安倍晋三の愛媛県新文書「加計孝太郎との15分程度の面談」にどう立ち向かうのか、その貧しき1例を長妻昭が披露

2018-05-24 11:38:40 | 政治
 安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定

「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 2日前のブログに愛媛県が参議院に提出した加計学園に関わる新文書に記載されている新事実を野党の面々は満足に追及できるのか、その追及能力に疑問符を付けたが、昨日午後の衆院厚生労働委員会で立憲民主党代表代行の長妻昭が新事実に基づいた追及を行ったことをマスコミ記事で知り、動画をテキスト化してみた。

 2018年5月23日衆院厚生労働委員会

 長妻昭「(森友問題に続いて)加計学園についても総理に尋ねなければなりません。これは政権の正統性の話でございますので。

 総理はですね、愛媛県の文書が出まして、2015年の2月25日前後にですね、加計孝太郎理事長とですね、会話、あるいは面談というのはされましたですか」

 安倍晋三「ご指摘の平成27年2月25日に加計理事長とお会いしたことはない。念のために訪問予約も調査を致しましたが、加計理事長が官邸を来訪した記録は確認できなかったということでございます」

 長妻昭「いや、私が聞きましたのはですね、今焦点になっております平成27年2月25日、そのものズバリの日ではなくて、2月25日前後にですね、加計理事長と電話でもいいです。電話、あるいは、面談、自宅でもいいんですけども。官邸以外でも。

 2月25日前後に電話を含めて加計孝太郎理事長とお話をされたことはありますか」

 安倍晋三「電話をしたかどうかということについてはですね、3年前でございますから、それについてはこれは記録に残っているわけではございませんので、私は確たることは申し上げることはできませんが、いずれにせよ、いわば獣医学部の新設についての遣り取りは一切していないということは今まで申し上げているとおりでございます」

 委員長「長妻君に申し上げます。本日は働き方改革に関する法案審議でございます。質問はこの範囲内でご協力お願いします」 

 長妻昭「これ委員長ですね、この働き方改革、委員長、委員長、よく聞いてください。この働き方改革の法案は、政府の案はですね、閣法なんですね。安倍内閣の責任でここに出ているわけで、安倍内閣の正統性を問うというのは、これだけの事態が起こってるんですよ。言論封殺じゃないですか、そんなことを言うのは。

 それで私が申し上げますと、これは安倍総理、そうするとですね、これ15分なんで、面談というのがですね、あるいは電話かもしれませんが、2月25日前後に電話で話した可能性というのは否定されないということなんですか、加計理事長と」
  
 安倍晋三「これはあの(と言って、鼻でフット笑う)3年以上前にですね、電話で話したかどうかということについては、これは何とも申し上げようがないわけでございまして。これ普通、大体そうだと思いますよ。

 長妻さん、じゃあ、3年前のですね、3月にこれこれこういう人と電話しましたかと言われて、しているかしていないかって、それは分からないですよね。割と電話している相手であればですね。

 と言うことでありまして、それは今いきなり聞かれてもですね、えー、お答えのしようがない、と言うことであります」

 長妻昭「総理ね、総理ですね、私が申し上げているのは――」

 安倍晋三「いずれにしましても、いずれにしましてもですね、いずれにしましてもですね、獣医学部新設についての話は一切していないということは電話でもそういうことでございますので、それは重ねて申し上げておきたいと思います」

 長妻昭「 総理、ちょっとですね、おかしいのは私は昨日ですね、何度も念を押して、担当の方を呼んで(質問)通告しましたよ。電話を含めてですね、できる限り思い出してくださいと。

 『突然聞かれても』って、突然聞いていないじゃないですか。こんな重要なこと。 

 そうするともう一回、総理ですね、確認しますと、じゃあ、会ったことは自宅も含めて2015年の2月25日、そのものズバリでなくても、その前後に加計孝太郎さんと会ったことは、自宅でも、官邸内外を含めて、それはないということは、これは明言されるということですか」


 安倍晋三「先ずあのー、電話についてはですね、これは3年以上も前の話であってですね、確認のしようがないわけでありますが、先程から申し上げておりますように加計理事長とはこれまでも何度も会っていますが、これまでも繰返し答弁してきたとおり、獣医学部の新設についてはですね、話をしたことはないということでございます。

 また25日につきましてはですね、25日につきましては、これは自宅も入っているのでございますが、いずれにしましても官邸に於いても自宅に於いてもですね、常にみなさん(総理番記者と言うことか)が出入りする人を逐一確認をしておりまして、首相動静にも載って、これも確かめたところでございますが、首相動静にも載っておらず、自宅も含めて会っていないということは今までも申し上げてきたとおりでございます」

