OECD調査「幸福度指標」で教育が2位でありながら、国民生活の豊かさを実現できない矛盾

2013-06-01 09:48:17 | Weblog

 〈OECD=経済協力開発機構が先進国や新興国、合わせて36カ国を対象に調査した国民生活の豊かさ、いわゆる幸福度を表す指標で、日本は全体の21位〉で前年と変わらなかったと次の記事が伝えている。

 《幸福度 日本は前年と同じ21位》NHK NEWS WEB/2013年5月29日 6時11分)

 この調査は「住居」、「収入」、「雇用」、「安全」等、11の分野で国民生活の豊かさを纏めたものだという。

 指標ごとの順位

 総合順位      安全        教育         収入
1位  オーストラリア  1位 日本      1位 フィンランド  1位 アメリカ
2位  スウェーデン   2位 カナダ     2位 日本      2位 スイス
3位  カナダ      3位 ポーランド   3位 スウェーデン  3位 ルクセンブルク
4位  ノルウェー    4位 イギリス    4位 韓国      4位 ベルギー
5位  スイス      5位 オーストラリア 5位 ポーランド   5位 カナダ
6位  アメリカ                          (6位  日本)       
7位  デンマーク
8位  オランダ
9位  アイスランド
10位  イギリス
(21位  日本

 住居           健康        ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)
1位 アメリカ     1位 ニュージーランド     1位 デンマーク
2位 カナダ      2位 オーストラリア      2位 オランダ
3位 アイルランド   3位 スイス          3位 ノルウェー
4位 オーストラリア  4位 カナダ          4位 ベルギー
5位 ノルウェー    5位 イスラエル        5位 スペイン
(25位  日本)    (29位  日本)        (34位  日本

 「教育」が2位ということは日本人は頭がいいということなのだろう。最も安倍晋三の頭の程度を見ていると、例外のない法則はないを思い知らせてくれる。

 「安全」が1位ということは犯罪が少ないということで、犯罪が少ないことは、また、権利意識の弱さの反映でもあるはずだ。

 勿論、犯罪は間違えた、歪んだ権利意識の行動化だが、権利意識の反映であることに変りはない。と言うことは、「安全」が1位ということは権利意識の行動化表現の一つであるデモが最もかどうか分からないが、かなり少ない国と言うことができるはずだ。

 但しかつては賃上げ闘争とか待遇改善とかの決まりきったスローガンを掲げた労働組合お抱えのデモは頻発していた。これは自分から行動を起こすのではない、上から言われたから行動を起こす他律的な権利意識の行動化であって、自律性という点で満足な権利意識の表現とは言えない。お任せ民主主義と言われる理由の一つがこういったところにあるはずだ。

 その反対に身近な我慢ならない不正や我慢ならない不利益とかの個別の問題に対して個別ごとに自律的に自らの権利を主張して行動を起こす市民デモ、その代表例が昨年夏から始まって現在でも続いている首相官邸周辺や日比谷公園へと押しかける反原発デモだが、あるいは仲間(=共通利害者)を集めて小規模に行動を起こす草の根デモはごく最近の現象で、デモという権利意識の行動化にも現れているように日本人の自律的な権利意識の表現は成熟化に向かって未だ発展途上にあるはずだ。

 当然、権利意識の自律的な強まりに対応して間違えた、歪んだ権利意識の行動化も強まっていき、犯罪は少なくとも凶悪化へと進んでいくと考えている。

 日本は36カ国中、「教育」2位の高成績に対して、「住居」25位、「健康」29位、「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」34位の貧しい生活状況を示している。そして「安全」1位や「教育」2位、「収入」6位が順位上げに貢献しているのだろうが、「総合」でそれでも36カ国中、下位から16番目の21という名誉ある地位を占めている。

 こうも見ることができる。「収入」が36カ国中第6位の上位にありながら、「住居」25位、「健康」29位、「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」34位の貧しい生活状況下の暮らしを強いられている。

 これをどう解釈するかである。先進国や新興国合わせた36カ国中第2位の日本の教育の力は一部の国民が持っているものではなく、政治家や官僚を含めた国民が総体的に持っている教育の力であろう。だが、その強力な教育の力を以てしても、「住居」や「健康」、「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」といった国民生活の豊かさの指標となる各生活場面を教育の力にふさわしい形で実現できないでいる。

 政治家や官僚がその教育力を生かし切れていないといないと見るか、日本の国民が持っているとされている教育の力が各生活場面の豊かさを実現するに力となる教育内容ではない、つまり様々な創造性を生み出す教育の力となっていないと見るか。

 後者であるなら、前者を当然の結果とするが、それでも政治家や官僚の教育の力がより直接的に関わっている日本の教育力に反する国民生活の実質面での貧しさであるはずだ。

 この論理に妥当性があるとしたら、日本の2位に対して「教育」1位のフィンランドにも一定程度当てはめることができることになる。

 「総合」
 フィンランド11位
 日本    21位

 「住居」
 フィンランド13位
 日本    25位

 「健康」
 フィンランド20位
 日本    29位

 「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」
 フィンランド12位
 日本     34位

 上記「NHK NEWS WEB」記事には紹介されていなかったが、

 「生活満足度(Life satisfaction)」
 フィンランド 7位
 韓国    26位
 日本    27位

 フィンランドにしても、国民が持つ36カ国中1位の教育力を国民生活の豊かさの実現に十分に生かすことができているとは言えないことになるが、少なくとも日本よりもより多く生かしているとする論理を成り立たすことができることになる。

 その他にも人種の多様性の有無とか人口とか、国民性とか様々な問題も関わっているランク付けだと思うが、残る問題は読者自身がこのような解釈に納得するかどうかである。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする