4月11日衆院予算委:理財局長太田充の大ウソとそれを完全には見抜くことができなかった立憲民主党枝野幸男

2018-04-14 11:47:29 | 政治

安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定


「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 

 【謝罪】

 2018年4月5日付当ブログ記事―安倍晋三が国有地違法格安売却・森本学園決裁文書改竄を指示したと推理することによって多くの辻褄が合う - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之で朝日新聞が森友学園国有地格安売却の疑惑事件を取り上げたのは2017年2月14日、国会で取り上げられたのは2017年2月15日の財務金融委員会だと書きましたが、2017年2月9日付の朝日新聞が最初の報道のようです。間違った情報を流したことを謝罪します。

 当該朝日記事がまだネットに載っているため、知らないでいる人のために一応リンクを付けておきます。

 「学校法人に大阪の国有地売却 価格非公表、近隣の1割か」(2017年2月9日05時03分)

 財務省理財局長太田充が4月11日(2018年)の衆議予算委で立憲民主党の枝野幸男に対して平気でウソをついている。その要所要所を適宜取り上げてみる。

 枝野幸男「昨年(2017年)の2月22日、官房長官の所で佐川局長や中村理財局総務課長と打ち合わせに行かれましたね。

 そのとき、そのとき、安倍昭恵さんの名前の挙がっているということで説明に行ったわけです。そのときの説明に何を基にして行ったんですか。何らかの情報を持って説明に行かなければ、説明できないはずです。

 因みに佐川局長はこの間の証人喚問で佐古田局長から引き継ぎを受けていない、国会で色々と聞かれるので、勉強したと言っておられます。ま、これ勉強のプロセスの一環だったんだろうと思いますが、太田さんも一緒に説明に行ってるんですから、これを共有していたと思うんですが、その勉強をするときに決裁文書は、太田さん、ご覧ならなかったんですか」

 太田充「お答え申し上げます。当時その佐川局長、あるいは付いて行った理財局の総務課長、それは基本的には2月の確か9日だったと思いますけど、新聞報道があってから正直に勉強してたという状況でございました。

 その中で基本的には一番早いのはやっぱり現地の職員、あの、状況を聞くことをするんで、それを担当の課の者が聞いて、それを聞いてたという状況だと思っております」

 対して枝野幸男は「メモ取りの中堅若手のスタッフ連れて行かなかったのか」と聞き、対して太田充は「連れて行かなかった、誰もメモを取っていなかった」と答弁、枝野幸男は「誰もメモを取らない、メモを取るための人も連れていかないなんてことはあり得ない」などと応じて、誰もメモを取らなかったことの不自然な対応不備を印象づけている。

 枝野幸男は「佐川局長はこの間の証人喚問で佐古田局長から引き継ぎを受けていない、国会で色々と聞かれるので、勉強したと言っておられます」と言っている。これは2018年3月27日午前中の参院予算委・証人喚問で佐川宣寿の答弁に基づいた発言であろう。

 丸川珠代が決裁文書から安倍昭恵の名前を削除した理由を聞かれて、佐川宣寿は「書き換え前の決裁文書に関わる話全般」についてのことになるからと答弁拒否。丸川珠代が次いで安倍晋三と安倍昭恵の国有地売却貸付け・売却への関わりを質問すると次のように答弁している。

 佐川宣寿「私が昨年、勉強して、ずっと一連の書類を読んで、国会で答弁させて頂いた中で言えば、総理も総理夫人の影響もありませんでした」――

 この「ずっと一連の書類を読んで」と言っている「一連の書類」とは貸付け・売却の事実経緯を記載した決裁文書以外にない。佐川自身の国会答弁も安倍晋三や麻生太郎の政府国会答弁も対森友学園国有地売却を記した決裁文書をベースにして組み立てられる。

 当然、朝日新聞が2017年2月9日に森友疑惑の発端となる報道を行い、その報道の事実関係を尋ねるためと事実関係に対応するためにだろう、同じ2017年2月9日に官房長官の菅義偉から内閣府に当時の佐川理財局長、理財局総務課長と当時理財局官房総括審議官だった太田充が呼びつけられた。

 事実経緯を記した決裁文書に少なくとも目を通していなければ説明はできないはずだ。太田充は「基本的には一番早いのはやっぱり現地の職員、あの、状況を聞くことをする」と言っているが、現地の職員にしても決裁文書に目を通していなければ、間違いのない事実経緯を説明できないはずだ。

 例えその時点で太田充が決裁文書に目を通していなかったとしても、佐川宣寿は国有地売却に関わる責任者として、現地職員は状況の説明を成り立たせるために目を通していたはずだし、目を通していなければならなかったはずだから、決裁文書に基づいた菅義偉に対する説明という形式を取らなければならないはずだが、太田充はその点に触れていない。決裁文書について隠しているとしか見えない。

 内閣府で交わされた会話の事実通りの答弁ではなく、そこに何らかのウソを混じえざるを得ない状況にあるから、枝野幸男に「その勉強をするときに決裁文書は、太田さん、ご覧ならなかったんですか」と聞かれて、「決裁文書」について直接口にすることができなかった疑いが出てくる。

 太田充は菅義偉への説明について次のように答弁している。

 太田充「あの、基本的に国会で議論が始まって、最初の頃っていうか、まあ、一番であれでしたので、経緯、あるいは、その積算なり、積算は大きい分8.2億円ということですので、それを公共事業の積算基準というような話でございました」

 枝野幸男「今8億円の値引きの話を説明したと仰っていましたが、その説明をしていたら、昨年2月22日です。その二日前に2月20日に『トラックがたくさんあって、おカネがかかったんだ』という口裏合わせを申し出をしていたんです。
 
 つまりこの時点で学校建設するのにトラック何十台分、何百台分?何千台分、ものゴミを運び出す必要はなかった、運び出していなかった。だから口裏合わせをしなきゃいけなかった。

 つまり8億円値引きするような根拠になるゴミはないと分かってたんですよね」

 太田充「お答え申し上げます。8.2億円の積算というのは国土交通省大阪航空局に於いて積算をしたもの。で、8.2億円は土地の価格を評価をするのに地下埋設物がいくらあるかということで評価をして、その地下埋設物の(撤去・処分の)額を計算したものです。

 一方で、8.2億円分全部撤去するかどうか、全部撤去すれば、その瞬間にリスクは全てなくなります。ただ、それはその分時間もかかるし、手間もかかる。

 一方で残しておけば、その分、時間も手間も節約できるかもしれない。ただ将来的なリスクは残る。あるいは風評被害なことも起こるかもしれない。それは買った側の先方森友学園の判断ということでございますので、それを全部撤去したかどうかということと8.2億円の積算の根拠が適正かどうかということは必ずも結びついていないんですが、当時の答弁、必ずしも正直に申し上げて、そこまで十分に勉強ができていなくて、その十分勉強できてない答弁から、このような事態を引き起こしてしまったということだと反省をしております」

 あるいは次のように答弁している。

 太田充「土地の評価としてそう評価をしたわけですが、委員の仰れるとおり、それを全部取り出してなければ、それは将来的に建物影響があるかもしれないし、委員が仰るように最大の問題は将来ゴミが地下から、あるいはどっかの形で見えるような状況になったときに親御さん、あるいは児童生徒の方、批判は物凄く大きくなります。

 そういう意味で物凄く大きいリスクを抱えることになるんで、学校経営として、それが適切だったかどうかというのは大変問題だと思いますが、少なくとも買った上で遣り方は先方の判断ということだと思っております」

 これは明らかにウソそのものの答弁となっている。「全部取り出してなければ、それは将来的に建物影響があるかもしれない」土地であるが事実であるなら、8.2億円分を使って、その分のゴミが最初からあったならの話だが、全面撤去して建物への将来的な影響を除去してから小学校の建設に取り掛かるだろう。

 当然、2018年4月4日付「NHK NEWS WEB」記事が報じた、財務省職員が2017年2月に学園側に対して「トラックを何千台も使ってごみを撤去したと言ってほしい」などと、さも見積もりどおりのゴミが存在していたかのように見せかける口裏合わせのメールを送る必要も必然性もなくなる。

 対して枝野幸男の反応。

 枝野幸男「あの、今日は文科大臣、呼んでいないんですか。『先方の判断』だと、そんな所に設立を認可している?という話ですからね、今度は。政府全体からすれば。

 将来ね、校庭からゴミが出てくる?地下9メートルのゴミが。そういう恐れがあるから、だから、安くした?そんな子供騙しみたいな話、やめましょうよ、太田さん。太田さんの折角の高い能力が勿体ないでしょ、こんな話。こんな辻褄合わせに使っているというのは」

 枝野幸男は8.2億円の問題はこれで切り上げて、別の質問に移っている。

 もし太田充が言うように8.2億円分の地下埋設物(ゴミ)に対してそれをどう処分するかは森友学園側の判断で、このことが正当・適正な契約だとすると、このような契約内容――地下埋設物の撤去・処分は森友学園側の判断になっていますを契約内容とした文言を決裁文書に記載しておかなければならない。

 「公文書管理法 第4条」は次のように規定している。文飾は当方。

 〈行政機関の職員は、第1条の目的の達成に資するため、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、次に掲げる事項その他の事項について、文書を作成しなければならない。

 要するに〈経緯も含めた意思決定に至る過程並びに事務及び事業の実績を合理的に跡付け、検証できるようにする文書を作成しなければならない。〉

 断るまでもなく決裁文書への記載は公文書管理法に則る。

 公開された改竄前の決裁文書にこの判断が記載されていたなら、枝野はこのような質問はしないし、決裁文書に書いてある契約内容自体の適・不適を問題にしただろうし、太田充の答弁にしても、このような内容にはならなかっただろう。

 要するに枝野幸男は「そのような契約内容を決裁文書に書いたんですか」ということを問題にしなければならなかった。問題にしたら、実際には書いてないのだから、太田充はウソの理由を付けて書かなかったと答弁せざるを得ないだろう。

 どうウソの理由を付けようとも、そのウソから書くことができなかった事情を追及しなければならない。

 決裁文書に書いてなかった、書かなかった以上、太田充のやれ「風評被害」だ、「全部取り出してなければ、それは将来的に建物影響があるかもしれない」だは虚偽答弁以外の何ものでもない。

 これがウソである証拠を挙げる。
 
 2016年に築地市場移転先の豊洲市場で設計図と異なる地下室が設置されていて、そこに地下汚染水が湧いていたことが問題になったときの2016年9月30付「ブログ」に〈建物の支えに何本ものコンクリートパイルを土中に打ち込み、地表近くのパイルの頭を固定するためにその頭を埋め込む形で鉄筋を配した1メートル前後の厚さの基礎コンクリートを打設するだけだから、少なくとも3メートル前後は埋め戻して地固めしていなければ、パイルを打設するたびに地下水が打設の振動で浮き上がってきて、汚染水を周囲に撒き散らすことになる。〉と書いたが、要するに建築物を支えるのは杭とその杭と一体となった建物基礎であって、土そのものではないということである。

 また、2018年2月5日の当「ブログ」にも同じようなことを書いている。

 森友学園小学校建設用地が、〈例えゴミ混入率が47.1%であったとしても、杭を打ち込むことさえできれば、“撤去・処理”の必要はなく、地中にゴミが残ることになっても、それは放置される。杭が建築物本体を支えるのであって、杭の間に残されることになるゴミは本体を支えるのに何ら障害とはならないからである。〉――

 より確実な説明とするためにネット上から探した画像を載せておく。

 「基礎」と横文字で大きく書いてある場所がコンクリート打設の建物基礎であって、杭自体は支持層と呼ばれる硬い地盤か、ときには岩盤に届くまで打ち込んで、杭が下がるのを防ぐと当時に杭の頭は建物基礎の中に入れて、それと一体化することによって建物基礎全体で杭の頭が左右に触れることも、あるいは上に突き上げたり沈んだりすることも防ぐ構造となっている。杭の周囲の地盤が弱ければ、建物基礎の厚みを増やして、杭をより強固に固める。

 また、地下埋設物が地表近くにまで混入している場合は、1~2メートル敷地全面を掘削してゴミのない土と入れ替え、その土をローラー等の重機で付き固めて、1~2メートル以下に存在する地中のゴミが入れ替えた土の下面から上に出ないように工事を行うのが一般的である。

 以上のことから、太田充のやれ「風評被害」だ、「全部取り出してなければ、それは将来的に建物影響があるかもしれない」だ、「最大の問題は将来ゴミが地下から、あるいはどっかの形で見えるような状況になる」だ、そうなったとき、「父兄、児童生徒からの批判は物凄く大きくなる」だは、「トラックを何千台も使ってごみを撤去したと言ってほしい」という内容のメールを財務省職員が森友の弁護士と近畿財務局に対して送ったのは、実際にはなかったゴミの量をあったことに見せかける口裏合わせであるにも関わらず、口裏合わせではないと誤魔化す一世一代のウソ・デタラメに過ぎない。

 このようなウソ・デタラメを枝野幸男は完全には見抜くことができなかった。少なくとも太田充がゴミをどう処理するかは森友学園側であると発言したことに対してそれを契約の形に持っていって決裁文書に残したかどうかの問題点があることは見抜かなければならなかった。

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安倍晋三の加計獣医学部認可「私の関与言及は一人もいない、一点の曇りもない」の論理を野党はいつまで許すのか

2018-04-13 10:30:41 | 政治

安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定


「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 4月11日(2018年)、NHKの国会中継番組で衆議院予算委員会を見た。殆んどの質問議員が相も変わらず同じ答弁を安倍晋三から引き出す、何も学習していない姿を曝していた。

 その一人立憲民主党代表の枝野幸男は2015年4月2日に愛媛県や今治市の職員、加計学園幹部が首相官邸を訪れて面会したのに対して本人は否定しているが、応対者と目されていた当時の首相秘書官柳瀬唯夫の名前が愛媛県職員作成の備忘録に記されていて、愛媛県知事中村時広が4月10日(2018年)の記者会見で職員作成の備忘録だと認めた点を質問の一つに入れて追及した。

 その備忘録には柳瀬唯夫の発言として(国家戦略特区を使った加計学園獣医学部新設について)〈本件は、首相案件となっており、内閣府藤原次長の公式のヒアリングを受けるという形で進めていただきたい。〉と記されていた。

 枝野幸男「さて総理に伺います。総理の周辺の皆さん、秘書官などは総理に相談も報告もなく、総理の意向だとか振り回す人はいるんですか」

 安倍晋三「あの、私の秘書官がですね、勝手にその総理の意向だ言えば、この総理の意向というのは何かということでもあります。いわば私が基本方針として示したものについてはまさに、例えば議長として基本方針に示したもの、ただ様々な会議で決定したものを私が議長として決定したことであります。

 (激しいヤジ)

 質問に対して誠意を持って・・・・。

 すみません、ずっとヤジが続いたものですから。

 皆さん、宜しいですか。お答え致しますが、ま、そこでですね、つまり基本的な方針を総理大臣として決定するわけであります。ま、例えば私が議長をしている会議がございます。


 そういう会議で決定したということはまさに総理の、いわば判断としてですね、リーダーシップを持って進めます。ということについては、政府一丸となって進めていくのは当然のことであろうと、このように思います。

 私が意図していないことについてですね、あるいは私的なことについて総理の意向だということでですね、私の秘書官がこの意向というものを振り回すと言うことはあり得ないと思います」

 枝野幸男「前段の8割の話は当たり前の話で、そんなこと聞いてません。最後のところだけ伺ったんです。総理の意向、確認もしないで、総理の意向かどうか分からないことを勝手に秘書官が言うことはない。

 それでは愛媛県の文書は誰かがウソをついて偽造したということですか」

 安倍晋三「この、いわば愛媛県の文書についてはですね、えー、これは私としては県の文書についてコメントする立場にないわけでございますが、私はですね。部下を信頼して仕事をやっているわけでありまして、総理秘書官在任中もそうでありましたが、柳瀬元秘書官の発言を信頼、元上司として信頼をしております。

 その上で愛媛県が作成した文書の評価について国としてコメントする立場にはございません。昨年もですね、獣医学部の新設を巡る、これは省庁間、県と国ということではなくても、省庁間に於いて遣り取りが言った、言わないの水掛け論が、これが国民的な議論を招く大きな要因となった
わけでございます。

 そのため本年3月特区基本方針を改正をし、第三者の加わらない省庁間の直接の調整プロセスについても、当事者が合意した議事録の作成など運用の改善を行ったところであります。

 県の文書管理についてコメントする立場にはございませんが、政府としては今後とも国民の疑念を招くことがないよう、文書の正確性を確保するための努力を行っていく考えであります」

 枝野幸男「ご自身で言って頂きましたから、昨年は文部科学省の文書の中に『官邸の最高レベルが言っていること』という、今回も登場する内閣府の審議官の藤原豊氏の発言、とされるものが記載されていた。

 最初、官房長官、『怪文書のようなもの』と仰いましたね。怪文書のようなものだったんですか」

 菅義偉「当時私が最初に見たときは、手元に何もなかったものですから、そのように私は発言をしました」

 枝野幸男「結論は怪文書じゃなかったんじゃないですか?文部科学省のちゃんとした文書じゃなかったんですか?」

  菅義偉「だってね、示されたものについて出所が書いてないんですよ。どこが書いたかって言うことがない文書でありましたから、私はそのように申し上げたんです。で、結果としてその文科省の中にあったということです」

 枝野幸男「文部省にちゃんと残っていた文章の中に『官邸の最高レベルが言っていること』という藤原さんの発言が記録されていたんです。それだけでも藤原さん勝手に言ったのか、文部科学相が勝手に書いたのか、これ二つに一つなんです。


 今回は愛媛県の文章の中に柳瀬、当時の秘書官が『本件は首相案」と言ったとする記載がある。『内閣府藤原次長の公式のヒアリングを受けるという形で進めて頂きたい』というような記載もある。


 別の機関の二つのところで同じように、総理か何かその周辺がこの件にこの時点からコミットしていたことを示す文書が残っていたんです。これ、じゃあ、愛媛県の担当者が聞いてもいないことを書いたんですか。

 そうでなかったとすれば、柳瀬さんが嘘ついてるか、どっちかしかないんですよ。違いますか、総理」

 安倍晋三「先程申し上げましたようにですね、愛媛県が作成した文章の評価について国としてコメントする立場にはないわけでございます。そしてその前にですね、内閣府と文科省についてのこの発言を巡る言った言わないか、あったわけでございます。

 ま、そこで例えば、いわば括弧付きでですね、発言を引用する場合は直接本人に確かめてですね、その上で残しとく、これはまさに議事録はそういうものでございます。

 いわば当事者が合意した議事録の作成など、運用の改善行っているところでございます。えー、改めて県の文書管理についてですね、コメントする立場にはございませんが、政府としては今後とも国民の疑念を招くことがないように文書の正確性を確保する努力を行っていく考えでございます」

 枝野幸男「聞いたことに答えて頂きません。頂いていません。論理的に柳瀬さんがウソをついているか、愛媛県の担当者が聞いていもいないことを勝手に書いたのか二つに一つだとじゃないですかって聞いているんです」、

 安倍晋三「あの、これは今お答えをしたようにですね、愛媛県の方で作成した文書の評価について国としてコメントすることはできないわけであります。他方ですね、信頼をして国で仕事をしているところでございまして、総理秘書官在任中もそうでありましたが、柳瀬秘書官の発言を信頼しているところでございます。

 またこれもですね、獣医学部を巡る省庁間のですね、言った言わない水掛け論に陥る、これが国民的な疑念を招く大きな要因となったわけでございます。

 (ヤジで聞こえない)本年3月に特区基本方針を改正をしまして、第三者の加わらない省庁間の直接の調整プロセスについても、当事者が、当事者が合意した議事録などの運用の改善を行っているいるところであります。

 えー、改めて申し上げますが、県の文書管理についてコメントする立場はございませんが、政府としては今後共国民の疑念を招くことのないよう、文書の正確性を確保するための努力を行っていく考えでございます」

 他議員が委員長席に集まって抗議。速記中断。

 枝野幸男「委員長、あるいは国民の皆さん。この文書には明確に柳瀬秘書官と会ったと愛媛県の文書には書いてある。愛媛県も、その中身は、正しいと知事がわざわざ会見までして発表しています。それがウソを書いてる、間違ったことを書いているのか、愛媛県と会っていないと言っている柳瀬さんがウソをついているのか、どっちか一つに決まってるじゃないですか。違いますか、委員長。

 (委員長を指差して)どっちか一つでしょ。違いますか、委員長。委員長どう思うんですか」

 委員長「私が答弁することではありません」

 安倍晋三「4月2日のですね、事実関係については昨年夏の閉会中審査に於いて既にこの国会の場で柳瀬元秘書官から答弁があった通りでございます。そして昨日の報道についてもですね、柳瀬元秘書官自身が、そうした発言をすることはあり得ないとのコメントを常に出してると承知をしております。

 そもそもですね、そもそも、これまでも繰返し述べてきたとおり、国家戦略特区のプロセスはですね、ワーキングループや特区諮問会議といった民間有識者が主導する会議を経て決定されたものであります。その上で今回の改革プロセスを主導した八田達夫座長始めですね、民間有識者の皆さんは口を揃えて、一点の曇りもないと繰返し述べており、関与がなかったことは明らかであります。

 また当時の山本担当大臣もですね、自分が陣頭指揮を取ってすべてを判断をし、決定をしており、官邸は関係ないと、えー、国会で答弁している通りであります。

 松野(前)文部科学大臣も、官邸から直接に文科省に対して国家戦略特区に関して何の指示があったという事実はないと明確に答弁しているところであります。

 つまり今までのプロセスとの関係に於いて申し上げている通りでございます。その点から先程申し上げましたように部下である柳瀬、まあ、当時の秘書官について信頼をしているということでございます」

 枝野幸男「おかしいでしょう、委員長。今言っていることは柳瀬さんが言っていることは正しい。つまり愛媛県はウソをついていると言ったわけですよ。おかしな文書を作ったと言っているわけですよ。

 委員長、これ国民の皆さんもどっちが本当なのかと。いや、殆どの皆さんが既に総理がウソつきだと分かっていらっしゃると思いますが、しかし本人が認めないんだったら、じゃあ愛媛県がウソをついてるのか、それとも柳瀬さんがウソついてるのか、柳瀬さんはこの前は参考人ですから、参考人ではダメですよ。

 柳瀬さんを証人として呼び、そして愛媛県の担当者を証人として呼び、二人並べて、ここでじっくり話を聞くしかないでしょう、委員長」

 委員長「本件につきましては理事会に於いて協議をさせて頂きます」

 枝野幸男「(委員長を指差し)委員長の認識を聞いているんですよ、そうじゃないですか。じゃないと、真実分かりませんよ。あなたどうなんですか。今の裁き、おかしいですよ。

 聞いてもいないことを長々と答えさせて、聞いたことを答えさせないで、時計も止めないで、あなたはどういう見識なんですか」

 委員長「私が答弁することではありません。理事会で協議をさせて頂きます」

 抗議で中断。

 枝野幸男「総理が聞かれてもいないことを長々と喋るのは止めてください。聞かれたことにちゃんと答えるように指揮をするのが委員長の仕事でじゃないですか」

 枝野幸男は自身の追及能力を棚に上げて委員長に八つ当たりしている。

 安倍晋三は「県の文書については国としてコメントする立場にない」と何度か言っている。だが、「総理秘書官在任中もそうでありましたが、柳瀬元秘書官の発言を信頼、元上司として信頼をしております」と言っていること、「4月2日のですね、事実関係については昨年夏の閉会中審査に於いて既にこの国会の場で柳瀬元秘書官から答弁があった通りでございます。そして昨日の報道についてもですね、柳瀬元秘書官自身が、そうした発言をすることはあり得ないとのコメントを常に出してると承知をしております」と言っていることは愛媛県の文書に対する間接的コメント以外の何ものでもない。

 いわば愛媛県の備忘録に書いてあることは事実ではなく、柳瀬唯夫が言っていることこそが正しいとする間接的コメントそのものの体裁を取っている。

 また、安倍晋三が「本年3月特区基本方針を改正をし、第三者の加わらない省庁間の直接の調整プロセスについても、当事者が合意した議事録の作成など運用の改善を行ったところであります」と言っていることも、「例えば、いわば括弧付きでですね、発言を引用する場合は直接本人に確かめてですね、その上で残しとく、これはまさに議事録はそういうものでございます」と言っていることも、愛媛県の文書は柳瀬唯夫の発言を当事者が合意も本人に確かめてもいないのだから、正式な議事録とは認められないとの言い分であって、愛媛県文書に対する間接的コメントとなる。

 枝野幸男は安倍晋三が「まさに議事録はそういうものでございます」と言ったとき、「愛媛県の文書は議事録ではなく、相手が発言したことを記した備忘録ですよ。例え当事者が合意していなくても、本人に確かめていなくても、備忘録と言うだけで書いてあることを否定する合理性を言って貰いたい」と反撃すべきであった。

 そうはせずに「論理的に柳瀬さんがウソをついているか、愛媛県の担当者が聞いていもいないことを勝手に書いたのか」とか、愛媛県の文書が「ウソを書いてる、間違ったことを書いているのか、愛媛県と会っていないと言っている柳瀬さんがウソをついているのか」と最後まで正否二者択一を求める答弁に拘った。

 後者の発言は、「どっちか一つでしょ。違いますか、委員長。委員長どう思うんですか」とお門違いな攻撃を仕掛けている。

 枝野幸男は「今言っていることは柳瀬さんが言っていることは正しい。つまり愛媛県はウソをついていると言ったわけですよ」と一度は間接的コメントとなっていることに気づいたのだから、「県の文書については国としてコメントする立場にない」と言っていることは体裁のいい言い逃れに過ぎないと一言ぐらい物申すべきだったが、何も物申さずにどちらがウソをついているのかの二者択一を迫る堂々巡りに足を踏みとどめたままでいた。

 そして安倍晋三は加計学園獣医学部新設に自身が関与していないことの決定的な証明としている伝家の宝刀を抜くことになっった。

 安倍晋三「そもそもですね、そもそも、これまでも繰返し述べてきたとおり、国家戦略特区のプロセスはですね、ワーキングループや特区諮問会議といった民間有識者が主導する会議を経て決定されたものであります。その上で今回の改革プロセスを主導した八田達夫座長始めですね、民間有識者の皆さんは口を揃えて、一点の曇りもないと繰返し述べており、関与がなかったことは明らかであります。

 また当時の山本担当大臣もですね、自分が陣頭指揮を取ってすべてを判断をし、決定をしており、官邸は関係ないと、えー、国会で答弁している通りであります。

 松野(前)文部科学大臣も、官邸から直接に文科省に対して国家戦略特区に関して何の指示があったという事実はないと明確に答弁しているところであります。

 つまり今までのプロセスとの関係に於いて申し上げている通りでございます。その点から先程申し上げましたように部下である柳瀬、まあ、当時の秘書官について信頼をしているということでございます」――

 この日の衆院予算委質問トップの自民党柴山昌彦にも同じ趣旨の答弁を行っている。

 柴山昌彦「安倍総理、(愛媛県の文書に)首相案件と記されたことに総理のご認識をお伺いしたいと思います」

 安倍晋三「愛媛県が作成した、えー、文書については私はコメントを差し控えたい、このように思うところでございます。柳瀬氏の(首相案件否定の)コメントについては只今梶山大臣から答弁したとおりでございます。

 いずれにせよ、この獣医学部の新設についてはプロセスに於いても、えー、(国家戦略特区諮問会議に)関わった民間人から一点の曇りもないと明確な発言が既に委員会であったのはご承知のとおりであろうと思います。

 また前川前(文科省)次官も含めて、私から指示を受けたと言う方は一人もいないわけであります。そのことも度重なる委員会で明らかになっているとおりでございます。

 プロセスに於いても問題がない、また、私から指示を受けた方もいないわけでございます。そして4月から既に開校しているという事実がある。多くの方々がですね、受験をし、開校がなされているという事実もあるわけでございますが、いずれにせよ、今申し上げたとおりでございます」

 安倍晋三が「一点の曇りもない」、「私から指示を受けたと言う方は一人もいない」、「度重なる委員会で明らかになっている」と言っているとおりに様々な機会を捉えて前々から繰返してきた伝家の宝刀であるが、野党議員は伝家の宝刀とすることを許すばかりで、その論理を打ち破ることができないでいる。

 だから、いつまで経っても安倍晋三は自己正当化の伝家の宝刀を振り回すことになる。

 2017年10月総選挙ま絵の2017年10月8日8党党首討論会。

 志位和夫共産党委員長「冒頭解散を強行した理由はただ一つ、森友・加計疑惑隠し、これ以外にないではないですか。そうでないと言うんだったら、冒頭解散の理由をはっきり説明していただきたい」

 安倍晋三「まず、いわゆる森友問題、そして獣医学部の新設の問題についてでありますが、私もこれまで予算委員会や閉会中審査において丁寧に説明を重ねてまいりました。一部説明の足りない点、あるいは姿勢については反省すべき点はあると思いますが、ただ、委員会の中で明らかになったことは、前川さんも含めて、私から言われた、あるいは私が関与したと言った方は一人もいないということは、明らかになっています。

 また、民間議員の八田(達夫)委員も初め、原(英史)さんもそうなんですが、民間議員の皆さんは口をそろえて、一点の曇りもないということは明確にされています。

 また、愛媛県の加戸知事は、ずうっとこの問題に取り組んでこられた。門をあけようと頑張ってきた方でありますが、行政が歪められたのではなく、歪められた行政が正された、こう言っておられます。

 あの予算委員会を全部ご覧になった方、全部ご覧になった方は、かなり納得をしていただいたのではないか。この報道されなかった部分も含めて、ご覧になった方々はかなり納得されたのではないかと思います」

 第48回衆議院総選挙の結果をうけた安倍総裁記者会見質疑

 記者「幹事社、西日本新聞のイトウと申します。森友学園問題や加計学園問題についておうかがいします。

 野党は先の臨時国会冒頭での開催について、『森友・加計隠し』と批判してきました。今回の衆議院選挙の結果は、森友・加計学園問題についてすでに十分に説明し、国民から理解を得られたからだと受け止められているんでしょうか。

 また各種世論調査では、内閣支持率はなお下回っています。この状況にどう向き合っていくお考えでしょうか。

 安倍晋三「この問題については、私の予算委員会、あるいは閉会中審査において、相当時間をかけて、また丁寧に質問にお答えをさせていただきました。そのなかにおいて、前川(喜平)前次官も含めて、私から依頼された、また指示を受けたという方は1人もいなかったということが明確に明らかになりました。

 そしてまた、特区のプロセスを進めてこられた民間議員のみなさまは、『プロセスには一点の曇りもない』と述べておられました。

 また、ずっとこの獣医学部の新設に信念を持って努力をされてきた、ドアを叩き続けてこられた加戸(守行)前愛媛県知事は、行政が歪められたのではなく、歪められた行政を正したのであると明確に述べておられました。

 こうした、あまり報道されなかった部分も含め、公開審議をすべてご覧になった方には、かなりご理解をいただけたものと思っております」

 このような安倍晋三の数々の自己正当化の伝家の宝刀発言について(下記ブログではこの言葉を使っていなかったが)2017年10月27日の当「ブログ」に、〈親分が表に出ないで、いわば陰に隠れていて、表の仕事は子分にやらせると言った悪事の構図、あるいは役割の構図はこの世の中にいくらでも存在する。〉と書いて、〈もしこのような悪事の構図、あるいは役割の構図のもとに安倍晋三の政治的関与が密かに進められたとしら、安倍晋三が「委員会の中で明らかになったことは、前川さんも含めて、私から言われた、あるいは私が関与したと言った方は一人もいないということは、明らかになっています」とどのくらい声をからして何度言おうと、政治関与ゼロの証明にはならないということである。〉と結論づけた。

 安倍晋三に批判的な前川喜平文部科学省前次官が「安倍晋三から依頼された、指示されたと言っていない」と発言していることには、これは上記ブログで書いたが、注釈を付けなければならない。

 2017年7月24日午前衆院予算委員会閉会中審査

 前川喜平前文部科学事務次官「この今治市における加計学園の獣医学部の新設の問題につきましては、文部科学省は基本的には内閣府からさまざまな指示を受けていたということでございますので、その結果はペーパーに残っておりまして、その中に、官邸の最高レベルの言っていること、あるいは、総理の御意向と聞いている、こういう文言があることは御承知のとおりでございます。

 私は、これは事実であるというふうに思っておりますし、そのように恐らくは内閣府の藤原当時の審議官がおっしゃったのであろう。その先のことは、これはわかりません。藤原さんが誰からそれを聞いたのか、それはわかりません。

 私自身は、総理から直接伺ってはおりませんが、しかし、9月9日と記憶しておりますけれども、和泉総理補佐官から、国家戦略特区における獣医学部の新設について文部科学省の対応を早く進めろ、こういう指示をいただきまして、その際に、総理は自分の口からは言えないから代わって私が言うんだ、こういうお話がございました。

 これにつきましては、私は、総理は御自身では言えないのだというふうに思いましたので、そのことについて総理にお伺いするということは考えてもみなかったわけであります」――

 要するに安倍晋三から直接的には依頼も指示も受けていないが、安倍晋三の代理人の役を担った和泉総理補佐官から依頼・指示を受けたとの発言であって、このような間接的依頼・指示を無視し、それを省略して「前川(喜平)前次官も含めて、私から依頼された、また指示を受けたという方は1人もいなかった」としているに過ぎないいい加減な伝家の宝刀に過ぎない。

 このような「悪事の構図、あるいは役割の構図」という見立ては共謀関係によって成り立つ。共謀関係にある者全員が共謀関係が一部でも破綻していなければ、安倍晋三の関与・依頼・指示、あるいは「総理のご意向」からの獣医学部新設であること、「首相案件」であることを否定するのは極々当たり前の義務であるのだから、「そのような否定を以ってして『総理の意向』ではなかった、『首相案件』ではなかったとすることも認めることもできません」と言うことで安倍晋三の言い分を伝家の宝刀とさせていつまでも通用させることを断ち切らなければならない。

 だが、いつまでも伝家の宝刀とすることを許している。

 そして共謀関係は当時の文科省内では前川喜平前事務次官に関しては安倍晋三に批判的であるゆえに含まず、文科相だった松野博一止まりで、1979年に東大を出て文部省に入省し、2016年6月に文部科学事務次官に上り詰めた古参の前川喜平氏に対して早稲田大学法学部卒で2016年8月3日に文科相に就任したばかりの日の浅い松野博一との心理的優劣関係から、安倍晋三の依頼・指示を松野博一の代りに和泉総理補佐官が担ったということも考えることができる。

 今朝のNHKニュースで愛媛県の担当者が今橋市職員と加計学園関係者と共に3年前に総理大臣官邸を訪問した際の遣り取りを記した愛媛県作成の関連文書が農水省に残されていたことが判明、この文書にも首相秘書官だった柳瀬唯夫の発言、「この件は首相案件だ」の文字が記載されていると伝えていた。

 新しい文書の発見・公表、あるはメディアのスクープ、関係部署からのリークが疑惑解明の進展に役立ってはいるが、野党の国会追及は殆んど役に立っていない。

 安倍晋三が伝家の宝刀としている疑惑否定の論理そのものを、あるいは自己正当化の論理そのものを打ち破ることをしなければ、偽証自己正当性、あるいは偽証正義をいつまでも罷り通らせることになるだろう。

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安倍晋三案件と見れば、加計を陰の存在としたことの辻褄が全て合致 極めつけは17/1/20にその名前を知った

2018-04-12 09:22:38 | 政治

安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定


「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 加計学園疑惑が2017年3月中旬から国会で問題となる前の2016年11月の「今治市民ネットワーク」情報公開請求によって2015年4月2日に愛媛県や今治市の職員、加計学園幹部が首相官邸を訪れていることが明らかになった。だが、開示された文書は首相官邸の誰が面会に応じたのか黒塗りとなっていた。

 但しなぜなのか、今治市の面会に対して首相官邸で応対したのは経済産業省出身で当時首相秘書官だった柳瀬唯夫であると報道されるに至っている。柳瀬唯夫は2017年7月24日の衆議院予算委員会・加計学園閉会中審査に、翌日2017年7月25日の参議院予算委員会・加計学園閉会中審査に参考人招致されて問い質されたが、いずれも面会していないと否定している。

 参議院での答弁を見てみる。

 柳瀬唯夫「お答え申し上げます。

 当時、私は総理秘書官として国家戦略特区、成長戦略担当してございました。その関連で内閣府の担当部局と打合せもしておりました。私の記憶をたどる限り、今治市の方とお会いしたことはございません」

 ところが、2018年4月10日付の「朝日デジタル」が政府関係者に渡っていた愛媛県作成とされる記録文書の存在をスクープしている。

 要するに政府に関係する誰かが朝日新聞にリークしたことになる。安倍晋三に対する包囲網は野党や報道といった外からだけではなく、内側からも狭められつつあるようだ。

 その文書の全文を同じ2018年4月10日付だが、別の「朝日デジタル」記事が伝えているが、残り4、5行が有料となっていて、無料会員は覗くことができない。次のブログが全文を掲載していたから、参考引用してみる。

 「福山“龍馬”雅治のブログ」 

報告・伺

獣医師養成系大学の設置に係る内閣府藤原次長・柳瀬首相秘書官との面談結果について
 
27.4.13
                    
地域政策課

1 4/2(木)、獣医師養成系大学の設置について、県地域政策課長・今治市企画課長・加計学園事務局長らが内閣府藤原次長及び柳瀬首相秘書官らとそれぞれ面談した結果は、次のとおり。

《藤原地方創生推進室次長の主な発言(内閣府)11:30》

・要請の内容は総理官邸から聞いており、県・今治市がこれまで構造改革特区申請をされてきたことも承知。

・政府としてきちんと対応していかなければならないと考えており、県・市・学園と国が知恵を出し合って進めていきたい。

・そのため、これまでの事務的な構造改革特区とは異なり、国家戦略特区の手法を使って突破口を開きたい。

・国家戦略特区は、自治体等から全国レベルの制度改革提案を受けて国が地域を指定するものであるが、風穴を開けた自治体が有利。仮にその指定を受けられなくても構造改革特区などの別の規制緩和により、要望を実現可能。

・今年度から構造改革特区と国家戦略特区を一体的に取り扱うこととし、年2回の募集を予定しており、遅くとも5月の連休明けには1回目の募集を開始。

・ついては、ポイントを絞ってインパクトのある形で、2、3枚程度の提案書案を作成いただき、早い段階で相談されたい。

・提案内容は、獣医大学だけでいくか、関連分野も含めるかは、県・市の判断によるが、幅広い方が熱意を感じる。

・獣医師会等と真っ向勝負にならないよう、既存の獣医学部と異なる特徴、例えば、公務員獣医師や産業獣医師の養成などのカリキュラムの工夫や、養殖魚病対応に加え、ペット獣医師を増やさないような卒後の見通しなどもしっかり書きこんでほしい。

・かなりチャンスがあると思っていただいてよい。

・新潟市の国家戦略特区の獣医学部の現状は、トーンが少し下がってきており、具体性に欠けていると感じている。

《柳瀬首相秘書官の主な発言(総理官邸)15:00》

・本件は、首相案件となっており、内閣府藤原次長の公式のヒアリングを受けるという形で進めていただきたい。

・国家戦略特区でいくか、構造改革特区でいくかはテクニカルな問題であり、要望が実現するのであればどちらでもいいと思う。現在、国家戦略特区の方が勢いがある。

・いずれにしても、自治体がやらされモードではなく、死ぬほど実現したいという意識を持つことが最低条件。

・四国の獣医大学の空白地帯が解消されることは、鳥インフル対策や公衆衛生獣医師確保の観点から、農水省・厚労省も歓迎する方向。

・文科省についても、いい大学を作るのであれば反対しないはず。  

・獣医師会には、直接対決を避けるよう、既存の獣医大学との差別化を図った特徴を出すことや卒後の見通しなどを明らかにするとともに、自治体等が熱意を見せて仕方がないと思わせるようにするのがいい。

・加計学園から、先日安倍総理と同学園理事長が会食した際に、下村文科大臣が加計学園は課題への回答もなくけしからんといっているとの発言があったとのことであり、その対応策について意見を求めたところ、今後、策定する国家戦略特区の提案書と併せて課題への取組状況を整理して、文科省に説明するのがよいとの助言があった。

2 ついては、県としては、今治市や加計学園と十分協議を行い、内閣府とも相談しながら、国家戦略特区の申請に向けた準備を進めることとしたい。

 また、これと併行して、加計学園が想定する事業費や地元自治体への支援要請額を見極めるとともに、今治新都市への中核施設整備の経緯も踏まえながら、経費負担のあり方について十分に検討を行うこととしたい。

 この文書を愛媛県知事中村時広が4月10日の記者会見で「職員が備忘録として作成したメモ」と認めた。

 内閣府で面会に応じたのが藤原地方創生推進室次長であり、首相官邸で面会に応じたのが安倍晋三秘書官の柳瀬唯夫と言うことになる。

 そして柳瀬唯夫は「本件は、首相案件」だと発言している。「案件」の意味は「問題となっている事柄」を言うが、そのまま安倍晋三に当てはめると、「安倍晋三にとって問題となっている事柄」であり、周囲の取り巻きの把え方は、「安倍晋三が問題としている事柄」ということになる。

 当然、安倍晋三にとっても、周囲の取り巻きにとっても「その問題を解決しなければならない事柄」ということになる。そして解決のための共同戦線を張ることになった。

 これが国民全般の利益を考えた解決事項であるなら問題はないが、個人的な関係にある者の利益を考えた解決事項としていたなら、国家権力のおぞましい公私混同、あるいは国家権力のおぞましい私的流用に当たる。国民の知らないところでこのようなおぞましい私的権力行為をこっそりと行うような心がけの一国の首相に、その悪質性に目をつぶって政治一般を託すことができるだろうか。予算の方が大事だ、他にも国会で議論しなければならない重要な政策があるから、疑惑追及は程々にしなければならないなどとは言ってはいられない。

 柳瀬唯夫は4月10日にコメントを発表、国会答弁どおりの否定を行っている。

 「国会でも答弁していますとおり、当時、私は、総理秘書官として、日々多くの方々にお会いしていましたが、自分の記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはありません」(NHK NEWS WEB
 
 安倍晋三も4月11日の衆院予算委で文書が触れている加計学園理事長加計孝太郎との会食を否定している。文書に名前が上がっている薄汚い政治家下村博文も記者団に対して文書中の自身の発言を否定している。

 だが、国家戦略特区諮問会議で議論され、決定された加計学園獣医学部新設認定が安倍晋三案件と見ると、全ての辻褄が合う

 首相官邸訪問の2015年4月2日から約2カ月後の2015年6月4日、今治市と愛媛県は第2次安倍政権が進めたアベノミクス成長戦略の柱「国家戦略特区」に「国際水準の獣医学教育特区」を提案している。

 それ以後、今治市の提案に対して内閣府は共に2度程度行った今治市に対する国家戦略特別区域会議や国家戦略特区ワーキンググループ(WG)ヒアリングと国家戦略特区諮問会議で今治市での獣医学部新設に関して議論はしているが、2016年11月9日、第25回国家戦略特区諮問会議が「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り獣医学部の新設を可能とするための関係制度を直ちに行う」ことを決定したときですら、加計学園は事業主体として一度も登場していない。

 要するに安倍晋三を議長とする国家戦略特区諮問会議は今治市から獣医学部新設の申請を受け、新設地域を今治市所在の四国と決定したにも関わらず、その事業主体を想定しないままに場所と新設獣医学部の概要だけを議論していたことになる。

 あるいは国民の側からすると、事業主体が謎のまま諮問会議は議論していたように見えたことになる。

 2014年5月に関西圏国家戦略特区として京都市の全域が国家戦略特区に指定されて、京都府は獣医学部新設の構想を内閣府に提案、2016年10月17日に行なわれた内閣府WGヒアリングでは京都府と共に提案者に名前を連ねていた京都産業大学が新設獣医学部の事業主体として名乗り出ていたにも関わらずである。

 加計学園が事業主体として初めて名乗り出たのは四国今治市への獣医学部新設決定を受けて内閣府が2017年1月4日に事業主体を1月11日期限で公募、1月10日に応募した際ことである。
 
 そして2017年1月20日の第27回国家戦略特別区域諮問会議でこの応募が認められた。そしてこの日を以って安倍晋三は国家戦略特区諮問会議で長いこと議論していた新設獣医学部の事業主体が理事長が「30年来の友人」、お友達が経営する加計学園であると知った。

 2017年11月30日参院予算委。

 安倍晋三「この件についても閉会中審査で既に申し上げているところでございますが、この今治市の提案については正に今治市が提案したものであったわけでございますが、最終的には応募に応じて加計学園が公募に応じた段階で我々が知る立場になる、本年1月に事業の公募を行い、加計学園から応募があった後にですね、1月20日に諮問会議で認定することになりますが、私が直接知ったのが諮問会議でありますから、ワーキンググループなどに出席しないわけであります。いちいち情報を受け取ることもありません」――


 安倍晋三は正々堂々と「ワーキンググループなどに出席しないわけであります。いちいち情報を受け取ることもありません」と宣っているが、特別区域諮問会議やWGヒアリングでの議論の詳しい説明、あるいは議論の要約であっても、そのような説明を受けることのない本体会議(国家戦略特区諮問会議)での的確な議論の成立と的確な結論は果たして可能だろうか。

 本体会議は下部会議の議論をも踏まえて結論に至る情報の連続性というプロセスから見ても、安倍晋三の「いちいち情報を受け取ることもありません」は一国の首相として国家戦略特区諮問会議議長に就いている役目の重要性に反する情報の連続性の否定――情報断絶のあり得ない公言・正当化となる。

 そして安倍晋三の役目上、口にすることは決して許されないこのあり得ない公言・正当化を加計学園が新設獣医学部の事業主体であったことは終始知らなかったこととする発言の形で使っているのだから、あり得ないという性格上、知っていたことを隠す仕掛けを裏側に隠していることになる。

 なぜこのように知っていたことを隠す仕掛けが必要としたのかと言うと、加計学園獣医学部認可が安倍晋三案件だったからこそであろう。安倍晋三案件であることを隠すために加計学園の存在をも隠して、特別区域諮問会議やWGヒアリング、さらには本体の会議である国家戦略特区諮問会議で事業主体を欠いたまま議論を進めることになった。

 このように見ることによって全ての辻褄が合う。

 2017年7月10日参議院文教科学委員会・内閣委員会連合審査会

 加戸守行元愛媛県知事「加計ありき、加計ありきと言われますけど、12年前から声を掛けてくれたのは加計学園だけであります」

 加戸守行は12年前から「加計ありき」であるのに反して2016年3月30日の「広島県・今治市国家戦略特別区域会議(第1回)」に出席していながら、「加計学園」の「か」の字も口にしていないし、2016年9月21日に「獣医師養成系大学・学部の新設について」の「資料4」を内閣府に提出していながら、加計学園には一言も触れていない。資料提出対象の同日2016年9月21日の「国家戦略特区今治市分科会(第1回)」に出席していながら、「加計学園」の名前を出していない。

 勿論、戦略特区諮問会議の政府関係者にしても、国家戦略特区民間有識者にしても、誰も口にせず、加計学園は常に陰の存在扱いを受けていた。

 陰の存在扱いの最たる根拠は2017年8月6日付「朝日デジタル」が2015年6月5日開催の「国家戦略特区WGヒアリング」に加計学園関係者が出席し、発言していながら、議事録に出席者名も発言も記載されていなかったところに現れている。

 6月5日のWGで座長を務めた八田達夫が「朝日デジタル」が報じた同じ2017年8月6日に「国家戦略特区WG(平成27年6月5日)の議事要旨について」なる題名のPDF記事を公表、加計学園関係者(3名)は今治市が独自の判断で説明補助のために出席させたもので、説明補助者は参加者と扱っておらず、説明補助者名を議事要旨に記載したり、公式な発言を認めることはないといった内容の断りを書き込んでいる。

 国が政策として進める国家戦略特区を使った規制改革であり、そのような規制改革の正式な会議への獣医学を専門としている出席者でありながら、説明補助者に過ぎないと位置づけて、専門家としての知見であるはずなのに、公式な発言とはならない、だからその氏名も発言も議事要旨には記載しないとするなら、決定までのプロセスを国民から隠すことになるだけではなく、国民に対する逐一の説明責任を一部欠如させることになるが、こういった欠落に平然としていられる。

 だが、この欠落によって加計学園を陰の存在扱いとすることに成功はしていた。

 こうまでも加計学園を陰の存在扱いするのはやはり安倍晋三案件だからこそであり、安倍晋三は安倍晋三案件であることの露見を恐れる余り――国家権力のおぞましい公私混同、あるいは国家権力のおぞましい私的流用の露見を恐れる余り、加計学園の陰の存在扱いに徹底した。

 あるいは安倍晋三案件であることが加計学園の陰の存在扱いが絶対必要条件となった。柳瀬唯夫も愛媛県と今治市の職員と面会したこと、安倍晋三が加計孝太郎と食事したこと、下村博文が同席していたこと、これらの全面否定も安倍晋三案件の隠蔽を動機とすることによって辻褄が合ってくる。

 安倍晋三案件と見ることによって、文科省で発見・公表された文書に、〈設置の時期については、今治市の区域指定時より「最短距離で規制改革」を前提としたプロセスを踏んでいる状況であり、これは総理のご意向だと聞いている。〉といった文言、「10/21萩生田副長官ご発言概要」と題した文書に記されている、〈和泉補佐官からは、農水省は了解しているのに、文科省だけが怖じ気づいている、何が問題なのか整理してよく話を聞いてほしい、と言われた。官邸は絶対やると言っている。〉その他その他が全て辻褄が合ってくる。

 これ以上の辻褄があるだろうか。

 そして安倍晋三案件隠蔽の極めつけの辻褄合わせが安倍晋三自身による加計学園が新設獣医学部の事業主体であるのを知ったのは2017年1月20日だしている発言であろう。

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18/4/9参院決算委:西田昌司質問への理財局長太田充の答弁からは見積量のゴミ不存在の事実しか浮かばない

2018-04-10 12:15:23 | 政治

安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定


「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 2018年4月4日付「NHK NEWS WEB」記事が、対森友学園国有地違法格安売却で8億2千万円もの値引き根拠となったゴミの撤去費用について財務省が森友学園側に値引き額相応のゴミ量と見せかける口裏合わせをしていたと伝えている。

 昨年、2017年2月当時、国会で野党側から、「値引き額の算定の根拠があいまいだ」などと批判が相次いだ。

 2017年2月17日衆議院予算委員会。

 「8億円分の廃棄物を撤去する土の量を計算すると、およそ2万7000立方メートルになる。これを搬出するとなると10トントラック3460台分が必要になる。こういう作業が実際にやられているかどうか財務省は確認したのか」

