宜野湾市保育園屋根落下物を「全数適切保管」等の米軍側説明で保育園の「自作自演」としてしまう幸せな頭

2017-12-19 12:16:43 | 政治

 12月7日(2017年)、上空がアメリカ軍機の飛行ルートになっている沖縄県宜野湾市保育園で屋根に物が落ちる大きな音がしたため職員が確認したところ、高さ9.5センチ、直径7.5センチ、厚さ8ミリ、重さ213グラムの筒状のプラスチック製で、赤いラベルに英字で「飛行前に外すこと」、さらに米国を表す「U・S」の文字が印字されていたという。

 ネットで画像を探したところ、12月7日 付「琉球新報」が写真を掲載していたから、ここに拝借することにした。

 12月11日付「ロイター」記事によると、防衛省沖縄防衛局長の中嶋浩一郎が12月11日に県や市の首長らを訪ね、飛行中の米軍機からの落下を在沖縄米海兵隊が改めて全面否定していることを説明したと伝えている。       

 〈中嶋局長によると、海兵隊は落下物を、米軍大型輸送ヘリコプターCH53の部品で、回転翼の損傷を検知する装置を保護するカバーと説明。上空から落ちたとされる時間帯に、保育園近くの米軍普天間飛行場を離陸したCH53についてはヘリ1機に装着される「保護カバー7個、全て離陸前に取り外した。袋で保管しているのも確認した」と回答した。〉

 つまりヘリ飛行中には装着していない保護カバーが保育園の屋根に落下したことになる。当然、ここで問題となるのはどちらが事実を話しているかである。保育園側が事実を話しているとしたら、米軍側は虚偽の情報(デマ)を発信したことになる。

 勿論、逆もあり得る。米軍側が事実を話しているとすると、保育園側は虚偽の情報(デマ)を発信したことになる。

 米軍側発信の「全数適切保管」のマスコミ報道を受けて、一瞬のうちに事実の情報と判断、つまり保育園側情報をデマと即断したのだろう、保育園に連日なじるようなメールや電話が舞い込んできていると12月16日付「朝日デジタル」記事が伝えている。     

 「自分たちでやったんだろう」
 「教育者として恥ずかしくないのか」
 「そんなところに保育園があるのが悪い」

 記事は、〈1日4~5通のメールが毎日届き、電話もしばしばかかってきて相手は名乗らない。〉と紹介している。

 保育園長8「メールの内容を見ると、何も知らない内地(本土)の人だろうなと思う。保護者や職員が落ち込みそうになっているが、(全国に署名を呼びかけている園上空の米軍機の飛行禁止を求める)嘆願書に賛成してくれる声が大きくなって、そんな気持ちを吹き飛ばしてほしい」

 「自分たちでやったんだろう」と「教育者として恥ずかしくないのか」は自作自演のデマだと断罪していることからの非難ということになる。

 ネットでも自作自演説が飛び交っている。「カバーの重量は200g程度だそうなので、ヘリが飛ぶ高度から落下すれば穴ぐらい当然開くだろう」と、凹みだけで穴が空いていないことを根拠に自作自演説を展開している。

 上記記事は、〈部品が見つかった屋根にはへこんだ痕跡があり、宜野湾署も確認している。職員や園児が「ドーン」という衝撃音も聞いている。〉と解説しているが、保育園の屋根はトタン葺きだそうで、上記写真を見ると、トタンは平板ではなく、波板であって、平板よりも強度は遥かに強い。

 ダンボールの表裏2枚の紙製平板の間に波状加工して波打たせた紙製中芯を挟むのも強度をつくり出すためで、同じ原理である。あるいはペットボトルに縦横に線上の凹凸をつけたり、何かの模様で凹凸をつけるのも強度を強くする目的からの加工であろう。

 20グラムの筒状の保護カバーの直径が波トタンの谷の直径よりも小さくて、その谷間に縦に浅い状態で落下した場合は、ヘリの高さから重力加速度がついたとしても、谷間の強度と谷間との間隙によって、谷間部分は凹んでも穴まで開くと限らない。

 あるいは保護カバーが波トタンの谷間と直角か斜めに交差する形で落下した場合、強度を増すことになる二つ三っつの谷の頭で落下の衝撃を受けることになって、やはり凹みはできても、穴まで開くとは限らない。

 逆に自作自演で誰かがプラスチック製の重さ213グラムに過ぎない保護カバーを屋根に向かって放り投げただけなら、屋根にそれ相応の凹んだ痕跡をつけることはできない。屋根に上がってわざわざ叩きつけたとしても、相手が波トタンの場合は表面にかすり傷ぐらいはつけることができても、空から落ちてきたような凹みはなかなかつけることはできないだろう。

 但し以上のことはあり得ることとしての推測であって、確実にそうなると確証を与えることができる根拠は何一つない。保育園の自作自演なのか、米軍側が責任逃れに虚偽報告をしているのか、上空を飛行中のヘリコプターから保育園のトタン屋根に直撃できるよう、重さ213グラムの保護カバーを落下させる実験をすべきだろう。

 そうすれば全てが明らかになる。防衛省はそこまですべきである。

 保育園側がウソをつかないという保証もなければ、米軍側がウソをつかないという保証もない。だが、米軍側を絶対正義として、保育園側を絶対悪だと簡単に決めつけてかかる。

 天下の大企業東洋ゴムが建築物の免震ゴムの数値データを偽装し、同じく天下の大企業神戸製鋼が強度偽装している。これまた大企業なりに社会的責任の重い日産は無資格者に完成車の検査を日常的に行わせていた。

 スズキと三菱は国の燃費基準に満たないにも関わらず、満たしているかのように偽装して完成車として世に出していた。

 保育園の自作自演だと一方だけを悪と単純・即決で決めつけ、もう一方の米軍側を疑いの可能性すら持たずに単純・即決で正しいとすることができる。

 そのように単純化できる。幸せな頭をしているように思える。
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