバスになってきたために河野太郎に先ず観測気球を上げさせたといったところなのだろう。

 中国は直ちに河野太郎の発言を歓迎した。日本からの投資を考えてのことだから、当然である。

 要するに河野太郎は北朝鮮のミサイル発射や核実験、そのことに対応した国連安保理の追加制裁決議だ、緊急会合だといった動きを受けて一見、派手に活動しているように見えるが、殆どがメッセンジャーボーイの域を出ていない。

 河野太郎の安倍晋三のメッセンジャーボーイであることを示す一例がある。2017年11月24日付「産経ニュース」記事。  

 河野太郎「河野談話」(父・河野洋平氏が官房長官当時に出した慰安婦に関する談話)への評価ですか? それは安倍首相が平成27年8月に発表した『戦後70年談話』と、慰安婦に関する一昨年の日韓合意に尽きます。それ以上でもそれ以下のこともない。

 『河野談話』の河野さんって俺じゃないですから。別の河野さんだ。『河野談話』への評価は『本人に聞けよ』という話じゃないですか?

 インターネット上で「お前が出した河野談話」と書かれましたが、私は湘南ベルマーレ(サッカーJ2)が圧勝したときしか談話は出しません。こういう質問にうんざりしてるかって? いや、もうジョークのネタになって楽しいよ」

 自身独自の歴史認識を持たず、あるいは隠して安倍晋三の歴史認識を自身の歴史認識とする。まさに歴史認識に関してもメッセンジャーボーイであって、自身の立場を弁えもせずに政府専用機を“おねだり”する。

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