 対する当時の理財局長佐川宣寿の答弁。

 「学校を建設するにあたって必要な廃棄物の撤去を適切に行ったというのは近畿財務局で確認している」

 あるいは「地下の埋設物については土地を売却したあとに学園側が適切に撤去したというふうに聞いているが、売却後なので具体的な撤去の状況は把握していない」

 3日後の2017年2月20日、国有地を管轄する財務省理財局の職員が学園側に電話。

 「トラックを何千台も使ってごみを撤去したと言ってほしい」

 記事を読めば、値引き額相当のゴミの量が実際には言われているとおりには存在していなかったことを誤魔化す口裏合わせだと分かる。私自身は出るべくして出た情報だと思った。

 ところが、2018年4月9日付「NHK NEWS WEB」記事は4月9日(2018年)の参議院決算委員会で理財局長の太田充が電話したことは認めたが、〈近畿財務局の職員が「それは事実に反する」として拒否したことや、理財局の職員から要請を受けた学園側の弁護士も、うその説明には応じなかったことを明らかにしました。〉と解説、口裏合わせが不首尾に終わった異なるニュアンスとなっている。

 では、理財局の職員は「事実に反する」、あるいは“ウソの説明”をなぜ求めたのだろうか。求めるについては求める理由がある。他の記事で質問したのは安倍晋三ヨイショの自民党西田昌司、動画をダウンロードして問題箇所だけではなく、役人側だけに責任を押し付けるような発言個所を加えて文字に起こしてみた。

 2018年4月9日 参院決算委員会・西田昌司

 西田昌司「私は本題の用意していた質問に入ります前にですね、先ず、あの、総理に質問させて頂きます。えー。先般以来ですね、この自衛隊、防衛の問題でありますけども、いわゆる日報がないと言っていたのが出てきたと、いうことであります。

 ま、昨年の国会でですね、本当に紛糾した問題でありました。大臣の方で調べさせたわけではない、という確認したと、という答弁があったわけでありますけれども、結果的には出てきてですね、そしてその後また、別の形(かた)にしても出てくるということで、本当にこれは、えー、国政に対する国民の信頼を失わせたという意味でも、甚だ問題でありますし、特に我々は一番問題だとするのは国会でですね、国会で大臣が答えたと、しかしそのことが、えー、防衛省の方には、しっかり伝わっていなかったのかどうかということであります、けれども、その命令に背いたとなったらですね、まさにシビリアンコントロールそのものがですね、このー、機能していないじゃないかということにもなるわけであります。

 ま、そういう意味で、えー、防衛省のこの問題というのはですね、著しく国民の信頼を失墜させた重大な問題と思います。先ずですね、最高指揮官は総理でありますから、その問題について最高責任者として総理から国民に説明と謝罪をして頂きたいと思います」

 安倍晋三「(原稿読み)イラクの日報にかかる問題は防衛省・自衛隊に於ける情報公開、防衛省管理の問題にもなる、シビリアンコントロールにも関わりかねない重大な問題であり、極めて遺憾であります。

 また防衛省・自衛隊にとどまらず、行政全体への信頼を損なうものであります。自衛隊の最高指揮官として、また行政府の長として国民の皆さんに深くお詫び申し上げたいと思います。

 今回について小野寺防衛大臣から報告を受けた際、私から事案関係をしっかりと調査し、情報を公開するよう、指示しました。どこにこの問題の根源があるのかを明らかにし、した上で、厳正な対処を行い、情報公開、文書管理への取組みの徹底を図ると共にシビリアンコントロールに対する疑念や不信感にもしっかり、応えられるよう、信頼の回復に向けて、全力で取り組んでいきたいと考えております。

 私も総理大臣して、その責任を果たしていく決意であります」

 西田昌司「今総理からあったんですがね、我々が一番疑問に思うのは稲田大臣がおられてですね、あれだけの答弁されていた。で、今小野寺大臣になって、ゴロッと新しい事実が出てくる。大臣が代わるとですね、その、言うことが出てくるのかと、いうことになるとですね、一体これ、そのー、防衛省の、いわゆる背広組も含めてですね、誰も、代わる人によってですね、その遣り方が違うのかと、いうことになると、ですね、これ飛んでもない問題になるんですよね。

 そもそも何でこういうことになったのか、ということは徹底的にやって貰わなければならないと。このことは、また後にですね。滝沢議員の方からもですね、質問があると思いますので、私は取り敢えず総理にそのことを是非お願いしたいと思っています。

 それともう一つ大事なのはですね。これも長い間言われていますけれども、財務省の書き換え問題なんですよ。これも、えー、我々も、これは夢にも思いませんでしたけども、財務省が、えー、この決裁文書、ま、改竄したしたということを事実上認めているわけなんですね。これも調査をしていると言いですけれども、これ随分ですね、もう一月(ひとつき)近くなると思うんです、正式に認めて。

 その後全く報告がないんですよ。これいったいいつになったらできるのかと。それからですね、そうこうしているうちに財務省からこういう正式な調査報告がないうちにですね、今度はNHKでは、森友学園側から、にですね、ゴミの搬出をしたということを口裏を合わせするように、この理財局の方からですね、お願いをしたと。

 ま、こういうような報道があるんです。これも我々びっくりしましたけれどもね。一体こういう報道がどんどん繰返されているとですね、何が真実なのか全く見えてきませんよ。

 これも本当に行政に対する信頼失墜の、ま、最たるもんですけれども、ま、担当大臣として、これいつになったらできるんでしょう。それからNHKの報道というのは真実なんですか。そこについて財務大臣、お聞かせ頂きたい」

 麻生太郎「ご指摘がありました決裁文書の書き換えのことについての調査の話でありますけれども、この点は、度々色んな形のご答弁を申し上げさせて頂いておりますけれども、今この点に関しまして調査を進めさせて頂いておるんですが、色んな形で中間報告、色んなお話がありますが、こないだも3月12日の分につきましては私共と致しましてはその辺の中間報告と思って出しましたけども、一枚出して、忘れていたとか、また別のが出てきたとか、いう形になってお叱りを受けましたが、また処分について、職員の処分について辿り着いたところまで、のところを話させて頂きましたが、それは先行し過ぎているとか、色々なご指摘もあったりして、私供としては早目にやるということとしっかりやることのバランスがなかなか難しいというのが正直な実感なんで、そういったところで私供としては少ないところ(少なくても?)職員の処分に関わる話にもなりますんで、そういった意味では、事は慎重にやらないといかんと思っておりますけれども、それなりに(地検の)捜査が進行しておりますんで、そん中で色んな後からまた別の方から、どこの方からと言うと(?)捜査当局の方からもご意見が出たりして、この間のNHK話もそれが繋がったんだと思っている。

 NHKの調査の分に関しましては後程理財局長に説明を頂きますけども、少なくとも今の段階で私共と致しましてはできる限り速やかにやらせていきたいということで調査を慎重に進めさせて頂いております」

 委員長「大田理財局長」

 太田充「お答え申し上げます。委員ご指摘のNHKの先般の報道についてでございますが、事実関係をご確認できましたのでご報告をさせて頂きます。昨年、森友学園への国有地売却、国会で議論された初期の頃、2月20日の頃でございますが、森友学園による地下埋設物の撤去の状況という議論でございました。

 そのことについて事実関係が十分確認できていないままで、当時売却後でございますので、具体的な撤去の状況につきましては把握してございませんといった注釈はつけつつも、相手方に於いて適切な撤去をしたというふうに聞いてございますとか、あるいは適切に行ったというのは近畿財務局で確認してございますといった答弁をしていたところでございます。

 で、こうした状況のもとで、昨年2月20日に理財局の職員が森友学園側の弁護士に電話で連絡をして、この今申し上げたような答弁との関係を気にしてということですが、森友学園が地下埋設物の撤去に実際にかけた費用、に関して、『相当かかった気がする』と、『トラック何千台も走った気がするという言い方をしたらどうか』という話をしたということでございます。

 ただ、この理財局の職員はその後、近畿財務局の職員にも(森友側に)再度念を押しするようにという話をしてるんですが、近畿財務局の職員は、それは事実に反するということで、そういうー、うー、作業を確認さ、確認させるということは行っていないということでございました。

 また、それと森友学園側の弁護士さんの方も、今の電話の話を踏まえた対応というのはされておられない、そういうことは仰っておられないということでございます。

 森友学園側に事実と異なる説明を求めるというような対応は間違いなく誤った対応でございます。大変恥ずかしいことでございますし、大変申し訳ないことでございます。深くお詫び申し上げます(頭を下げる)」

 西田昌司「また驚いたこと言いましたね。我々もこれまた目をも疑うようなことなんですが、要するに財務局側からですよ、向こう側に森友学園に対してそもそも、処分をしたという話で国会答弁していて、まあ、これくらいやったら(としたら)どうかと呼びかけてるんですね。

 (太田充に向かって)バカか本当に。何考えてるんですか。と言うか、この問題、益々分からなくするんですよ。要するに今回の問題はですよ、ゴミが新たに出てきて、そしてそのゴミの処分をするのをですね、する代わりに、ま、値引きしてるんですよ。要は処分するかどうかは森友学園の判断でいいんですよ。

 何やらわざわざね、それだけ新しいゴミを処分しましたなんて論法を立てること自体ね、私はあり得ない話だと思うんですよ。それを何でそういうふうにやるかというのは要するに国会で言われてね、何か、えー、オタオタしてですね、ま、さも本当にたくさんのゴミが出たんですよということを印象づけたいがためにですよ、そういう答弁をしたとしか考えられないじゃん。

 と言うことはね、それもさっきのイラク問題とおんなじなんだけども、国会ですよ、ここは。(怒鳴りつける口調で))国権の最高機関が、国民の代表が聞いているんだよ。

 それをね、そういうね、それを印象ゼロにさせる(ゴミの量をゼロに印象づける)ような答弁をするということ自体あり得ないんだよ。何でこんなことができたの?答えてください」

太田充「あのー、基本的に委員ご指摘の通りでございます。要すれば初動の時点に於いて、今、委員が仰ったとおり、8億2000万っていうのは要するに土地の価値を評価して、その適正な価値を評価して算出する、あるいは呈上するということですが、要するに撤去をしたのかと、いうふうな最初の頃の議論があって、さも撤去を、適切に撤去をしたというような事実関係を十分に確認しないまま、そういうふうな答弁をしてしまって、適切にというのは、ま、色んな意味を含めてだったと、だっただろうと思いますが、少なくとも間違って受け止められても全然おかしくないのは、答弁してしまったので、それをそのまま理財局の職員がある意味で整合性を取ろうとして、そういうことをしてしまったと。

 あの財務局は(要請に対して)ついてきていないし、先方(森友学園側)もついてきていないんですが、大変、大変恥ずかしく、大変申し訳がない。今は何を言われてもは、ちょっと仰る通り、申し訳ありませんとしか申し上げようがないようなことでございます」

 西田昌司「本当に呆れました。本当にこれがね、私はここまで、ま、国家公務員、そのモラルがね、堕ちているのかと思うと、ゾッとしますよ。

 総理、この問題の本質はですね、元々総理、またご夫人がですね、その口利きのような形でかけられたんじゃないかとでいう話になってきて、大騒ぎになってきましたよね。

 この前の佐川さんの証人喚問も含めてですね、そういう事実はないということははっきりしてきているわけですよ。ところが、私、一番気になりますのはね、この役人が何でこういう答弁するのかと。

 で、この真実はもっと明らかにして貰わないと困りますけれども、先程の防衛省も含めてですね、要するに役人っていうのは、組織で動きますね。で、組織の中で自分たちの立場を守る。そのために分からなければいいかと、そういうことを思ってるとは私は思わないけれども、要は組織の論理でですね、真実を覆い隠してしまうと。

 そういうことがないとは言えない。ありがちなんですよね。色んな情報に関してそのことについては、私は、これから、本題の質問としてやっていきますけれども、要するに自分たちの都合のいい、情報は出すけれども、都合の悪いのは覆い隠してしまう。むしろを隠蔽して絶滅してしまういうことは行なわれているわけ。

 この一番のメインはやっぱり役人の在り方なんですよ。組織というのに役人というのは逃げてしまいますから、組織の論理が前にいってしまうと、どうしてもそういうことに私は成り立ってしまうところあると思うんですね。ですから、官僚のこのモラルを改良することが必要なんですけども、これは役人それぞれがですよ、綱紀粛正しっかりを守って、反省して貰わなければなりませんが、行政府の長でも、総理はあるわけですよね。

 そのことをしっかりと考えてこの役人のですね、モラルを回復させるためには、一番のトップである総理がしっかりリーダーシップを持ってですよ、
この役人一人一人がですね、組織の論理ではなくて、国民目線に立った仕事、ちゃんと行っていこようと。そういうことをやっぱり総理から訓示を与えて、しっかり指導していく必要があると思うんですが、総理のお考えを」、

 安倍晋三「(原稿読み)防衛省に於けるイラクの日報問題や財務省に於ける文書の書き換えの問題は防衛省・財務省にとどまらず、行政全体の信頼を損なうものであります。
 
 いずれも国民の皆様から厳しい目が向けられていることを真摯に受け止めながら、なぜこのようなことが起こったのか。全てを明らかにするために徹底的に調査を行い、全容を解明し、再発防止に全力を挙げていきたと考えおります。その際にですね、しっかりと膿を出し切ることが大切であろうと考えております。

 えー、全ての政府職員は原点に立ち返り、公文書は国民が共有する知的財産・資源であること。公文書を扱う者の立場は極めて重いことを改めて肝に銘じて貰いたいと思います。

 その上で行政の信頼回復には公務員一人ひとりが国家国民のため、心を尽くし、身を尽くす全体の奉仕者としての高い倫理観と使命感を持ち、職務の遂行に当たらなければなりません。

 先般新しく公務員の道を選んだ諸君も研修の場で私もこう、申し上げたところであります。まさに日本の未来は諸君の肩にかかっている。高い倫理観を持つようにとの趣旨の話をしたことでございましたが、同時に公務員が行政のプロとして高い誇りを持って、その専門性を存分に発揮し、適切に役割を果たすためには、国民の代表たる政治家がその責任と権限の元、強力なリーダーシップを発揮しなければなりません。

 私が内閣総理大臣として先頭に立って、行政全体の信頼回復に全力で取り組んでいく考えでございます」(以上)

 西田昌司は役人は組織の論理で行動する、「国政に対する国民の信頼を失わせた」と役人を批判し、安倍晋三は役人は「高い倫理観を持て」と叱咤しているが、「国政に対する国民の信頼」を時として失わせるのは役人のみではなく、政治家もよくすることであって、尚且役人を指揮・監督・指導する役割・立場は政治家側にあることを弁えて、これらの役人統御が機能していなかったことの責任意識と反省を以ってして自らを律する「高い倫理観」がなくてはならないのだが、安倍晋三は役人に代わって国民に謝罪する程度で終わらせている。

 要するに役人統御の「役割を果たすためには、国民の代表たる政治家がその責任と権限の元、強力なリーダーシップを発揮しなければなりません」と発言していることは今後の対応であって、そのように対応しなければならない事態を生じさせしめた今までの「国民の代表たる政治家の責任と権限」の十分な発揮の未達状況の自らの責任に関しては一言も触れていない片手落ちを平気で侵している。

 このような責任意識の欠如が原稿読みに徹することを可能にさせているのだろう。

 太田充は財務省職員がゴミ量の口裏合わせとも解釈できる要請をした理由を、当時財務省の理財局長であった佐川宣寿が「森友学園による地下埋設物の撤去」の「事実関係が十分確認できていないまま」、「具体的な撤去の状況につきましては把握してございませんといった注釈はつけつつも、相手方に於いて適切な撤去をしたというふうに聞いてございます」、あるいはゴミ撤去は「適切に行ったというのは近畿財務局で確認してございます」といった国会答弁を行ったことに置いている。

 ところが理財局の職員が上記佐川宣寿の「答弁との関係を気にして」、2017年2月20日に「森友学園側の弁護士に電話で連絡をして」、「森友学園が地下埋設物の撤去に実際にかけた費用、に関して、『相当かかった気がする』と、『トラック何千台も走った気がするという言い方をしたらどうか』という話をした」

 太田充のこの国会答弁の最初の疑問は佐川宣寿がゴミの撤去に関して「事実関係が十分確認できていないまま」国会答弁を行っていたという事実である。

 なぜなら、森友学園側からの国有地貸付けの申込みからその交渉の経緯、貸付けが売却に変わり、売却が可能かどうかの交渉の経緯、売却と決まってからの価格の交渉の経緯、ゴミが新たに発見されて、土地の価値が下がることから、どう対処するのかといいった交渉の経緯、ゴミの撤去・処分は森友側が引き受け、その費用を売却額から値引く交渉と決定の経緯、ゴミの量の算出とその撤去・処分費用の見積もりの経緯等々の全てが決裁文書に記載してあるだろうから、「事実関係が十分確認できていないまま」国会答弁すること自体が摩訶不思議ということになるからである。

 大体が森友学園に対する国有地売却関わる佐川宣寿の国会答弁にしても、安倍晋三や麻生太郎の国会答弁にしても、売却の事実経緯を記載した決裁文書を元に作成される。すべての事実経緯を理財局長が把握しているわけではないし、佐川宣寿が財務省理財局長に就任したのは2016年6月17日で、この3日後の2016年6月20日に財務省と森友学園の間で国有地の売買契約が成立している。

 いわば売買成立に至る経緯の殆んどは佐川宣寿の関知外にあった。当然、国会答弁はなおさらに決裁文書の事実経緯、あるいは事実関係に頼らざるを得なかったはずだ。

 にも関わらず、「森友学園による地下埋設物の撤去」の「事実関係が十分確認できていないまま」国会答弁をしていた。この不自然過ぎる対応は素直には納得できない。

 2017年2月20日頃は決裁文書改竄が始まっていた頃か、改竄直前の頃であり、決裁文書改竄と合わせて財務省職員が撤去・処分費用が「相当かかった気がする」、「トラック何千台も走った気がするという言い方をしたらどうか」と電話を掛けたと考えると、改竄との整合性を見事に取ることができる。

 また佐川宣寿が「具体的な撤去の状況につきましては把握してございません」とか、「相手方に於いて適切な撤去をしたというふうに聞いてございます」、あるいは「適切に行ったというのは近畿財務局で確認してございます」といった答弁しかできなかったことが改竄に合わせた、あるいは改竄に備えた発言の限界だとしたら、改竄と符合した限界と見ることがができる。

 さらに理財局の職員が佐川宣寿の答弁と整合性を保つためにとどう理由をつけようとも、森友学園の弁護士と近畿財務局にさも大量のゴミを処分し、当然、それなりの費用がかかったと見せかけるよう求める電話を入れたことが真正な事実とすると、当の職員はゴミの存在量に対する懸念を前提にしていることになる。

 実際に見積もったとおりの量でゴミが存在していて、その量に見合う撤去・処分の見積り金額であったなら、カネの掛かりも、撤去・処分に必要としたトラックの台数も気にかける必要性はどこにも存在しない。ゴミの存在量に対する懸念も持つことはない。「理財局の職員がある意味で整合性を取る」必要性も見当たらないことになる。

 気にかけ、懸念を生じさせたのは実際には存在していなかったからに他ならない。ウソつきはついたウソがウソと露見することを恐れる。事実を口にしていたなら、その事実について気にかけることも懸念を持つこともない。

 存在していなかったから、佐川宣寿にしても、「適切な撤去をしたというふうに聞いてございます」、あるいは「適切に行ったというのは近畿財務局で確認してございます」といった答弁しかできなかったということであろう。

 実際に存在していたなら、決裁文書に記載されているはずだが、値引き額を正当づける根拠となるはずであるにも関わらず、改竄前の元の決裁文書にもその量は記されていない。

 どこをどう押しても、見積もりどおりのゴミの量は出てこない。

 つまり佐川宣寿も見積もりした量のゴミが存在していなかったことを知っていた。当然、撤去・処分費用が過大に見積もられていることも知っていた。理財局の職員は野党議員の誰かが、その他が森友学園側に直接尋ねて聞き出すのを恐れて、2017年2月17日の佐川宣寿の国会答弁の3日後に口裏合わせの電話を慌てて掛けた。
 
 太田充は財務省職員の口裏合わせ要請の電話に対して近畿財務局の職員は応じなかったといった答弁をしているが、そう答弁するとき、「そういうー、うー、作業を確認さ、確認させるということは行っていないということでございました」とスムーズに言葉を口から出すことができなかったことも、いわば確信を持って断言できなかったことも、答弁が表現している事実を著しく疑わせることになる。

 「財務局は(要請に対して)ついてきていないし、先方(森友学園側)もついてきていない」と言っていることも口裏合わせと見ることができる。

 西田昌司の質問に対する理財局長太田充の答弁からは見積もったとおりの量のゴミが存在しなかった事実しか浮かんでこない。

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大相撲土俵女人禁制:女は穢れているから土俵に上がるなと言える程、男は何様な生き物では断じてない

2018-04-09 12:19:27 | 政治

安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定


「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 

 【謝罪】

 昨日のブログで文字が乱れていました。投稿後確認したときは乱れていなかったはずですが、午後4時過ぎに気がついて、直しておきました。謝罪します。

 2018年4月8日にフジテレビ「報道プライムサンデー」が現在問題となっている「大相撲土俵女人禁制」を取り上げていた。番組側が奥寺健アナ、佐々木恭子アナ、そしてハバード出身、タレントのパックン、ゲストとして不正寄付疑惑で窮地に立ち、野党から辞任を求められたが、辛うじて踏みとどまり内閣改造に伴って大臣を交代をさせられた元文科相の下村博文と評論家の宮崎哲弥、ジャーナリストの有本香が歯に食べ滓が残ってなかなか取れないような不愉快にして釈然としない主張を展開した。

 要するに「女人禁制」なる大相撲の伝統の正当性・非正当性、是非についての本質に切り込む議論は正直のところ、見受けることはできなかった。

 フジテレビ「報道プライムサンデー」(2018年4月8日)

 アナウンサーの奥寺健がかつて富士登山は女人禁制だった、沖ノ島は女人禁制だったが、世界遺産の登録以後は男性も立入禁止になったこと、高校野球の甲子園では女子マネージャーがグランドに出ることは禁止されていたこと、寿司職人には女性は向いていないとされてきたこと、女性入場禁止のゴルフ場等々、日本の女人禁制事情を解説。

 沖ノ島についてネットで調べてみると、島全体が宗像大社の神領となっていて、一般人の立入りが許されるのは男性だけだったが、2017年7月9日に世界遺産に登録されて以後、男性の立ち入りも禁止されるようになったといったことが紹介してあった。

 ここでパックンがアメリカの女人禁制事情を聞かれて、2012年に2人の女性会員を迎え入れたオーガスターゴルフクラブなど、5箇所ぐらいあると発言。

 パックン「(日本とアメリカが女人禁制にしている場所・組織とでは)何が違うかと言うと、アメリカは(富士山みたいに)みんなの山ではないし、大相撲みたいに公益財団法人ではない。税金のギブを受けている団体は国民全体のものであるというふうにアメリカ人全員が、多分、思んですよ。

 大相撲みたいな通称国技?、自称国技のスポーツがこういうことになっているのは、殆んどのアメリカ人は理解できない」

 佐々木恭子アナ「この女人禁制、女は土俵に上がるなという伝統は守っていくべきでしょうか」

 下村博文「そもそもね、アメリカと違うのやっぱり日本は、それだけの歴史の長さがある中で、伝統文化と宗教宗派的な、そういう影響というのは他の国以上に日本は守られてきた部分があると思うんですね、日本は。

 まあ、大相撲もそういう、どちらかと言うと、神道の影響って凄くありますから。ただ今回、多くの人たちが見ていたのにですね、これは伝統文化とか言うよりは、人命の方が重要だろうということで、逆にあの瞬間的に女性が土俵に上がってですね、救助したっていうのは、逆に国民から見たら凄いなと、女性の瞬発的な判断能力とかね、それを行司が止めること自体、おかしんじゃないのと殆どの人たちが思ったのではないかと思うんですね。

 ですから、何が何でも女人禁制というよりは、やっぱりその、色んな例外の中でですね、対処していくことが必要だろうなっていうのは思いますけどね」

 佐々木恭子アナ「今、例えば女性、男性だけじゃなく、性ってとても多様なんだってことが認識されつつある時代ですよね。LGBTの方も色々と声を上げられるようなって。

 その中でこの女人禁制っていうものが今の時代に通じているのかどうかってことに関しては、如何お思いですか」

 下村博文「今の時代には即してはいないでしょう。いないけど、一方でその伝統文化とか歴史とかね、それから宗教・宗派の中で、それずっと守ってたところについてですね、それをやめろということは、言えないんじゃないかというふうに思うんですね。

 ただこの土俵については、私も、あの、官房副長官をしていたときがありましたね。5回ぐらい、総理の優勝杯を代わりに優勝力士にお渡ししたことがあったんですが、かつて森山真弓さんという女性がね、官房長官のときに上がれなかったことがあったんですね」

 奥寺健「太田房江さんもありました」

 下村博文「太田房江さんが大阪府の知事なんでね。これからね、政治の世界も女性がどんどん出てきますよね。そのときに例えば3割ぐらい女性なら、国によって半分女性が、あのー、政治家と。そのときに日本だってどんどん増えてきたときにね、女性だから、例えば総理大臣が女性になったときとか、それは上がれないのかっていうのはちょっと如何なものかということはあるでしょうし、そもそも調べてみたら、江戸時代は女性相撲ってものがあったですね。

 ですから、伝統文化といっても、お相撲の場合は昔から、その土俵に女性が上がれないっていうことではなくて、ある意味では明治以降の話ですから、そのー、最終的には相撲協会が判断されることでしょうけども、例えば表彰のときとかね、挨拶のときも女性が上がれないってのは、ちょっと国民感情として如何なものかとは、率直に言って思いますよね」

