安倍晋三の国会が終了してから説明責任だ、信なくば立たずだの謙虚な姿勢を見せる口車に乗せられるな

2017-06-20 11:31:53 | 政治

 安倍晋三が193回通常国会終了を受けてなのか、森友問題疑惑、加計学園疑惑からの追及をうまく逃げおおせた記念なのか、2017年6月19日に首相官邸記者会見室で、厚化粧で美人に見せる手管さながらの例の如くの口達者で有能な政治家に見せる会見を開いた。   

 安倍晋三「4年前、政権奪還後の最初の通常国会において私は、建設的な議論を行い、結果を出していこう、こう各党各会派に呼び掛けました。

 その原点は今なお変わることはありません。

 しかし、この国会では建設的議論という言葉からは大きく懸け離れた批判の応酬に終始してしまった。政策とは関係のない議論ばかりに多くの審議時間が割かれてしまいました。

 国民の皆様に大変申し訳なく感じております」

 質問には満足に答えずに詭弁と強弁を使いこなして、各政策がタテマエとしている趣旨を長々と垂れ流す答弁を得意技とし、最後は数の力で押し切る強権手法を最終手段としている、建設的議論には無縁な安倍晋三が「建設的議論」を言う。

 ウソつきが正直とは何かを説教するのに似ている。

 そして国会が終わったことをいいことに国民に「大変申し訳なく感じております」としおらしく謝罪する。口車に乗せられてはいけない。

 安倍晋三「印象操作のような議論に対して、つい、強い口調で反論してしまう。そうした私の姿勢が、結果として、政策論争以外の話を盛り上げてしまった。深く反省しております」

 印象操作とは相手の印象を故意に貶めて何らかの不利益を与え、自身は何らかの利益を得る、あるいは故意に相手の印象を高めて、高めた相手共々何らかの利益を得ることを言う。

 後者の場合は安倍晋三シンパのマスコミが安倍晋三を必要以上に持ち上げて人気を高めようとするのによく使う。

 安倍晋三は野党の安倍晋三に対する追及を印象操作だとしているが、もしそれが事実印象操作であったなら、前者後者いずれの印象操作であっても同じだが、事実を曲げる、あるいは安倍晋三の実像を曲げる言葉の操作となるから、自ずと言葉に合理性を欠くか、あるいは言葉がつくり出す事実の提示に合理性を欠くことになる。

 その点を突けば、単に言葉を操作することでつくり出している事実や実像に過ぎない悪意ある印象操作であることを相手にも周囲にも知らしめることができるはずだが、安倍晋三は「印象操作だ、印象操作だ」と言うだけ、頭に血を上らせてカッとなって余分なことを言うだけで、満足に反論できない。

 逆に相手に対して事実を突いている印象を与えて、追及がより厳しくなる。

 要するに野党の追及を印象操作だと決めつけて、満足に反論できないところに問題がある。安倍晋三に何ら後ろめたいところがなく、公明正大で、野党の追及が事実印象操作なら、カッカして、「強い口調で反論」する必要などどこにもない。

 それを必要とするのは、何か後ろめたいとことがあって、公明正大でも何でもないからだろう。にも関わらず、「深く反省しております」などとしおらしさを見せる。ああ、反省しているんだななどと、口車に乗せられてはいけない。

 安倍晋三「国家戦略特区をめぐる省庁間のやり取りについて、先週、文部科学省が徹底的な追加調査を行った結果、新しく見つかったものも含め、文書を公開しました。これを受け、内閣府の調査も行い、関係する文書等を明らかにしました。

 しかし、最初に調査した段階では、それらの存在を確認できなかった。二転三転した形となり、長い時間が掛かることとなりました。こうした対応が、国民の皆様の政府への不信を招いたことは、率直に認めなければなりません。

 信なくば立たずであります」

 ここでも殊勝にも反省を見せている。最初の調査では文書は確認できないとし、文書を加計学園獣医学部新設決定を中傷する類いの怪文書に過ぎないと逆に野党を批判した。野党の追及をかわしきれなくなったわけではなく、それに終わりをつけようとして再調査して文書の存在を明らかにした。

 最初の調査で存在していた文書を確認できなかったとしたこと自体に問題があるとすることができない。文書は最初から存在していたのだから、最初の調査の段階で徹底的に調査する姿勢がなかった。

 隠す意図がなければ、調査したが、文書は確認できなかったという事実を創り上げることはしない。但し二度目の調査で文書の存在を明らかにしたから、安倍晋三の政治的関与疑惑・口利き疑惑を事実ではなかったことの証明とすることはできない。

 最初の調査では文書の存在自体を隠す意図があった。二度目の調査で文書に書いてある事実を隠す意図で文書の存在を明らかにしたに過ぎない。最初の調査で文書は確認できなかったとしたことが疑惑が事実であることを証明しているにも関わらず、「事実ではない」の一点張りで逃げ切った。

 安倍晋三の殊勝気な反省の弁の口車に乗せられてはいけない。口車に乗せられたら、いともたやすく騙される国民に成り下がることになる。

 「信なくば立たず」という言葉は政治家が国民の信頼を自らの政治遂行の重要な動因とすることの国民との契約を言う。

 契約としない如何なる政治家も「信なくば立たず」という言葉を口にする資格はない。

 安倍晋三は多くの法案を国民の大多数が反対するにも関わらず、数の力で押し切ってきた。例えば2015年9月成立の安全保障関連法案は多くの世論調査が政府の法案の説明が「不十分」との回答が7~80%、今国会での成立方針に「反対」が60%前後を占めていたにも関わらず、数の力を用いた強行採決で可決成立させた。

 今国会最終盤で成立させた「テロ等準備罪」は、監視社会化する危険性を抱えているにも関わらず、安倍晋三こそテロ対策という印象操作で賛成と反対を拮抗させることに成功していたが、審議時間の過不足については不足が70%前後、参院で同法の委員会採決を省略した与党の国会運営に関しての批判が同じく70%前後を占めて、その遣り方に国民は信頼を示していなかった。

 加計学園安倍晋三疑惑に関しても多くの世論調査が政府の説明に納得がいかないが7~80%も占め、尚且つ国民の多くが真相を明らかにするために参考人招致や証人喚問を求めていながら、何一つ応じない安倍晋三の姿勢は国民の信頼を失い、内閣支持率を下げる原因の一つとなった。

 要するに安倍晋三は国民の信頼を政治遂行の動機づけとしていないにも関わらず、「信なくば立たず」と、恰も国民の信頼を政治遂行の重要な動機づけにしているかのようにゴマカシている。

 自分がやっていることと言葉で言っていることが大きく乖離していることも省みずに立派な言葉を口にする。この図々しさ、無神経が日本人の喉元通れば熱さ忘れる、熱しやすく冷めやすい国民性を利用して、ちょっと景気の良い経済の話をすれば、国民はそっちに顔を向ける、少しぐらい内閣支持率が落ちても、すぐに上げることができると高をくくる神経へと発展しているに違いない。

 くれぐれも安倍晋三の口車に乗せられてはならない。安倍晋三の政策が口車に乗せるだけの政策だから、見た目の統計の良さを挙げてアベノミクスが成功しているかのように吹聴してはいるが、その統計に反して、国際通貨基金(IMF)は〈日本経済は個人消費や企業の投資が弱すぎると指摘、正社員と非正規労働者の間に広がる賃金格差などを是正し、働く女性や高齢者をさらに増やす構造改革に踏み込むべきだ。〉(NHK NEWS WEB)との日本経済の1年の総括を行わなければならなかった。  
 
 くれぐれも安倍晋三の口車に乗せられてはいけない。バカを見るのは国民である。

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推論:萩生田光一の鶴の一声が文部省側に加計学園獣医学新設を可能とする“広域的に”という条件を飲ませた

2017-06-19 12:52:35 | 政治

 【謝罪】

 6月16日(2017年)の参院予算委での福山哲郎の質疑を取り上げた翌6月17日(2017年)エントリの当「ブログ」記事について3個所の誤りがあり、訂正し、謝罪します。
   
 1個所目は、〈「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り獣医学部の新設を可能とするための関係制度の改正を直ちに行う〉ことを決定した国家戦略特区諮問会議の開催日を「2016年11月19日」と記載しましたが、「2016年11月9日」の誤りでした。訂正しておきましたが、謝罪します。

 6月1日(2017年)の当ブログ記事では「2016年11月9日」としていたのですが、コピー間違いでした。

 2個所目からは、藤原審議官の発言、「これは昨年の10月28日(12月28日から訂正)に獣医師養成系大学のない地域に於いてという原案を文科省に提示したのが10月28日(12月28日からの訂正)でございます。31日に文科省から意見の提出があり、11月1日(1月1日からの訂正)にはワーキンググループと文科省との折衝を行いました」。以上です。

 間違った情報を伝えることになって、重々謝罪します。

 昨日の日曜日の夜、寝る前に録画しておいたフジテレビ「新報道2001」を見ていたら、上記6月16日参院予算委で福山哲郎の質問に答えて獣医学部新設に関わる国家戦力特区案に「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り」と条件が変更されたことに関して官房副長官の萩生田光一が「私が修正の指示を出したことは全くございません」と答弁していた動画を流していた。

 一方で特区担当の山本幸三が原案を修正したのは自分で、藤原審議官が山本幸三の指示で自分で書き入れたと答弁している動画を伝えていた。

 山本幸三「『広域的に』、『限り』と言うことは私の指示で内閣府にて入れました」

 藤原審議官「『広域的に』、『限り』を追記するようにというご指示を受けまして、私が手書きでこの文案に修正を加えました」

 ネットで調べたら、上記参院予算委員会の開催日と同じ日の参院内閣委員会の発言のようだ。

 要するに山本幸三が原案を修正する文言の指示を藤原審議官に出して、藤原審議官が手書きで修正文字を入れたことになる。

 6月17日の当ブログで取り上げた6月16日参院予算委でも藤原審議官は福山哲郎の質問に答えて同じ趣旨の答弁をしている。そ発言を改めて書き記してみる。

 福山哲郎「藤原審議官、この文案に『広域的に』という手を加えてくれというのは萩生田副長官から指示をして、文科省にお願いをしたことがありますか」

 藤原審議官「これは昨年の10月28日に獣医師養成系大学のない地域に於いてという原案を文科省に提示したのが10月28日でございます。31日に文科省から意見の提出があり、11月1日にはワーキンググループと文科省との折衝を行いました。

 その際山本大臣が文科省意見で指摘された日本獣医師会等の理解を得る観点から対象地域をより限定するご判断をされまして、広域的に限るとという区域にするようにとのご指摘を受けまして、私が文案に手書きで修正を加えた次第であります」

 この発言を纏めてみると、11月1日にワーキンググループと文科省との折衝を行った際に山本幸三から指示を受けて藤原審議官が手書きで修正を加えたということになる。

 だが、文科省が追加調査で新たに見つかったと公表してたメールには、〈指示は藤原審議官曰く、官邸の萩生田副長官からあったようです。〉と書いてある。萩生田光一、山本幸三、藤原審議官がウソをついているのか、あるいは真っ当なまでに事実を事実通りに発言しているのか、いずれなのだろうか。

 文科省が新たに公表したメールと原案に修正を加えた文書を「民進党福山哲郎2017年6月16日参院予算委質疑配付資料」添付の画像から文字起こししてみた。赤字個所が手書きでの入力、下線個所が手書きで文字に横線が入れているか、斜めに二重線を入れていて、文字の消去を意味させることにする。 

 「⑪関連資料 文科省修正案」

○先端ライフサイエンス研究や地域における感染症対策など、新たなニーズに対応する獣医学部の設置

既存の大学・学部では対応が困難な獣医師養成の構想が具体化し、人獣共通感染症を始め、家畜・食料等を通じた感染症の発生が国際的に拡大する中、創業プロセスにおける多様な実験動物を用いた先端ライフサイエンス研究の推進や、地域での感染症に係る水際対策など、、獣医師が新たに取り組むべき分野における具体的な需要に対応可能とするため、近年の獣医師の需要の動向も考慮しつつ、全国的見地から、現在、広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域において限り獣医学部の新設を可能とする認めるため、関係制度の改正を直ちに行う。

