安倍晋三の米大使館エルサレム移転阻止ができない対米追従で言う「中東和平貢献」は滑稽な大言壮語

2018-05-01 09:00:24 | 政治
 安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定

「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 安倍晋三が4月29日(2018年)午後、中東のアラブ首長国連邦(UAE)、ヨルダン、イスラエル、パレスチナ自治区の4カ国・地域歴訪に向けて羽田空港を政府専用機で出発した。

 「平成30年4月29日中東訪問についての会見」

 安倍晋三「今日から中東訪問に出発いたします。

 中東は日本にとってはエネルギーの安定供給の点からも極めて重要な地域であります。しかし、関係においてはエネルギーだけに限らず、経済、安全保障、あるいは先端技術等、様々な分野で重層的な関係を強化していかなければならないと考えています。

 日本はこれまで中東の地域、例えばシリアの問題についても、難民問題についても、難民人道支援、あるいは経済開発支援等、日本ならではの支援を行い良好な関係をそれぞれ築いてきています。そうした信頼関係の上に、中東の平和と安定にも、また中東和平にも貢献をしていきたいと思っています。

 今回はイスラエル、そしてパレスチナ双方を訪問します。この中東和平に向かって、双方に建設的な関与を働きかけていきたいと思います。

 そして今日本が進めている、平和と繁栄の回廊構想を進めていくことによって、当事者間の信頼関係を醸成していく。そうしたことによって中東和平に日本も貢献していきたいと、こう考えています」

 (地図著作者:現代企画室『占領ノート』編集班/遠山なぎ/パレスチナ情報センター)
 
 イスラエルとパレスチナ訪問の際は「中東和平に向かって、双方に建設的な関与を働きかけていく」、「日本が進めている、平和と繁栄の回廊構想を進めていくことによって、当事者間の信頼関係を醸成していく」、このようなアプローチで「中東和平に日本も貢献していく」

 立派な御託を並べているが、中東和平を阻害している大本はアメリカの中東政策であり、そして日本とアメリカは後者を主導的位置に置いた軍事同盟国であり、このような軍事的関係によって日本の中東に関わる和平関連の政治はアメリカの中東政治の大枠内での行動に限定されている。

 いわばアメリカと中東諸国それぞれの関係を抜きに中東和平に関して主導権を握ることのできる立場に立っていない。このことはアメリカに対して中東政治に関わる意見を言うことのできる関係ではないことを意味する。

 例えば歴代最単細胞トランプが2017年12月6日にホワイトハウスで演説し、「エルサレムをイスラエルの首都と公式に認める時だと判断した」と述べ、商都テルアビブにある米大使館をエルサレムに移転させることを正式に発表、2018年2月23日に今年5月(2018年)に暫定的に大使館を移すと発表している。

 パレスチナ自治政府はエルサレムを将来の独立国家の首都と位置づけていて、トランプの発表に反発、パレスチナの住民が各地で抗議デモを展開。自治政府を支援するイランやシリアはアメリカやイスラエルと対立関係にあることから、トランプの米国大使館移転政策が両勢力間の対立関係をより険悪化させることになり、エルサレムをイスラエルの首都と認める、国際社会が同調していない米国トランプ発のこの中東政策が却って中東和平の実現を複雑化させ、複雑化によってその実現を遠のかせる予感を一部悲観論を伴って広がらせることになった。

 そしてこのような両勢力間の対立関係の現実的生起の一つの例としてイランがシリア国内にイスラエル攻撃の軍事施設やミサイル生産施設を構築しているとして、イスラエルが大規模な越境攻撃を繰返していることを挙げることができる。

 米新国務長官ポンペイオが4月29日(2018年)にイスラエルを訪問、「アメリカはイランの脅威が中東で拡大していることに懸念を深めており、イスラエルによる自衛権の行使を強く支持する」(NHK NEWS WEB)との理由でイスラエルの越境攻撃を支持、米国は中東和平実現とは逆行したコースを辿っている。

 確かに中東の対立と混乱は歴史的、地政学的、宗派的等々の様々な要因によって成り立っているが、エルサレムのイスラエル首都容認のトランプの政策が対立と混乱をより撹乱する方向へ駒を進めたのは確かである。

 こういったことが予見できたからだろう、アメリカと対立するイランだけではなく、米国と友好関係にあるサウジアラビアやエジプト、ヨルダン、さらにはフランスやイタリア、ドイツまでがトランプの決定を批判、あるいはパレスチナとイスラエルの両当事者間で決める問題だと警告を発した。

 対して日本は反対も異議申し立てもしなかった。中東和平の実現が複雑化し、対立と混乱がより先鋭化する予感を多くの国が抱いている中で日本はトランプの決定によって生じる、あるいは既に生じている状況に身を任せたことになる。

 と言うことは、中東の政治問題はアメリカの主導に預けたことを意味する

 そういった態度を取りながら、「中東の平和と安定にも、また中東和平にも貢献をしていきたい」と言う。「中東和平に向かって、双方に建設的な関与を働きかけていきたい」と言う。「日本が進めている、平和と繁栄の回廊構想を進めていくことによって、当事者間の信頼関係を醸成していく」と言っている。

 日本が精々できることはカネを使った難民人道支援や経済開発支援等のみであろう。相手はカネが欲しいから、安倍晋三の訪問を歓迎する。だが、和平実現に向けた政治力は無力と見て、単なる言葉だけの相槌で遣り過ごすことになるはずだ。

 このように中東和平にアメリカの主導権に少しでも割って入って自らの主導権を僅かでも提示できる政治的・外交的力も立場もあるわけではないにも関わらず、あるかのように「中東平和」を口にすること自体、滑稽な大言壮語そのものである。

 大体が安倍晋三は大言壮語が多い。消費税増税ができる経済環境を構築すると言って、その舌の根も乾かぬうちに消費税増税を延期する。アベノミクスの好循環を言って、好循環と言える経済状況を生み出すことができずにいる。

 どれもこれも滑稽な大言壮語で終わっている。

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