 佐々木恭子アナ「有本さん、今のお話、例外は作ってもいいじゃないかというお話ですが、伝統を守るべきなのか、改革的がいいのか、どちらなのでしょうか」

 有本香「伝統っていうのも、一体どっから伝統かっていうことに尽きると思うんですよね。ですから、伝統ってのは変えてはいけないっていうことではなくて、まあ、状況により変えていく。

 ただその変え方としてですね、まあ、漸進的って言うんでしょうか、つまり緩やかに段階を踏んでも、みんなのある程度合意、理解がありながら変わっていくっていうのが、まあ、いい形だと思うんです。

 ただ、この問題に関してはポイントは二つしかなくてですね、これ緊急事態じゃないじゃないですか。緊急事態にたまたま女性が、看護師である女性がパッと動いたっていうことがありますよね。

 だけどそもそも、相撲協会、あるいはこの主催側がですね、こういう状況を想定していなかったのかっていうことなんですよ。相撲っていうのは土俵の上で色んなことが起こり得るわけですから、その救命措置をですね、あの、まあ、心臓マッサージなんかができるような人を待機させておくというようなことぐくらいのことは常にやっておけ、当たり前だと思っている」

 奥寺健「救命措置が必要な場合ありますからね」

 有本香「だから、これで女性、男性という問題になること自体がちょっとイベントとしておかしいというふうに私は思ってるんですね。で、それをですから、男女の問題以前の問題なんです。

 もう一つは、その、さっきパックンが仰ったようにその公益財団であるということ。この中で例えば公益法人でなければ、今の人気になっても、何であっても、それは人気があってもなくても、まあ、お好きにどうぞっていう世界だけども、そうじゃないだろうというところに対してどう答えていくかっていうことに尽きるというふうに思んですよね。

 ただ一方ではですよ、今回のことがあったからと言って、緊急事態でちょっとガタガタがあったからと言って、それに乗じて、あんまり政治的な動きにしていくというのも、一方でちょっと抵抗あるかな。

 例えばここで急にね、女性の政治家が『だったら、私も乗せてよ』みたいな感じになってきて、あんまり政治的な話になっていくのも、ちょっと理解を得られにくいという気が――』、
 
 パックン「だけど、これをきっかけに大事な議論が今のうちに始まればいいんじゃないですか」

 有本香「そうですね。ですから落ち着いた議論をやっぱり、これをキッカケにするべきだと思う」

 パックン「女性総理大臣が登場したら、。その瞬間から考えるのは遅いんじゃないですか」

 有本香「それはそうですね」

 宮崎哲弥「それはそれで何か性急な感じがするし。如何にも取ってつけたようでもあるし」

 佐々木恭子アナ「宮崎さんはどうお考えですか」

 宮崎哲弥「私は下村さんや有本さんが仰ったように果たしてどこからの伝統なのかと言うことがあると思います。一番最初ね。あのー、1957年の土俵に女性が上がっている、そういう写真がありましたよね。

 あれは女相撲でずっと活躍された方が引退なされるときに地方巡業、大相撲の地方巡業に合わせて土俵に上げようというふうに当時の親方がお考えなって上がったものなんですよ。

 そういうことがあったということを考えると、特に下村さんがおっしゃったように戦前は、室町時代とかは江戸地時代にも女相撲はあった。戦前も山形県を中心に女相撲っていう伝統は引き継がれてしてきた。

 古くは日本書紀の雄略天皇の前で女相撲をやったという、そういう歴史もありますから、ひょっとすると近代に入って、まあ、女性同士が裸で取っ組み合いをしているっていうのは近代社会としておかしいのではないかと、極めて近代的な考え方でこの伝統が途切れたのかもしれない。

 いうようなことも含めて、歴史的・民俗学的・歴史録的な考察を含めてこれからどうやっていくかということを考えるいい機会だと思いますよ」

 パックン「女人禁制を解くことから逆に伝統を復帰させる」

 宮崎哲弥「可能性もあるということ」

 佐々木恭子アナ「考えてみると、どこからが伝統かっていうことが、まあ、分からないまま、私たちも何か――」

 宮崎哲弥「近代になってつくられた伝統って、一杯あるんですよ」

 佐々木恭子アナ「それが慣れて受け入れているというところがあるわけですけども――」

 下村博文「私ね、青年会議所出身でわんぱく相撲でやってたんですよ。わんぱく相撲っていうのは小学生がやるんですけども、女の子も参加してるんですよ。ところがいざ決勝では、国技館なんですね。

 だからその、地方でトップまでいっても、決勝戦には国技館でやるときは女の子は出られないんですよ。それって可哀相だよね――」

 佐々木恭子アナ「それって説明できますか」

 パックン「今回の事件も、あの頃ね、どうなのって聞かれたら、説明できなかったですね」

 奥寺健による世界経済フォーラムが去年公表した「男女格差ランキング」によると、日本は144か国中114位だったという解説。

 下村博文「(無邪気に笑いながら)いや、これやっぱり低すぎますよね。まあ、あの、世界幸福度調査でも低くて、世界で50番目ぐらいなんすね。少なくても(「男女格差ランキング」は)50番目ぐらいにならないと、やっぱ国際社会の中でちょっと恥ずかしいなって感じしますよね。

 特にこれから女性活躍の時代を安倍政権としても作っていこうと。男女共同参画ていうのはちゃんと政府としてもあるわけですから、それを上げるために、どんなふうなランキング、色々な中でもトータル的に114位でしょうけど、これ一つの指標に政府としても国としてもしていくべきだと思いますね、もっと上げるように」

 佐々木恭子アナ「これって政府とか社会の仕組みって勿論あるんですけれども、この女人禁制じゃないですか。何かこうい女性の意識の潜在意識の中にも入ってはいけない、言えない意識みたいなところがあるようにも思うんですけど、有本さん、その辺り如何ですか」

 有本香「それは私は実感としてはね、感じたことはないし、そこで女性が不利な分野ってどうしてもありますよね。あの、まあ腕力だとか体力の点で不利だって分野はあると思います。

 ただ、やっぱり。この指標、このランキング自体がですね、どこまで信頼性があるんだと、残念ながら私は思っていて、北欧の国々って大体共働きで、男女の先ず収入が対等であるっていう世界になってるんですよ。

 例えば4位のルワンダいうのは、ここは完全なクオータ制ってものですよね。ここはご存知のように内戦が長かったもんで、男性が大分亡くなってしまった。女性が国造りしてかなきゃいけないという中で憲法で非常に厳しく規制をやっているということがあるから、日本なんかに比べれば、遥かに女性の国会議員の数が多いですよね。

 日本は、やっぱり女性の国会議員の数は確かに少ないですね。今多分、最新の選挙の後でも10%ちょっとですよね、衆議院でも。これやっぱり少ないと思うけれど、じゃあ、それを他の国々のようにですね、定員制にしてしまうのが男女、要するに均等にする制度に作ってしまうのがいいかどうかというのは、これはやっぱりちょっと日本人の中には、若干抵抗感があると」

 パックン「クオータ制は確かに問題はありますよ。それが不平等に繋がるという考え方もありますが、例えば社会の女性進出を掲げている党が、よし、次の選挙で立候補する皆さん、候補の4割を女性にします。自発的にやればいいんじゃないかと思います」

 下村博文「国会の中で、あのー、日本の国会議員をクオータ制にしろというふうな議連もあるんですね。自民党の中でも大分議論がありました。ただおっしゃる通りですね、その男女比を全く、そのフィフティフィフティにすることがいいとは思えない。

 それ確かに女性は男性よりもそういう目に見えないガラスの壁みたいのはやっぱりあるんですよね。ですから、優秀な女性がやっぱり政治に入っていくのは、ハンディキャップがあるのは事実ですね」

 佐々木恭子アナ「どういうところがハンディキャップと感じざるを得ないでしょうか」

 下村博文「結構な意識としてもまだ残ってると思いますよ。私は子供の頃でもね、やっぱ女には負けたくないよみたいなところがね」

 佐々木恭子アナ「宮崎さんありましたか」

 宮崎哲弥「私は女性に負けっ放しで、今や、そういう意識は殆どないですけど」

 下村博文「子供の頃あった?それがどんどん亡くなってきた、私自身は。やっぱり日本の、そういう意味では変化ってのはあるでしょうけども、10%はね、国会議員は女性の方は少ないと思いますよ。

 もっとね、それが50・50というのはいいと思わないけど、女性がもっと増えた方が、確かに多様性の中で、色んな視点の中でね、今まで男性社会の中で気がつかなかった、あるいは目に見えない部分で出しゃばって排除されるという、そういうところに視点をね、女性の観点から光を当てるという意味では、もっとね、女性のね、国会議員ばかりじゃありません――」

 宮崎哲弥「どうやったら増やせると思いますか」

 下村博文「でもね、社会変化でね、少しずつ増えてきていますよね。ただもうちょっと男性の立場から見ると、女性のそんなハンディキャップをね、無くすためにどうしたらいいかというと、これを無くしたらすぐ女性が増えるということじゃなくて、ある意味の社会的トータル的な部分があると思うんですけども」

 有本香「ただね、あのランキングね、ちょっと当てにならないんじゃないかと私申し上げたんですけども、もう一つは企業で役員になるのに
やっぱり勤続年数というのがある程度の評価の一つになる。そこでやっぱり日本の女性がどうしても途中で出産などを経たときに、やっぱ勤務を中断しなきゃなならないということが起きてくるときにこういうことは制度でカバーできると思うんですよ。

 それ以外の考え方としては、さっき仰ったように認識の中にもっとあるんじゃないかという、例えば今もですね、大学生の女性が、こう聞いてみると、何になりたい、どんな仕事をしたいって聞くと、『仕事するよりも専業主婦になりたい』

 高等教育を受けてても日本の場合は専業主婦になって幸せになりたいっていう、こういう価値観を結構より根強く持ってる人も多いんですよね。そこがやっぱりむしろ、女性の社会進出という点に於いてはマイナスにも働いてるんだけど、これは一概にはやっぱり私は否定できない」

 パックン「専業主婦という選択肢も残す必要はあるんですけども、企業とか政治家にもなれる、そこはやっぱり禁制としない方がいいですよね」

 有本香「広い機会があるっていうのは多分、幸せが大きいっていうのは考えられる』

 宮崎哲弥「生き方の選択肢があって、男女差があってはならないんだよ。そうでしょ。そういう社会と、そういうことを担保する社会が多様性のある社会というわけですよね」

 佐々木恭子アナ「女人禁制ということを通して・・・・・・・」

 時間終了

 下村博文は優勝杯の授与や今回の救命措置等の場合は“大相撲土俵女人禁制”は例外的に解除すべきの例外論者となっている。いわば基本的には女人禁制支持論者の姿を取っている。

 支持の根拠を「日本の歴史の長さ」、「神道の影響」に置いている。但し「日本の歴史の長さ」が大相撲の土俵に於ける女人禁制とどう繋がるのか、「神道の影響」が女人禁制を正当づける具体的な理由については一言も触れていない。

 絶対とすることの正当性を具体的に述べずにただ単に「日本の歴史の長さ」と「神道の影響」を絶対として、それを自ら正当としているに過ぎない。

 有本香は、「伝統っていうのも、一体どっから伝統かっていうことに尽きると思うんですよね」と言って、伝統が長ければ女人禁制は許される、短ければ許されないとする伝統の時代的長短を条件としている。

 対して宮崎哲弥は「近代になってつくられた伝統って、一杯あるんですよ」といって、かつては大相撲と言えども女人禁制ではなかった、近代以降の伝統に過ぎないと、これも伝統の時代的長短を問題にしている。

 あとは“大相撲土俵女人禁制”の正当性・非正当性の本質論を離れて日本では他国と比較して女性国会議員が少ないだとか、クオータ制は反対だ、女性が出産で一定期間リタイアして勤続年数に影響が出ても、制度でカバーできるとか、女子大生は専業主婦志望が多くて、一概には否定できないが、女性の社会進出にはマイナスだとか、わんぱく相撲で地方優勝して全国大会が国技館で開催される場合は土俵に上がれないのは可哀想だとか、男性にはない、女性が置かれている不利な状況に議論の時間を費やしている。

 「伝統」を錦の御旗にした、あるいは水戸黄門の葵の印籠にした女人禁制絶対の別世界としている大相撲に対してこの手のことをいくら論じようとも、何ら痛痒を与えないだろうことに最後まで気づかない。

 大相撲が男の力士だけの世界ではなく、女性の力士も存在しているが、女性の力士採用は「見えないガラスの壁」があって不利な状況に立たされていると言うことなら、女性の社会進出の面からの、あるいは社会的多様性の面からの議論も有用性を持ち得るが、残念ながら、大相撲には女性力士は存在しない。

 下村博文は政治家でありながら、国技観で行なわれるわんぱく相撲の決勝戦は“大相撲土俵女人禁制”の壁に阻まれて女の子が出られないことを「それって可愛そうだよね」と同情して、同情だけで終わらせている。

 何らかの問題提起もしなかった。提起していたなら、そのことについての発言がある。女人禁制例外的許容論者で、実質的には女人禁制支持論者の限界なのだろう。

 「可愛そうだよね」だけで済ませるような程度の低い政治家を呼んで女人禁制を論じさせる。テレビの程度も準じることになる。

 2018年4月5日付「The Huffington Post」記事に女人禁制について、〈神道では血を出すことは「けがれ」とされる。そのため、生理があることから女性を「血」と結び付け、宗教的な禁忌ととらえるようになったとされる。〉と伝えている。

 女性から「生理」を取ったら、女性としての存在性・存在意義を失う。その生理によって人類は人類としてのその命脈を男と共に保つ一方の重要な役割を担っている。

 当然、男と女性は平等でなければならない。どこが穢れた血なのだろうか。妊娠・出産は穢れた行為だと言うのだろか。

 それとも妊娠に結びつかず、生理として外に出た血だけを「穢れている」として宗教的に禁忌の対象としたのだとしたら、ご都合主義に過ぎる。女性は男の道具ではない。生理は女性の存在性・存在意義証明の一つとして位置する。

 過去の歴史に於いて女性を穢れた存在とし、宗教的な禁忌の対象とした時代があったとしても、克服しなければならない時代を迎えているはずだ。特殊な世界と位置づけていつまでも伝統として引きずっていること自体、女性に対する侮辱以外の何ものでもない。

 もし大相撲では土俵は神聖なものだから「女人禁制」だと価値づけるなら、相撲取り、行司、その他土俵に上がることができる賞を渡す政治家、役人、その他その他、いわば男という生き物全般は土俵の神聖さに添う生き物ということになる。どこが神聖さに添うというのか。
 
 親方株の億単位という売り買い。八百長、白星の譲り合い、暴力、しごき、博打等々、「神聖」さのカケラもない人間の多いのが実情ではないか。
どこが「伝統」だと言えるのか。 

 聞いて呆れる。常に「神聖」という価値観・規範で行動していると言えるのだろうか。何を「伝統」として生活していると言えるのだろうか。

 伝統、伝統と騒ぐのは対象とする人間営為全体の権威を歴史の長さや組織の規模、慣習等の形式を優先する考え方から発している。日々の全体的な人間活動の質を重視する立場に立っていたなら、伝統だ何だといった勿体づけの認識は出てこない。今ある存在意義だけを問うことになるだろう。

 相撲協会の面々を見ても、相撲取りの一人ひとりを見ても、それぞれの役割に懸命に取り組んでいたとしても、一個の人間として存在し、活動をしているに過ぎない。

 決して何様ではない。何様ではない人間が伝統を持ち出すことで、自分たちを権威づけ、権威づけることによって勿体づけ、価値を高めようとする。女人禁制という権威づけの裏で女性を排除し、結果的に男である自分たちを何様に位置づける。男であるからこそ、神聖な土俵に上がることができるとばかりに。

 2018年4月6日にツイッターに次のような投稿をした。

 〈土俵は女人禁制が伝統だから、女性は土俵には上がってはいけない。だが、女性と言えども、伝統に関わらず相撲観戦は大歓迎だでは勝手が過ぎる。土俵の女人禁制が伝統なら、客席まで女人禁制を伝統として初めて大相撲に於ける女性の扱いが平等となり、整合性が取れる。〉

 パックンが富士山はかつては女人禁制にしていたとしても、「みんなの山」だから女人禁制としていないことは当然だが、大相撲は公益財団法人で国から金銭的支援を受けているゆえに「国民全体のものである」から、女人禁制にしているのはおかしいと「アメリカ人全員が、多分、思んですよ」といった趣旨のことを男女扱いの平等性から発言していたが、女は穢れているから土俵に上がるなと言える程、男は何様な生き物では断じてない。存在性という点で、あるいは存在意義という点で男と女性に優劣はない。この点について如何なる場所でも平等だという意識をそろそろ確立すべきである。

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08年3月25日ブログ再掲/3月大阪場所・内館牧子「私の中で引退した人」朝青龍が目出度くも優勝

2018-04-08 06:23:29 | 政治

安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定
 

「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 過日、京都・舞鶴市の大相撲春巡業で土俵上挨拶中の舞鶴市長が体調悪化で転倒、観戦中の女性看護師が、人命を預かる職業柄、咄嗟の反応なのだろう、土俵に上がり心臓マッサージに取り掛かったところ、場内アナウンス担当の行司が“土俵女人禁制”の偉大な伝統を死守(?)すべく、「女性は土俵から降りてください」とアナウンスしたことが人命よりも伝統優先かと物議を醸している。

 野次馬根性で言うと、誰か相撲取りの一人が女性看護師の首根っこをひょいとつまんで宙に持ち上げ、土俵際までそのまま歩いていって、土俵下にポイと捨てたなら面白い展開になったと思うが、残念ながら、そういった展開とはならなかった。

 10年前も女人禁制の伝統か、男女平等の待遇かで問題となり、ブログにしている。題名からは「女人禁制」を扱っているようには見えないが、実際は「女人禁制」を掲げた大相撲の伝統について書いている。

 そこに書いてあることの妥当性は読者の判断が負うことになるが、参考のために再度ブログにして載せてみることにした。今回の女性看護師の土俵上の心臓マッサージに対する「女性は土俵から降りてください」の人命を考えない伝統優先の妥当性については明日の月曜日辺りにブログにしてみたいと思う。

 当時は無料のブログを使っていて、1記事1万字以内だったため、2部に分けて掲載したが、1部に纏める。
 

 大相撲はそれ程大層な「伝統・文化」を備えているのか。国技と呼ばれるにふさわしい内容、あるいは全体的な人間性を備えているのか

 脚本家・横綱審議委員会委員の内館牧子が01年3月17日の『朝日・論壇』に下記一文を寄稿している。

 寄稿の動機は大阪場所の優勝力士に当時の太田房江大阪府知事が府知事賞を自ら土俵に上がって手渡したいと希望したのに対して土俵は女人禁制だからと断った相撲協会の主張を支持する目的からのもので、その主張が如何に矛盾に満ちているか、自分に都合がいい、我田引水の論理展開となっているか証明するために先ずは全文を引用しておく。重要と思われる箇所は下線を引いておいた。

 ≪土俵の「女人禁制」維持は妥当≫

 <「私は長いこと大企業に勤務し、男社会の悲哀をいやというほど味わってきた。当然ながら男女差別には反対である。

 ただ、「伝統」というジャンルに関しては、芸能であれ祭りであれ工芸であれ、現代の考え方や様式にあわせていじる必要はないと思っている。それは、当時の文化が伝承されているものであり、もとより現代の考え方や様式に合うはずはない。それを『現代』と重ねて変革を望む発想はあまりにも短絡的だ。むろん、伝統の数々は継承の途中で、少しずつ形を変えてきている。その時代のままということは不可能に近く、必要に迫られた変革もあれば、外から要求された場合もあるだろう。

 ただ、その伝統の「核」を成す部分の変革に関しては、広範な人々が大いに意見を言うことは当然として、その決定は当事者にゆだねられるべきものと私は考えている。

 その核は、部外者からすれば笑止なことでも、当事者にとっては譲れない部分なのである。大相撲に限らず、すべての伝統に関して言えることだが、当事者はその核を連綿と守り抜き、結束してきたのである。当事者の出した結論を尊重するのが部外者の見識というものだろう。

 たとえば歌舞伎の女形宝塚歌劇のあり方に関し、現代の考え方で「男女差別に怒りを覚える。男女平等に舞台に上げよ」という訴えがあったとする。そしてもしも、それが受けいれられたなら、その時点で歌舞伎ではなくなり、宝塚歌劇ではなくなる。伝統文化においてその核となる部分をいじった場合、それはまったく別ものの誕生ということになるだろう。勿論、当事者が容認した場合は問題ない。

 私は、今回、太田房江大阪府知事を土俵に上げないとした相撲協会の決定を妥当だと考えている。それは伝統文化の領域であり、現代の男女差別には当たらない
。また、「男だけで担う」ことは、大相撲の核を成す部分だと私は考えている。この点について、相撲協会と話したことはないが、ここまで必死に女人禁制を貫こうとするのは、やはりそこを核の一つと考えているからにほかなるまい。

 断られた知事は「どうしてなんだという思い」とコメントしているが、私はかくも強硬に土俵にあがりたがる知事に「どうしてなんだという思い」を持っている。何よりも理由に説得力がない。

 知事は「21世紀は女性の時代と言われている。(協会が)新しい形を目指すのにいい時期だ」(3月1日付本紙)と述べているが、それでは理由にならない。

 伝統文化に「現代」というメスを入れようとするなら、相当な覚悟と明確な理由が必須である。そしてそれ以前に、部外者が伝統文化の「核」に触れることへの畏怖があってしかるべきだろう。それを「新しい形を目指すのにいい時期だ」などと言い切るのは、あまりにも軽くはないか。知事の仕事ではあっても、前述程度の理由でその核となる部分にいじることに恐れを感じないだろうか。断られてもなお、説得力のない理由のもと、「優勝力士にわたしの手で渡したい思いに変わりはない」(3月8日付東京スポーツほか)と言うのは、あまりにも幼くはないか。

 ただ、知事のコメントから、協会の回答にも説得力がなかったことはうかがえる。その中で「協会の意向を尊重」して断念した知事の強い不満は当然だろう。
 
 大相撲は1200年の歴史に裏打ちされ、芸能性を持つ伝統競技である。人気低迷が言われる中、変革すべき点は多々ある。変革すべき点と保守すべき点に関しては、慎重な議論が必要だ。大相撲に限らず、伝統文化の何を打ち破り何を守るべきかは冷静に冷徹に考えたいと思う。>・・・・・

 先ず最初に言いたいことは、「部外者が伝統文化の『核』に触れることへの畏怖があってしかるべきだろう」と言う程に、大相撲は大層な競技なのだろうか。いくら歴史があるからと言って、それ程にも勿体振らなければならない競技なのだろうか。自分たちをさもたいした人間に見せるために自分たちが関わっている物事を持ち上げる権威主義民族日本人に特有のハコモノ思想からの勿体振りではないか。

 それぞれの競技はその競技特有の技術を限定保有している。大相撲に限った話ではない。大相撲に特有の技術とは四十八手の「技」ということになるが、それぞれの競技が面白い・面白くないはその技術(技)の決して固定的に発揮されるわけではない優劣の表現に応じた勝ち負けの争いによって決定される。

 いわば勝ち負けを演出する技術(技)の優劣という極めて個人の能力に負うところが大きい。そのことは大鵬や柏戸、千代の富士、貴乃花といった強い力士(=個人)が出現するかしないかで人気が左右されることが証明している。ただそれだけの話である。決して「伝統」が競技の面白さを決定する要因とはなっていない。

 野球は明治以降たかだか140年程度の歴史しかないし、プロ野球となると90年そこそこの伝統しか持たないが、その人気が大相撲を遥かに抜いている現状が競技の人気が伝統によって決まるとは限らないことを物語っている。

 大体が内館は自らが言っていること自体に矛盾を犯していながら、そのことに何ら気づいていない。

 「伝統」なるものが「当時の文化が伝承されているものであり、もとより現代の考え方や様式に合うはずはない。それを『現代』と重ねて変革を望む発想はあまりにも短絡的だ」」と言いながら、その主張に反して、「伝統の数々は継承の途中で、少しずつ形を変えてきている。その時代のままということは不可能に近く、必要に迫られた変革もあれば、外から要求された場合もある」と「伝統」の時代の変化に応じた「変革」性を平然と謳い上げている。

 言っていることのどちらが事実なのだろうか。伝統とされる物事が「現代の考え方や様式に合うはずはない」となったなら、どのような形を取ろうとも、後世に受け継がれることはないとしなければならない。「現代の考え方や様式に合う」からこそ、時代の違いに応じた人間の考え方の変化に遭遇しても「伝統の数々は継承の途中で、少しずつ形を変え」ながらも時間や時代を超えて受け継がれていくのである。それが伝統の継承と言うことであろう。当時の姿のままの「伝統」は存在しないはずである。

 だからこそ、「伝統の『核』を成す部分の変革」に関しては「当事者にゆだねられるべき」だとする主張を、それが正しい正しくないは別に導き出すことが可能となる。「現代の考え方や様式に合うはずはない」とする無変革を前提とせずに「伝統の変革」を前提としているからだ。

 だが、「伝統」が「現代の考え方や様式に合うはずはない」を絶対前提とするなら、特に「『核』を成す部分の変革」となると、現代の「当事者」にしても埒外の立場に置かれることになるはずだが、そうは考えないらしい。時代の変革性を考慮に入れたとしても、「当事者」としたら、逆にどのような「変革」も畏れ多いということになるだろうからである。

 内館が言いたいことは、「伝統継承」の「当事者」のみがその変革の資格があり、部外者にはない。「当事者」が「変革」したなら変革したなりに、変革しなければ変革しないままに従え、受け止めよと言うことなのだろうが、矛盾の上に矛盾を重ねた主張を繰返しているに過ぎない。