【修正理由】

 原案では、原案を含む構想を提案する大学はすべて新設可能となるため、日本再興戦略改定2015の趣旨を踏まえ、特定事業者に求められるう要件を明確化する必要があるため。

 ※上記修正案は、以下の対応がなされることを前提したものであり、内閣府において関係省庁を調整いただきたい。

 (1)告示の改正後、公募前までの間に、内閣府、文部科学省、農林水産省、厚生労働省において、特定事業者に求められる要件について定め、公募すること。

 (2)獣医師の需給を所管する農林水産省及び厚生労働省において、今後の獣医師の需要の動向を明らかにした上で、それに照らして今治市の構想が適切であることを示すとともに、当該決定に記載の「獣医師が新たに取り組むべき分野における具体的な需要」を踏まえ、新設可能な獣医学部の規範を示すこと。

 (3)早期の獣医学部新設を円滑に進めるためには、日本獣医師会等の関係者の十分な理解と協力が得られるよう、農林水産省及び厚生労働省において、責任を持って意見調整を行うこと。

 〈【修正理由】〉以下、最後の文言〈責任を持って意見調整を行うこと。〉までを消去を示すためにだろう、右から左に大きく1本だけ斜めに線が入れてある。

 次が内閣府から文科省に当てた上記PDF記事画像からの文字起こし。山本幸三が文科省から出向の職員が「影で隠れて文科省にご注進に及んだ」と貶めたメールである。
文飾は当方。

 
2016年11月1日火曜日14:51

【内々に共有】獣医学部のWGについて

行革室■様 ←内閣府■

お疲れ様です。

標記の件、内々に共有します。

まず、10:45に文科省と藤原審議官の間で内々に事務打合せがあり、
佐藤参事官と私も同席しましたが、修正案(添付の手書き前の状態)
について、
日本語の観点の修正や、冒頭の「既存の~」については、文科省の方で根拠を
立証できないと、記載するのは難しいのではないか、と指摘あり。
修正案の前提については、
 (1)→了承。
 (2)→文科省と農水省で要相談。
 (3)→同上。
という状況です。

打合せの後の原委員とのWGについては、添付概要の通りとなります。
 (修正文案途中なことを踏まえた上で、あくまで惰報共有のためのWGといった体です)

その後、藤原審議官から再度文科省とのみ打合せ依頼がありましたので、
そのまま別室で打合せして、添付PDFの文案(手書き部分)で直すように指示がありました。

指示は藤原審議官曰く、官邸の萩生田副長官からあったようです。

現在、専門教育課は修正の通リに文章を修正し、15:00から文科犬臣レクの模様です。
-応、レク後の修正文案を内閣府に報告するようにするとのことです。
 (浅野課長の感触では、文科省としてはこれでOKだと思うとのこと。)

【農水省の対応状況】(※農水省Lに内々に確認しただけなので、厳秘)

 メールの最初の方(文飾部分)〈修正案(添付の手書き前の状態)について〉との文言が入っているから、最初に挙げた「⑪関連資料 文科省修正案」がメールに添付された文書であり、ここで言っている「修正案」は「⑪関連資料 文科省修正案」を指していることが分かる。

 と言うことは、当たり前のことだが、先に挙げた手書きが入った文書は修正案の修正案ということになる。それはメール途中少し下(文飾部分)の〈添付PDFの文案(手書き部分)で直すように指示がありました。〉との文言が証明することになる。

 メールの最初の方(文飾部分)に、〈まず、10:45に文科省と藤原審議官の間で内々に事務打合せがあり、
佐藤参事官と私も同席しましたが、〉
とあるから、内閣府から文科省の「行革室」宛てたメールによるこの報告は文科省(専門教育課長浅野敦行が出席している)と藤原審議官と佐藤参事官とメール発信者が事務打ち合わせの会合を持ち、そこでの打ち合わせ内容と言うことになる。

 そして〈添付PDFの文案、(手書き部分)〉と言っていることは、〈PDFの文案〉は打ち合わせの会合で配布された文書であって、それをメールに添付して文科省の「行革室」に送信したから、このように表現したということになる。

 打ち合わせはこれだけでなく、さらに〈その後、藤原審議官から再度文科省とのみ打合せ依頼がありましたので、〉と、二度目の打ち合わせがあったことを記している。

 なぜ藤原審議官は再度文科省とのみ打合せを依頼しなければならなかったのだろう。

 メールの発信日時は、2016年11月1日火曜日14:51。最初の打ち合わせの開始時間は、10:45

 最初の打ち合わせが何時に終わったか分からないが、〈打合せの後の原委員とのWGについては、添付概要の通りとなります。
 (修正文案途中なことを踏まえた上で、あくまで惰報共有のためのWGといった体です)〉と、〈修正文案途中〉という表現で交渉が難航していて、まだ結論が出ていないことを示している。
 
 さらに〈現在、専門教育課は修正の通リに文章を修正し、15:00から文科犬臣レクの模様です。〉と、文科相の松野博一を納得させるためにと言うか、観念させ、諦めさせるためにと言うか、打ち合わせで決めたことを説明するための面談を午後3時に取ったということは、2度目の打ち合わせで結論が出たことを示している。

 このことを考慮しながら、2度目の打ち合わせ中に、〈添付PDFの文案(手書き部分)で直すように指示がありました。指示は藤原審議官曰く、官邸の萩生田副長官からあったようです。〉なる文言が出てくるところを見ると、1度目と2度目の打ち合わせの間に藤原審議官が誰かに指示を仰いだことになる。

 その誰かはメールの文面からすると、萩生田光一と言うことになる。

 萩生田光一だと推論することのできる理由をもう一つ挙げることができる。

 なかなか決着がつかない交渉の場合はそれがトップ会談でなければ、文科省側の打ち合わせ出席者である専門教育課長浅野敦行にしても、内閣府側の出席者の責任者である藤原審議官にしても、途中でより上の地位の者に指示を仰ぐ。文科相側のトップは文科相の松野博一。内閣府側の国家戦略担当のトップは山本幸三。

 二人の力関係は1度目の交渉が難航していたことから窺うと、対等か、それ程上下差がないと見ることができる。力関係に大きな差があったなら、1度目で決着がついていたろう。

 2度目の打ち合わせで安倍晋三の腰巾着であり、腹心の萩生田光一が出てきた。鶴の一声だった可能性がある。

 萩生田光一の原案修正の声が出て、文科省側出席者の専門教育課長浅野敦行は松野博一に携帯で知らせたはずだ。

 松野博一は相手が萩生田光一ということで受け入れざるを得なかった。受け入れたからこそ、〈現在、専門教育課は修正の通リに文章を修正〉と、修正に取り掛かることができ、その結果、15:00から文科犬臣レクの模様です。〉と、レクの時間を設定することができた。

 〈(浅野課長の感触では、文科省としてはこれでOKだと思うとのこと。)〉と言っていることは、文科相の松野に電話を入れていなければ言えない言葉であろう。松野の積極的な了承でないから、〈OKだと思う〉と推測語になったはずだ。

 あくまでも推論に過ぎないが、1回目の打ち合わせで難航していた交渉が2度目で急転直下したのは安倍晋三という虎の威を借りた萩生田光一という悪の実力者が表に出てきたからだろう。「総理に逆らうのか」ぐらい言ったのかもしれない。

 萩生田光一の指示で藤原審議官が原案に手書きで修正文を書き入れることになった。

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加計学園安倍晋三政治関与疑惑の追及を「ゲスの勘繰り」と言うなら、第三者委員会を設置して公平に判断させろ

2017-06-18 09:37:47 | 政治

 安倍晋三が30年来の腹心の友人だと自ら公言している加計学園理事長加計孝太郎のために愛媛県今治市への国家戦略特区指定と指定を手続きとした加計学園獣医学部新設に政治的な便宜供与を図ったのではないかとの疑惑が浮上し、国会での野党の追及に対して疑惑は益々深まるばかりだが、疑惑解明にまで至っていない。

 安倍晋三側答弁のように疑惑など存在しないのか。但し連中は安倍犯罪容疑グループのメンバーである。メンバー同士が示し合わせてか、あるいは以心伝心でか、庇い合い、口裏を併せていてなかなかシッポを出さないということもある。 

 このような野党の動きに対して自民党副総裁高村正彦が2017年6月16日の党役員連絡会で「加計学園の問題は岩盤規制に政治主導で穴を開けた立派な決定だというのが本質だ。しっかり説明し、野党の一部が言い張るゲスの勘ぐりを払拭(ふっしょく)してほしい」と述べたと「毎日新聞」が   

 「ゲス」(下司)とは「goo辞書」によると、「心根の卑しいこと。下劣なこと。また、そのようなさまやその人。身分の低い者」と解説されている。

 「勘ぐる」とは「あれこれ邪推して悪いように当て推量すること」

 いくら野党とは言えども、国民の選択を受けた国会議員を「ゲス」と表現する。ゲスを選択した国民は同類と言うことなのだろうか。それ以下だと言うことなのだろうか。

 逆に野党議員をゲスと言う高村正彦は自身を何様に置いていることになる。自身を何様だと思っているから、野党議員がゲスに見える。安倍晋三の驕(おご)りが乗り移っったのか、相当に驕っているようだ。

 驕っていなければ、野党議員を「ゲス」に見立て、安倍晋三政治関与疑惑の追及を「勘ぐり」などと侮蔑しないだろう。

 もし実際に加計学園獣医学部新設決定に安倍晋三が自らの政治的立場を利用して便宜を図ったのではないかとの疑惑が単なる疑惑ではなく、真正な事実だとしたら、ゲスは安倍晋三自身となり、便宜供与に協力した閣僚や関係省庁の役人ということになる。

 どちらがゲスで、それが実際に邪推に過ぎないのか、国民の選択にも影響することになるから、疑惑を残さずにキッチリと晴らさなければならない。

 繰返しになるが、安倍晋三の疑惑を調査する閣僚や役人はいわば安倍犯罪容疑グループのメンバーたちである。仲間が仲間同士を、あるいは仲間の頭目を調べる。答は最初から見えている。

 当事者が当事者を調べるのではなく、当事者以外の外部の有識者による第三者委員会を設けて、公平・公正な調査を行うべきだろう。国民も納得するし、どちらがゲスなのか、邪推なのか、その判定もつく。

 自民党は2016年に東日本大震災発時の民主党政府の初動に関する検証チームを設置して調査している。また東日本大震災時の東電の福島原発事故に関して国会と政府、民間、東電自身の合計4つの事故調査委員会をそれぞれに設置して政府対応や東電側対応の是非を検証している。

 国家戦略特区を手続きとした加計学園獣医学部新設認定に「総理のご意向」が働いたのではないかと浮上することになった疑惑が関係省庁と関係者をどう動かして認定に至ったのか、「総理のご意向」という上からの力が働いた事実はなく、公平・公正な手続きによって認定に至ったのか、第三者委員会を設置しての調査に何の不都合もないはずだ。

 安倍晋三側も国会質疑応答の時間を疑惑追及に費やすこともなくなる。

 ゲスの勘繰りと批判を受けていた側が正当な批判だったことが明らかになるケースもある。ゲスの勘繰りと批判していた側が実際は不正を働いていて、それを言い逃れるために「ゲスの勘ぐり」だと相手を貶めて、さも不正を行っていないかのようにカモフラージュするケースもある。

 一方が「ゲスの勘ぐり」と言い、他方が「ゲスの勘ぐりとは何だ」と言っていても決着がつかない。どこに事実があるか、それを明らかにして幕引きを図るためにはやはり第三者委委員会設置が最良であろう。

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6/16参院予算委山本幸三の対福山答弁「陰で隠れて本省にご注進した」はメールを限りなく事実に近づける

