柳瀬唯夫5月10日参考人招致 安倍晋三をどう守り、その守りを野党はどう突破するのか、その攻防を予測

2018-05-08 09:59:19 | 政治
 安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定

「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 5月7日深夜時間帯のマスコミネット記事が自民党と立憲民主両党の7日の国対委員長協議で加計学園問題に関する柳瀬唯夫元首相秘書官(経済産業審議官)の参考人招致を5月10日の衆院予算委員会で行うことで合意したと伝えていた。

 野党は証人喚問を求めていたが、数の力で敵わず、参考人招致で押し切られたのだろう。加計学園獣医学部新設認可に関して安倍晋三の私的な政治関与が疑われている点については「獣医学部の新設については、プロセスにおいて、関わった民間人からは『一点の曇りもない』との明確な発言がある。また、文部科学省の前川前事務次官も含めて、私から指示を受けたという方は1人もいない」を自身の身の潔白を主張する常套句としているが、全くの潔白であるなら、事実と異なる発言は偽証罪に問われることになる証人喚問であっても、後ろ暗い事実は出したくても出てこないはずだが、証人喚問で堂々と受けて立つ姿勢は一向に見せず、あくまでも虚偽証言が許される参考人招致で押し通す。

 いわば自民党は堂々と受けて立つ姿勢を見せるどころか、安倍晋三の「一点の曇りもない」発言に反して逃げの姿勢を見せていることになる。この違いは安倍晋三が常々主張している「一点の曇りもない」はあくまでも第三者の証言を借りた身の潔白であって、自身の誓いという形を取った身の潔白とすることのできない違いに対応しているのかもしれない。

 柳瀬唯夫は10日の衆院予算委員会で自身の参考人招致が決まったことについて5月7日夜、記者の問いに「誠実にしっかりと国会で話したい」と述べたという。

 但し愛媛県文書に「柳瀬首相秘書官の主な発言(総理官邸)15:00」の一つとして、〈本件は、首相案件となっており、内閣府藤原次長の公式のヒアリングを受けるという形で進めていただきたい。〉と記されている発言を記者が認めるのかと質問したのに対して柳瀬唯夫は何も答えなかったという。

 要するに「本件は、首相案件」なる発言をしたかどうかについては「誠実にしっかりと国会で話したい」とは言わなかった。

 柳瀬唯夫は自身の参考人招致2017年7月24日の衆院予算委、翌日2017年7月25日の参院予算委では「記憶にない」を理由に首相官邸での今治市職員との面会は否定していた。

 対して今度の参考人招致では従来の答弁が虚偽にならないよう整合性を持たせるために面会の際に愛媛県や今治市の担当者は学園事務局長の後ろにいて記憶に残らなかったと説明する方向で面会を認める対応で臨むことを5月2日の段階で自民党が決めたことをマスコミは伝えている。

 「本件は、首相案件」と発言したとされていることに関してはどういった対応で臨むかはマスコミは何も触れていなかった。

 柳瀬唯夫が参考人招致は決まったものの、「本件は、首相案件」なる発言については何も答えなかったことと自民党が5月2日の段階で参考人招致にどのような対応で臨むかを決めていたことと考え併せると、柳瀬唯夫が5月10日の参考人招致でどう対応するのか、おおよその予想がつく。

 「本件は、首相案件」に関しては愛媛県文書が公表された4月10日、柳瀬唯夫は「記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはない。私が外部の方に対して、この案件が首相案件になっているといった具体的な話をすることはあり得ない」といったコメントを出している。

 前者の件については加計学園事務局長と面会しことは記憶しているが、愛媛県や今治市の担当者と面会した記憶がなかったのは加計学園事務局長の後ろにいて気づかなかったからだと答え、後者の「首相案件」なる発言に関しては「私が外部の方に対して、この案件が首相案件になっているといった具体的な話をしたことは一度もない」と明確に記憶していることとして否定して、獣医学部認可に何の問題もない、「一点の曇りもない」で一件落着させる予定なのだろう。