 伝統の変革関与は当事者にのみ許される。「1200年の歴史に裏打ちされ」た「大相撲の伝統」ともなると、それは絶対的当然事項としなければならないと言うのが内館牧子の結論であろう。

 「大相撲は1200年の歴史に裏打ちされ」とは何とも勇ましいぶち上げだが、相撲の競技自体のどこに「1200年の歴史」が反映されていると言うのだろうか。塩を撒くにしても、仕切りにしても、横綱の土俵入りにしても、単に受け継ぎ、取り決めた型(=形式)に過ぎない。取り決めた型を役目上真摯に行うだけのことだろう。伝統を意識して行っている者が一人としているのだろうか。

 仕切りは取組自体がごく短い時間で決着がつくから、時間を持たせるという意味合いもあるのだろうが、その間、取組力士同士の心理面の戦いが既に始まっていて、それが表情や仕草に何とはなしに現れ、どう勝敗に影響していくか窺うのが面白いと言う向きもある。だが、それは野球も同じで、次打者としてネクストバッターサークルに立ったときから心理面の戦いは始まっているし、バッターボックスに立ってからも、カウント次第で打者の方がプレッシャーとなる場合もあるし、ピッチャーの方がプレッシャーを感じる場合も出て、勝敗を競う競技には常に心理面、あるいは精神面の葛藤は付きものとなっている。相撲だけにある場面ではない。

 果して内館が「大相撲は1200年の歴史に裏打ちされ」ていると言う程、大袈裟な伝統・文化を抱えているのだろうか、調べてみた。

 関係するキーワードを『日本史広辞典代』
(山川出版)から拾ってみた。

 【相撲】「日本の国技と称される格闘競技。争う・あらがう意味の動詞『すまふ』の連用形『すまひ』が名詞化したもので、本来は格闘・力くらべを意味したが、のちに特定の様式の格闘競技をさして用いた。古来各地で行われていたさまざまな格闘が、平安時代に全国各地から相撲人(すまいびと)を徴発して行われた相撲節(すまいのせち)を通じ、同一性を持つ格闘競技として形成され、相撲節に付随した儀式的な要素とともに地方に普及したと考えられる。

 相撲節の廃絶後も、各地の寺社を中心に祭礼時の奉納や勧進などの目的で、相撲が芸能の一種として行われ、遅くとも中世後期には各地に職業的な相撲人集団も発生した。これらの相撲興行は江戸中期頃までに、江戸・大阪・京都を中心に組織化されて幕府の公認を得、各地の相撲組織を傘下に収める。また吉田司家(つかさけ)を頂点とした故実体系に組み入れられて、確固たる地位を築いた。現代の大相撲組織はその系譜に連なる。」

 「相撲節の廃絶後」、「各地の寺社を中心に祭礼時の奉納や勧進などの目的で、相撲が芸能の一種として行われ」た。ここには「当事者はその核を連綿と守り抜き、結束してきたのである」とする姿は見えない。

 【相撲節】(すまいのせち)「平安朝廷の年中行事として催された相撲会(すまいえ)。各地から召集した相撲人(すまいびと)を左右近衛府に分属させ、対抗戦の形で行われた。式日は、初めは7月7日、のちに7月下旬となった。年の後半の開始にあたり、豊凶を占い豊穣を祈る年占(としうら)神事と、地方から強者を集めて天皇に奉仕させる服属儀礼との両面を持ったが、のちには娯楽の意味合いが強くなる。『日本書紀』は、野見宿禰(のみすくね)と当麻蹶速(たいまのけはや)の力くらべを相撲節の起源説話として載せる。」

 【吉田司家】「相撲の家元を称する家。当主は代々「追風(おいかぜ)」を号す。家伝に寄れば、聖武天皇の頃の志賀清林を祖とし、のち京都五条の目代を勤めたといい、近世には熊本藩細川家の家臣となった。各地の行事の組織化に務め、18世紀頃から江戸相撲会所との結びつきを強めた。力士・年寄・行司らを故実門人とし、横綱免許を発給するなど故実を媒介とする相撲組織の統合を進め、近代に至るまで相撲の家元として重んじられた。」

 要するに「吉田司家」は茶道で言えば裏千家とか表千家、華道で言うなら、池坊とか小原流に当たるのだろう。組織化し、団体とすることで格式化し、由緒を持たせた。権威主義社会日本である。格式化することで価値を大いに高めたことであろう。

【故実】「古いしきたりを先例にそって学ぶこと。儀式において、先例の中でも環境に応じた特定の日時の行動作法が故実となって定着する。故実は年来の例と相違しても、行事の進展に相応する場合もあり、前例がなくても後代の先例となることがある。近世に入ると、前例遵守の慣行を故実と称するようになる。

 この「故実は年来の例と相違しても、行事の進展に相応する場合もあり、前例がなくても後代の先例となることがある。近世に入ると、前例遵守の慣行を故実と称するようになる。」としている経緯は受け継がれていく「伝統」と言うものの姿・性質を如実に示している。「行事の進展に相応」して手を加える変化が行われたり、ある時期「伝統」の中にないものが新たに付け加えられ、それが先例となって時代が下ると伝統の一部分と化す。そういった柔軟性が近世に入って失われ、杓子定規の格式優先・形式遵守の「伝統の受け継ぎ」が主流を成すようになった。いわば「前例遵守の慣行を故実と称するようにな」ったと言うことなのだろう。

【勧進相撲】勧進を名目に掲げた相撲興行。寺社や道橋などの造営・修復の費用を調達するために喜捨(金銭・物品の寄付)を募ることを勧進という。鎌倉末期以降は、能・猿楽などの芸能興行による収益をあてる勧進興行が広く行われた。相撲も芸能の一つとして、15世紀初めから勧進興行が行われ、職業的な相撲人集団の活躍の場となった。近世には、江戸・京・大阪の三都を中心に盛んとなり、営利目的の興行も行われるようになった。幕府は当初は、風紀統制の意図もあり、そうした興行には抑制的で、しばしば勧進相撲禁令を発したが、18世紀半ばには三都で四季一度ずつの営利興行が公認され定着した。現代の相撲はこの系譜につながる」

 ここで相撲がどう変遷したか見ることができる。平安時代に全国各地から相撲人(すまいびと)が徴発され、「豊凶を占い豊穣を祈る年占(としうら)神事と、地方から強者を集めて天皇に奉仕させる服属儀礼との両面を持った」相撲が春分や秋分といった季節の変わり目の祝い日に相撲節(すまいのせち)として行われ、その廃絶後、各地の寺社を中心に祭礼時の奉納や勧進などの目的に行われた。次第に勧進の姿が消え、純然たる営利目的の興行へと姿を変えていった。

 「勧進」にしても、現在の政治家が政治資金パーティを開いて、その会費から政治資金を捻出するのと同じ構造の、相撲入場料を取って、そこから相撲取りの人件費等諸々の経費を除いた剰余金を寺の造営・修復に当てた(「収益をあてた」)のだろう。相撲を見る愉しみがなかったなら、勧進に応じる人間がいたかどうかである。富くじにしても、当選金を当て込む射幸心を満たせたから寺の救済や神社仏閣の造営・修復に協力できたのであろう。何しろ寄付文化後進国日本である。

 【日本相撲協会】「唯一の職業相撲団体。近代になると東京と大阪の職業相撲の興行組織として東京相撲協会・大阪相撲協会があり、合併が懸案となっていた。1925年(大正14)摂政杯(のちの天皇賜杯)の制定を契機に、両協会が合併して財団法人大日本相撲協会が設立され、58年(昭和33)日本相撲協会に改称された。協会の運営の中心となる評議員は定数105人(他に一大年寄り2人)の年寄りに、行事代表2人、力士代表4人を加えて構成される。協会の主な事業は年6回の本場所の開催である。」

 日本相撲協会が設立されたのは1925年(大正14)。たかだか80年そこそこの歴史である。前身があったと言え、合併によって運営方法に影響を受けたはずで、同じ姿を取った運営とは考えにくい。伝統も運営方法によって、少なからず姿を変える。当事者が東京相撲協会と大阪相撲協会が二つあったのだから、それぞれに利害の対立・相違もあったろうから、「当事者だから変革は許された」と簡単には片付けるわけにはいくまい。

 【国技館】日本相撲協会が維持・管理する常設相撲場。日露戦争後、梅ケ谷・常陸山両横綱の対戦が人気を呼び、ナショナリズムの高揚の気運にものって相撲興行は好況を呈した。その機に合わせて大日本相撲協会は、天候に左右されていた興行を安定させるため、東京回向院境内に常設館を建設。1909年(明治42)6月に開館し、国技館と命名した。以後、相撲は広く国技と称されるようになった。失火や関東大震災による消失・再建を経て、第2次大戦後占領軍に接収された。1950~84年(昭和25~59)には浅草の蔵前国技館が使用され、85年1月、新たに両国国技館が開館した。」

 国技館を東京回向院境内に建設したのは勧進相撲の名残なのだろうか。例えそうであっても、入場者から見たら、当初の勧進相撲の内容をすべて失った寄進意識のない、営利に協力するだけの相撲となっているのである。寄進という意味では、伝統は隔絶していると言える。

 また日露戦争(1904~1905/明治37~38)後のナショナリズム高揚を受けた「国技」呼称ということなら、国技意識の伝統も僅か100年程度で、「大相撲は1200年の歴史に裏打ちされ」ていると大上段に振りかぶることができる程の格式・由緒を備えているとは到底思えない。

 多分、ロシアに戦争して勝ったという大国意識を日本古来の競技であることと相撲取りの身体の大きさ、その力の強さに仮託して日本人自身の力の表現とすることでナショナリズムを充足させた、その結果の相撲人気だったのではないのか。

 ナショナリズム高揚の時代背景を持った「国技」呼称だからこそ、それが通用したが、その背景を失った今の時代、相撲取り一人ひとりの姿が見えて、「国技」呼称にふさわしい内容を備えているとは見えない現在の大相撲といったところだろう。

 他のスポーツと同様に勝ち負けの面白さ、個人の技の優劣で持っているに過ぎない。「大相撲は1200年の歴史」だとか「伝統」だとか、大上段に構える程のことはないスポーツと言うことである。

 最後に「土俵女人禁制」がいつ頃から始まったのか、「1200年」前の相撲発祥時期からなのか、【女相撲】なるキーワードを紐解いてみた。

 【女相撲】「女の力士が取る相撲のこと。近世には、女が座頭などを相手に取る興行もあり、競技というよりも見世物的な色彩が濃かった。1872年(明治5)男女の取組は禁止されたが、女同士の相撲は、その後も各地の社寺の縁日の催しとして巡業が行われた。女相撲が興行すると雨が降るという俗信もある」。

 女相撲が「各地の社寺の縁日の催しとして巡業が行われた」ということなら、勧進の役目も担った時期もあったはずである。普通の男と対戦すると力劣りがするから、目の見えない「座頭」を相手にさせて、そこそこの勝負としたのだろう。しかし、女でありながら、「1872年(明治5)男女の取組は禁止され」るまで寺社の土俵に上っていた。そして現在も女だけの対戦に限られている女相撲は続いている。

 男相撲と同列には扱うことができないとしても、「大相撲は1200年の歴史」自体が怪しいのである。所詮利害損得の生きものたる人間が主催する勝ち負けの競技に過ぎないのだが、中身を形成するそのような人間の現実を無視して外側に纏っているに過ぎない伝統や歴史を振りかざし格式や由緒を示そうとする。

 野球やサッカーはそうしなくても、大勢の人間が惹きつけられる。大相撲は伝統や歴史を振りかざして格式・由緒を前面に押し出さなければ、大相撲としての、あるいは「国技」としての体裁を保つことができないのだろう。伝統や歴史を勿体振ることで今ある実態を価値づけようとすることにどれ程の意味があるのだろうか。

 現在の停滞した日本の政治を日本は2600年の歴史がある、日本は素晴らしい歴史と文化と伝統に満ちた美しい国だ、万世一系の天皇を国民統合の象徴としていると、そういったことで価値づけようとすることと同じ意味のない試みではないか。

 「土俵の女人禁制」もそうすることで大相撲の格式・由緒をもっともらしく見せようとする同じ類の勿体振りなのだろう。「女人禁制」が「大相撲の核を成す部分の一つ」などとはどこから出た発想なのだろうか。

 国技館の土俵を借りてストリップショーでも開催されたなら、大相撲は伝統だ、歴史だといった勿体振りを借りずに、相撲の興行そのもので勝負する姿を取り戻すのではないだろうか。



 2008年3月25日記事 3月大阪場所・内館牧子「私の中で引退した人」朝青龍が目出度くも優勝(1) - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之

 2008年3月25日記事 3月大阪場所・内館牧子「私の中で引退した人」朝青龍が目出度くも優勝(2) - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之

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今回発見イラク自衛隊日報も、同様経緯の南スーダン日報も、何らかの政治意思が働いた隠蔽と推理可能

2018-04-06 13:02:33 | 政治

安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定


「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 一旦は存在していなかったとしたイラク派遣自衛隊日報が1年近く経過後にその存在を発見、4月2日(2018年)に防衛相の小野寺五典が公表、陳謝して問題化している。

 この存在していないとしていながら、かなりの期間を置いて発見・公表という経緯は南スーダン自衛隊PKO派遣部隊の日報と似たような構図を取っている。

 自衛隊の南スーダンPKO派遣は2011年8月8日に民主党菅無能が派遣を表明、野田佳彦が派遣を実施し、安倍晋三が引き継いだものだが、安倍政権時の南スーダン自衛隊PKO派遣部隊の「日報作成と開示の経緯」を時系列で振り返ってみる。

●2016年7月 南スーダンの首都ジュバで大統領派と反大統領派が激しい戦闘行為
          現地PKO派遣自衛隊施設部隊はその日報(活動記録)を作成、作成後、陸自の中央即応集団司令部に報告
●2016年9月末 「平和新聞」編集長のフリージャーナリスト布施祐仁氏が情報公開法に基づいて開示請求
●2016年9月・10月を中心に上記武力衝突が「戦闘行為に当たるかどうか」で国会質疑
●2016年12月2日 陸自の中央即応集団司令部は説明資料に使った後、廃棄したとして非開示扱い。
 開示請求に対して30日以内に対応を判断する必要上、電子データ保存の統合幕僚監部までは探索せず           
●2016年12月12日 この日を境に自衛隊南スーダンPKO派遣部隊に駆け付け警護と宿営地防衛の新任務を付与
●2016年12月26日 統合幕僚監部で電子データー化された日報を発見
●2017年1月27日 稲田朋美へ報告
●2017年2月7日 防衛省、日報の存在を公表
          統合幕僚監部「マスキング(黒塗り)処理などを行ったため、今月7日の公表に至った」(以上)

 この時系列の経緯から見てとれる疑念は情報公開法に基づいた開示請求には30日以内に対応を判断する必要上、電子データ保存の統合幕僚監部まで探索しなかったことにある。電子データが相手なら、文字検索をかけ、日報が存在していれば、日を掛けずに簡単に見つけることができる。それを確認もせずに30日期限を理由に統合幕僚監部の電子データを除いた対応は態度は疑念だけを与える。

 第2の疑念は2016年12月26日に統合幕僚監部が自部署で電子データー化した日報を発見していながら、防衛大臣である稲田朋美への報告が1カ月遅れの年を超えた2017年1月27日となっていることである。

 この時系列には現れていない疑念もある。「日報」は現地南スーダン自衛隊部隊がパソコンで作成、陸上自衛隊の「指揮システム」にある掲示板にアップロードするシステムになっていて、尚且、その掲示板からアクセス権限があれば陸上自衛隊だけではなく、防衛大臣の指揮監督を受けて陸上幕僚監部、海上幕僚監部、航空幕僚監部の事務を取り纏める防衛省内設置の統合幕僚監部もダウンロード可能のシステムとなっているにも関わらず、2016年12月26日に統合幕僚監部が発見した「日報」はその掲示板からダウンロードしてあったデーターでありながら、非開示通達後であったとしても、統合幕僚監部の電子データを探索しなかったのはなぜかという疑念である。

 大体が海外PKO派遣の自衛隊部隊の経験を記した電子データ化した「日報」の全てを削除し、紙媒体という形でも保存していなかったなら(今の時代、紙媒体のみで情報を残すことは再利用に不便となる)、特有・通有を合わせたそのときどきの様々な事例や経験を他の部隊やPKOの計画立案の部署等が参考することも学習することも不可能となってしまうばかりか、知見として確立させることもできなくなってしまう常識上、こういった常識に反して電子データが存在しないとすること自体の疑念も付け加えなければならない。

 2016年7月に南スーダンの首都ジュバで大統領派と反大統領派が激しく衝突していて、2016年9月26日召集、11月30日までの66日間の予定を14日延長、さらに3日延長となって2016年12月17日に閉会した第192回国会(臨時国会)ではこの衝突が戦闘行為である場合は「PKO5原則」に抵触する関係から、いずれの解釈が正当性があるかで質疑が紛糾した。

 自衛隊がPKO(国連平和維持活動)に参加する際の条件

(1)紛争当事者間で停戦合意が成立していること
(2)当該地域の属する国を含む紛争当事者がPKOおよび日本の参加に同意していること
(3)中立的立場を厳守すること
(4)上記の基本方針のいずれかが満たされない場合には部隊を撤収できること
(5)武器の使用は要員の生命等の防護のために必要な最小限のものに限られること

 大統領派と副大統領派の衝突が「戦闘行為」であったなら、PKO5原則の(1)に抵触することになり、安倍政権は派遣の条件が崩れていながら派遣を続けていた責任を問われることになる。

 安倍晋三と当時の防衛相稲田朋美は2002年2月5日の政府答弁書、〈テロ対策特措法第2条第3項の「国際的な武力紛争」とは、国家又は国家に準ずる組織の間において生ずる武力を用いた争いを言〉い、〈テロ対策特措法第2条第3項の「戦闘行為」とは、国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為を言う。〉を根拠として大統領派と副大統領派の衝突を「戦闘行為」に当たらない、PKO5原則に抵触しないと一貫して主張し続けた。

 要するに大統領派と反大統領派の争いは一つの国の中の二つの勢力争いに過ぎなく、「国家又は国家に準ずる組織」とは言えないのだから、そのような国家規模間で生ずる「国際的な武力紛争」には当たらないとして、「国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する戦闘行為」とは解釈できないとする論理の当てはめである。

 但し「戦闘行為」ではないとの位置づけは単にPKO5原則に抵触しないという問題を超えて、派遣地域は軍事的に危険な状況にはないとの解釈を施していることをも意味する。

 そして臨時国会が閉会した2016年12月17日から起算してきっちりと10日後の2016年12月26日に電子データー化された日報が統合幕僚監部で発見されたと公表。この10日間は国会での与野党の議論の白熱のほとぼりを冷ます冷却期間と推理することもできる。

 その根拠は公表された2016年年7月11、12日付分の約110ページの「日報」には11個所も「戦闘」という言葉が記載されていて、大統領派と副大統領派が戦車や迫撃砲を用いて激しく戦闘を展開したといった表現もあったからである。

 さらに臨時国会会期中の2016年12月12日に自衛隊南スーダンPKO派遣部隊に駆け付け警護と宿営地防衛の新任務付与を行っている。当然、激しい戦闘行為が展開されている危険地域勤務の自衛隊へのより危険な新任務付与と解釈した追及を予想したはずである。

 「戦闘」、「戦車」、「迫撃砲」といった文字をなぜマスキング(黒塗り)処理して隠さなかったのだろう。そういった文字までをマスキング(黒塗り)したなら、衝突の状況まで隠すことになって、既に南スーダンのPKO国連本部やマスコミが激しい戦闘を繰り広げたと報道していることと整合性が取れなくなることから、マスキングができなかった可能性は指摘できる。

 但し電子データ相手だと、「戦闘」という言葉を「武力衝突」という言葉にも、単に「衝突」という言葉にも簡単に変換可能となる。変換しなかったのは、そのゴマカシを南スーダン現地自衛隊員の何人かが現地の緊張感を軽視していると反発、その内の一人か、あるいはその者がある意図を持って他人に知らせ、その他人がマスコミ等に内部告発しない保証はない懸念から、結局のところ「法的な意味では戦闘ではない」との論法で逃げることにしたいうことかもしれない。

 南スーダンは大統領派と副大統領派の戦闘がやまず、国際連合難民高等弁務官事務所は2016年9月16日に隣国で避難生活を送る南スーダン人難民が100万人に到達したと発表している。殺人や強姦、強盗等の治安の悪化、貧困が難民の増加に拍車を掛けていた。

 安倍晋三は南スーダンの国家建設への協力を謳いながら、その途上にも至っていない社会混乱を置き去りにして自衛隊PKO派遣部隊の撤収を2017年4月17日に開始、2017年5月25日に最後の部隊が首都ジュバから出国、撤退を終了、2017年5月27日に帰国している。

 そして第48回衆議院議員総選挙が2017年(平成29年)10月10日に公示され、10月22日に投票が施行されている。

 もし南スーダンで 大統領派と反大統領派の“戦闘”に巻き込まれて、自衛隊PKO派遣部隊の自衛隊員から1人でも死者を出したなら、「戦闘行為ではない」=「派遣地域は軍事的に危険な状況にはない」と解釈していたことを虚偽とすることになって、安倍政権は結果通りの勝利を収めることはできなかったはずだ。

 こういった経緯を考えると、「日報」の一旦は不存在とした判断は「戦闘行為」、「戦車」、あるいは「迫撃砲」といった南スーダンに於ける危険な状況の隠蔽を策す政治意思が働いた第192回国会(臨時国会)終了後の発見・公表であり、同時に2017年10月の総選挙を見据えた深慮遠謀からの政治意思と推理することもできる。

 では、イラク自衛隊日報が南スーダン自衛隊PKO派遣部隊の日報と似たような構図を取っていることを見てみる。陸上自衛隊イラク派遣の活動状況を記録した日報の不存在の経緯については「毎日新聞」記事の画像から必要個所をピックアップしてみる。

●2017年2月16日 野党が要求していたイラク派遣部隊の日報について防衛省が「不存在」と回答。
●2017年2月20日 稲田防衛相(当時)が国会で イラク派遣部隊の日報は「残っていないと確認した」と答弁
●2017年7月28日 稲田朋美が南スーダン派遣部隊の日報問題の責任を取って辞任
●2017年11月27日 陸上幕僚監部が全部隊に海外派遣で作成した日報などに関する調査を指示
●2018年1月12日 陸自研究本部が幕僚総務課にイラク派遣部隊の日報が見つかったと報告
●2018年1月31日 陸幕衛生部が総務課に日報があると報告
●2018年2月27日 陸幕が統幕に報告
●2018年3月31日 統幕が小野寺五典防衛相に報告
●2018年4月2日 安倍晋三に報告後、小野寺五典がイラク日報の存在を公表
            2017年5月に情報公開され、開示された文書「日米の動的防衛協力」を巡り他にも開示すべき文書があったと小野寺五典が公表(以上)

 これらの経緯を見ると、南スーダン自衛隊PKO派遣部隊の日報と同じく似たようなそっくりの構図と取っていることが明かとなる。

 2017年2月16日に野党がイラク派遣部隊の日報の公開を求めたのは南スーダンPKO派遣部隊日報の隠蔽が現地の実情隠しと映ったために同じことがと疑ったことが発端になったのかも知れない。だが、南スーダン日報に対する当初の対応と同じく防衛相は「不存在」とした。

 防衛省が南スーダン日報の存在を公表したのは2017年2月7日であり、その9日後にイラク日報の不存在を野党に伝えたことになる。実際には存在していたということなら、そこに隠す必要がある不都合な事実が存在した疑いが出てくる。

 自衛隊海外派遣状況分析の「陸自研究本部教訓センター」で2018年1月12日に見つかった文書はファイル名「教訓業務各種資料」の電子データ(PDF)であり、4日後の2018年1月26日に医官らが所属する陸幕衛生部で発見されたファイル名「国際復興支援業務」は紙媒体だという。

 紙媒体であったとしても、保管場所は決められていて、ナンバーや索引を振ってあるだろうから、陸上幕僚監部が全部隊に海外派遣で作成した日報などに関する調査を指示した2017年11月27日から約2カ月後の発見というのは決して早いとは言えないし、ましてや「陸自研究本部教訓センター」発見の文書が電子データ(PDF)であるなら、PDF記事の作成と編集を行うシェアソェフト「Acrobat DC」を所有しているはずだから、これを使って複数のPDF記事に対する文字検索が可能となるということだから、野党が2017年2月16日にイラク派遣部隊の日報の開示を求めた時点で、テキスト形式の電子データであれ、PDF形式の電子データであれ、たいした時間を掛けずに存在の有無を確認できたはずだが、約1年近くもあとになって発見というのは何らかの意図が働いていたと見るしかない。

 文字検索にかければ簡単に発見できる電子データが対象であることに反して2017年2月16日に一旦は不存在とした文書が1年近くも経った2018年1月12日に最初の発見の報告があったという事実経過からすると、2017年11月27日の陸上幕僚監部の全部隊に対する海外派遣作成の日報等に関する調査指示は発見という決着にソフトランディングするための手続きだった疑いが出てくる。
 
 疑えばキリがないが、陸自研究本部が幕僚総務課にイラク派遣部隊の日報が見つかったと報告した2018年1月12日は第48回衆議院議員総選挙の投開票が行なわれた2017年10月22日から約2カ月半で、この2カ月半をほとぼりを冷ます冷却期間と見ることもできる。

 いずれにしてもイラク日報と南スーダン日報は相当な時間を経過させて不存在、発見、存在公表というプロセスを取った点で非常に似た構図を見せている。南スーダン日報の一連の経緯に見た政治意思をイラク日報の一連の経緯に置いたとしても、左程の違和感はない推理となるはずだ。

 野党は小野寺五典の防衛相に対するシビリアンコントロールが機能していない証拠として批判している。両日報に於ける長である防衛相「への報告の遅れ一つ取っただけで、シビリアンコントロールの機能不全を示している。

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安倍晋三が国有地違法格安売却・森本学園決裁文書改竄を指示したと推理することによって多くの辻褄が合う

2018-04-05 11:42:52 | 政治

安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定


「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 2018年3月26日参議院予算委員会

 辰巳孝太郎「一連の安倍昭恵氏に関する記述は2015年2月と4月の特例申請と特例承認の決裁文書の経緯の部分に書かれておりました。パネルに示しました。

 えー、なお、打ち合わせの際、『本年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは、よい土地ですから前に進めて下さいとの言葉を頂いた』との発言あり、括弧、森友学園籠池理事長と夫人が現地の前で並んでいる写真を掲示とこうあります。

 我々は籠池氏がすべて本当のことを語っているというふうには思っておりません。しかし重要なのは籠池氏の語ったことが決裁文書という公文書に記されて、それを近畿財務局の職員6人、そして本省の幹部18人が確認をして決済印を押して認めているということであります。

 つまり問題はですね。これらの文言、安倍昭恵氏の記述がなぜ書かれたのかということでありますが、そもそも決裁文書の経緯とは何を記すためのものなのか。これは事の成り行きやイキサツを示すためであります。なぜ特例が決定されのか。後から見た人でも分かるようにこの経緯に記すということであります。

 太田局長、籠池氏とのこの2014年の4月28日の遣り取りというのは、私前々回の予算委員会でも紹介をしましたけれども、三行半を突きつける、そして写真が提示をされる。本省に相談して、一カ月後にはほぼ満額回答が寄せられるというふうになりました。

 この籠池氏との遣り取りですね。様々な遣り取り、話があったと思うんですよ。当時はその相談メモっていうのも恐らく残しているかと思います。今はないとおっしゃりますけれども、なぜこの決裁文書にはこの昭恵氏のこの発言の部分を残したんですか。書き入れたんですか」

 太田充「お答え申し上げます。あのー、特例決済の文書は基本的には本省決済ということでございますので、本省と地方支分部局との関係に於いては、地方支分部局、近畿財務局は地方支分部局ということでございますが、本省は国会対応をしているということで、国会前の情報は丁寧に記載をしていたというのが事実だというふうに思います]

  ・・・・・・・・・・

 辰巳孝太郎「ですから、色々な遣り取りがある中でなぜこの部分(安倍昭恵に関する籠池泰典の発言)を引用したのかっていうふうに聞いています。経緯というのは一体、何を書くもんなんですか。そこのところから」

 太田充「お答え申し上げます。あの本省決済ということで本省は国会対応するのが非常に重要な仕事があるというふうに私共の地方支分部局は認識をしております。そう意味でこういう情報を提供している、参考として書いているということだと思っております」
 
 要するに改竄前の本省決済文書への安倍昭恵に関する記述は国会対応の参考情報を目的としていて、その情報は近畿財務局から財務省理財局に提供されていた。

 また、近畿財務局が提供するついては森友学園に対する国有地の貸付けや売却に安倍昭恵のその情報が何らかの意味を持っていたからだろう。意味を持たない情報を提供することの意味は、これまた持たないことになる。

 2018年3月19日参院予算委員会

 福山哲郎「太田理財局長は決裁文書は改竄は(2017年の)2月の下旬から4月だと言われていました。そういうことは2月から3月の答弁は基本的には前の、元の決裁文書(改竄前の決裁文書)を共有している理財局は答弁書を作ってましたね。イエスかノーか答えて下さい」

 太田充「お答え申し上げます。基本的にその当時の決裁文書(改竄前の決裁文書)を前提に答弁書をつくるというのは当然だと思っております」

 2017年2月下旬から4月に決裁文書を改竄することになる前の安倍晋三や麻生太郎等の政府関係者の国会答弁、あるいは当時財務省理財局長だった佐川宣寿の国会答弁は改竄前の決裁文書を前提に作成された。

 要するに安倍晋三も麻生太郎も、佐川宣寿その他も、改竄前の決裁文書に基づいて作成された国会答弁に目を通していた。当然、答弁側のメンバーは答弁可・不可を検討、取捨選択をしていたはずだ。

 この根拠はマスコミ報道が疑惑事件扱いであり、疑惑事件扱いがフェイクニュース・捏造ではなかったことは決裁文書の改竄という形で現れているのだから、少なくとも行政側に非が一点もなかったわけではなく、当然、情報をそのまま出すのではない整理は行われていたことになる。

 その整理が改竄まで進んだ。

 森友学園国有地格安売却の疑惑事件は2017年2月9日の朝日新聞が報じ、翌日の2017年2月15日の財務金融委員会で取り上げられることになった。

 宮本岳志「日本共産党の宮本岳志です。今日は、この間、メディアでも報じられている近畿財務局による学校法人への国有地売却問題について質問を致します。

 資料一を見ていただきたい。昨日付の朝日新聞でありますけれども、財務省近畿財務局から大阪府豊中市の国有地を買った学校法人森友学園が、近隣国有地の約一割の価格で買い入れていたことが今大問題になっております。しかし、国有地の売却は近畿財務局の一存でやれるものではありません」

 この日の国会審議では安倍昭恵は登場していない。

 2017年2月17日衆議院予算委員会

 福島伸享(当時民進党)「この小学校の名誉校長とされているのが安倍昭恵先生という方で、右を見ると、安倍晋三内閣総理大臣夫人と書いております。この理事長の籠池先生の教育に対する熱い思いに感銘を受け、このたび名誉校長に就任させていただきましたと。
 この事実、総理は御存じでしょうか」

 安倍晋三「この事実については、事実というのはうちの妻が名誉校長になっているということについては承知をしておりますし、妻から森友学園の先生の教育に対する熱意はすばらしいという話を聞いております。
 
 ただ、誤解を与えるような質問の構成なんですが、私や妻がこの認可あるいは国有地払い下げに、もちろん事務所も含めて、一切かかわっていないということは明確にさせていただきたいと思います。もしかかわっていたのであれば、これはもう私は総理大臣をやめるということでありますから、それははっきりと申し上げたい、このように思います」――

 前後、どちらの国会審議でも質問者は質問に先立って質問通告を政府に提出する。質問通告に対する政府国会答弁書は国有地貸付けや売買を所管している財務省理財局の役人たちが森友学園との売却に関わる事実経緯を記した、この場合は改竄前の決裁文書を基に、例え徹夜になろうとも作成して、これまた政府に提出していたことになる。

 いわば理財局が作成した国会答弁書をベースに、「私や妻がこの認可あるいは国有地払い下げに、もちろん事務所も含めて、一切かかわっていないということは明確にさせていただきたいと思います。もしかかわっていたのであれば、これはもう私は総理大臣をやめるということでありますから、それははっきりと申し上げたい、このように思います」と、自分の首を賭けて国有地売却疑惑に一切関与していないと2017年2月17日に言い切った。

 当然、安倍晋三に深く関係していることとして財務省理財局が本省決裁した安倍昭恵の動向は国会対応の参考情報という役目上、政府国会答弁書にそのまま反映されなければならない。それをどう取捨選択するかどうかの主導権は安倍晋三以下の政府側が握っているとしても、一応は目に触れる形にしておかなければ、野党の追及に対する備えに何らかの遺漏が生じた場合、財務省側は責任を取れないことになる。

 2015年4月30日付〈5・特例承認の決裁文書②「普通財産の貸付けに係る特例処理について」〉の記述中、当時森友学園理事長籠池泰典の発言として、〈なお、打合せの際、「本年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください』とのお言葉をいただいた。」との発言あり(森友学園籠池理事長と夫人が現地の前で並んで写っている写真を提示)〉の文言が削除され、なかった事実に改竄されて別の文書となったことを一部の政府側の人間を除いた国会議員や国民が知ることになったのは2018年3月12日に財務省が改竄を公表して以後のことになるが、売却や決裁文書の作成に関わり、その文書に基づいて国会答弁書を作成し、それに目を通した役人たち、さらには同じく目を通さないわけにはいかない安倍晋三等の政府側の人間たちのみが知り得ていた事実としながら、その事実を避ける形で安倍晋三も麻生太郎も佐川宣寿も、その他も国会答弁を構築していたことになる。

 そして森友疑惑が国会に取り上げられた2017年2月15日以後の2017年2月下旬から、国有地売却の経緯を記した決裁文書の改竄が進められることになった。

 このような経緯からすると、いわば安倍晋三側にしても役人側にしても答弁に破綻や齟齬を生じさせずに統一的な答弁ができるよう、共同戦線を張っていたにも関わらず、決裁文書改竄は財務省理財局の一部の職員が行ったとする政府及び財務省の主張は整合性を欠くことになる。

 改竄前の決裁文書に記載してあった事実を避ける形で共同戦線を張った国会答弁を構築していた以上、安倍晋三側にしても森友疑惑に関わる政府国会答弁書に反映されている、改竄の対象となった決裁文書の事実は不都合な事実としなければならない。

 いわば相互に不都合な事実であった決裁文書の改竄に政治家は罪・責任がなく、役人にのみ罪・責任があるとするのは一方的に過ぎる。

 2018年3月27日の午前中と午後の佐川宣寿証人喚問では佐川宣寿は安倍晋三も麻生太郎も安倍昭恵も、国有地売却に指示も関与もなかったと断言している。「産経ニュース」

 丸川珠代「では、改めて伺いますが、この森友学園への国有地の貸し付け、ならびに売り払いに総理、および総理夫人が関わったことはないと断言できますか」

 佐川宣寿「私が昨年、勉強して、ずっと一連の書類を読んで、国会で答弁させて頂いた中で言えば、総理も総理夫人の影響もありませんでした」――

 佐川宣寿は改竄前の決裁文書に目を通していた。だが、改竄後の決裁文書の諸事実に整合する国会答弁を改竄前から改竄以後も続けて、疑惑の否定を貫いた。改竄前の決裁文書の諸事実に整合する国会答弁を行って、疑惑を否定したわけではない。

 そしてそのような国会答弁で、繰返しになるが、政治家側と共同戦線を張っていた。

 佐川宣寿は麻生太郎の関与・指示も否定したが、共同戦線の国会答弁である以上、その証言は信用性を持ち得ない。
 
 同証人喚問。

 丸川珠代「佐川さんが理財局長であったときに文書の書き換えが行われたということについては、これは事実でしょうか」

 佐川宣寿「お答え申し上げます。その森友学園の問題が要するに新聞報道で、国会も含めて大きな問題となったのは昨年の2月以降でございます。従いまして、そういう推測と申しますが、予測は成り立ちますが、本当に決裁文書そのものがいつ書き換えられたかどうかという点につきましては、まさに委員がおっしゃいましたように、私の関与も含めて全体の経緯の話になりますので、その点についても刑事訴追の恐れがございますので、その点ご容赦願いたいと思います」――

 「決裁文書そのものがいつ書き換えられたかどうかという点」は「私の関与も含めて全体の経緯の話」になって「刑事訴追の恐れ」が生じるとの理由で答弁拒否している。

 この手の改竄は交渉事が不正によって構築されていることから、秘密裏の事実経緯を暗黙の了解事項として背後に塗り込めることによってその必要性は起因する。当然、改竄後も、どう改竄しようとも、秘密裏の事実経緯は暗黙の了解事項として背後に塗り込められた状況を引き継ぐ。

 佐川宣寿は暗黙の了解事項として背後に塗り込めている事実経緯の全てを白日のもとに曝すことによって、誰の目から見てもそこに不正も違法もなかった、誰の関与も指示もなかったとの保証を受けるのであって、答弁拒否という手を使って秘密裏の事実経緯を暗黙の了解事項として改竄前と改竄後の決裁文書の背後に塗り込めていることに変わりがなければ、やはりその証言はオオカミ少年の「オオカミが来た」に等しい信用性しか持ち得ない。

 安倍晋三が決裁文書の改竄を指示したとすることによって、多くの辻褄が合う。
  

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文科省前事務次官前川喜平氏に対する講演内容調査は学校・生徒・保護者の主体性と言論侵害の思想調査

2018-04-03 15:54:06 | 政治

安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定


「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 文部科学省前事務次官前川喜平氏が今年2018年2月16日に名古屋市立八王子中学校の授業で講演を行った。 

 《前川講師問題 中学校授業で行った講演要旨》(毎日新聞2018年3月16日 21時43分)

 今の肩書は、自主夜間中学のボランティアなどのほか、国会参考人というのもある。
 奈良県で生まれ小学生の時に東京に引っ越した。学校になじめず登校しようとすると体調が悪くなった。不登校の気持ちは分かる。

 小、中学生の頃は引っ込み思案だった。人間は自分で自分の性格を変えられる。たくさんの人の前で平気で話せるようになった。

 自動運転やロボット技術の進展で、今ある仕事の半分は30年以内になくなる可能性が高いと言われる。生涯にわたって学ぶ力がないと。学ぶ力や考える力を中学生や高校生の間に身に着けてほしい。

 日本人だけでなく、いろいろな文化を持った人と一緒に社会をつくっていくことになり、対等に認め合うことが大きな鍵になる。

 夜間中学は義務教育の内容を全ての人に教える場所として非常に貴重だが、公立は全国に31校しかない。公立夜間中学を全国につくる活動をしている。(共同)

 この講演に対して2018年3月1日、文部科学省の課長補佐からこの学校を所管する名古屋市教育委員会宛てに前川喜平氏が天下り問題で辞任したことや、出会い系バーの店を利用していたことを指摘、「道徳教育が行われる学校にこうした背景のある氏をどのような判断で授業を依頼したのか」、さらに存在するなら録音の提供等15項目に亘って質問、文書で回答するよう求めるメールが届いた。

 15項目の質問内容と3月6日付の2度目の質問内容は趣旨が難解な一部を除いて下記マスコミが伝えている。各質問と市教委の各回答を対置させているが、回答はアクセスして知って貰うことにして、意図・目的を知って貰うために質問だけを抜き出すことにした。

 《文科省の質問と名古屋市教委の回答(全文)》中日新聞/2018年3月17日 朝刊) 

 質問1 八王子中学校における総合的な学習の時間では、全体計画における全体テーマを「さまざまな人の生き方を学び、自分の生き方を考える」と設定されていますが、今回の前川氏の講演による授業は、同氏のどのような生き方を学ぶことをねらいとし、また生徒はどのような生き方を考えていくことをねらいとして実施されたのか具体的かつ詳細にご教示ください。

 特に、総合的な学習の時間は、各学年ごとにそれぞれの取り組みを行っているにもかかわらず、この授業は3学年一斉に行っていますが、各学年ごとに同氏を招いたねらいは何か、具体的にご教示ください。

 質問2 今回の前川氏の講演による授業を行った主たる目的は何だったのか。生徒たちに何を伝えたかったのか。そしてこれはどのように達成されたのかご教示ください。

 質問3 前川氏は文部科学次官という教育行政の事務の最高責任者としての立場にいましたが、いわゆる国家公務員の天下り問題により辞職し、停職相当とされた経緯があります。また、報道などにより次官在任中にいわゆる出会い系バーの店を利用し、そこで知り合った女性と食事をしたり、時に金銭を供与したりしていたことなどが公になっています。

 こうした背景がある同氏について、道徳教育が行われる学校の場に、また教育課程に位置づけられた授業において、どのような判断で依頼されたのか具体的かつ詳細にご教示ください。

 質問4 一般的に、ある方の生き方に学ぶことをねらいとする場合、その方のそれぞれの生き方などを詳しく説明した上で授業に臨むことになると思われますが、今回の前川氏の授業に当たって、同氏の経緯について、生徒にあらかじめ(あるいは事後に)説明をした上で授業に臨んだのでしょうか。その場合、具体的にはどの程度の経緯を説明されたのでしょうか、具体的かつ詳細にご教示ください。

 質問5 今回の総合的な学習の時間における前川氏の講演を「全校一斉総合」として、保護者やマスコミ等にも開いた公開授業としたと承知していますが、一般的に、同校では総合的な学習の時間の授業をこのような形で公開されるのでしょうか。また、今回公開したねらいや意図は何でしょうか。具体的かつ詳細にご教示ください。

 質問6 さまざまな人の生き方を学ぶ観点から、同校の総合的な学習の時間において、前川氏以外にもいろいろな方から話を聞く機会があったと思われますが、具体的にどの学年の学習で、具体的にどのような方からどのようなねらいで話を聞く機会があったのか、具体的かつ詳細にご教示ください。

 質問7 前川氏以外に外部講師を招いている場合、今回と同様に公開授業として行ったのかそうでないのかご教示ください。また、公開とした理由(あるいは公開としなかった理由)も併せてご教示ください。

 質問8 前川氏を同校に外部講師として依頼したのは、具体的にはいつ頃かご教示ください。特に、報道によれば、3年ほど前から校長が前川氏と面識を得て昨年から依頼をしていたとのことですが、これは事実でしょうか。また、校長は個人的な関係を基に招いたということでしょうか、ご教示ください。

 質問9 前川氏の公開授業を行うことについて、事前または事後に保護者から意見や反応等はなかったのかご教示ください。

 質問10 前川氏の公開授業を行うことについて、事前または事後に生徒から意見や反応等はなかったかご教示ください。

 質問11 今回の前川氏の講演による授業について、講演録や録音データ等がありましたら、ご提供ください。

 質問12 前川氏を講師で招いた際の交通費や謝金の支出はあったのかどうか、あった場合、それらの金額はいくらか。また、それらの経費はどこから出ているのか、具体的にご教示ください。また、同氏以外の外部講師の交通費や謝金の扱いはどうなっているかも併せてご教示ください。

 質問13 報道によれば、前川氏は今の肩書を聞かれ「国会参考人です」と答えたとありますが、これは事実でしょうか。また、この国会参考人とは、いわゆる天下り問題または加計学園の問題に関して国会に招致されたことを指したものと考えられますが、こうしたことが授業の場において話されたことについて、校長はどのように認識し、どのように生徒や保護者に説明したのか、具体的かつ詳細にご教示ください。

 質問14 報道によれば、今回の授業には、生徒約300人以外に保護者ら200人が訪れたとありますが、これは事実でしょうか。また、「保護者ら200人」とありますが、このうち、保護者はどの程度参加し、保護者以外としてはどのような方がどの程度参加されたのでしょうか、また、動員等が行われた事実があったかなかったか、明確にご教示ください。

 質問15 学校設置者の名古屋市教育委員会として、上記の経緯を含め、今回の前川氏の講演による授業をどのように判断しているか、お考えをご教示ください。

 6日付2度目の追加質問

 質問1 「天下り問題は、文科省ひいては国家公務員全体の問題であると認識しています。(中略)いずれも今回の講演を依頼する障害になると考えませんでした。」とありますが、

 ・前川氏は、いわゆる天下り問題について自らが直接関与したことが認められ、省全体の責任者としての責任のみならず、本人自らの非違行為を理由として停職相当とされましたが、校長はこの事実をご認識されていたのでしょうか。

 質問1-2 質問「1」にあるような責任を問われた方が学校において授業を行ったことに関する名古屋市教育委員会としての見解を具体的にご教示ください。

 質問2 回答3(5日付)について
 「また、バーうんぬんについては、良心的な目的であったことが報道されています。いずれも今回の講演を依頼する障害になると考えませんでした。」とありますが、報道の中には、出会い系バーに、頻繁に出入りしていたことや教育行政のトップとして不適切な行動であること、「文部科学省は青少年の健全育成などを所管しているのだから、そのトップは当然、一般よりも厳しい倫理行動規定を自ら課さなければならない。違法な店ではなかったとしても、国民から不適切な行動だと言われても仕方がなく、疑われるような行動は取るべきではない」といった報道も見られます。これらの報道について、校長は認識されていたのでしょうか。また、これらの報道を含めて考えた場合、今回前川氏を招いた判断は校長としてどのように認識されているか、改めて具体的にご教示ください。

 質問2-2 質問「2」について、名古屋市教育委員会としての見解を具体的にご教示ください。

 質問3 回答4(5日付)について
 「生徒には先入観や思い込みなしで話を聴いてもらおうと意図したので、事前に特定の事柄だけを詳しく説明する必要はないと考えました。」とありますが、実際に生徒には事前または当日に、前川氏をどのように紹介されたのか、具体的にご教示ください。全く肩書や経歴などは触れないで紹介されたのでしょうか。

 質問4 回答4(5日付)について
 「保護者や関係者向けの案内に、簡単なプロフィルは載せました。」とありますが、「簡単なプロフィル」とは具体的にはどのようなものでしょうか、具体的にご教示ください。

 質問5 回答6(5日付)について
 木村泰子氏、西川千雅氏、防災ジレンマゲーム“クロスロード”、水野孝一氏、避難所運営ゲーム“HUG”体験を招いた授業について、これらの方は全て総合的な学習の時間において招かれたのか、道徳の時間で招かれたのか、それぞれご教示ください。回答6の文面からすると、今年度の総合的な学習の時間で招かれたのは前川氏のみとも読み取れるのですが、それでよろしいでしょうか。

 質問6 回答6(5日付)について
 木村泰子氏、西川千雅氏、防災ジレンマゲーム“クロスロード”、水野孝一氏、避難所運営ゲーム“HUG”体験を招いた授業については、保護者や地域住民はどれほどの人数が参加されたのか具体的にご教示ください。

 質問7 回答9及び10(5日付)について
 保護者及び生徒からはポジティブな反応ばかりとのことですが、ネガティブな反応は全くなかったと理解してよろしいでしょうか、ご教示ください。

 質問8 回答11(5日付)について
 本授業は、マスコミなどにも全て公開で開催されたものと理解しており、録画記録を外部に提出することについて、本人の許可が必要とされる理由をご教示ください。また、「まとめたもの」についてはご提供いただけないでしょうか。

 質問9 回答13(5日付)について
 「肩書は?」と前川氏に尋ねたのは、どのタイミングであったのかご教示ください。(冒頭の校長による前川氏紹介の際か、司会による質疑応答の際か)

 質問10 回答13(5日付)について
 「『国会参考人』と答えられたことについて、特に、つっこんだり、説明したりせず、全くスルーしました。」とのことですが、「国会参考人」という言葉は生徒たちには何の注釈もなく受け入れられ、理解される用語でしょうか、ご教示ください。

 質問11 回答14(5日付)における「大人200人のうち、学区・北区内住民約100名、教育に関心のある方約40名について」
 (1)これらの方々には、どのようにして授業の案内を出されたのか、具体的にご教示ください。

 どの質問を取っても、学校・生徒・保護者に任せるべき主体性(自分の意志・判断で行動する態度)を侵害している。「質問1」を例に取ってみる。

 質問1 八王子中学校における総合的な学習の時間では、全体計画における全体テーマを「さまざまな人の生き方を学び、自分の生き方を考える」と設定されていますが、今回の前川氏の講演による授業は、同氏のどのような生き方を学ぶことをねらいとし、また生徒はどのような生き方を考えていくことをねらいとして実施されたのか具体的かつ詳細にご教示ください。

 特に、総合的な学習の時間は、各学年ごとにそれぞれの取り組みを行っているにもかかわらず、この授業は3学年一斉に行っていますが、各学年ごとに同氏を招いたねらいは何か、具体的にご教示ください。 (以上)

 〈同氏のどのような生き方を学ぶことをねらいとし、また生徒はどのような生き方を考えていくことをねらいとして実施〉したのかどうかは学校・生徒・保護者に任せるべき主体性の範囲にとどまる。当然、文科省に対して、「余計なお世話だ」と言うことができる。

 〈各学年ごとに同氏を招いたねらい〉にしても、学校・生徒・保護者の主体性に任せるべき事柄であろう。

 例え学校が決めた講演内容と講演者であったとしても、適・不適、あるいは妥当・非妥当は生徒・保護者が自らの意志・判断で主体的に評価づけるべき事柄であって、生徒・保護者の大多数が不適・非妥当と評価したとき、いわば学校の主体性に信用が置けなくなった場合、講演内容と講演者を決めた当事者である学校自身に善処を求めるべきであって、この求めに対して学校が対応不能を来たしたとき、学校を管理・指導する立場の教育委員会の出番となって、その主体性に基づいて問題解決を図るべきで、そこでも問題解決ができなければ、県教育委員会、さらに文科省と進むべきであって、文科省が最初から学校・生徒・保護者の主体性を侵害する形でいきなり問い質していい事柄ではないはずだ。

 学校・生徒・保護者の主体性の侵害は学校教育の侵害に当たる。教育行政を所管する文科省が学校教育の侵害に足を踏みコム逆説は許されないはずだ。

 文科省の質問メールは学校・生徒・保護者の主体性の侵害=学校教育の侵害に終わらない。学校と前川喜平氏の思想調査となっている。このことは「質問3」に象徴的に現れている。

 〈前川氏は文部科学次官という教育行政の事務の最高責任者としての立場にいましたが、いわゆる国家公務員の天下り問題により辞職し、停職相当とされた経緯があります。また、報道などにより次官在任中にいわゆる出会い系バーの店を利用し、そこで知り合った女性と食事をしたり、時に金銭を供与したりしていたことなどが公になっています。

 こうした背景がある同氏について、道徳教育が行われる学校の場に、また教育課程に位置づけられた授業において、どのような判断で依頼されたのか具体的かつ詳細にご教示ください。 〉――