2017-06-17 12:25:16 | 政治

 2017年6月15日の文科相松野博一の安倍晋三政治的関与疑惑加計学園関係文書の追加調査報告の記者会見で安倍晋三の腰巾着内閣官房副長官の萩生田光一が内閣府に対して獣医学部新設の応募を加計学園1校に絞るよう仕向けるメールと文書を公表した。

 このメールと文書を民進党サイトの「福山哲郎議員配布資料」記事が紹介していたから、ちょいと拝借、横長方形の囲み線を入れた「文科省修正案」なる題の文書には、〈現在、獣医師系養成大学等のない地域において獣医学部の新設を可能とする〉云々の個所を、〈現在、広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り獣医学部の新設を可能とする〉云々と、太字にして置いた文字が手書きで修正が加えられている。 
 メール文には、〈修正案(添付の手書き前の状態)について、日本語の観点の修正や、冒頭の「既存の~」については文科省の方で根拠を立証できないと、記載するのは難しいのではないか、と指摘あり。〉と記載してあるから、上記「文科省修正案」なる文書に関連して送信されたメールだということが分かる。

 更にメール文には、「指示は藤原審議官曰く、官邸の萩生田副長官からあったようです」と書いてあるから「文科省修正案」の作者は萩生田光一の指示を伝え聞いた内閣府の職員ということになる。

 内閣府から文科省に送信されたメールの日付は2016年11月1日となっている。8日後の2016年11月9日に国家戦略特区諮問会議が「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り獣医学部の新設を可能とするための関係制度の改正を直ちに行う」と決定したことを指すが、もしこの文書とメールが実存していたとなると、国家戦略特区諮問会議の決定ではなく、萩生田光一が先頭に立って文科省や農水省に根回しして原案を完成させ、国家戦略特区諮問会議が追認した加計学園獣医学部新設に向けた地域制限ということになる。

 民進党の福山哲郎が6月16日の参院予算委でこのことを追及している。不必要なところを省略しながら、簡単に質疑応答を追ってみる。

 福山哲郎「次のメールは11月日となっていて、(内閣府の)藤原審議官が文科省から打合せ依頼があって、添付PGFの文案を直すように指示がありました。『指示は藤原審議官曰く、官邸の萩生田副長官からあり』。次のページを見て頂くと、問題の京都産業大学が排除され、加計学園一本に絞られた。『広域的に』という文字がここに入っています。

 これは内閣府から文科省への報告のメールです。藤原審議官、この文案に『広域的に』という手を加えてくれというのは萩生田副長官から指示をして、文科省にお願いをしたことがありますか」

 藤原審議官「これは昨年の10月28日に獣医師養成系大学のない地域に於いてという原案を文科省に提示したのが10月28日でございます。31日に文科省から意見の提出があり、11月1日にはワーキンググループと文科省との折衝を行いました。

 その際山本大臣が文科省意見で指摘された日本獣医師会等の理解を得る観点から対象地域をより限定するご判断をされまして、広域的に限るとという区域にするようにとのご指摘を受けまして、私が文案に手書きで修正を加えた次第であります。

 こうした一連の情報は直属の部下である担当者にしか与えておりません。今回のメールの作成者・送信者は私の直接の部下ではございませんが、一切伝えないという状況でございます」

 最後に直接の部下以外は情報は一切伝えないと言っていることは、直接外の部下が勝手にメールを作成して送信したことになる。だとしても、「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域限定の獣医学部新設」という正式な提案なのか、正式な手続きを踏まない陰謀なのか、そういった形式は踏んだ内容のメールとなっている。

 福山哲郎「萩生田副長官、内閣府のメールでは藤原審議官が萩生田副長官から指示が出て、これを修正しろと言われたとここに書かれていますが、萩生田副長官はこのように指示を出されたことはありますか」

 萩生田光一「昨年11月9日の特区諮問会議で取り纏めた原案に私が修正の指示を出したことは一切ありません。昨日文科省が公表したメールにはですね、大変戸惑いを感じています。

 今朝公表された内閣府の調査に於いても当該メールを発信した職員は本件(国家戦略特区)の担当ではなく、関係する文書の手書き申請の打合せにも参加していない方が、メールに記載があるコメントについても担当者から伝え聞いた曖昧な内容であって、事実関係を確認していないままメールを発信してしまったと、報告があったと承知をしております」

 「関係する文書の手書き申請の打合せにも参加していない」担当者でない職員が「担当者から伝え聞いた曖昧な内容」を「事実関係を確認していないま」発信した文書やメールであったとしても、文書の手書きの修正箇所は2016年11月19日に国家戦略特区諮問会議決定の「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域限定」という制限の変更に忠実に反映されている。

 当然、打ち合わせに不参加で、直接の担当者ではないからと言って、あるいは「事実関係を確認していな」くても、「曖昧な内容」という批判は当たらない。

 福山哲郎「と言うことは、担当者でない職員が曖昧なことを書いたということでいいんですか。と言うことは、間違っているということでいいんですか。間違っているということでいいんですね』

 萩生田光一「今朝の内閣府の報告を私が伝え聞いたのを今私が加えただけで、私が修正を指示したことはありません」

 福山哲郎「とすると、このメールは完全に真っ向対立します」

 福山哲郎はメールは事実で萩生田がウソをついているか、逆に萩生田が事実を言っていて、文書やメールが事実でないか、確率としては諮問会議の決定とその決定に従った加計学園獣医学部新設認定が文書の修正を受けた個所の手順を踏んでいることを考えると、萩生田がウソをついていると可能性が高いと見るべきだが、そうは見ずに文科省の松野に「文科省に間違ったメールが来ていると言われてるんですが、文科大臣、どう見ます」と尋ねている。

 松野はメールの作成自体は内閣府となっているから、「内閣府にご確認頂きたい」と巧みに逃げてしまう。そこで藤原審議官を捕まえて問い質す。

 藤原審議官は、「メールの作成者は私の直接の部下ではない、私は萩生田副長官からの指示だと申し上げたことはない」と萩生田同様に巧みに逃げた。

 福山哲郎「1枚先程の文書に戻って頂きますか。『平成30年4月開学を前提、大前提に逆算して最短のスケジュール』、いわゆる加計学園を30年4月に開学したいということですが、先程藤原審議官、この紙(文書)については紙は残っていない、よく分からないと言われていますが、実は前川前事務次官はこれによって今後のスケジュールが覆されたと言われております。

 そこにはもう今治と書いてあるんですね。完全に今治を想定したスケジュールがあって、前川前事務次官は内閣府にこれを書かされたと今あっちこっちで証言されております。藤原さん、この最短のスケジュールを作成して頂きたいというのは文科省から言われました?」

 藤原審議官に尋ねたが特区担当の山本幸三が答弁に立つ。

 山本幸三「あのですね、こういうことは私が決めているのです。私に聞いて頂きたいと思います。この内閣府から文科省に出たメールでありますが、作った方がですね、うちの担当者じゃありません。

 ただ文科省から出向してきた方でありまして、これはまあ、不適切なことでありますが、陰で隠れて本省(文科省)にご注進したというメールであります。そういう意味で文書を随時確認して、そいう中ですね、作成したものではものではありません。

 平成30年4月ということについてはこれは明確に出したのは11月18日のパブリックコメント以降のことであります。それまで最大限早くとは常々言っておりますが、それまで決めたと言っていることはありません」

 福山哲郎「ねえー、自らの職員に向かって『影に隠れて』、ねえー、安倍政権は何か問題が起こると、必ず役人のせいにする。役人に責任を押し付ける。本当に森友学園のときの財務省も気の毒だった。今回の文科省も気の毒。でも、内閣府も皆さん、本当に気の毒だと思います」

 質問時間が終わりに近づいて安倍晋三に自身は関係を否定しているが、どう見ても総理の意向が働いた動きをそれぞれの文書は記しているののではないかといった趣旨の質問をすると、安倍晋三は岩盤規制を打ち破るだとか何だとか、逃げるための最良の手としている得意の話を原稿を読みながら、力強い声で朗々とぶち上げる局面に福山哲郎も聞いている者もぶち当たることとなった。

 山本幸三は「文科省から内閣府に出向してきた職員が陰で隠れて本省にご注進したというメール」だと言った。と言うことは、スパイしていたことになる。

 「陰で隠れて本省にご注進したということなら、スパイしていたことになります。何のためにスパイしていたのですか」となぜ問い返さなかったのだろう。山本は「そんなことは本人に聞いてくれと」答弁するかもしれない。福山は「常識的に考えると、文科省の利益に反することを内閣府が画策している。そこで内閣府の動きを『陰で隠れて』刻々とメールで『ご注進』に及んでいたということことになる。そして『ご注進』通りのメール内容で加計学園獣医学部認定に向かっていったということではないのか。と言うことは、スパイされた内閣府の動きは現実に存在した動きということになるが」と追及すべきだった。

 スパイとは自身、あるいは自らが所属するグループ、自陣営に不利益な動きをする他者、あるいはグループ、相手陣営の不利益な動きを密かに探って、その動きを自らの仲間に知らせる役目を負っている者で、動きを知らされた者たちは相手側に対抗するために不利益を利益に変える、ときには手段を選ばない方策を立てるための材料とする。

 実際にスパイだったとしたら、当初は獣医学部新設に反対していた文科省にとって内閣府の新設の方向に向けた動きは不利益そのもので、山本幸三が言うことと合致しないわけではない。だから、スパイを放った。

 だが、最終的には「総理のご意向」ということで、萩生田らに押し切られてしまったということなのだろうか。

 福山哲郎は山本幸三の発言を把えて、いつスパイだと分かったのか、スパイを放ったのは松野文科相か、文書の修正個所どおりに2016年11月19日に国家戦略特区諮問会議で決定がなされたのだから、なかなか腕の立つスパイだ、担当者から伝え聞いた曖昧な内容どころではない、事実関係を確認しなくても、内閣府内でメールどおりに実際の動きがあったからこそ、スパイはあの内容でメールが書けたのではないかと大事(おおごと)にすべきだった。

 何か道が開けたかもしれない。

 いずれにしても国家戦略特区諮問会議決定が文書の修正箇所の文言に添って動いていったことを押さえて置かなければならない。当然、「指示は藤原審議官曰く、官邸の萩生田副長官からあったようです」は限りなく事実に近づいていると見做さないわけにはいかない。

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加計学園文書:文科相、最初の調査では確認できなかった、再調査で確認は安倍晋三の政治的関与隠蔽の証明

2017-06-16 12:01:04 | 政治

 文科相の松野博一が2017年6月15日午後1時半過ぎから記者会見を開いて、5月19日の記者会見では一旦は調査によって存在は確認できなかったとしていた加計学園関係の文書の追加調査での一部存在を認めた。

 先ず文科省の松野博一が冒頭発言で追加調査に至った理由、今回の調査範囲、調査対象、ヒヤリング対象者の追加等を述べてから、民進党などが指摘した19の文書の内14の文書と同内容の文書を確認、2文書については確認できなかった、残り3文書については法人の利益に関わるという理由付けで、現在のところ、存否を含めて明らかにできないとした。

 この3文書についての発言。

 松野博一「なお三っつの文書については法人の利益に関わるものであり、慎重な対応が必要なことから現在のところ、存否を含め明らかにできないところでございます」

 法人には国家または公共の事務を行うことを存立の目的とする国や地方公共団体等の「公法人」と行政等の公共の目的以外の私的な目的のために設立される私法人(しほうじん)が存在する。

 松野が言っている「法人」が公法人なら、安倍政権の利益に関係するから「存否を含め明らかにできない」ということになり、「私法人」なら、加計学園の利益に関係するから、「存否を含め明らかにできない」と言うことになる。

 両方を含めた意味での「法人」と言うことなら、安倍政権と加計学園の利益に関係するから、「存否を含め明らかにできない」と言うことになる。

 いずれにしても、「存否を含め明らかにできない」と言っていることは、実際には存在すると言っていることになる。調査して存在が確認できなかったなら、「確認できなかった」と言えば片付くことであって、そう言うことができないことを示している。