 長妻昭「これまでですね、第2次安倍政権になって、加計孝太郎さんとは何回ぐらいお会いしてるんですか」

 安倍晋三「加計理事長と会った回数でありますが、首相動静で確認できたものはですね、合計14回ということで、動静で確認できたものであります。

 そしてフェースブック等、国会の議論で確認できたもの、これはですね、例えば首相動静につていはですね、私と会った人が複数、食事の場合等、ゴルフもそうなんですが、相手が複数であればですね、えー、友人だっていうことで、欄に乗せる場合もあります。

 相手が主催する場合はそれは中心的な人物ですから、動静上も発表している。そして、あるいはこれはまあ、先の国会質疑で答弁をさせて頂いたようのにカベックフイギュア(? ネットで調べたところ、著名人という意味の「prominent figures」という英単語があるが)として確立しておられる方については公表するわけでわけでございますが、あのー、必ずしも全ての方々が公表されることはないわけでありまして、我々もですね、確かめるには首相動静上で見る。

 その中に含まれるのはこれは分からない場合もあるわけでございますが、ただ今まで写真を撮っていた等々で確認できる場合もあるわけでございます。
 
 そこで今申し上げたようにですね、それ以外確認できたものがですね、5回あったということでございます」

 先ず長妻昭が質問に取り上げた点に関しては愛媛県の新文書に次のように記載されている。

 〈①2/25に 理事長が首相と面談(15分程度)。理事長から、獣医師養成系大学空白地帯の四国の今治市に設置予定の獣医学部では、 国際水準の獣医学教育を目指すことなどを説明。首相からは「そういう新しい獣医学大学の考えはいいね。」とのこコメントあり。

また、柳瀬首相秘書官から、改めて資料を提出するよう指示があったので、早急に資料を調整し、提出する予定。〉・・・・・・

 長妻昭の質問の主意は新文書によって表面化することになった安倍晋三と加計学園理事長加計孝太郎との15分程度の面談が記載通りに事実であると認めさせることにあったということであろう。

 認めさせることに成功すれば、30年来の腹心の友人でありながら、加計学園が新設獣医学部の事業主体であることを知ったのは2017年1月20日だと繰返してきた、誰もが心証的には事実ではないと思っている国会答弁を虚偽発言だと断じることができる。国会に対してばかりか、国民に対してもウソをついてきたと、長妻昭の言葉を借りると、「政権の正統性」はもはや失っていると、その退陣を求めることができる。

 でなければ、面白くも何ともない。

 と言うことは、安倍晋三の面談の否定を覆す努力をしなければならない。あるいは否定を覆すことの一点に絞って追及しなければならない。ところが、「平成27年2月25日でなくてもいい、その前後で官邸以外でも自宅でも、面談でもいい、電話でもいい、話をしたことがあるか」と、面談を否定しているのに認めるはずもない質問をムダに繰返している。

 このように一点に絞り切ることのできない散漫な質問を繰返すだけでは、とてもとても海千山千の安倍晋三を追い詰めることはできない。

 安倍晋三は最初に平成27年2月25日の加計孝太郎との面談を否定、その上で「念のために訪問予約も調査を致しましたが、加計理事長が官邸を来訪した記録は確認できなかったということでございます」と、面談否定の裏付けとして訪問予約の調査を持ち出した。

 安倍晋三は「訪問予約」と発言しているが、一般的には「訪問予約届」という言葉で国会答弁されたり、政府答弁書に用いられている。

 以下は昨日のブログに書いたことだが、昨日5月22日午後の衆院本会議では同じ立憲民主党の阿部知子から15分程度の面談を問われたとき、安倍晋三は「ご指摘の平成27年2月25日に加計理事長とお会いしたことはありません。念のため入邸記録を調査しましたが、加計理事長が官邸を来訪した記録は確認できませんでした」と答弁している。

 何のことはない、「入邸記録」と「訪問予約届」との違いだけで、長妻昭は面談を記載通りに事実であると認めさせるどころか、同じ答弁を引き出したに過ぎない。

 安倍晋三や官房長官の菅義偉、官房副長官だったときの萩生田光一は「入邸記録」にしても、「訪問予約届」にしても、「業務終了後はその使用目的を終えることから速やかに廃棄される取り扱いになっている」といった趣旨の発言をしている。

 森友学園問題でも使っている文書やメモに対する廃棄という手段は事実を曖昧にする陰謀に過ぎないのだが、安倍晋三は廃棄されて存在しているはずのない3年前の「訪問予約届」の調査を「加計理事長が官邸を来訪した記録は確認できなかった」ことの有り得べからざる裏付けとしたことになる。

 この点をこそ突くべきを、長妻昭は「面談だけではなく、電話でも、官邸内外、自宅でも加計孝太郎と話をしたことはあるのか」と的外れな質問に執着している。

 長妻昭が再度電話での会話の有無を問うと、安倍晋三は「長妻さん、じゃあ、3年前のですね、3月にこれこれこういう人と電話しましたかと言われて、しているかしていないかって、それは分からないですよね。割と電話している相手であればですね」と答えている。