 「国家公務員の天下り問題により辞職し、停職相当とされた」人物、「次官在任中にいわゆる出会い系バーの店を利用」した人物、「そこで知り合った女性と食事をした」人物、そこの女性に「時に金銭を供与したりしていた」等の人物評価は前川氏の性格の一つと見ている犯罪性の指摘であって、講演者の犯罪性を指摘して、「道徳教育が行われる学校の場に」、さらに「教育課程に位置づけられた授業に」講演に招いた『判断」を尋ねているのは学校の思想調査そのものであろう。

 前川喜平氏が持つと見ている犯罪性の指摘にしても、その思想を問題視しているのであって、前川喜平氏に対する思想調査を自ずと提示していることになる。

 また文科省がメールで“学校の思想調査”を行うことになった発端はマスコミ記事を纏めると、講演を報じた中日新聞を読んだ自民党文科部会長で参議員議員の赤池誠章が文科省官房長の藤原誠に「内容を確認してみてはどうか」と連絡、文科部会長代理で衆議院議員の池田佳隆から記事の提供を受けて名古屋市教育委員会に電話で授業内容を確認、その報告を赤池誠章と池田佳隆に行い、さらに質問内容を両氏に見せた上で2カ所についての両氏のコメントを参考にして質問を作成したことから始まっている。

 要するに自民党の赤池誠章と池田佳隆が前川喜平氏の思想を問題視して講演に招いた八王子中学校の思想調査を行うに至った。と言うことは、自民党の二人は学校の思想次第で文科省の力を借りて言論を侵害する意図を内心に隠していたことになる。

 赤池誠章も池田佳隆も政策や歴史認識が安倍晋三に近いということだから、当然の行動であり、その行動に文科省が逆らえずに言論侵害の手助けをしかかっていたと言える。

 文科相の林芳正は2018年3月16日の記者会見で誤解を招いた点は認めたものの、調査自体は適切だったと述べている。

 記者「文科省が個別の授業について問合せをしたり調査したりするということは異例ではない、通常のことだということでよろしいでしょうか。それが一般的なことだとして、何か根拠法令にそういったものがあるのでしょうか」

 林芳正「授業内容を調査するということは、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第48条というのがございまして、文部科学大臣は都道府県又は市町村に対し、学校の教育課程、学習指導、その他学校運営に関し、指導及び助言を与えることができるとされております。その権限を行うために必要があるときは、同法第53条1項に基づきまして、必要な調査を行うことができるとされております。従ってこういう条文上、個別の授業内容についてもこれらの規定に基づいて国が調査を行うことは可能であると考えております」

 「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」
 

第1章 総則

(この法律の趣旨)
第1条 この法律は、教育委員会の設置、学校その他の教育機関の職員の身分取扱その他地方公共団体における教育行政の組織及び運営の基本を定めることを目的とする。


第48条 地方自治法第二百四十五条の四第一項の規定によるほか、文部科学大臣は都道府県又は市町村に対し、都道府県委員会は市町村に対し、都道府県又は市町村の教育に関する事務の適正な処理を図るため、必要な指導、助言又は援助を行うことができる。

第53条1項 文部科学大臣又は都道府県委員会は、第48条第1項及び第51条の規定による権限を行うため必要があるときは、地方公共団体の長又は教育委員会が管理し、及び執行する教育に関する事務について、必要な調査を行うことができる。

第51条 文部科学大臣は都道府県委員会又は市町村委員会相互の間の、都道府県委員会は市町村委員会相互の間の連絡調整を図り、並びに教育委員会は、相互の間の連絡を密にし、及び文部科学大臣又は他の教育委員会と協力し、教職員の適正な配置と円滑な交流及び教職員の勤務能率の増進を図り、もつてそれぞれその所掌する教育に関する事務の適正な執行と管理に努めなければならない。

 この法律の趣旨は第1条で、〈地方公共団体における教育行政の組織及び運営の基本を定めることを目的とする〉と規定することで、国または地方公共団体が公教育のための諸条件を整備・確立し、教育政策を運営することが役目の教育行政を対象としていることになり、第48条で、〈都道府県又は市町村の教育に関する事務の適正な処理〉を対象に〈必要な指導、助言又は援助を行うことができる〉と定め、第53条1項で、〈地方公共団体の長又は教育委員会が管理し、及び執行する教育に関する事務〉を対象に〈必要な調査を行うことができる〉とし、第51条で教育に関する事務を各自治体教育委員会相互連絡調整や教職員の適正な配置と円滑な交流及び教職員の勤務能率の増進等に置いて、これらの事務の適正な執行と管理を求めている。

 当然、「必要な指導、助言又は援助」、あるいは「必要な調査」とは「教育に関する事務」を対象にした規定であって、授業内容やカリキュラムについてではない。

 その証拠に検索文字で確認しただけだが、この法律のどこにも授業内容やカリキュラムの適否に触れている箇所は一つとして存在していない。ましてや思想調査を「必要な調査」の一つに加えてなどいない。

 要するに思想的にも政治的にも安倍晋三と極めて近親性を持った自民党保守の赤池誠章と池田佳隆が自らの思想に基づいて前川喜平氏の思想とその思想を許容した学校の思想を問題視して、その問題視に文科省が呼応して講演内容を調査、何らかの不備を見つけたら、学校を批判して前川氏の学校での講演を断とうとしたということであろう。

 赤池誠章と池田佳隆、文科省が首尾よく目的を果たしていたなら、学校・生徒・保護者に任せるべき主体性の否定と前川氏や学校に対する言論侵害を否応もなしに現出させることになっていたはずだ。

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辰巳孝太郎は安倍晋三・太田充発言の合理性如何を突かなければ、真相解明とは程遠い彼らの好き放題を許す

2018-04-02 12:27:22 | 政治

安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定


「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 2018年3月26日の参議院予算委員会。共産党の辰巳孝太郎が安倍晋三の森友学園国有地違法売却関与疑惑を追及した。相も変わらず疑惑を臭い立たせることまではできたが、安倍晋三や財務省理財局長太田充(57歳)、そして財務省大臣官房長矢野康治(56歳)たちの疑惑否定の好き放題の発言に何ら反撃の手を打つことができなかった。

 好き放題を断ち切ることによって、真相に一歩でも二歩でも近づくことができるはずだ。この点に関する質疑応答のみを取り上げて、最後に参考のために質疑全体を記載しておきたいと思う。

 文飾は当方。

 辰巳孝太郎は質問冒頭、公文書管理法「第1章総則 (目的)第1条」に言及する。それは次のように記されている。

 〈この法律は、国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであることにかんがみ、国民主権の理念にのっとり、公文書等の管理に関する基本的事項を定めること等により、行政文書等の適正な管理、歴史公文書等の適切な保存及び利用等を図り、もって行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする。〉

 辰巳孝太郎「今回の改竄事件が民主主義の根幹に関わる重大な事件であるという、こういう認識は総理お持ちでしょうか」

 公文書管理法のご立派な理念を権謀術数が渦巻いている政界のトップに立っている安倍晋三やその他に期待するのは甘いと言わざるを得ない。公文書管理法を侵害していると言うなら、その証拠を突きつけなければならない。

 安倍晋三は最初の答弁では無関係なことを発言したため、辰巳孝太郎は再度同じ質問をする。

 安倍晋三「まさに国会からの求めに、当委員会からの求めに応じた文書にですね、決裁文書に書き換えがあったことはまさに国会での質疑に対する重大な問題であり、国会での質疑というのは民主主義で、民主主義そのものであろうと思いますから、そういう意味に於いてはですね、委員のご指摘どおり重大な問題であると、このように考えております」

 単なる体裁でしかない答弁となっている。ところが辰巳孝太郎は「先ずこういう認識を持つことが大事だというふうに思うんですね」と簡単に納得してしまう。

 辰巳孝太郎「矢野(財務省大臣)官房長にお越しして頂いていますが、午前中の審議の中で今回の改竄事件につきましては、総理官邸も麻生財務大臣も、全く指示をしておられないですし、関知もしておられなかったのは紛れもない事実でございますと。

 これ、何を根拠に仰ってるんですか」

  矢野康治「お答え申し上げます。これまでも国会質疑の中で総理と、それから財務大臣が本件書き換えの話ですが、指示をしたのかというご質問に対してして『ない』と、こういうことを明言しておられます。

 それから財務省が3月12日にいわば一つの中間的な報告をさせて頂くまでに調査を行った過程に於きましても、書き換えは当時の理財局の一部の職員か事務方によって行われたものであるという判断に辿り着いております。

 以上のことから政治家の関与がなかったという認識を致して、それから先程加えて申し上げましたけれども、私どもが3月12日に公表させていただいた、前日の3月11日の夕方でしたが、大臣にご報告を、懺悔のご報告をさせて頂きましたが、その時の大臣のご反応、まさにそうだったのかと、まさに文字通り初めて聞いたということだったわけでございます。

 事務方がやったことでございます」

 辰巳孝太郎は、まだ調査中ではないか、つまりまだ答えは出ていないはずだと畳み掛ける。

 矢野康治「私は、午前の質疑に於いてお答えしましたのは総理と代理、財務大臣が指示したのかどうかということでしたので、それに対して総理と財務大臣からの指示がなかったという旨をお答えさせて頂いた次第です」

 辰巳孝太郎「総理、官邸と仰っていたと思いますが」

 矢野康治「総理、官邸という言葉は少し適切でなかったかもしれませんけれども、財務大臣と総理大臣という意味でございます」

 辰巳孝太郎「官邸は如何なんですか。官邸はあったという認識なんですか。どうなんですか」

 矢野康治「あったという事実は突き当たっておりません。で、今調査をしておりますので、誰の、誰の話はあったのかなかったのかということを逐一、中間報告を含めてそういうことは不可能でございます」
 
 辰巳孝太郎「だから、総理、官邸もと言うのはおかしいじゃないですか。この段階で断定するのは。そういうことを国会答弁すること自身がですね。おかしいと言わなければなりません」

 矢野康治はまだ調査中であるにも関わらず、安倍晋三も麻生太郎も指示も関知もしていなかったことは「紛れもない事実だ」、「事務方がやったことだ」という構図を頭から決めつけ、一歩も譲らない姿勢でいるのだから、辰巳孝太郎は調査中云々に拘るよりは矢野康治の論理の矛盾を突かなければならないはずだ。

 安倍晋三や麻生太郎、あるいは官邸の指示・関知が「あったという事実は突き当たっておりません」と言っていることに対して「当然、なかったという事実に突き当たっていることになりますから、その事実を具体的に説明付けて下さい」と問うべきだったろう。

 大体が3月11日の夕方に決裁文書改竄の調査報告を麻生太郎に「懺悔のご報告」(恐れ入る表現である)をした際に、「まさにそうだったのかと、まさに文字通り初めて聞いたという」反応だったからと、そのことを根拠に指示・関知に無関係だとすること自体、合理的判断に基づいているとは決して言えない。

 実際の殺人犯人でも、最初の警察の任意聴取に「えっ、あの男(あるいは、あの女)、殺されたんですか。いつです?どんな方法で殺されたんです?そうか、殺されたのか」と、「文字通り初めて聞いたという」驚いた反応はする。 

 警察の方はそのような反応をされたからといって、直ちに容疑者から外しはしないし、外すべき合理的根拠はどこにもない。安倍晋三にしても麻生太郎にしても、そのぐらいの反応を見せることができるだけの演技力は備えているはずだ。でなければ、海千山千の政治家として表舞台に立つことはできない。

 辰巳孝太郎は安倍昭恵に関しての追及に切り替える。
 
 辰巳孝太郎「一連の安倍昭恵氏に関する記述は2015年2月と4月の特例申請と特例承認の決裁文書の経緯の部分に書かれておりました。パネルに示しました。

 えー、なお、打ち合わせの際、『本年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは、よい土地ですから前に進めて下さいとの言葉を頂いた』との発言あり、括弧、森友学園籠池理事長と夫人が現地の前で並んでいる写真を掲示と、こうあります。

 我々は籠池氏がすべて本当のことを語っているというふうには思っておりません。しかし重要なのは籠池氏の語ったことが決裁文書という公文書に記されて、それを近畿財務局の職員6人、そして本省の幹部18人が確認をして決済印を押して認めているということであります。

 つまり問題はですね。これらの文言、安倍昭恵氏の記述がなぜ書かれたのかということでありますが、そもそも決裁文書の経緯とは何を記すためのものなのか。これは事の成り行きやイキサツを示すためであります。なぜ特例が決定されのか。後から見た人でも分かるようにこの経緯に記すということであります。

 太田局長、籠池氏とのこの2014年の4月28日の遣り取りというのは、私、前々回の予算委員会でも紹介をしましたけれども、三行半を突きつける、そして写真が提示をされる。本省に相談して、一カ月後にはほぼ満額回答が寄せられるというふうになりました。

 この籠池氏との遣り取りですね。様々な遣り取り、話があったと思うんですよ。当時はその相談メモっていうのも恐らく残しているかと思います。今はないとおっしゃりますけれども。なぜこの決裁文書にはこの昭恵氏のこの発言の部分を残したんですか。書き入れたんですか」

 対して太田充は、「特例決済の文書は基本的には本省決済」だが、「本省は国会対応をしているということで、国会前の情報は丁寧に記載をしていたというのが事実」だと答えている。

 要するに特例決済は最終的には本省決済である上に「本省は国会対応」の役目も担っている手前、森友学園側からの働きかけは詳しく書くことになって、それがそのまま決裁文書に記載されることになった。

 辰巳孝太郎「ですから、色々な遣り取りがある中でなぜこの部分を引用したのかっていうふうに聞いています。経緯というのは一体、何を書くもんなんですか。そこのところから」

 太田充「お答え申し上げます。あの本省決済ということで本省は国会対応するのが非常に重要な仕事があるというふうに私共の地方支分部局(の一つである近畿財務局のこと)は認識をしております。そう意味でこういう情報を提供している、参考として書いているということだと思っております」


 言っていることは、財務省の国会対応の「参考」情報として役立たせるための提供だということであろう。森友学園理事長籠池泰典の「本年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは、よい土地ですから前に進めて下さいとの言葉を頂いた」との発言を記して、森友夫妻と安倍昭恵の3ショットの写真を添付した。

 当然、籠池泰典の発言を通した安倍昭恵がこのように発言していた云々を国会対応の情報として「参考」に提供したことの意図・目的を追及しなければならなくなる。

 意図や目的のない行為・行動は存在しない。どのような「参考」に供するために安倍昭恵の発言を記載したのかが問題となるはずだし、さらに国会対応の「参考」情報に過ぎないということなら、では、なぜ削除・改竄したのか、その必要性が次の問題となる。

 要するに決裁文書に書き入れたことと削除・改竄したことに合理的な首尾一貫性がなければならない。もし太田充や矢野康治が合理的な首尾一貫性を説明づけることができなければ、国会対応の「参考」情報だとしていることは虚偽発言となる。

 太田充が続けて森友学園に対する国有地売却に関する特例決裁、あるいは特例承認ということはどういうことか、散々繰返してきた答弁を再度繰り返したために辰巳孝太郎は抗議の意味で席に座ったままで質疑が中断、再び太田充が続けて答弁に立ち、「重要な部分を決裁文書に集約をする、そういうふうにやっているが、会計検査院から集約された決裁文書が不十分だという指摘を受けたことは大変申し訳ない」と発言。

 対して辰巳孝太郎は「決裁の経緯のところには大事なところを集約して書くのが基本的なルールという話なんですね」と変に納得して、決裁文書が公文書管理法に基づいて記載される以上、「決裁文書に昭恵氏など名前があった、昭恵氏の存在がこの意思決定過程で影響したっていうことはね、これも否定しようもないわけですよ」と、相手から推測に過ぎないと指摘されて終わる、自分の考えを述べるにとどまっている。

 但し辰巳孝太郎が続けて「今回、私の、この決裁文書で非常に不可解なのは今回近畿財務局が作った特例の申請の文書にはなくて、これ本省が申請承認という形で作った決裁文書にだけ、学校法人森友学園の概要等として日本会議や日本維新の会、あるいは安倍昭恵さんの名前もここにもありますが、日本維新の会などの視察を記したページが補強されてるんです」と発言したことは、太田充が近畿財務局が財務省本省に対して国会対応の「参考」情報として提供した記載だとしていることからすると、近畿財務局は単にこの情報を提供しただけで、財務省本省が国会対応の「参考」情報に資するために決裁文書に書き入れたことになる。

 と言うことは、財務省本省の意図・目的に基づいて安倍昭恵の動向を書き入れたということになり、財務省本省から発して近畿財務局を動かすことになった国有地の違法売却という構図を取ることになる。

 勿論、財務省本省から発した一連の工作であるなら、籠池泰典がある意味安倍昭恵を前面に立てた交渉を駆使していることから考えると、安倍昭恵の背後で安倍晋三や麻生太郎の指示・関知は介在していなかったと直ちに断定する根拠とはなり得ない。

 辰巳孝太郎は決裁文書の記載と「国会対応」との合理的な関係性――その意図・目的を聞かずに既に太田充が答弁していることを、「籠池氏、日本会議、決裁にどう関係あるんですか」と問い質して再度聞き出すムダな手間を費やしている。

 太田充「基本的に参考としての情報だというふうに思います。・・・・・・・国会対応ということを念頭においた参考として、それが添付されてるということだと承知しております」

 繰り返しになるが、なぜ「国会対応」として必要とした情報なのか、その理由と「国会対応」として必要とした情報でありながら、なぜ削除・改竄したのか、素朴な疑問を発動しなければならなかった。
 
 辰巳孝太郎「結局ですね、政治家や昭恵さんとの関わりをここで強調する。あるいはこの名刺の裏っかわもコピーされてますねぇ。名刺の裏側にはこの籠池氏の経歴がずらっと並んで、日本会議大阪代表、運営委員とかですね、同期の桜を歌う会とかですね。約束が全部書いてあるんです。それを決裁文書に添付してるんですよ。

 太田局長はですね、決裁には個人の役職は全く関係ないと、そう言ってますけれども、その経歴を知るために、これ参考として置いているじゃないですか。

 これ矛盾するんじゃないですか」

 太田充「お答えを申し上げます。基本的に参考となるものを添付をしたと、先程来申し上げておりますが、そういうことだというふうに思っております」

 辰巳孝太郎「結局ですね。この決裁文書から伺い知れるのは籠池氏の保守的思想が総理のものと通ずるものがある、日本会議に通じるものがあると。要するに政治案件、安倍案件だからってことでね。この決裁文書は物語ってるんですよ」

  結局は相手が答弁に窮する機会をつくれずに推測で片付けられてしまう追及に終止することになる。辰巳孝太郎は太田充への追及を切り上げて(諦めて?)、国有地売却に於ける安倍昭恵の役割について安倍晋三を追及する。

 辰巳孝太郎「昭恵さんの森友学園、あるいは小学校建設に対する関わりというのは一貫して積極的、能動的に行われております。

 例えば森友学園を三度訪問をし、ここには政府の職員も同行しました。講演の中で『夫も来たいと言ってる、他のスケジュールを全てキャンセルして講演に来た、瑞穂の國記念小學院で私も何か役に立てればいいな』。そういうことも言っております。

 小学校建設予定地の前で籠池夫妻と3ショットの写真にも収まり、名誉校長に就任し、学園パンフやホームページにも顔出しをし、そして昭恵氏、昭恵さん付きの職員が財務省に問い合わせていたということも明らかになっております。

 総理、これ、全て、事実ということでいいですね」

 安倍晋三「あの、これは経緯があるわけでございまして、これも既に、今まで何回も、この一年間、答弁をさせて頂いているところでありますが、平成27年の9月5日の塚本幼稚園での講演で名誉校長に就任することになりましたが、その講演の前の待合室にて名誉校長を引き受けてくださいと頼まれ、そこで妻断ったわけであります。

 えー、妻は申し訳ないけれども、それはお受けできないと申し上げ、夫である私との関係があるので、 それはお引き受けできないと断っていたわけでございますが、その後ですね、突然講演の場で籠池さんから名誉校長に就任されたと紹介され、父兄の前で拍手をされました。そうなったらその場でお引き受けできないとはっきりと言うことはできなかったということであります。

 その後ですね、辰巳委員も事実というふうにおしゃっておりますが、私が述べているのも事実でありまして、これを合わせて、事実と事実を合わせなければ、正しく、正しく理解はできないんだろうと、えー、思います。

 しかしその後ですね、あそこで急に出されて私も当惑しました。やはりこれはお引き受けできませんよという話をですね妻がし、その場で何回か遣り取りがあって、籠池さん側から、ま、父兄の前で仰ったんだから、それは引き受けて貰いたい 、引き受けて貰わないと困りますということでありまして、最終的に引き受けることになったわけてありました。

 この経緯はですね、この経緯と合わせて事実かどうかということでないとですね、今辰巳先生はですね、積極的に引き受けたかの如くの印象を与えることになると、こう思いますので 、それを事実としてお話ししたわけであります」

 対して辰巳孝太郎は「時間止めてください」と委員長に要求、安倍晋三の長答弁を「時間稼ぎだ、質問妨害だ、やめてくださいよ」と抗議する。

 安倍晋三の安倍昭恵が名誉校長を引き受けたイキサツを述べる答弁はこれが初めてではない。何度かしている。2018年2月6日の当ブログに、「2/5衆院予算委江田憲司vs安倍晋三:対夫人危機管理無能と安倍昭恵のモラルと規律欠如、意志薄弱を窺う」と題してこのことについて書いた。

 「夫である私との関係があるので、 それはお引き受けできないと断っていた」ということは、安倍昭恵は森友学園との関係よりも、「夫である私との関係」を最優先の価値観としなければならない首相夫人という立場を弁えていたことになる。だから、引き受けることを断った。

 ところが、「突然講演の場で籠池さんから名誉校長に就任されたと紹介され、父兄の前で拍手をされ」て、「その場でお引き受けできないとはっきりと言うことはできなかった」

 何のことはない、籠池泰典の巧みな誘導によって「父兄の前で拍手をされ」て虚栄心が擽られたのか、はっきりと断ることができずに最優先しなければならない「夫である私との関係」を簡単に反故にしてしまった。

 このような姿勢から窺うことができる安倍昭恵の性格はモラルと規律欠如、そして意志薄弱等々であろう。

 問題は安倍晋三が答弁するようなイキサツが実際にあったかどうかである。2017年3月23日の籠池泰典に対する参院証人喚問での遣り取り。

 小池晃「安倍昭恵さんに名誉校長になってほしいと要請したときに、昭恵さんは最初は断ったんでしょうか。それとも、すぐにその場では受け入れたんでしょうか」

 籠池泰典「一秒ほど止まっていらっしゃいましたが、すぐに即断をして頂きました」

 安倍晋三と籠池泰典は正反対のことを言っている。どちらがウソをついているのか、二つのことから、示唆はできる。

 安倍晋三「妻がですね、名誉校長を務めていることは数多の数あるわけでございますが、それがそのものがですね、今まで行政等に影響を及ぼしたことはないんだろうと、このように考えております」

 辰巳孝太郎「影響を及ぼすことはないと。しかし当の昭恵さんはそうは思っておられないようですね。昭恵さんは森友学園以外にも様々な団体の名称職員・役員等を務めておられますけれども、昭恵さん、メディアの取材に対して昭恵さんはご自身の役割についてこう答えておられます。

 『誰に対しても良いことをやろうとするときは私は利用してもいいよと言ってる。私が信用のために使えるのだったら、使って貰って全然いい』

  昭恵さんはですね、知らずのうちに森友学園に関与させられていたり、あるいは単なる名義貸しで名誉校長になったわけじゃないんですよ。名誉校長への就任も学園への講演会も、自分の名前や言動が学園の利益になるというご自身の影響力を十分理解した上で行動しているってことですよ」

 対して安倍晋三は「色んな組織が誰かに名誉校長をお願いをするというのはその組織の信頼性を高める意味があるからで、その信頼性によってその組織の趣旨に賛同する可能性が生まれる。だが、行政がねじ曲げられたり、行政そのものに対しての影響を与える、全くそれは考えていない」と答えている。

 先ず安倍晋三は安倍昭恵が「名誉校長を務めていることは数多の数ある」と言っている。実際には名誉校長は新設予定の森友小学校一つであり、名誉園長が加計学園の幼稚園一つで、教育機関に関しては合わせて二つだが、この二つを含めて名誉職となると計55件だと安倍晋三自身が3月28日の参院予算委員会で明らかにしている。

 安倍昭恵にとっての「夫である私との関係」は安倍晋三が首相職にある間はついて回る最優先の価値観としなければならないはずだが、名誉職を計55件も引き受けていて、前者の関係より後者の関係を優先させている。

 いわば実際には「夫である私との関係」を最優先としていない。にも関わらず、安倍晋三の説明によると、安倍昭恵は一旦は最優先の価値観として持ち出していることになっている。この矛盾が安倍晋三の説明を限りなく事実から遠ざけることになる。

 もう一つ、辰巳孝太郎が説明した安倍昭恵の自身の役割についての対メディア発言を再度取り上げてみる。

 「誰に対しても良いことをやろうとするときは私は利用してもいいよと言ってる。私が信用のために使えるのだったら、使って貰って全然いい」――

 安倍昭恵は不特定多数の他者に対する自身の利用価値を相当なものだと自分から見ている。相当なものだと見ていなければ、メディアを介して世間全体に向けて発言することはできない。

 だが、それは自身が生み出した利用価値ではなく、首相夫人であることによって与えられたお仕着せの利用価値に過ぎない。単に身に纏うことになった価値でありながら、そのことに対する謙虚さがなく、利用して下さいと公言する。

 まるで何様であるかのようだ。何様の思い上がりがなければ、この手の公言はできないだろう。そして何様の思い上がりが利用価値としての目に見える成果を欲することになる。成果が一定の形を取ると、自身の利用価値に改めて自身で感心する。

