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センスの問題-高校入試問題から見えるさまざまなこと-

2005-06-10 19:11:11 | アラカルト
今日の毎日新聞他で青学高等部:沖縄・ひめゆり学徒隊の不適切な入試問題が掲載されている。
朝のFMラジオのニュースなどでも取り上げられていたので、ご存知の方も多いのでは?
このニュースを聞いたとき、どんな感想をもたれましたか?
「戦後も遠くなったなぁ~」と言った、閣僚もいらっしゃったようですが。
個人的には「センスが無いな~」と感じました。

この問題を作成した30代の英語教師は、小中学校で「ひめゆり学徒隊」のことを学んできていなかったのでしょうか?
それとも、問題の主旨は「退屈な話を聞かされた」という話をまとめるためだから、関係無いと思ったのでしょうか?
とすれば、どうして「ひめゆり学徒隊の話」にしたのでしょう?
おそらく、この英語教師の実体験として「ひめゆり学徒隊」の語り部となっている元学徒の女性の話を、本当に「退屈だ」と感じたのでしょうね。
その印象が、とても強く思わず高校入試問題として作成してしまったのでしょう。
個人的に「退屈」だと感じたことは、構わないと思うのです。
しかし、それを「高校入試問題に適していると判断するセンス」を疑ってしまうのです。

そして、この入試問題を出題するにあたって、英語担当の責任者までチェックをして出題を決めているという、学校の「センス」も疑うのです。
「英語学習の充実が、グローバル化の象徴」のように受け止められ、その為なら「どんなことを問題にしても構わない」という、感覚を持っていたのでしょうか?
問題そのものは、相当な英語の語彙力と読解力を必要とする内容だったと想像します。
「東京の有名私立大の付属校入試問題って、こんなに難しいんだ」という印象をテレビのニュースなどでも受けました。
なら、どうしてもっと他の問題を指示しなかったのでしょう?
学校として、その程度の認識で日本唯一の戦場地・沖縄を見ていたのでしょうね。

「センスを磨く」ということを、よく言われます。
では「センス」ってなんでしょう?
「他者と自分の関係の中から、『相手を意識する感覚」』」ということでは、無いでしょうか?
これは、何も今回のようなことだけではありません。
ビジネスの場面では、いち早く感じ取って判断を下す必要があります。
「自己利益ではなく、他者利益を創造するための力と判断力」が、ビジネスにおける「センス」です。
一朝一夕には身につくようなモノではなく、その為のノウ・ハウもありません。
難しいですね。

それにしても、今回の一件で受験に失敗した生徒さんは、幸せでしたね。
こういう学校で学んでも、勉強はできるかも知れませんが、知力は身につきません。
薄っぺらな学力は、社会では役立ちません。
海外でのビジネスであれば、尚更。
「英語ができるからグローバル」という考えは、捨てたほうがよさそうです。
もちろん、この件で「青山学院大学付属高校」のブランド力が低下したということは、言うまでも無いと思います。