沖縄小学校校庭米軍ヘリ窓落下事故:人為的ミスは場所を選ばないと見る危機意識が皆無のヘリ運行再開

2017-12-20 08:57:37 | 政治

 12月13日(2017年)午前、沖縄宜野湾市米軍普天間基地離陸の大型ヘリコプターCH53Eが普天間第二小学校の校庭に窓を落下させ、落下の衝撃で飛んだ破片で10メートル程離れた場所で体育の授業を受けていた4年生約30人のうちの児童一人が怪我をした。

 米軍は直ちにCH53Eと同型機の運用を停止。米軍による事故検査の結果、「機体の構造上の問題は確認されず、パイロットが決められた手順を守らなかったことによる人為的なミスが原因。乗員や整備員らに対して教育を行うなど再発防止策が取られた」として12月19日午後、運用を再開した。

 その間、6日。

 対して防衛省は基地を離着陸するすべての航空機は周辺にある学校の上空の飛行を「最大限可能な限り避ける」ことで合意したとして「飛行を再開するための措置が取られたと判断できる」と飛行再開に理解を示し、防衛相の小野寺五典は「(学校の上空を)基本的には飛ばないということだ。仮に飛行した場合は直ちに米側に申し入れる」(NHK NEWS WEB)との条件を提示することで運行再開を問題なしとした。

 要するに窓落下は機体構造上の欠陥ではなく、パイロットの人為的ミスであることと、学校上空の飛行を「最大限可能な限り避ける」ことを運行再開の正当理由とした。

 そして人為的ミスの再発防止策対として乗員や整備員らに対して教育を行った。

 だが、この二つの理由にこそ、重大な問題が潜んでいる。学校上空の飛行を「最大限可能な限り避け」たとしても、人為的ミスが場所を選んでくれたならそれで済むが、場所を選ぶわけではないから、子どもを含めた男女住民は学校以外の至る場所で活動し、存在する以上、“限定回避”は何の意味も持たない。

 当然、乗員や整備員らに対する人為的ミスの再発防止教育と彼らによるその的確な実践にかかってくることになる。

 だが、機体構造上の欠陥ではなく、パイロットの人為的ミスだから、再発防止教育を施しさえすれば運行再開は許されるとした場合、機体構造上の欠陥と同じく人為的ミスを重大視しなければならないことに反して人為的ミスを機体構造上の欠陥よりも重大視していないことになって、その危機意識の不足が再発防止教育に対する熱意を阻害しない保証はない。

 危機意識の不足は人為的ミスが場所を選ぶわけでもないのにさも選ぶかのように、“学校上空の飛行最大限可能回避”とする意識にも現れている。

 人為ミスによる部品落下事故や操縦ミスによる飛行物体そのものの墜落によって住民に怪我を与えたり、最悪死に至らしめるのも、場所を選ばない偶然の出来事であって、人身事故に至らずに済むのも同じく場所を選ばない偶然の出来事に過ぎない。

 そうである以上、住民が被害を受ける受けないは自らコントロールできないし、どうにか操縦可能な場合の無人の場所への不時着以外はヘリを操縦するパイロットや乗員にしても被害を与える与えないはコントロールできない。

 当然、人為的ミスであったとしても、機体構造上の欠陥と同様にこの上なく危険と見なければならない強い危機意識を持たなければならないはずだ。

 だが、機体構造上の欠陥ではなく、人為的ミスだからとたった6日間だけ自粛して運行を再開した経緯には前者よりも後者の方が許される、あるいは罪が軽いと見る意識があったからこそであろう。

 そういった意識がなければ、人為的ミスが場所を選ぶわけではないにも関わらず、学校上空の飛行回避だけで、それも絶対ではなく、「最大限」との条件付きで早々に運行を再開することはなかったろう。

 このような危機意識しか持てないとしたら、沖縄米兵が飲酒事故や飲酒事件起こした際、飲酒を禁止して程なく飲酒解禁という例の如くのサイクルを人為的ミスでも同様に繰返す喉元通れば忘れる危機意識で終わらせる確率は高い。
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