 こういった虚栄心が動機となって、自身を利用させる形で籠池泰典をして行政への働きかけを動機付けたということもあり得る。

 これは推測に過ぎないし、次のことも推測の範囲にとどまるが、安倍昭恵自身がメディアに話した首相夫人の名の利用のススメからすると、名誉校長を一旦断ったとする安倍晋三の発言は信用できないものとなり、籠池泰典の「すぐに即断をして頂きました」の方が信用が置けることになる。

 辰巳孝太郎の最後の発言。

 辰巳孝太郎「まだね、認可もされていない時期に学校予定地に夫妻と視察に行って、そこで何かさせて頂くことはないかと、3ショットの写真が撮られたわけですよ

 3日後、森友学園に資金が乏しく実現性がない学園の計画にもう待てないと三行半を下して交渉の打ち切り、これをやったときにこの写真が示されたわけですよ。
 
 これで国側の態度が180度変わって、1カ月後には協力となるわけです。森友学園は窮地を脱して、タダ同然で、結果、国有地を入手した。これは昭恵さんにとってはね、願ったり叶ったりですよ。

 これで関与ないって言われても、国民は誰も納得をしません。委員長、証人喚問を求めます。

 委員長「只今の要求は後刻理事会で協議をさせて頂きます。以上で辰巳孝太郎君の質疑は終了致しました」

 「2018年3月26日参院予算委

 辰巳孝太郎「辰巳孝太郎でございます。先ず総理にお聞きを致します。公文書管理法第1条にはこうあります。公文書は健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的財産、こう位置づけられているわけであります。

 今回の改竄事件が民主主義の根幹に関わる重大な事件であるという、こういう認識は総理お持ちでしょうか」

 安倍晋三「今回の決裁文書の書き換えにより、行政全体の信頼が損なわれたことは痛恨の極みであります。一度失われた信頼を取り戻すことは至難でありますが、その上閣僚を始め、全ての政府職員が一からやり直す決意で信頼の回復に全力で取り組むことが求められています。

 こうした面から3月23日の閣僚懇談会に於いてすべての政府職員は原点に立ち返って、公文書の重要性を肝に銘じる必要があると申し上げた上で、4月からの新ガイドラインによる公文書の決定や電子決裁システムの移行を加速することに直ちに取り組むことを指示したところであります。

 現在行われている事実関係の調査・解明を踏まえて、さらに問題点を洗い出し、公文書管理の在り方について誠意ある見直しを行って参りたいと思いますし、今委員が指摘されたようにですね、決裁文書の書き換えはまさに重大な問題だと、このように認識しております」

 辰巳孝太郎「総理、従来の答弁を繰返して頂き、(認識して)ないんですね。私が聞いてるのは、この改竄事件が民主主義の根幹に関わる重大な事件である。こういう認識があるのかどうか、民主主義の根幹に関わる問題だっていう認識があるかどうかを聞いているんです」

 安倍晋三「まさに国会からの求めに、当委員会からの求めに応じた文書にですね。決裁文書に書き換えがあったことはまさに国会での質疑に対する重大な問題であり、国会での質疑というのは民主主義で、民主主義そのものであろうと思いますから、そういう意味に於いてはですね、委員のご指摘どおり重大な問題であると、このように考えております」

 辰巳孝太郎「先ずこういう認識を持つことが大事だというふうに思うんですね。今日の午前中の審議の中で与党の遣り取りがありました。これに関わって、お聞きしたいと思います。

 矢野官房長にお越ししていますが、午前中の審議の中で今回の改竄事件につきましては、総理官邸も麻生財務大臣も、全く指示をしておられないですし、関知もしておられなかったのは紛れもない事実でございますと。

 これ、何を根拠に仰ってるんですか」

  財務省矢野大臣官房長「お答え申し上げます。これまでも国会質疑の中で総理と、それから財務大臣が本件書き換えの話ですが、指示をしたのかというご質問に対してして『ない』と、こういうことを明言しておられます。

 それから財務省が3月12日にいわば一つの中間的な報告をさせて頂くまでに調査を行った過程におきましても、書き換えは当時の理財局の一部の職員か事務方によって行われたものであるという判断に辿り着いております。

 以上のことから政治家の関与がなかったという認識を致して、それから先程加えて申し上げましたけれども、私どもが3月12日に公表させていただいた、前日の3月11日の夕方でしたが、大臣にご報告を、懺悔のご報告をさせて頂きましたが、その時の大臣のご反応、まさにそうだったのかと、まさに文字通り初めて聞いたということだったわけでございます。

 事務方がやったことでございます」

 辰巳孝太郎「大臣がそう言ったからといってね、今、これ調査中なんじゃなかったんですか?いいですか、調査中なんでしょ。太田大臣、太田局長、先程からこの調査は、指揮命令系統、それを調査しているんだと、こういう話なんですよね。

 指揮命令系統、これ全部明らかにもう既になっているんですか」

 財務省理財局長太田充「お答え申し上げます。あの、私共国会にご報告させていただいておりますように財務省本省理財局に於いてということでご報告をさせて頂いております。

 ただ、その財務省理財局、財務省本省理財局に於いてという中で、まあ、当時のトップは佐川前局長ということがあるわけですが、その中で前局長含め、誰がどういう役割を果たし、どういう指揮を誰が命令をしてという部分についてはまだ調査が最終的に立っていないので、そう意味でご報告させて頂ける段階にないと。今それを一生懸命に調べてると。官房長を中心に調べてるわけですが、そういうご報告を申し上げてるということでございます」

 辰巳孝太郎「佐川前長官がですね、ま、もし仮にですよ、この改竄を知っていた。あるいは関与していた。そういうことが明らかにこれから様々になっていくでしょう。だが、佐川前長官が、じゃあ、誰にそれを指示されたのか、ですよね。この指揮命令系統ですよ。財務省の下の理財局の下の指揮命令系統ではなくて、つまり官邸から指示があったのかどうか、これ佐川さんが何か言ってるんですか。官邸に直接聞いたんですか」

 太田充「お答えを申し上げます。あの、佐川前長官から聞いてることは、あの、本委員会でもご答弁申し上げている通り、退官する時に、当時の、今の事務次官が確認をして、国会提出時の担当局長であったことに責任を感じてるということと、訴追の恐れもあるので、そこは差し控えたいということでございました。

 ただ官邸の関係、あるいは近畿財務局との関係は、あー、それ以外の職員には全部聞いておりますので、その上でそういう判断をして、ご説明を申し上げてるということでございます」

 辰巳孝太郎「だから、佐川さんに誰が指揮指示したのか。これ明らかになってないじゃないですか。佐川さん、何も言ってないんだから。完全にも聞いてないんでしょ、矢野官房長。これ何で断定できるんですか」

 矢野大臣官房長「私は、午前の質疑に於いてお答えしましたのは総理と代理、財務大臣が指示したのかどうかということでしたので、それに対して総理と財務大臣からの指示がなかったという旨をお答えさせて頂いた次第です」

 辰巳孝太郎「総理、官邸と仰っていたと思いますが」

 矢野大臣官房長「総理、官邸という言葉は少し適切でなかったかもしれませんけれども、財務大臣と総理大臣という意味でございます」

 辰巳孝太郎「官邸は如何なんですか。官邸はあったという認識なんですか。どうなんですか」

 矢野大臣官房長「あったという事実は突き当たっておりません。で、今調査をしておりますので、誰の、誰の話はあったのかなかったのかということを逐一、中間報告を含めてそういうことは不可能でございます」

 辰巳孝太郎「だから、総理、官邸もというのはおかしいじゃないですか。この段階で断定するのは。そういうことを国会答弁すること自身がですね。おかしいと言わなければなりません。

 一連の安倍昭恵氏に関する記述は2015年2月と4月の特例申請と特例承認の決裁文書の経緯の部分に書かれておりました。パネルに示しました。

 えー、なお、打ち合わせの際、『本年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは、よい土地ですから前に進めて下さいとの言葉を頂いた』との発言あり、括弧、森友学園籠池理事長と夫人が現地の前で並んでいる写真を掲示とこうあります。

 我々は籠池氏がすべて本当のことを語っているというふうには思っておりません。しかし重要なのは籠池氏の語ったことが決裁文書という公文書に記されて、それを近畿財務局の職員6人、そして本省の幹部18人が確認をして決済印を押して認めているということであります。

 つまり問題はですね。これらの文言、安倍昭恵氏の記述がなぜ書かれたのかということでありますが、そもそも決裁文書の経緯とは何を記すためのものなのか。これは事の成り行きやイキサツを示すためであります。なぜ特例が決定されのか。後から見た人でも分かるようにこの経緯に記すということであります。

 太田局長、籠池氏とのこの2014年の4月28日の遣り取りというのは、私前々回の予算委員会でも紹介をしましたけれども、三行半を突きつける、そして写真が提示をされる。本省に相談して、一カ月後にはほぼ満額回答が寄せられるというふうになりました。

 この籠池氏との遣り取りですね。様々な遣り取り、話があったと思うんですよ。当時はその相談メモっていうのも恐らく残しているかと思います。今はないとおっしゃりますけれども、なぜこの決裁文書にはこの昭恵氏のこの発言の部分を残したんですか。書き入れたんですか」

 太田充「お答え申し上げます。あのー、特例決済の文書は基本的には本省決済ということでございますので、本省と地方支分部局との関係に於いては、地方支分部局、近畿財務局は地方支分部局ということでございますが、本省は国会対応をしているということで、国会前の情報は丁寧に記載をしていたというのが事実だというふうに思います。

 で、籠池理事長、色んなことを仰ってられたとおもいますが、籠池理事長の名前が出てるか出ていないかは別として、別として、先方森友学園側からこういう話があったというのは経緯のところにも、詳しく書いてあるということだと思います。

 辰巳孝太郎「ですから、色々な遣り取りがある中でなぜこの部分を引用したのかっていうふうに聞いています。経緯というのは一体、何を書くもんなんですか。そこのところから」

 太田充「お答え申し上げます。あの本省決済ということで本省は国会対応するのが非常に重要な仕事があるというふうに私共の地方支分部局は認識をしております。そう意味でこういう情報を提供している、参考として書いているということだと思っております。

 で、なぜこういうことを申し上げてるかと申しあげますと、特例決裁、特例承認ということで、その特例というのが、あの、なぜかと言うと、特例という言葉だけが国会の審議でも踊ってるような気がしてということでございますが、本件については、要すれば、あの、通常であれば3年という賃貸借なわけでございます。

 ところが3年という賃貸借でございますと、それは今借地借家法で借り手側を大変保護するという状況になってますので、次から次へと3年が繰返されて、いつまで経っても売買に至らないという危険があるので、そういう意味で売買に至らせしめるたに10年ということを定期借地にするというのも、むしろこちら側からすれば、定期借地にすることによって売買が口にできると、そういう意味があってのこと、特例承認というのを行ってるということだけは付け加えさせて頂きたいと思います」

 辰巳孝太郎、席に座ったまま。中断。

 太田充「お答え申し上げます。あの委員のご質問の趣旨が分かったつもりでございますのでお答え申し上げます。あの、これまで何度か国会審議であった議論でございますが、要すれば応接録とか面接記録は残ってないのかというご質問に対してルールとして私共は1年未満という、保存期間で事案終了の時には廃棄をするというルールになってございます。

 で、その部分になってるところはどうすれば廃棄するということにメインがあるわけではなくて、最終的に応接記録なり面接記録ということも含めて、そういうものの重要な部分を集約をして、決裁文書に集約をすると、そういうことですから、そういうふうにやっております。

 ただ会計検査院のご指摘は、じゃあ、その集約された決裁文書が不十分だというご指摘を受けていて、そこは大変申し訳ないというふうに私はご答弁申し上げたということでございます」

 辰巳孝太郎「ですから、最初からその通りにしてたらいいんですよ。決裁の経緯のところには大事なところを集約して書くのが基本的なルールなんだと、こういう話なんですね。

 そこに安倍昭恵氏の名前などが出てきてるわけですよ。公文書管理法第4条にも、行政機関に於ける経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に後付け、または継承することができるよう、文章を作成するというふうになってるわけですよ。

 ですから、決裁文書に昭恵氏など名前があった、昭恵氏の存在がこの意思決定過程で影響したっていうことはね、これも否定しようもないわけですよ。今回、私の、この決裁文書で非常に不可解なのは今回近畿財務局が作った特例の申請の文書にはなくて、これ本省が申請承認という形で作った決裁文書にだけ、学校法人森友学園の概要等として日本会議や日本維新の会、あるいは安倍昭恵さんの名前もここにもありますが、日本維新の会などの視察を記したページが補強されてるんです。補強されてるんですね。

 なぜ本省は、これを補強したんですか」

 太田充「お答え申し上げます。あの先程来近畿財務局がと申し上げていることの一連の過程だというふうに考えております。確かに本省部分の特例決済を、最終的な本省決裁の部分にこの部分があるので、追加されておるわけですが、そのうちそのを森友学園の概要という資料と、それから籠池理事長の名刺を頂戴して、それがコピーで貼り付けてあるということだと思います。

 で、籠池理事長の名刺は、当時本省は面識がないので、それを近畿財務局から頂戴しない限り、それはできないので、基本的に近畿財務局から情報提供頂いて、そういう資料添付してるということだと承知をしております」

 辰巳孝太郎「だから、なぜ本省で補強されたのかと聞いてるんです」

 太田充「あのー、近畿財務局に於いて本省国会対応だとというふうに申し上げました。で、本省の職員も国会対応だ、仕事だということを凄くそういう認識をしておりますので、その意味で上司に本省決裁というのは最終的に上司に決裁を上げないといけないので、そういうときに近畿財務局はこれだけあるので情報を付加しているんなら自分も付加しなければいけないという形で基本的に資料を用意したということだと承知しております」
 
 辰巳孝太郎「籠池氏、日本会議、決裁にどう関係あるんですか」

 太田充「お答えを申し上げます。基本的に参考としての情報だというふうに思います。それは先程ご説明申し上げました。特例承認、そのものは何のためにそういうことをやっていたのか、いうことを申し上げました。

 それは兎に角いつまでも貸付けのままではいけないんで、売買契約にきちっと移って貰うためにということが特例承認です。そういう意味では、この部分、経緯の部分では色んなご指摘はありますし、左右両方から色んなご指摘あると思っておりますが、いずれにせよ、やっぱり国会対応ということを念頭においた参考として、それが添付されてるということだと承知しております」

 辰巳孝太郎「結局ですね、政治家や昭恵さんとの関わりをここで強調する。あるいはこの名刺の裏っかわもコピーされてますねぇ。名刺の裏側にはこの籠池氏の経歴がずらっと並んで、日本会議大阪代表、運営委員とかですね、同期の桜を歌う会とかですね。経歴が全部書いてあるんです。それを決裁文書に添付してるんですよ。

 太田局長はですね、決裁には個人の役職は全く関係ないと、そう言ってますけれども、その経歴を知るために、これ参考として置いているじゃないですか。

 これ矛盾するんじゃないですか」

 太田充「お答えを申し上げます。基本的に参考となるものを添付をしたと、先程来申し上げておりますが、そういうことだというふうに思っております。

 で、あのー、前の委員のご質問のときに答弁が色々不適切だというご指摘を頂きました。あの、色んな方向からというつもりで先程左右と言葉を使い、南北でも結構でございます。あるいは上下でも結構でございます

 あの、色んな方向からということでございます。大変申し訳ありませんでした」

 辰巳孝太郎「結局ですね。この決裁文書から伺い知れるのは籠池氏の保守的思想が総理のものと通ずるものがある、日本会議に通じるものがあると。要するに政治案件、安倍案件だからってことでね。この決裁文書は物語ってるんですよ。4月の28日、これ近畿財務局と折衝するわけですね。この時に写真を提示と言う文言もあります。

 この記述も不可解なんですね。職員自身がこの籠池夫妻と安倍昭恵さんの3ショットの写真を見たと、わざわざ書き入れているのはこれ昭恵さんの『いい土地ですから、前に進めて下さい』という言葉により信憑性を持たせるためにこう書いたと、私はそう見ているんですね。

 しかし籠池氏はスリーショットの写真は、近畿財務局の職員が『これ上司に見せるので、コピーを取らせて下さい』と、こう語っておりますけれども、これは事実なんですか」

 太田充「お答え申し上げます。通告を頂いてないので、ちょっと再度確認しないといけないと思っていますが、あの、過去お尋ねを頂いときの記憶で申し上げますけれども、写真を見せられたという記憶はある、だけど、それを、あのー、報道写真だったかどうかということは明確に記憶していないとかいうのを過去、どなたかのご質問で聞かれたときにそうお答えをしたという記憶あります。

 ちょっと今、もう一度確認をさせて頂きます。自信はありません。

 辰巳孝太郎「近畿財務局が作ったこの決裁文書にこの写真は添付されていなかったんでしょうか」

 太田充「お尋ねは今の特例承認の時の本物に添付されていたかということでございます。あの特例承認の決裁のときに、特例承認の決裁っていうのは、あの、本省の電子決済でございますので、そこはきちんと確認はできておりまして、提出させて頂いております。この写真はその中にはございません」

 辰巳孝太郎「承認申請の方ですよ」


 太田充「あのー、ないというふうに承知をしております。その写真はないというふうに承知をしております」

 辰巳孝太郎「何で分かるのかよく分からないですね。オリジナルは全部、これ警察に押収されてるんでしょ、これね。14の改竄文書というのが出てきております。本日、これ本省決済の分だけはコレコンピューター、パソコンでやってるから、ようやく出てきました。しかし残りの13の決済文書、これ我々は昨年来ずっとこの決裁文書を求め続けてきたわけですが、オリジナル全体というのは未だ出てきておりません。

 1年以上前に要求した決裁文書っていうのがまだ出てきていないんですよ。これ早く出してくださいよ。委員長、この決裁文書、13の決裁文書の完全オリジナル、これ近畿財務局にあるはずですから、これ是非出して頂くように委員長の方から求めて頂きたい」

 委員長「只今の要求に関しましては後刻、理事会で協議させていただきます。辰巳君」

 辰巳孝太郎「これね、財務省の調査だけではね、私は絶対ダメだと思いますよ。これやっぱりね。国会が国政調査権を蹂躙された問題ですから、三権分立・民主主義が蹂躙された問題ですから、国会自身がこの改竄問題、事件の真相を明らかにする必要があります。午前中の審議でも与党の皆さんが、これしっかり調査せいと言ってたわけですから、これは国会法104条に基づく全会一致の議決をして、国政調査権を発動する、これしか真相解明の道はないと思います。これ求めたいと思います」

 委員長「理事会で協議させて頂きます」

 辰巳孝太郎「総理、昭恵さんは森友学園や法人の小学校建設を応援する立場だった。ここで改めて確認したいと思います」

 安倍晋三「このー、当然ですね、名誉校長を引き受けておりますから、名誉校長である以上ですね、この学校がより良い学校としてこの、その仕事をしていくということについてですね、それはそうなればいいと期待している立場であります。ただ名誉校長でございますから、その職務の執行に関わるものでは、当然、ないということでございます」

 辰巳孝太郎「今日は改めてパネルに作りましたけれども、それはそうなんですよねぇ。昭恵さんの森友学園、あるいは小学校建設に対する関わりというのは一貫して積極的、能動的に行われております。

 例えば森友学園を三度訪問をし、ここには政府の職員も同行しました。講演の中で『夫も来たいと言ってる、他のスケジュールを全てキャンセルして講演に来た、瑞穂の國記念小學院で私も何か役に立てればいいな』。そういうことも言っております。

 小学校建設予定地の前で籠池夫妻と3ショットの写真にも収まり、名誉校長に就任し、学園パンフやホームページにも顔出しをし、そして昭恵氏、昭恵さん付きの職員が財務省に問い合わせていたということも明らかになっております。

 総理、これ、全て、事実ということでいいですね」

 安倍晋三「あの、これは経緯があるわけでございまして、これも既に、今で何回も、この一年間、答弁をさせて頂いているところでありますが、平成27年の9月5日の塚本幼稚園での講演で名誉校長に就任することになりましたが、その講演の前の待合室にて名誉校長を引き受けてくださいと頼まれ、そこで妻断ったわけであります。

 えー、妻は申し訳ないけれども、それはお受けできないと申し上げ、夫である私 との関係があるので、 それはお引き受けできないと断っていたわけでございますが、その後ですね、突然講演の場で籠池さんから名誉校長に就任されたと紹介され、父兄の前で拍手をされました。そうなったらその場でお引き受けできないとはっきりということはできなかったということであります。

 その後ですね、辰巳委員も事実というふうにおしゃっておりますが、私が述べているのも事実でありまして、これを合わせて、事実と事実を合わせなければ、正しく、正しく理解はできないんだろうと、えー、思います。

 しかしその後ですね、あそこで急に出されて私も当惑しました。やはりこれはお引き受けできませんよという話をですね妻がし、その場で何回か遣り取りがあって、籠池さん側から、ま、父兄の前で仰ったんだから、それは引き受けて貰いたい 、引き受けて貰わないと困りますということでありまして、最終的に引き受けることになったわけてありました。この経緯はですね、この経緯と合わせて事実かどうかということでないとですね、今辰巳先生はですね、積極的に引き受けたかの如くの印象を与えることになると、こう思いますので 、それを事実としてお話ししたわけであります」

 辰巳孝太郎「時間止めてください」

 中断。

 辰巳孝太郎「これね、時間稼ぎやめてくださいよ。質問妨害はやめてくださいよ。 名誉校長だってね、去年問題になって、なるまで、ずっと名誉校長やってたんですよ。いやいやとかそんなことじゃないんですよ。

 これね、総理。総理は昭恵さんが名誉校長を務めていたことに関して国との交渉が有利になることはない。これ過去仰っておりますね。昭恵さんはどう考えておられるんですか」

 安倍晋三「ですから、私今答弁致しました。 やはり経緯について説明しないとですね、どうしてそういう結果になったかっていうことについてですね、ご理解頂けないと、やはり丁寧に国民の皆様にご理解を頂く必要があったから、私は答弁をさせて頂いたわけであります。大切な経緯を除いてしまったらですね、誤解される危険性が私は十分にあるなと、こう思っていたわけであります。

 そして確かにですね、えー、趣旨等に賛同して私の妻が一時期名誉校長を務めていたのは、それは事実でございます。今から思えばですね、妻は名誉校長を受けるべきではなかったと思っておりますし、今その点は反省している ところでございます。


 現在名誉職はですね、一部を除いては基本的には辞退しているところがあります。ま、その上で、その上でですね、あくまでも名誉校長であり、国有地の売却や学校認可の手続きに関わっていないということを申し上げておきたいと、こう思う次第でございますし、また妻がですね、名誉校長を務めていることは数多の数あるわけでございますが、それがそのものがですね、今で行政等に影響を及ぼしたことはないんだろうと、このように考えております」

  辰巳孝太郎「影響を及ぼすことはないと。しかし当の昭恵さんはそうは思っておられないようですね。昭恵さんは森友学園以外にも様々な団体の名称職員・役員等を務めておられますけれども、昭恵さん、メディアの取材に対して昭恵さんはご自身の役割についてこう答えておられます。

 『誰に対しても良いことをやろうとするときは私は利用してもいいよと言ってる。私が信用のために使えるのだったら、使って貰って全然いい』

  昭恵さんはですね、知らずのうちに森友学園に関与させられていたり、あるいは単なる名義貸しで名誉校長になったわけじゃないんですよ。名誉校長への就任も学園への講演会も、自分の名前や言動が学園の利益になるというご自身の影響力を十分理解した上で行動しているってことですよ。

 総理、どうですか」

 安倍晋三「それはですね、あのー、色んな組織が誰かに名誉校長をお願いをするというのはまさにそういう趣旨なんだろうと思います。そういう趣旨というのはですね、まさにその学園の信頼性を高める、こういう人が名誉総裁とか名誉校長とか、そういうことになっているのであれば、信頼性が上がると思っている。そしてより多くの人たちがですね、そこの趣旨に賛同するかもしれない。

 これは確かに私はその通りだと思いますし、妻もそのように理解していたとこう思うわけでございます。しかし同時にですね、同時に行政、行政に於いてですね、行政がねじ曲げられれる、あるいは行政そのものに対しての影響を与える、全くそれは考えていないわけでございます。

 そういう意味に於いてですね、今私は先程も、そういう意味に於いて答弁をさせて頂いたわけでございます。名誉校長を、これを引き受ける以上、たくさんの、これは、まあ、養護施設も含めたたくさんのものを引き受けておりますが、それはそこに今通ってる人たち、あるいはそれを応援してる人たちに対してですね、いい影響を与えることができればいいなあ、こういう思いで 引き受けているわけでございますが、今般のことは(問題が)生じましたので、これはですね、事実上一部を除いてですね、多くの名誉職は辞退をさせて頂いているとおりでございます。

 こういう結果になっていることについては反省をしているということでございます」


 辰巳孝太郎「長いですわ。まだね、認可もされていない時期に学校予定地に夫妻と視察に行って、そこで何かさせて頂くことはないかと、3ショットの写真が撮られたわけですよ

 3日後、森友学園に資金が乏しく実現性がない学園の計画にもう待てないと三行半を下して交渉の打ち切り、これをやったときにこの写真が示されたわけですよ。
 
 これで国側の態度が180度変わって、1カ月後には協力となるわけです。森友学園は窮地を脱して、タダ同然で、結果、国有地を入手した。これは昭恵さんにとってはね、願ったり叶ったりですよ。

 これで関与ないって言われても、国民は誰も納得をしません。委員長、証人喚問を求めます。

 委員長「只今の要求は後刻理事会で協議をさせて頂きます。以上で辰巳孝太郎君の質疑は終了致しました」

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