 但し存在しながら、「確認できなかった」と言った場合、後で明らかにしなければならない事情が生じた場合や文科省内の誰かが内部告発でマスコミにリークした場合に備えなければならない必要上の苦肉の策が、「現在のところ」という条件付きで、いわば今後は明らかにするかもしれないという可能性に含みを持たせて、「存否を含め明らかにできない」と言わざるを得なかったということなのだろう。

 法人の利益を持ち出して、「現在のところ、存否を含め明らかにできない」としている一事を以てしても、安倍晋三の政治的関与を証明している。

 松野博一は最後に「文書は確認できなかった」とした前回調査結果を謝罪し、調査報告に関しては事務方の説明に任せてマイクの前から離れている。

 松野博一「前回調査はその時点に於いて合理的な調査であったと考えるものの、結果として前回調査以外の共有フォルダに於いて文書の存在が確認されるという、前回確認できなかった文書の存在が明らかになったことは大変申し訳なく、私としても、この結果を真摯に受け止めているところでございます。

 調査報告の内容に関しましては事務方に説明させて頂きます」

 「前回調査はその時点に於いて合理的な調査」と言っているが、前回調査で「確認できなかった」としていながら、今回の調査で19の文書の内14文書も、その存在が確認されたということは、それが一国の首相の政治的関与が疑われる案件であったとしても、厳正な調査でそれを明らかにするという厳しい態度を最初から有していたなら徹底的に調査をしたはずで、そうしていたなら、「文書は確認できなかった」という報告はあり得ないことになり、前回の調査報告で今回の調査結果とほぼ同様の答を既に出すことができていたはずだ。。

 要するに前回は徹底的に調査をするという姿勢を持っていなかった。その逆であるということは、前回調査は「文書は確認できなかった」という報告を出すことを目的としていたことになる。

 このことも安倍晋三の政治的関与を証明することになる。

 実際に安倍晋三の政治的関与がなかったなら、全ては逆を行っていたはずだ。

 当然、今回の報告がいくら“徹底的な調査”を装ったとしても、上記例から見ても、安倍晋三の政治的関与の隠蔽を目的とした追加調査ということになる。

 では、松野博一に調査報告の内容の説明を任せられた文科省大臣官房統括審議官の義本博司の発言の中から「獣医学部新設に係る内閣府の伝達事項」と題した文書に記されている「官邸の最高レベルが言っていること」についての説明と、「大臣ご確認事項に対する内閣府の回答」と題した文書に記されている「総理のご意向」についての説明を見てみることにする。

 義本博司「現在は細部まで覚えていないものの、文書の同内容を含むということは、あったとすれば、課長補佐以上が含むような案件でございますので、その文書は課長補佐、自分が作ったメモだろうと考えているということでございました。

 それから本文書について記述されている『官邸の最高レベル』というものが、この資料①にもございますが、書かれている文言がございますけども、これについては細部まで覚えていないものの、ここにそういう記述がある以上はこうした趣旨の発言があったものだということだと。

 但しその真意は分からない、どういうふうな相手がそういうふうなご発言であったか、真意については分からないということでした。

 それからこの文書を作った記載内容については、課長補佐の上司ですとか、協議先の相手に確認して発生したものではないというふうな断りを頂きました」

 先ず「官邸の最高レベル」という文言が記されている文書の全文を見てみる。太字は題名。

 〈獣医学部新設に係る内閣府の伝達事項

○平成30年4月開学を大前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい。成田市ほど時間は掛けられない。

これは官邸の最高レベルが言っていること。山本大臣も「きちんとやりたい」と言っている。文科省メインで動かないといけないシチュエーションにすでになっている。

○国家戦略特区における獣医学部新設に係る方針については以下2パターンが考えられる。(今週、来週での対応が必要)

・内閣府・文科省・農水省による方針を作成(例:成田市「医学部新設」)

・国家戦略特区諮問会議による方針の決定(例:「民泊」)※諮問会議には厚労大臣も出席。

○今治市分科会において有識者からのヒアリングを実施することも可能。
 
 (成田市分科会では、医師会は呼んでいないが、文科省と厚労省で選んだ有識者の意見を聴取(反対派は呼んでいない)。)

○獣医学部新設を1校に限定するかは政治的判断である。〉――

 文書全体を通して解釈したなら、「官邸の最高レベル」は安倍晋三であって、安倍晋三が平成30年4月の開学に間に合うように加計学園獣医学部新設の決定を急いでいるから、時代劇の悪家老か悪代官よろしく、「良きに図れ」と指図している構図と見ることができる。

 但し安倍晋三の意思を内閣府の誰が代わって「これは官邸の最高レベルが言っていること」と伝言役を務めたかは文書からでは明らかとならない。

 義本博司はこの点を利用する薄汚い情報操作を行った。文書全体を通した解釈は無視して「官邸の最高レベル」という文言だけを取り出し、伝言役の真意などどうでもいいことであるはずなのに、それを伝言した者の具体的な真意は分からないと説明した。

 そして文書をメモという形で作ったのは課長補佐であるが、「文書を作った記載内容については、課長補佐の上司ですとか、協議先の相手に確認して発生したものではないというふうな断りを頂きました」と回りくどい役人言葉を使っているが、要するに文書は課長補佐の上司や協議先相手に確認して、その指示に従って書いたものではない、つまり出所不明の文書とした。

 「官邸の最高レベル」という文言を伝言した者の真意は分からない、文書の出所も分からないからと言って、内容全体が示している不正行為を指示する文書ではないとすることはできない。

 得てして不正行為を指示する文書は露見した場合に備えて、責任を回避できるように、あるいは責任を最小限に留めることができるように、うまく立ち回ってトカゲのシッポ切りで最末端だけを犠牲にして上層部は逃げることができるように具体的な出所元を明らかにしないからだ。

 だが、義本博司は真意不明と出所不明とすることで、暗に不正行為を指示する文書ではないとする薄汚いゴマカシを働いた。

 このようなゴマカシを働かなければならない状況は実際には文書が不正行為を指示する内容であることを何よりも示すことになる。

 次に「総理のご意向」との文言のが入っている文書についての義本博司の説明を見てみるが、その文書を先ず記載してみる。 
 
 〈「大臣ご確認事項に対する内閣府の回答」

○設置の時期については、今治市の区域指定時より[最短距離で規制改革」を前提としたプロセスを踏んでいる状況であり、これは総理のご意向だと聞いている。

○規制緩和措置と大学設置審査は、独立の手続きであり、内閣府は規制緩和部分を担当しているが、大学設置審査は文部科学省。大学設置審査のところで不測の事態(平成30年開学が間に合わないこと)はあり得る話。関係者が納得するのであれば内閣府は困らない。

○「国家戦略特区諮問会議決定」という形にすれば、総理が議長なので、総理からの指示に見えるのではないか。平成30年4月開学に向け、11月上中旬には本件を諮問会議にかける必要あり。

○農水省、厚労省への会議案内等は内閣府で事務的にやるが、前面に立つのは不可能。二省を土俵に上げるのは文部科学省がやるべき。副長官のところに、文部科学省、厚生労働省、農林水産省を呼んで、指示を出してもらえばよいのではないか。

○獣医は告示なので党の手続きは不要。党の手続きについては、文科省と党の関係なので、政調とよく相談して欲しい。以前、官邸から、「内閣」としてやろうとしていることを党の部会で議論するな、と怒られた。党の会議では、内閣府は質疑応答はあり得るがメインでの対応は行わない。

○官房長官、官房長官の補佐官、両副長官、古谷副長官補、和泉総理大臣補佐官等の要人には、「1、2ヶ月単位で議論せざるを得ない状況」と説明してある。〉――

 内閣府の回答の最初の事項は愛媛県今治市への国家戦略特区指定時を起点に規制改革を名目として「最短距離」で獣医学部を設置認可する手続き(=プロセス)を取っているという意味であろう。

 そしてこのことは「総理のご意向だと聞いている」ということは、それが伝聞の形であったとしても、上から順番に下に向かってそういった指示が出されたことを意味する。

 以下の事項は「総理のご意向」を背景とした、その実現に向けたこまごまとした実現案となっている。この実現案から「総理のご意向」を抜かすわけにはできない。

 では、義本博司のこの文書についての説明を見てみる。

 義本博司「この文書については民進党から提出された文書と酷似している内容面でのものが教育専門家の国家戦略特区以外のフォルダに保有されているということが確認をされました。

 但しこの文書自身が見出しが付いているとか、下線が引かれているということで、民進党から頂いたものについては見出しとか下線がないという点に於いて形状構成が異なるということについては分かったということでございます。

  (中略)

 なおこの文書に於いては文書を作成したと考えられます専門教育課の担当の課長補佐にヒヤリングをを行ったところ、現在はこの文書の内容については当時の自分が作ったメモだろうというふうなことで、ここには『総理のご意向』というふうな文言がありますけども、この文書に記載されている以上はこうした趣旨のご発言があったのではないかと思う。但し先程の①の文書と同じように発言者の真意という、この真意は分からないということでございました。

 5番の内容につての記載事項については先程と同様、上司とか協議相手先から確認していないものでございます」

 「民進党提出の文書は見出しや下線がついていませんでしたが、それらが付いている同内容の文書の存在が確認できました」で済む言い回しを「民進党から提出された文書と酷似している内容面」だとか「形状構成が異なる」だとかくどい言い回しで説明している。

 くどい言い回しで勿体振るのが役人の本質となっているのだろう。
 
 義本博司は最初の答弁と同じように文書全体を通して意味しているところを汲み取るのではなく、「総理のご意向」なる文言だけを取り出して、「総理のご意向」だと伝えた本人の「真意は分からない」とすることで、不正行為を指示する内容ではないとゴマカシている。

 伝えた本人の「真意は分からない」くても、安倍晋三の意向は文書に現れている。日本人、特に役人は上位者に対しては権威主義的な下位者志向が強くて上に言いなりの性向を抱えている。当然、総理大臣の意向だということで、その真意にしても、「総理のご意向」だと伝達の役目を各段階で引き受ける面々の真意にしても、各段階毎に詮索などせずに、ただただ無考え・従順に従っただけと言うことは十分にあり得る。

 いわばそれぞれの真意が分からなくても、不正行為の指示はなかったとする証明にはならない。

 不正行為の指示がなかった証明とはならないことを証明に使う。そうしなければならないということは、安倍晋三の政治的関与隠蔽の証明にしかならない。

 要するに追加調査にしても前回調査と同様に安倍晋三の政治的関与の隠蔽を目的としていたに過ぎない。

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6/11「日曜討論」で感じたこと テロ等準備罪はプライバシーを裸にし、警察官の大量増員を招く監視法案

2017-06-15 12:24:49 | 政治

 今朝(2017年6月15日)のNHKニュースが「テロ等準備罪」が参議院本会議で可決・成立していたことを伝えていた。 

 2017年6月11日放送のNHK「日曜討論」を見た。「テロ等準備罪」が監視によって成り立つ、あるいは監視なくして成り立たない法案であることを2017年4月23日当ブログ、《監視に始まり、監視が全てを決定する監視至上主義が蔓延しない保証はない安倍政権の「テロ等準備罪」 - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》で書いたが、その思いを議論を通じて改めて強くした。     

 先ず「日曜討論」の議論を聞いていて感じたことを述べてみる。

 番組は、〈テロ組織や暴力団などの組織的犯罪集団が、重大な犯罪を計画し、メンバーの誰かが準備行為を行った場合、計画した全員を処罰の対象にする〉として、この三っつを「テロ等準備罪」の3構成要件に挙げている。

 NHKのサイトから、画像を載せておいたが、先ず組織的犯罪集団であること、重大な犯罪計画を行うこと、そして武器を集めたり、犯罪実施場所の下見に入る等の準備行為に入った段階で、いわば犯罪実行の前段階で逮捕することができ、取調べの段階に進んで、起訴相当と認めた場合は起訴し、裁判を通して定めた罪にかける。