 対して野党がどう追及するかである。

 2018年5月4日の当「ブログ」に面会の際に愛媛県や今治市の担当者は学園事務局長の後ろにいて記憶に残らなかったとするのは愛媛県職員と今治市職員とは名刺交換も自己紹介もしない「名乗らない存在・発言もしなかった存在」と扱うことになると、その矛盾点を衝いた。

 記憶に残らなかったを結構毛だらけ猫灰だらけ扱いにしたとしても、愛媛県と今治市の担当者が加計学園事務局長の背後にいたという三者の位置関係(=三者の立ち位置)をいつ、どのようなキッカケで知ることになったのかという疑問が生じる。前回の参考人招致のときはその位置関係が記憶になかったことは国会答弁から明らかである。

 4月10日に愛媛県文書が公表された際、同じ日に「記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはない」とコメントしている以上、愛媛県文書公表の4月10日時点で三者の位置関係について知ったわけではないことも明確である。

 愛媛県文書とほぼ同内容の、内閣府から文科省に当てたメールが文科省で見つかり、さらに農水省でも見つかったことがキッカケとなって記憶を蘇らせ、知ることになったのだろうか。

 何しろ加計学園事務局長の背後に隠れるように突っ立っていて、「名乗らない存在・発言もしなかった存在」であった。何らかのキッカケがない限り、三者の位置関係を認識することは不可能である。

 そのキッカケにしても、自分一人の力でつくり出したのか、誰かの助けを借りた結果なのか、そういったことも明らかにしなければ、柳瀬唯夫の参考人招致を受けた国会答弁が作り話なのかどうかも判断できないことになる。

 例えばキッカケが後者である場合、加計学園事務局長と面会したのは記憶していたことになるから、予想されるのは事務局長への問い合わせである。問い合わせたところ、「記憶していなかったようですが、私の後ろに愛媛県と今治市の担当者が控えていました」といった返事を得て三者の位置関係を知るに至った。だから、愛媛県と今治市の職員と面会したことは記憶になかったのだと納得させなければならない。

 但しどのようなキッカケで三者の位置関係を知るに至ったとしても、あるいは記憶に蘇らせることになったとしても、愛媛県今治市が国家戦略特区に指定されて、その特区活用で愛媛県と今治市が今治市での獣医学部新設を国に提案、その提案を受けて国家戦略特区諮問会議が愛媛県今治市での獣医学部新設の是非を議論したのである。加計学園を事業主体とする獣医学部新設を議論したわけではない。一度も議論していない。

 このような三者の位置関係からすると、柳瀬唯夫との首相官邸面会時の三者の位置関係(=三者の立ち位置)と微妙にズレが生じることになる。

 上記当ブログには、〈愛媛県も今治市も加計学園に対して獣医学部新設に関して多額の補助金を出す身であり、今治市が無償譲渡した評価額36億円以上もする土地に獣医学部の建物を建てることになっていた関係から、加計学園事務局長が両自治体の顔立てなければならない立場にある以上、加計学園事務局長だけが名刺交換と自己紹介を行ったとすると余りにも不自然となる。〉と書いたが、いわば首相官邸面会時に
実際の三者関係とは異なって三者をこのような位置関係・立ち位置にさせていること自体の矛盾を追及しなければならない。

 いずれにしても、安倍晋三側は参考人招致の衆院予算委で柳瀬唯夫に愛媛県と今治市の担当者と首相官邸で面会したことは認めさせるだろうが、愛媛県文書に面会と同じく事実あったこととして記載されている「本件は、首相案件」なる発言を認めることは譲ることのできない一線とするだろう。

 柳瀬唯夫の参考人招致で予想されるこのような安倍晋三側の守りに対してその守りのどこをどう突いて、以上見てきた矛盾や疑問が政治関与の犯罪事実によって出来していることを証明できるかであり、その一点にかかっていることになる。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする