安倍晋三も柳瀬唯夫も諮問会議民間有識者議員八田達夫も加計学園を影の存在扱いしてきた その整合性とは?

2018-05-10 08:51:47 | 政治
 安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定

「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 広く知られることになったが、安倍晋三は国家戦略特区に指定された愛媛県松山市が愛媛県と共に第2次安倍政権が進めたアベノミクスの成長戦略の柱「国家戦略特区」に「国際水準の獣医学教育特区」を提案したのが2015年6月4日であるにも関わらず、新設の獣医学部事業主体が加計学園であることを知ったのは2017年1月20日の第27回国家戦略特別区域諮問会議で加計学園が獣医学部の事業主体として認定された際だと何度も国会答弁している。

 その理由について国会答弁している例を二つ程挙げてみる。

 2017年7月25日の加計学園閉会中審査参議院予算委員会

 安倍晋三「今まさに私が申し上げたように、国家戦略特区においては今治市がこれは提案をしている、国家戦略特区については今治市が提案をしておるわけでございますので、これは国家戦略特区制度が誕生して、2年前の11月から私が議長を務める国家戦略特区諮問会議において今治市の特区指定を受けた議論が進む中で、私は今治市が獣医学部を提案していることは知ったわけでありまして、これはもう答弁をしたとおりでございますが、しかし、その時点においてもまだ、またその後のプロセスにおいても、事業主体が誰かという点について、提案者である今治市からはこれは説明がなく・・・・・(ヤジで途切れる)」

 安倍晋三「まず、大前提として獣医学部新設の提案者は構造改革特区でもですね、その後の国家戦略特区においても自治体である今治市であり、加計学園ではありません。今治市からの提案は平成19年の福田政権のとき以来、構造改革特区としての申請が行われてきました。第2次安倍政権になってからも4度に渡って申請がございました。その対応方針は私が本部長を務める構造改革特区本部で決定しており、今治市からの提案については私は知りうる立場にありました。しかし、数十件ある案件の一つにすぎないわけでありまして、結果もですね、第2次安倍政権においては4度とも提案を事実上認めないものでありましたので、実際には今治市の提案については全く認識していなかったわけであります。
 その後、国家戦略特区制度が誕生し、2年前の11月から私が議長を務める国家戦略特区諮問会議において、今治市の特区指定に向けた議論が進む中、私は今治市が獣医学部新設を提案していることを知りました。その時点においても、またその後のプロセスにおいても、事業自体は誰かという点について、提案者である今治市から説明はなく、加計学園の計画は承知しておりませんでした。

 最終的には本年1月に事業者の公募を行い、加計学位園から応募があったわけであります。その後の分科会でのオープンの議論を経て、1月20日に諮問会議で認定することになりますが、その際私は初めて加計学園の計画について承知をしたところであります」

 要するに国家戦略特区今治市への獣医学部新設提案は今治市が行ったもので、「事業自体は誰かという点について、提案者である今治市から説明は一切なかった」、その後加計学園が今治市新設提案の獣医学部の内閣府による事業主体公募に加計学園1校のみが応募、内閣府の審査に通って、2017年1月20日の国家戦略特区諮問会議で認定されて初めて知ったというわけである。

 2017年11月30日参院予算委員会

 日本共産党の小池晃が2015年6月5日の国家戦略特区ワーキンググループに加計学園関係者3名が出席し、発言していたが、その事実も発言内容も議事録には記載されていない点を追及すると、地方創生・規制改革担当の梶山弘志は「加計学園関係者は、提案者である今治市の独自の判断で同席をさせた説明補助者に過ぎず、会議の一般則に従い、正式な出席者とは扱っておりません。したがって、加計学園関係者の発言が、そもそも正式な出席者や公式な発言を記録する議事録、議事要旨の掲載対象とならないのは当然のことであります」と答弁している。

 この件について安倍晋三は次のように答弁している。

 安倍晋三「特区のワーキンググループは、原則は公開との方針に基づいて、そしてこれはこの案件に限りません、ほかの案件も全てそうなっております。八田座長を始め民間有識者の皆さんが決めたルールに基づき運営されているものと承知をしております。

 そして、先程小池委員の方から、なぜこの加計学園は補助(説明補助者)であり、京産大はそれはそのままで補助者ではないのかというのは、もうこれは先程(梶山)大臣が答弁したとおり、提案者に入っている、京産大はですね。

 加計学園の場合はこれは提案者に入っていないわけでありますから……(発言する者あり)提案者に入っていない。提案側が、これはまさに、これは今治市が提案をしたわけでありまして、当然これはルールに基づいてやるわけでありますから、当然ルールに基づいてこれ運営をされているものと承知をしておりまして、こうした運営どおりにのっとって全てがオープンにされているものと承知をしております」――

 京都産業大学は国家戦略特区指定の京都府が獣医学部新設を提案した際の共同提案者になっていたがゆえに2016年10月17日の国家戦略特区諮問会議ワーキンググループヒアリングに京都府と共に京都産業大学も出席、発言し、その事実は議事録に記載されることになったが、今治市の場合は単独提案者となっていて、加計学園は共同提案者にはなっていなかったがゆえに説明補助者とされ、議事録には記載されなかったという“ストーリー”になる。