 要約すると、犯罪を実行する前の逮捕を可能とする法律と言うことになる。

 この過程が既に監視を要件としている。例えば組織的犯罪集団に挙げているテロ集団、暴力団、薬物密売組織の内、暴力団の場合は組織的犯罪集団の看板を掲げて何らかの犯罪で組織を成り立たせていている団体だから、最初から目に見える存在であって、監視しやすいし、監視が正当化されている。

 警察組織の中で捜査4課等の暴力団担当の専門部署が設けられているのはそのためだろう。

 薬物密売組織の場合は、暴力団とほぼかぶっているか、暴力団と関係を築いているから、監視によって目に見える存在とすることができるし、その監視は正当化される。

 組織的犯罪集団とは「一定期間に存続する3人以上の者からなる系統的集団」だとネットで紹介されているから、個人的に海外旅行でかネットで薬物を入手し、それを売ってカネにする計画を立て、その準備に入ったとしても組織的犯罪集団に於ける犯罪行為の対象とはならないことになる。

 現実の問題としても監視の対象とすることは難しく、計画の段階で、「どうもあいつはヤクを手に入れて、誰かに売ってカネにしようとしているようだ」といった噂か、第三者にうまく売りつけることができた後、売りつけられた第三者が「どうもあいつはヤクをやっているようだ」といった噂を立てられた後でしか警察は監視を始めることはできないだろうし、その監視は正当化されることになる。

 正当化される監視の過程でそれが実際に個人一人の計画なのか、組織的犯罪集団の処罰対象となり得る3人以上の集団なのかは判別できることになる。

 だが、テロ集団の場合は組織的犯罪集団の看板を掲げてはいない。自由党の森ゆう子が番組で「テロリストは普通の市民の顔をしている」と言っていたが、同じ日本人が組織することになるテロ集団は多くの場合、反政府勢力に該当するはずだ。例え「イスラム国」の思想に同調してテロ組織を立ち上げるにしても、その時々の政府を支持する日本人が政府を追い詰めることになるテロを引き起こす目的でテロ集団化することはあり得ない。

 と言うことは、現在の安倍政権は右翼勢力だから、反政府勢力は左翼勢力か、厳正な民主主義を求める勢力と言うことになる。左翼勢力の内、極左勢力はかつて暴力革命を掲げていたが、左翼勢力全てが革命を掲げているわけではないし、厳正な民主主義を求める勢力にしても、多くの左翼勢力共々民主的方法での政権交代を求めていて、革命を掲げているわけではないから、テロ集団化する可能性は限りなく小さい。

 と言っても、ゼロだとは断言できない。安倍右翼政権が独裁化したとき(左翼政権が独裁化することもあり得るが)、民主的方法での政権交代の芽の消滅を意味することになって、民主政権の回復に革命以外に手段を失い、そのためのテロが頻繁に起きる可能性は否定できない。

 いわば安倍右翼政権にとって「テロ等準備罪」は反政府勢力の弾圧を通して独裁化の有力な手段となり得る。もしかしたら、独裁化に備えた「テロ等準備罪」と言うこともあり得る。

 最低でも、反政府デモや反政府運動を抑える手段に利用されない保証はない。

 いずれにしても「テロ等準備罪」が想定している主たる組織的犯罪集団とは既に警察の監視下にある暴力団や薬物密売組織ではなく、不特定多数の反政府勢力を対象としているだろうと言うことである。

 3人以上の構成員で成り立たせたその反政府勢力がテロ等の重大な犯罪計画を立てて準備行為に入る組織的犯罪集団かどうかを探索するためには監視をしなければならない。

 いや、それ以前の問題として、政府の政策に反対するデモの段階からデモ参加者が個人で参加しているのか、その政策に限って反対する目的で組織された集団なのか、あるいは恒常的に組織された何らかの反政府勢力に所属しているのか、監視を始めていなければ、重大な犯罪計画を立てて準備行為に入る可能性のある3人以上の者からなる恒常的な組織的犯罪集団になり得る可能性を特定はできないことになる。

 当然、個人のデモ参加であっても、組織された集団のデモ参加であっても、不特定多数者の監視から入ることになる。警察は犯罪実行前に逮捕しなければならない責任上、いわば犯罪実行後の逮捕は警察の失態ということになるから、不特定多数者に対する監視の徹底化と同時に大勢の不特定多数者を監視することになる監視の広範囲化を招くことになり、監視の徹底化・広範囲化は尾行、盗撮、盗聴、秘密裏な家族関係や友人関係の洗い出し、周囲への聞き込み等々、不特定多数者一人ひとりのプライバシーを裸にすることになるだろう。

 このプライバシーの裸は人権侵害に当たらないだろうか。

 それだけではない。犯罪実行前の逮捕に失敗した場合、その責任は警察上層部にまで及ぶことになることから、そのような責任を前以って避ける意味からも監視の徹底化と監視の広範囲化が必要となって、警察官の増員に迫られる。

 では、「日曜討論」での議論を見てみる。出演者は下村博文(自民党)、玉木雄一郎(民進党)、斉藤鉄夫(公明党)、小池晃(共産党)馬場伸幸(維新の会)、森ゆうこ(自由党)、又市征治(社民党)、中野正志(日本のこころ)。

 当日放送の内容を簡単に解説したサイトにリンクをつけておいたが、「テロ等準備罪」が“監視法案”であることを証明し得る議論を主として取り上げる。

 玉木雄一郎「テロ対策は重要。一方で権利侵害とならないようにバランスが必要です。最大の問題は誰が何をすれば罰せられるのか、極めて不明確。277の犯罪に対して準備罪をかけるわけだけど、倒産法制、会社更生法とか、地方税法、テロに関係ないものが入っている。テロのためにやっているという根拠がない」

 下村博文「テロ準備罪という法案は組織的犯罪集団が対象。組織的犯罪集団と言うのはテロ組織集団だとか、暴力団であるとか、麻薬組織であるとか、そういう組織集団のことで、そして重大な犯罪を計画している。

 なおかつ準備行為がある。この三っつが全部なったときにテロ等準備罪が対象になるのですから、先程野党が言われたような、これだけ厳密に法律的に縛っている」

 下村は単に法律の説明を表面的になぞっているだけで、そのような段階に進む過程を察知するための方法について何も触れていない。それが魔法という方法でなければ、尾行、盗撮、盗聴、秘密裏な家族関係や友人関係の洗い出し、聞き込み等の監視を決め手としなければならない。

 政府は正当な目的を持った一般の団体であっても、一定の犯罪を目的とした集団に一変した場合はテロ犯罪集団に認定される可能性があると説明している。司会の島田が一般人が処罰の対象となるかどうかを聞く。

 玉木雄一郎「普通の組織であっても、途中から一変した場合、(テロ等準備罪の処罰)対象になると。一変したかどうか調べないと分かりませんから、当然一般人も含めて捜査・調査の対象にするということです」

 その「捜査・調査」は監視が大部分を占めることになるはずだが、玉木はそのことに触れていない。いくら犯罪計画を立てたとしても、準備行為に入らなければ逮捕できないのだから、そこに至る過程を知るために直接的な捜査で接触した場合、途中でやめてしまう危険性が生じる。

 下村博文「先ずこれは一般の人は関係ないですね。なぜかと言うと、構成要員として、この構成要員、組織的犯罪集団、テロ組織とか暴力団とか、薬物密売組織ですね、このところに対象があって、なおかつ計画をし、それから実行準備行為があるということが対象なんですね。

 その中に組織に入っていないけども、組織の周辺の人たちが、つまり一般の人達が、関わることがあるのではないかという危惧で話がありましたが、関わるか関わらないかっていうのは、実行準備があるかないか。

 一般の人にとってそもそも実行準備行為はありませんから、それは実行準備行為に入ればですね、それは対象に入ることはありますが、それは一般の人ではないです。

 そういう意味で厳密に三っつのきちっとした枠の中で決められているわけですから、そもそも一般の人は対象になることをあり得ないわけです」

 単細胞というのは幸せである。一般人が組織的犯罪集団にその集団が目的としている犯罪の実行に同調する意図で加わり、さらに犯罪の実行準備行為に加われば、確かに一般人でなくなる。だが、そのような意図を持つに至ったかどうか、そして犯罪の実行準備行為に加わったかどうかを知るためには当たり前の接触する方法の捜査では計画を断念されてしまうから、尾行、盗撮、盗聴等々の監視を介在させなければならない。

 監視の結果、犯罪計画に加わり、実行準備入ったならいいが、そうでない場合は、処罰の対象にはならないものの、プライバシーを裸にされたままで終わることになる。

 そこに思い至らないままに相変わらず法律の表面的な説明に終始して、一般の人は対象外だと言うことができる。

 既に触れたように実際に犯罪を計画し、準備行為に入った者を監視の成果として逮捕する以前の問題として「テロ等準備罪」が想定している組織的犯罪集団は主として反政府勢力を対象としていて、不特定多数者に対する監視の徹底化・広範囲化が展開されることになるだろうということである。

 ここで共産党の小池晃が一般人かどうかの判別は監視が要件となるということを言う。

 小池晃「(組織的犯罪集団の)周辺の人かどうかを(判断するために)監視するためには一般人が対象になる。それから(テロ集団が)人権団体等を隠れ蓑にしている場合、日常的に人権団体を監視しなければ、隠れ蓑かどうかは分からないわけですよ」

 要するに反政府勢力を形作っている団体という団体の全てを監視していなければ、それが一般的な団体を隠れ蓑とした犯罪組織かどうかは判別できないということを言っている。不特定多数者に対する監視の徹底化・広範囲化を指す。

 維新馬場伸幸「一般人が(テロ等準備罪の)3要素を構成するわけはない」

 単細胞は素晴らしい。ある団体が3要素を構成する組織的犯罪集団かどうかを特定するためには団体という団体、特に反政府勢力に属する団体に対する監視を必要とし、その集団が何人の構成員によって運営されているかを特定するためにも周辺の不特定多数の一般人を監視して絞っていかなければならない。

 最終段階だけを取り上げて、一般人は無関係だと言う。

 自由党森ゆうこ「捜査の対象と処罰の対象、これをね、ごちゃまぜにして説明しないで頂きたいと思います。最終的に処罰の対象になるのは先程の要件、構成要件を満たさなければならないと思いますけども、テロを未然に防ぐわけでしょ。

 だから、そのためにはどんな話し合いをしているのか、どんな共謀をしているのか、絶えず監視をしなければ、それを探すことができないわけです。だから政府の説明は全く矛盾しているんです。

 先程申し上げましたが、テロリストは普通の市民の顔をしてテロを行っている。つまり普通の市民を捜査の対象にしなければ、テロそのものが防げませんし、だから全く矛盾した説明をしていると思います」

 要するに下村を含めた政府の説明は組織的犯罪集団だと認定できて、処罰できる段階に至った集団、その構成員を対象に3構成要件を満たしているとか、一般人ではないと説明しているだけで、認定に至る以前の段階での捜査、主として監視と言うことになるが、その説明が全然ないから、矛盾しているということなのだろう。

 しかし誰もが下村に対して組織的犯罪集団と特定するための捜査方法を教えて貰いたいと直接的に尋ねはしなかった。共産党の小池晃が実際の人権団体なのか、人権団体を隠れ蓑としたテロ集団なのか、日常的に不特定多数の人権団体を監視していなければ特定できないといった趣旨のことを発言していたが、下村に直接、どう特定するのですかと聞けばよかった。

 聞いたとしても、下村は答えることはできなかったろうが。監視することが必要になるますとは言えないからだ。

 下村博文「今回の法案と言うのは実行準備段階で逮捕して、そして犯罪を防止することにあるわけですね。ですから、犯罪を犯したあとの話なんです。

 ですから先程のような話(監視されるという発言)がありましたが、それはテロ等準備罪の中で整理していますから、そして組織的犯罪集団、あるいはそこに関わっている、そういう人しかそもそも対象になりませんから、国民全てが監視される何てことはあり得ない。 