 電話したかどうかは相手が誰かだけで記憶しているわけではなく、会話した内容に応じて記憶に濃淡が生じる。内容が重要でなければ、年月の経過と共に忘れてしまうし、重要な内容であった場合は一旦は忘れたとしても、自分の中で何かのキッカケが生じたり、第三者から何かのキッカケを与えられて記憶に蘇るということはよくある。

 要するに一般的には電話した相手よりも、会話の内容の重要性が記憶により影響することになる。

 だが、安倍晋三は電話した相手である加計孝太郎のみを対象にして「電話したかどうか分からない」と答えているのは長妻昭の質問の仕方が悪いからだろう。誰と会話をしたか、誰と電話をしたかどうかではなく、「獣医学部新設の話をしたのか」と会話の内容の記憶を尋ねるべきだったはずだ。

 勿論、否定するのは分かっているが、否定されても質問の仕方は重要であって、それが悪ければ、いつまで経っても望んでいる結末を得ることはできないはずだ。

 安倍晋三にしても、「獣医学部の新設について電話したのであれば、3年前であっても記憶しているかもしれませんが、3年前であろうと何年前であろうと、そういった会話を電話でも口頭でもしたことはありません」で済むところを余分なことをくどくどと続けている。

 安倍晋三は事実に反することを言うとき、ウソつきがそうであるように言わなくても済む言葉を長々と費やす傾向にある。

 「総理が言わなくても済むことを長々と続けるときは事実ではないことを喋っている疑いが濃厚だから、加計理事長との15分程度の面談は事実あったということではないですか」ぐらいは言ってやるべきだろう。

 安倍晋三は平成27年2月25日の加計孝太郎との面談を「首相動静を確認したが載っていない」と否定、「首相動静」の信用性を高めるために「首相動静で確認した加計孝太郎と面会した回数は合計14回」と答えているが、これは愛媛県新文書が公になった直後、マスコミ各社が首相動静を確認して、載っていないことの報道を受けた発言の可能性がある。

 但し同内容の5月21日付け「時事ドットコム」記事は、〈ただ、首相動静に表れない「密会」が日常的に行われているとの証言もある。官邸や公邸に記者の目に触れないように出入りするのは容易とされており、動静だけで判断するのは難しい。〉と解説している。

 長妻昭は愛媛県新文書に関わる報道は全て目を通しておかなければ、野党の政権監視の役目に反するし、満足な追及はできないことになる。この記事にもし目を通していれば、民主党政権時代の鳩山内閣と菅内閣で厚労大臣を務めているのだから、上記解説が自分の知識としてなかったなら、鳩山由紀夫や菅直人に尋ねるか、民主党政権時代の他の閣僚に尋ねるかして、安倍晋三も首相動静について「必ずしも全ての方々が公表されることはないわけでありまして」と発言しているのだから、上記記事に書いてあるとおりなら、首相動静の信用性の疑わしいことを言って、それだけでは面談否定にはならないことを突きつけるぐらいのことはすべきだったろう。

 2018年5月22日のTBS「ひるおび!」が加計疑惑を取り上げていて、民主党菅内閣で総務大臣を務めていた片山善博が首相動静について発言していた。
 
 片山善博「(新聞の首相動静は)総理が会った人を全部書いてあるわけではないですね。例えば首相官邸に要人が、総理もですが、入ると、(総理番記者がカメラのシャッターを)パシャパシャっとやって、『それ何ですか』とか言って、『おはようございます』とか言って、あそこ(首相官邸玄関からエントランス)を通るのが普通ですけど、脇道もあるんですよ。

 脇のエレベーターもあるんですね。そこから入ると、ああいうマスコミの皆さんと会わないんですよ。

 そういうルートが一つあるのと、総理の執務室に正面から入ると、モニターか何か付いていて、(記者)クラブの人には見えるようになっていて、そこを通らない執務室への入り方もある。

 私なんか何回か総理執務室に入ったときに、そういうとこを通ると、全くモニターされないわけです」――

 「時事ドットコム」記事が解説しているとおりにマスコミに知られたくない要人・著名人との首相官邸での「密会」はいくらでも可能と言うことになる。その中に女性とホテルのベッドで行うような類いの密会が入っている可能性も否定できないことになる。

 長妻昭が「ひるおび!」を観る暇がなくても、首相動静の記事に目を通すぐらいのことをして、かつての同僚に事実確認していたなら、もう少しは満足な追及ができたはずだが、不勉強としか言いようがない。

 愛媛県国会提出の新文書が折角新しい疑惑を突きつけているのに満足に追及ができない。2日前の当ブログで指摘した杞憂が現実となって現れた今回の長妻昭の質問であった。

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