 どうも安倍政権はストーリー好きのようだ。

 しかしこのストーリー、奇妙な論理となっている。今治市が獣医学部新設を提案した。国家戦略特区諮問会議は常に今治市への獣医学部新設の是非を議論してきた。事業者体がどこか、一言も議論していない。その理由を安倍晋三は加計学園が共同提案者となっていなかったからだとしている。

 ところが、今治市が戦略特区として獣医学部新設を提案した2015年6月4日翌日の2015年6月5日の八田達夫座長の国家戦略特区ワーキンググループには加計学園関係者3名を招き、発言させている。

 例え3名を説明補助者と位置づけようと位置づけなかろうと、安倍晋三が言う原則からすると、提案者はあくまでも今治市でありながら、共同提案者でもない加計学園関係者を3名も出席させたのは首尾一貫しないことになる。国家戦略特区諮問会議が常に今治市への獣医学部新設の是非を議論してきたこととも首尾一貫しない。加計学園が事業主体としてふさわしい獣医学教育を担うことができる学校法人か否かの議論もしていない。

 朝日新聞がこの出席をスクープしなかったなら、3名の出席は永遠に闇の出来事とされたろう。あるいは朝日新聞のスクープ以降、加計学園は事業主体として名乗るなり何なり表に出てきていいはずだが、その後も事業主体として提案者の列に加わらずにあくまでも提案者は今治市に限定、そこへの獣医学部新設のみが議論されてきた。

 いわば安倍晋三も国家戦略特区諮問会議民間有識者議員の八田達夫も加計学園を影の存在扱いしてきた。

 このように影の存在扱いしてきたことは 2015年4月2日に首相官邸に愛媛県と今治市職員、それに加計学園関係者が面会に来て、応対したのが当時首相秘書官の柳瀬唯夫だとされていながら、「記憶にない」を理由に否定してきたことにも現れている。

 2018年4月10日付の朝日新聞が面会の事実を記した文書の存在を報道、その日の午後に愛媛県中村知事が記者会見して、その文書の存在を認め、その文書には愛媛県地域政策課長・今治市企画課長・加計学園事務局長らが内閣府藤原豊次長及び柳瀬唯夫首相秘書官らとそれぞれ面談した事実とその際の両者の発言を記しているが、今日2018年5月10日の衆参それぞれの予算委で加計疑惑で八田達夫と共に参考人招致された柳瀬唯夫は三者との面会を認める方向だという。

 今回の参考人招致でも同じく面会を否定したとしても、愛媛県文書だけではなく、その文書と同趣旨の文書が文科省と農水省に存在する以上、面会と発言は、いくら記憶になくても、存在した事実として認めなければならない。

 つまり面会の事実を認めたとしても否定したとしても、いずれの対応にしても、加計学園を影の存在としてきたことの何よりの証明以外の何ものでもない。影の存在とするということは隠す行為を意味する。

 2015年4月2日に首相官邸で愛媛県と今治市の職員と共に加計学園関係者と面会し、約2カ月後の2015年6月4日に今治市が指定された国家戦略特区を使って獣医学部新設を提案、加計学園がその事業主体として名乗り出て認められる2017年1月20日の第27回国家戦略特別区域諮問会議までの約1年8カ月の間、一貫して加計学園は影の存在として今治市の陰に隠されてきた。

 加計学園が「提案者に入っていなかった」という理由は成り立たない。繰返すことになるが、提案者でもないのに2015年4月2日に加計学園関係者と首相官邸で首相秘書官である柳瀬唯夫が愛媛県及び今治市の職員と共に面会し、提案者でもないのに約2カ月後の2015年6月5日の国家戦略特区ワーキンググループに加計学園関係者3名を参加させ、発言を許しているのである。

 安倍晋三側はこの矛盾に整合性を与えなければならない。2015年4月2日に加計学園関係者が愛媛県と今治市の職員と共に首相官邸に面会に訪れず、当然、柳瀬唯夫は加計学園関係者と面会もせず、2015年6月5日の国家戦略特区ワーキンググループにどのような名目であろうと、説明補助者であろうとなかろうと、出席させていなかったという事実があって初めて、加計学園を影の存在としなかったことになり、安倍晋三が2017年1月20日の第27回国家戦略特別区域諮問会議で初めて加計学園の名前を知ったとすることの整合性を成立させることができる。

 そうでない以上、加計学園獣医学部新設認可が“首相案件”だったからこそ、加計学園を影の存在としなければならなかったということであり、この点についての整合性は十二分過ぎる程に成り立つ。

 加計学園獣医学部新設認可が「安倍案件」だったのかどうかの真相究明は参考人招致の柳瀬唯夫や八田達夫の言葉尻を捕らえて、整合性を如何に問い詰めることができるか、その追及にかかっていると言える。/TD>

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