 真っ当な生活をしていて、重大な犯罪を計画するとか、準備行為をするなど、あり得ない話ですから」

 お目出度い話をしている。「犯罪を犯したあとの話」としているから、「国民全てが監視される何てことはあり得ない」と言うことが可能となる。

 そしてこのような説明に多くの国民が納得して、テロを防ぐためにはこの法律が必要だと信じている。

 既に触れたように不特定多数の一般人を、あるいは不特定多数の団体、特に反政府団体を監視して絞っていかなければ、その組織が組織的犯罪集団かどうか、犯罪計画を立て、武器を調達したり、犯罪実施場所の下見等を行う準備行為に入ったかどうかを特定することができないことが重要な問題であって、特定の方法が主として監視以外にないということである。

 そのような監視によって不特定多数の一般人のプライバシーが裸にされる危険性は決して否定できない。

 プライバシー侵害となりかねない監視という名の捜査の徹底化・広範囲化とそのための警察官の大量増員、さらに安倍右翼政権によって反政府デモや反政府運動を抑える手段に利用されかねない、あるいは独裁化に備えているかもしれない危険性が予想できないわけではないにも関わらず、その予想を排除したとしても、与党自公は否定できない監視という名の捜査を否定し続ける。

 この一事を以てしても、「テロ等準備罪」のいかがわしさを証明して余りある。

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安倍犯罪容疑グループのメンバーの一人菅義偉の「内閣府に関しては調査しない」が示す文書追加調査の答

2017-06-13 11:38:44 | Weblog

 文科省が加計学園獣医学部新設決定に安倍晋三が政治的な便宜供与を図ったのではないかと疑わせる内容の文科省作成と言われる朝日新聞公表の文書、その他を調査、文科相の松野博一が2017年5月19日の記者会見で「該当する文書は確認できなかった」と調査結果を公表したが、6月9日午前の記者会見で再調査すると発表したときに調査は結果が見え透いた茶番だとブログに書いた。

 このブログも同じ趣旨の内容となるが、官房長官の菅義偉の調査に関わる姿勢を一枚加えてみることにする。

 菅義偉が6月12日午前の記者会見で内閣府側については追加調査の必要はないとの認識を示したと「NHK NEWS WEB」記事が伝えていた。   

 顔は深刻そうな様子を装い、腹の中ではきっと空っトボケた表情になっていたに違いない。

 記者が職員の個人のパソコンも調べるのかと質問。

 菅義偉「文部科学大臣の下で徹底した調査が行われており、委ねたい。『速やかに』と言っている。

 (国家戦略特区を担当する内閣府での調査については)山本大臣が答弁しているとおりだ」

 国家戦略特区担当相の山本幸三が6月9日の記者会見で「(内閣府の)担当者に聞いて、全くそういうこと(文書に記された発言内容)はない、ということを確認している」(asahi.com)と発言している。

 山本幸三が内閣府職員に聞いて事実関係がないことが確認されたから、内閣府は何も調査しないということになる。

 言ってみれば山本幸三は安倍犯罪容疑グループのメンバーの一人である。その一人である山本幸三が文書に名前が載っている同じメンバーの末端に位置する内閣府の職員に実際に尋ねたのだろうか。尋ねたとしても、文書に書いてあるとおりだと答えるだろうか。

 口裏を合わせるいう行為は実際に申し合わせなくても、一度口にしたら取り返しのつかない飛んでもないことが起こる、だから決して口にしてはいけないことだと強い警戒心を働かせなければならない事態に関しては関係者一同がそういったことが起きないように忖度し合ってお互いが沈黙を守ることになり、結果的に口裏を合わせるのと同じ結果が生じる場合がある。

 要するに安倍犯罪容疑グループのメンバーの一人である山本幸三がそのグループに所属する末端の内閣府の職員に事実関係を尋ねることは先ずないし、尋ねたとしても、喋るはずはないし、却って喋るのかどうかを試しているのかもしれないと受け取られるのがオチだろう。

 担当者に聞いたは架空(事実に基づかず、想像で作ること)である可能性が非常に高い。逆に“文書は存在しない”、“文書に書いてあることは事実ではない”と否定しなければならないとお互いが忖度し合って、口裏を合わせるのと同じ状況を生み出していると考えた方が自然である。

 安倍犯罪容疑グループのメンバーの一人である山本幸三が言っていることを言っているとおりの事実そのものだと同じ安倍犯罪容疑グループのメンバーの一人である菅義偉が見做す。

 警察がある殺人事件を複数犯の犯行だと見る。一人の男を容疑者として特定し、その容疑者の普段の友人である男に事情を聴取すると、その男は「奴は殺人などやっていなかったと言っていた」と言い、容疑者に「お前一人ではできない殺人だ、手伝ってくれた仲間がいたはずだ」と言って、その友人の名前を出して尋ねると、「俺の親しい友人は奴だけだが、俺も奴も殺しなんかできる人間ではない」と答えた場合、警察は二人の証言をどちらも頭から信じるだろうか。

 警察は男二人と何の利害関係もないから、信じないだろう。だが、山本幸三も菅義偉も文科省の松野博一も義家弘介も萩生田光一も安倍犯罪容疑グループのメンバーとして利害関係を同じくしている。誰が容疑事実を否定しても、残るメンバーは口を揃えてその否定を肯定することになる利害関係に縛られている。

 お互いが安倍犯罪容疑グループのメンバーとしてこのような利害関係にある以上、菅義偉が内閣府については調査しない、調査は文科省だけだとしたことは、いわば野党やマスコミが思っているような容疑事実は内閣府に関しては存在しない、冤罪だとしたことは、同じ利害関係にあるのだから、文科省の追加調査につていも容疑事実はなし、冤罪を答とすることに合わせた前以っての一体性の表明と見ることができる。

 文科省の追加調査が容疑事実なし、冤罪を答とすることことは文科相松野博一の追加調査を発表した5月19日の記者会見の発言の中に既に現れていた。

 記者「大臣は、これまで再調査をしないという意向に伴って、明らかな違法性が指摘されていない、また手続きの中に不適切な運営があった、公益性を損じる判断があったという具体的な指摘がないというふうにおっしゃっていました。今回、追加の調査を行うにあたっては、基本的に変わりはないでしょうか」

 松野博一「違法性が指摘されているという事実はございませんし、今回の国家戦略特区に於けるプロセスに問題があったとも考えておりません。文科省の行政が歪められたということもないと考えておりますし、今までの様々な委員会の議論の中に於いてもですね、具体的にこの国家戦略特区に関わるプロセスの中でここが問題があったとかですね、ここの判断が行政が歪められたんではないかと具体的な指摘は頂いていないというふうに認識をしております」(文科省

 記者会見では再調査の理由をそれを求める国民の声に置いていたが、その声とは再調査によって文書に書いてある事実関係の真偽の確認そのもので占められているはずだが、調査前に既に獣医学部新設決定に関して「違法性は指摘されていない」、「問題はなかった」、「文科省の行政が歪められたということもない」と、事実関係を犯罪の容疑事実なしで固めてしまっている。

 文科相松野博一のこのような姿勢と内閣府の職員が文書に書いてあるような発言の事実を無いとしていることを理由とした菅義偉の「内閣府については調査しない」としている姿勢は既に触れたように安倍犯罪容疑グループを構成するメンバー同士が利害関係を同じくしなければならないゆえの一体性の現れであって、菅義偉が6月12日の記者会見で表明したこの一体性によって文科省の文書追加調査は安倍晋三の犯罪容疑なし、冤罪だとする答となるだろうと改めて確信させる痕跡にしかならない。

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安倍晋三の2017年6月5日参院決算委員会:加計学園便宜供与白状同然の答弁に気づかない社民党又市征治

2017-06-12 12:22:14 | Weblog

 文科相の松野博一が加計学園に関わる安倍晋三政治関与疑惑文書の再調査を発表したのは6月9日午前の記者会見で、社民党又市征治が参院決算委員会で質問に立ったのは松野の記者会見から4日前の2017年6月5日である。

 松野博一は再調査発表前までは出所や入手経路が明らかでない文書は調査対象としないとの態度を取り、民進党などの野党が要求する再調査を拒否してきた。官房長官の菅義偉も6月5日の記者会見で、「文科省の行政文書開示に関する基準がある。それに基づき、このような文書が存在するかどうかも含めてお答えできないと判断したと承知している」(NHK NEWS WEB)と松野博一の言い分を正当と見做していた。

 松野博一は6月5日の参院決算委員会でも又市政治に対して「出所や入手経路が明らかでない文書の調査を行うことは考えていない」と答弁している。その根拠に菅義偉が「文科省の行政文書開示に関する基準」を挙げていたように文科省行政管理規則を当てていた。

 ところが4日後になって再調査することになった。文科省行政管理規則を曲げるはずはないから、なぜなのかを常識的に判断すると、“出所や入手経路が明らかになった”ということになるが、松野博一は「追加調査等の必要があるとの国民の皆様方の声が多く寄せられた」と、「国民の声」を再調査の理由にしている。

 しかも再調査を約束しながら、「今回の国家戦略特区に於けるプロセスに問題があったとも文科省の行政が歪められたとも考えていない」と既にその答を出しているから、安倍晋三の政治関与疑惑に到達する答は最初からないと見なければならない。

 要するに警察側の取調べに対して容疑者側が決して自白することのない犯罪容疑であり、警察側の取調べによって犯罪事実を明らかにしなければならない案件と決めてかかった方がいい。

 又市征治の6月5日参院決算委での追及に対して国家戦略特区を手続きとした今治市への加計学園獣医学部新設決定に安倍晋三が政治的に関与して便宜供与をしたと白状同然の答弁をしたと疑うことのできる個所を拾い出してみる。

 又市征治は日経新聞の文科省の文書調査に関わる読者調査を、「前川氏の説明に納得できる」74.1%だ、「政府の説明に納得できない」81.4だと挙げることで国民が疑惑を深めていることを指摘してから次のように質問している。

 又市征治「政治倫理綱領がありますけれども、その中に政治倫理に反する事実があると疑惑を持たれた場合には自ら真摯な態度を以って疑惑を解明し、その責任を明らかにするように務めなければならない、このように謳っていますよ。

 これ(政治倫理綱領)に悖(もと)る行為をやってるんじゃないですか。あなただけではなく、全体的にやっていませんか」

 安倍晋三「それは全く間違いですね、又市さん。先ずですね、その政治倫理綱領というのは、いわばおカネで以って、例えば政治を曲げる。または政治献金がなされて、私が加計学園に対して便宜を与えた。

 これ、これですね、又市さん、何か証拠があるんですか。いわば私が(笑う)、いわ私が例えば加計学園からですね、おカネを貰ってやっているという依頼を受けて、それをやった、と言うことは全く、それは全く、あの全くないわけでございます。

 そして例えばですね、例えば、では私が前川次官に私がやってくれと頼みましたか?全くそれもないんですね。あの、もしそれが本物だとしてもですね、いわば、あの、安倍総理の意向だと聞いていると、内閣府の職員が、内閣府の職員すら、『聞いている』、ま、しかもそれは審議官、と言うことでことであります。

 局長ですよ、前。私はその審議官と話をしたことすらございませんけれどもね。それ、それとですね、いわばその人から聞いたのを、いわば伝聞をさらに文科省の役人が伝聞として聞いた。

 伝聞の伝聞の伝聞が前川さんだと。前川さんもそれを本当かどうか確かめようがないことをおっしゃるわけでございますし、えーさらにですね、日経新聞に於いてですね、政策とは関わら、政策とは関係ないとまで、どういう、これ、それだったら全く、これはどういうことなのかと、私も目を疑ったわけでありますが、日経新聞のインタビューに、『私は総理の意思は関係ない』とこうお答えになっているわけであります。
 
 であるならば、政策上のですね、論争であったと言うことだろうと、政策上の論争であればですね、まさに内閣府とですね、(又市が席から何か言っている)そして農水省とですね、文科省がですね、議論し、最終的にですね、まさに、あのー、三大臣が合意をした。

 これが全てであろうと、このように思う次第であります」

 質問者が安倍晋三の答弁中にもう切り上げてくれという意思表示で手を上げても、あるいは声に出して遮っても、必要が無いことまで達者に喋り続ける相手構わずの弁舌に長けた安倍晋三が話の辻褄が一貫しない、つっかえつっかえの発言を繰返すだけで便宜供与を白状したも同然である。

 又市征治は「政治倫理綱領に悖る行為をやってるんじゃないか」と聞いた。聞かれたようなことをしていなければ、安倍晋三は「悖る行為は何もしていません」と答弁すれば済むことである。

 それを「政治倫理綱領というのはカネで政治を曲げる。政治献金がなされて、私が加計学園に対して便宜を与えた」と余分なことを言い、挙句の果てに「又市さん、何か証拠があるんですか」と開き直ったようなことを聞く。

 開き直ったようなと表現したのは安倍晋三が獣医学部新設決定に何ら不正を働きかけていなければ、証拠などあるはずはないからだ。証拠がないことは安倍晋三自身が十分に承知しているはずである。

 悪いことをしていないのに悪いことをしている証拠など出てこようがない。出てくるとしたら、第三者がその本人を罪に陥れるための悪意からの証拠捏造以外にない。

 だが、後者の例まで考えて、「何か証拠があるんですか」と聞いたわけではない。あくまでの自身の行為に関して、「何か証拠があるんですか」と聞かなければならなかった。

 何も不正を働いていなければ、当然、不正の証拠など生じるはずもない、存在するはずもないと本人自身が一番知っていることだから、「何か証拠があるんですか」は矛盾した意思表明となる。

 これまでの国会質疑の経緯から相手が証拠を挙げることができないと信じていたからこそできた、「何か証拠があるんですか」という問い質しだったはずだ。いわば表に現れていない証拠を本人が気づかないままに前提とした問いかけであって、開き直り以外の何ものでもない。

 開き直ること自体が便宜供与を白状したも同然の発言と見ることができる。

 安倍晋三は「例えばですね、例えば、では私が前川次官に私がやってくれと頼みましたか?」と聞いているが、一国の首相が各省庁の大臣の下でその省庁を統括・代表する事務次官のところまでノコノコと出かけてか、あるいは直接電話をして指示を出すことなどはそうそう滅多にあるはずはない。あくまでも大臣や副大臣に指示を出して、指示内容の実施を求め、大臣や副大臣がその実施に向けて事務次官の協力を必要とした場合、両者いずれかが、あるいは両者共に事務次官のところに出向くか、呼びつけるかして、あるいは電話でか協力を要請するという手順を踏むのが行政組織を通じた常識的な政策遂行であるはずだ。

 いわば安倍晋三が直接前川事務次官に頼まなくても安倍晋三の指示が実施できる仕組みとなっている。その指示が例え不正の働きかけであってもである。

 そうである以上、逆に承知していないはずはない政策遂行の仕組みと仕組みに則った指示の手順の双方を無視し、尚且つ直接頼まないことが不正を働いていないことの証明とはならないにも関わらず、「私が前川次官に私がやってくれと頼みましたか?」との発言を不正を働いていない証明としようとしたこと自体がこじつけ――牽強付会の類い以外の何ものでもない。

 このようにこじつけなければならない、あるいは牽強付会を働かなければならない、いわば相手が納得できる合理的な説明ができない切羽詰まった状況は裏に何らかの不正を抱えているからそうなってしまうからで、便宜供与を白状したも同然の発言と見做すことができる。

 また一国の首相の指示が行政組織の中で上の地位から下の地位へと段階を踏む仕組みを常識としている以上、安倍晋三の指示は一省庁に於ける事務次官や事務次官以下の役人側からすると「伝聞」の形で受け取ることになる。

 さらに「伝聞」の形で指示を受け取る側の中に安倍晋三自身が面識のない役人がいても何ら不思議はない。

 この関係性から言うと、「私はその審議官と話をしたことすらございませんけれどもね」と言っていることにしても、不正を働いていない証明とはならない。

 また、「伝聞」の形式で指示を受け取るケースが否定できない以上、話をしたことすらない審議官から「聞いたのを、いわば伝聞をさらに文科省の役人が伝聞として聞いた」、あるいは「伝聞の伝聞の伝聞が前川さんだと」との発言で、「伝聞」だから不正の指示ではない証明としょうとすること自体、こじつけ、あるいは牽強付会以外の何ものでもない。

 不正を働いていなければ、どのようなこじつけも牽強付会も必要としない。必要としたこと自体が、繰返しになるが、合理的な説明ができなかったことになって、便宜供与を白状したも同然である。

 安倍晋三の上の答弁に対して又市征治は次のように応じている。

 又市征治「本当にひどい答弁ですね。まるで話をそらして、聞いていることにはまともに答えない」

 最後に公文書管理について尋ね、行政文書の範囲が狭く解釈されている、保存期間が短い、政府が出したくない文書はその有無すら不明となる等の問題点を挙げて、公文書管理制度の見直しを求めて、時間切れで質問を終えている。

 質問の最初の方で森友学園への国有地売却に関わる文書が廃棄されてしまっていることを取り上げていて、公文書管理の点に質問の主たる趣旨を置いていたのかもしれないが、安倍晋三の答弁の矛盾を衝かないと、いつまでも真相解明とはいかない。

 最後に文科相松野博一の文科省の行政文書開示基準についての答弁の一部を挙げておく。

 松野博一「行政文書管理規則について、文科省行政文書管理管理規則に於いては行政文書の類型ごとに保存する期間の設定や管理体制等を定めており、これに基づき各課長が文書管理者として所管の文書の保存期間の設定や管理を適切に行なっているところでございます。

 調査に関しましては文部科学省では既に5月19日に民進党調査チームから示された文書18日に朝日新聞に報じられた文書に関して調査を行い、文書の存在を確認できなかったところであります。

 併せて基本的にはメールを含む文書についてその出所や入手経緯が明らかになっていない場合に於いてはその存否の内容、存否や内容などの確認の調査を行うことは考えておりません――」

 この間の答弁は松野博一は顔を下に向けて原稿を読み上げて行った。原稿を読み上げるだけなのに、「存否や内容」と言うべきところを、「存否の内容」と言い間違えている。内心に何か狼狽えることがあったからだろう。

 「原稿を読むだけなのに読み間違いがあったのは何か心に疚しいことがあるからですか」と牽制するぐらいの機転が欲しい。

 いずれにしても安倍晋三の答弁から便宜供与を白状したも同然の点がいくらでもあったにも関わらず、又市征治は気づかずに見過ごしてしまった。


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「皇室典範特例法」が一代限りであることと男系男子皇位継承論から見る安倍晋三が内心に抱えた男女差別主義

2017-06-11 10:59:35 | Weblog

 「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」2017年6月9日の成立を受けて、安倍晋三が記者団の質問を受けた。文飾は当方。

 安倍晋三「先程、『天皇の退位等に関する皇室典範特例法』が成立いたしました。本法の重要性に鑑み、衆参両院の議長、副議長に御尽力をいただき、また、各会派の皆様の御協力をいただき、静謐(せいひつ)な環境の中で速やかに成立させていただいたことに対しまして感謝申し上げ、改めて敬意を表したいと思います。

 光格天皇以来、実に200年ぶりに退位を実現するものであり、この問題が国家の基本、そして長い歴史、未来に関わる重要な課題であることを改めて実感いたしました。政府としては、国会における御議論、そして委員会の附帯決議を尊重しながら、遺漏なきようしっかりと施行に向けて準備を進めてまいります」

 記者の安定的な皇位の継承に関する質問に対して。

 安倍晋三「安定的な皇位の継承は非常に重要な課題であります。政府としては附帯決議を尊重して検討を進めてまいります」(首相官邸サイト)       

 安倍晋三が「この問題が国家の基本、そして長い歴史、未来に関わる重要な課題であることを改めて実感いたしました」と言っていることは「天皇制は国家の基本」という自らの認識を示す言葉であろう。

 さすが天皇主義者=国家主義者である。

 「天皇制は国家の基本」と考えているから、天皇の問題は「長い歴史、未来に関わる重要な課題」だと言うことになる。

 安倍晋三は天皇主義者=国家主義者だから、天皇制、あるいは天皇を日本国家の基本、もしくは中心に置く。

 だが、日本国憲法は国家の中心に日本国民を置いている。日本国憲法前文は、〈日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。〉との文言で国民主権を謳っている。

 主権者である国民が国家の中心、基本でなくて、何だというのだろうか。

 安倍晋三の考え方は天皇に主権があった戦前のそれである。戦前の日本は天皇を国家の最上位に置いていた。そして日本国民は天皇と国家に奉仕する下の存在と見做された。

 戦後の日本国憲法が国民主権を謳い、国民を国家の中心に置いているということは戦後の天皇は国家の中心を国民に譲ったことを意味する。このことは日本国憲法「第1章天皇 第1条」が示している。

 〈天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。 〉

 日本国と日本国民統合の象徴という天皇の地位を決めるのは主権者である日本国民であると規定している。このことの意味は解説するまでもなく、天皇の地位の基本的な決定者は日本国民であって、天皇はその決定に従って象徴的な存在として位置づけられているということであろう。

 戦前は天皇が日本国民の地位の決定者であった。

 戦後に於いて基本的な決定の行使権が日本国民にあることは天皇の地位に関してだけではなく、何事につけても日本国民にある。だからこその国民主権である。

 だが、安倍晋三は「天皇制は国家の基本」と考え、天皇を日本の中心に置く戦前と同様の思想を自らのそれとしている。

 自民党には安倍晋三のような天皇主義者=国家主義者が多く集まっている。自民党憲法改正草案前文冒頭で、〈日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴(いただ)く国家であって、国民主権の下、立法、行政及び司法の三権分立に基づいて統治される。〉と規定しているが、「戴く」という言葉はそれが地位上の存在に対して言うとき、「崇め(あが)仕える」という意味を持つ。

 要するに「国民主権の下」と言っているが、「天皇を戴く」という言葉で国民主権に反して天皇を国民よりも上に置いている。この上下関係は戦前の大日本帝国憲法に於ける天皇と国民の関係――主権者と奉仕者という関係程ではないが、上下に位置させている点では近親関係にあるといえる。

 そして自民党憲法改正草案「第1章天皇 第1条」は「天皇は、日本国の元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴であって、その地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく」と規定して、天皇を日本国の元首としている。

 自民党憲法改正草案の前文と「第1章天皇 第1条」の双方から浮かんでくる天皇と国民の関係に抱えている思想は国民主権と言いながら、国の中心を国民から天皇に軸足を移そうとしている考え方に基いていると言うことができる。

 戦前天皇制への接近であり、それとない回帰である。このことはまた天皇主権への接近であり、それとない回帰を意味する。

 天皇主権は天皇の絶対的存在化を意味する。「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」が恒久法ではなく、現天皇の一代限りとしたのは実際には戦前同様に天皇の価値を絶対としたいがために天皇として生き続け、天皇として死ぬことでその偉大性を表現することを望んでいたにも関わらず、現天皇が退位を望んで、それを無視できなかったために安倍晋三等天皇主義者たちのギリギリの許容範囲が一代限りに押しとどめておくといったところなのだろう。

 「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」が、与野党話し合って決めたと言っているが、このように天皇主義=国家主義を思想とした安倍晋三たちが主導したという点に留意しなければならない。

 天皇主義=国家主義の思想を背景としているから、皇室典範で男系男子に限られている皇位継承資格の拡大について男系男子派の官房長官の菅義偉や安倍晋三は皇位継承資格の拡大に反対し、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」の付帯決議で女性宮家の創設に触れているものの、単にその検討と検討したことを国会に報告することを謳っているのみで、何ら法的拘束力もない不熱心さを表している。

 自由党の小沢一郎共同代表は記者会見で「我々は当初から皇室典範の改正を主張してきた。付帯決議案に『女性宮家』との文言が入ったが、何の法的効果も持たない」(日経電子版)と発言、発言通りに採決に棄権している。

 2017年6月8日の記者会見で菅義偉は皇位継承権について次のように発言している。

 菅義偉「男系継承が古来例外なく維持されてきた重みを踏まえると同時に、現在の皇室典範に男系男子と書かれているので、そうしたものに取り組んでいく」(NHK NEWS WEB

 男子男系に変わりませんと宣言している。

 2012年1月10日発売「文藝春秋」2月号での安倍晋三の発言。

 安倍晋三「私は、皇室の歴史と断絶した『女系天皇』には、明確に反対である」

 日本国憲法も自民党憲法改正草案も「皇位継承」について、〈第2条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。〉と同じ文言の規定となっている。

 だが、日本国憲法が意味するところでは、日本国と日本国民統合の象徴という天皇の地位を決めるのは主権者である日本国民であって、天皇はその決定に従って象徴的な存在として位置づけられているとしているのであって、それ以上の特別な存在でないことを示唆している。

 であるなら、皇室典範「第1章皇位継承 第1条」〈皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。 〉とし、日本国憲法がその規定に追随していることは同じ日本国憲法が「第3章国民の権利及び義務 第14条」で、〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。〉と規定している、その中の男女平等の原則にそもそもから反していることになる。

 同じ憲法の中に矛盾した規定が併存している。日本が独裁国家とならない限り男女平等の原則は廃止することができない基本的人権なのだから、皇室典範の〈男系の男子が、これを継承する。 〉を廃止して、男女平等の原則に合わせるしかないはずだ。

 要するに主権者たる国民を国家の中心に置くのではなく、天皇を特別な存在と見做して天皇制、あるいは天皇を日本国家の基本、もしくは中心に置く安倍晋三たち天皇主義者=国家主義者は男系の皇位継承に拘ることによって実際は男女平等の原則を踏みにじっている。

 口では男女平等を唱えていたとしても、腹の底では男女差別主義の思想を抱えている。

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松野文科相加計学園文書追加調査会見:証人喚問を求める国民の声無視の調査は結果が見え透いた茶番

2017-06-10 12:36:54 | Weblog

 文科相の松野博一が2017年6月9日午前の記者会見で加計学園獣医学部新設に安倍晋三が便宜を図るために政治的圧力があったと疑わせる内容の文科省作成と言われる朝日新聞公表の文書を再調査すると発表した。

 文科省サイトにアクセスしてみると、テキスト版は「後日、アップロードします。」となっていて、動画しか載せてない。ご苦労にも文字に起こしてみた。文飾は当方。

 松野博一「私からは本日3件です。1件目が国家戦略特区に於ける獣医学部新設を巡る文書の追加調査についてでございますが、前回の文部科学省の調査では監督部局の共有ファイルの調査や関係者のヒヤリングなどの調査を行い、その結果、5月19日に該当する文書の存在は確認できなかったとの調査結果を発表致しました。

 しかしながら、その後文科省として追加調査等の必要があるとの国民の皆様方の声が多く寄せられています。こうした状況を総合的に判断し、本日閣議後、私から安倍総理に対して報道されている文書について追加調査を行いたいとお伝えをし、総理からは『徹底した調査を速やかに実施するよう』指示がありました。

 こうした総理の指示の元、国民の声に真摯に向き合い、改めて徹底した追加調査を行って参りたいと考えております。なお追加調査の設計内容については今後早急に検討の上、速やかに調査を行い、結果が纏まり次第発表したいと考えております」

 他の2件の冒頭発言後、記者との質疑に入ったが、記者の声が何かに反響して満足に聞こえない。答弁だけを文字に起こしたが、答弁から質問の趣旨が判断できる場合もあるし、できない場合もあるが、ある目的があって松野博一の答弁だけを文字にしてみる。

 ある目的は最後に明らかにする。

 松野博一「あの先程申し上げたとおりでありますが、その後文科省に寄せられた国民の皆さんの声をですね、総合的に勘案した中で追加調査の必要があると判断したところでございます」

 質問は一度は「該当する文書の存在は確認できなかった」としていたのになぜ追加調査をすることに決めたのか尋ねたといったところなのだろう。

 松野博一「全体の調査をすることは当然、必要であると認識しておりますけれども、追加調査の設計内容につきましては早急に検討して参ります」

 松野が「追加調査の設計内容」と言っていることは、「コトバンク」に「調査設計」という言葉で、「だれ (調査対象) に対して,何を (調査項目) ,どのような方法 (調査法) で調査するかの計画を立てること」と解説されている。その内容は今後の検討すると言うことなのだろう。   

 要するに「報道されている文書」の「全体の調査」を行いますという無条件の調査範囲を示したわけではなく、その反対に「全体の調査」は「必要であると認識」してはいるが、何をどう調査するかは検討すると言っている以上、調査対象は取捨選択が行われることの示唆以外の何ものでもない。

 と言うことは、当たり障りのない範囲内の結果発表となる予想しか出てこない。

 松野博一「前回のですね、文書に関しても調査対象にしていく考えでございます。前回の調査となった対象となった文書に関しても調査対象にしていく考えでです」

 松野博一「前回、当時に於いては調査方法に関しては合理的なものであったと考えておりますが、追加調査していくことに関しては先程申し上げた理由によります」

 前回の「調査方法に関しては合理的なもの」との前提で「該当する文書の存在は確認できなかった」と答を出している以上、前回調査した文書を「追加調査」したとしても、別の答は期待できないことになる。

 そもそも安倍晋三の政治的関与ありの答えを出すはずはない。このことからも当たり障りのない範囲内の結果発表となる予想しか出てこない。

 松野博一「あのー、今ご指摘に関しては私の方は確認しておりません」

 松野博一「先程申し上げたとおりでありますけれども、前回調査の時点に於いてですね、合理的調査が行われたと考えておりました。その後、繰返しになりますが国民の皆さんからですね、文部科学省に対して今後さらに追加的な調査が必要であろうというようなが寄せられた中で総合的に判断したと、そういうことでございます」

 記者の質問の中に「責任」という言葉が聞こえたから、前回調査で問題無しとした責任を質したのかもしれない。

 前回の調査は合理的な調査で間違いはないから責任はない、だが、国民が再調査を求める声が寄せられたから、その声に応えて調査するというのは矛盾している。

 間違いのない調査を再び調査してもどうなるというものでもないからだ。

 松野博一「ま、国民の皆さんがですね、そういった調査が必要だという声が上がっていることに関しては調査設計に関してですね、内容がお認め頂けなかったと思います。

 次の調査の設計についてはこれから至急に行いますけれども、その中に受け入れながらですね、設計行為を行いたいと考えております」

 松野博一「(追加調査は)国民の皆さんからそういう声が寄せられているということでございますので、それをしっかりと認識していきたいと思いますが、いずれにしろ、評価に関してはですね、これから調査を行って、その調査の結果をしっかりと精査していきたいと考えていきたいと――」

 松野博一「調査の内容に関してはですね、文書の真否が勿論、中心になっていくわけでありますが、ま、今後どういった調査が必要か、(聞き取れない)含めてですね、早急に設計していきたいと思います」

 松野博一「質問の趣旨が理解していなかったかもしれませんが、現状までの設計による調査によっては確認できなかったというのは事実でございます」

 松野博一「今後ですね、調査をしてですね、その調査結果に基づいて次の判断をするということでございますから、これから調査をする。今の段階に於いてですね、お話をする状況ではないと。

 今の段階に於いては確認されていないということが前提でございますので、今後調査を行なってですね、その調査の結果によって判断して――」

 松野博一「現状に於いてですね、ヒヤリングを行った内容と今まで発表してきたということが同一の事実関係でございます」

 松野博一「――(記者の名前か)さんが指摘されている事実はございませんし、今回の国家戦略特区に於けるプロセスに問題があったとも考えておりません。文科省の行政が歪められたということもないと考えておりますし、今までの様々な委員会の議論の中に於いてもですね、具体的にこの国家戦略特区に関わるプロセスの中でここが問題があったとかですね、ここの判断が行政が歪められたんではないかと具体的な指摘は頂いていないというふうに認識をしております

 追加調査の答を既に出している。この答を前提に追加調査をするということを松野はここで言っている。前のところで、当たり障りのない範囲内の結果発表となる予想しか出てこないと書き、安倍晋三の政治的関与ありの答えを出すはずはないと書いた。

 松野博一「今回何らかの違法性が指摘されて調査をするということではありませんので、文科省内に於いてしっかりと調査をさせて頂きたいと思いますし、調査の内容に関しては今後早急に設計をしていきたいと考えております」(記者会見終了)

 獣医学部新設決定に関して違法性はないと言っている。だが、「国民の声」を理由に追加調査をする。何らかの時間稼ぎのように思える。

 松野博一は追加調査を決めることにした理由を「国民の声」に置いている。「文科省として追加調査等の必要があるとの国民の皆様方の声が多く寄せられています」等々、何度も「国民の声」を挙げている。数えてみたら、6回使っている。

 2017年6月3日と4日実施の「JNN調査」世論調査を見てみる。  

 加計学園での政府の説明に「納得できない」72%
             「納得できる」16%

 「政府の説明と前川前事務次官の説明のどちらが信じるか」
 「前川前事務次官」58%

 2017年6月3日報道に「日経電子版」を見てみる。  

 政府の説明に「納得できない」81.4%
       「納得できる」18.6%

 前事務次官の説明に「納得できない」25.9%
          「納得できる」74.1%

 政府の説明に「納得できない」という70~80%の声は文科省の調査が単に不十分だと見做すだけではなく、政府の説明は信用できないという評価をも併せ持たせることになる。納得という認識作用は信用という認識作用と相互に響き合って、それらの認識を補強し合う。

 ある説明を信用できたとき、その説明に納得することができ、説明に納得できたとき、その説明を信用できることになる。逆もまた真なりである。

 とすると、文科省の調査は不十分で納得できないと見做す70~80%の国民の声は政府の説明は信用できないという70~80%の国民の声でもあって、野党が政府に求めていた前川前事務次官と首相補佐官たちの証人喚問を支持する70~80%の国民の声と見ても、大きく外れることはないはずである。

 野党は文科省の調査にしても政府の説明にしても納得できない、信用できないとして、その状況を打破するために証人喚問を求めていたのであり、国民の声もそれに対応していると見做すことができるからだ。

 国民が文科省の調査は不十分だ、政府の説明は納得できない、信用できないの声だけで矛を収めておくとしたら、政治に対して消極的一方ということになる。証人喚問によって政治的関与があったかどうかの事実が解明されるのではないかと期待していたはずだ。

 だが、松野博一は「国民の声」を追加調査を求めるだけの声に限定している。

 ここに大きなマヤカシがある。記者会見に於ける記者の質問時の声が何かに反響して殆ど聞き取れないにも関わらず松野博一の答弁だけを拾ったのは、記者が「国民は追加調査だけではなく、証人喚問を求める声はなかったのか」と質問するかどうか、それを確かめるためであった。

 松野のどの答弁からも、記者のそのような質問に対応する内容のものは見当たらなかった。

 安倍晋三の政治的関与によって行政が歪められたのではないのかという疑惑が浮上している状況に反して国家戦略特区を手続きとした加計学園獣医学部新設に何も問題はなかった、行政が歪められることもなかったとの認識を前提とした追加調査であること自体がマヤカシそのものだが、追加調査は国民の声が寄せられたからだとその正当性を何度も言い立てている一方で、再調査のみならず、存在しているはずの証人喚問を求める声を無視するというマヤカシは再調査と言おうと、追加調査と言おうと、どのような調査にも期待はできない予感しか返ってこない。

 松野は「総理からは『徹底した調査を速やかに実施するよう』指示がありました」と言っているが、結果は見え透いているのである。茶番もいいとこである。 


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