北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

阪神・淡路大震災の災禍から十二年

2007-01-17 18:06:26 | 国際・政治

■兵庫県南部地震犠牲者追悼

 一月十七日は、兵庫県南部地震、一般に阪神大震災と称される戦後最大の地震災害から十二年目を意味する日である。今回は昨年撮影したルミナリエの写真と共に本論を構成したい。

Img_3964  兵庫県南部地震は1995年1月17日0546時、淡路島北部(北緯34度36分、東経135度02分)を震源としたもので、マグニチュード7.3で震源が16kmの直下型地震。これにより神戸市、芦屋市芦屋駅周辺、淡路島東北部に深度7という強い揺れをもたらし、新潟、東京から鹿児島まで深度1という広範囲の揺れを観測した(参考「防災白書」)。犠牲者は死者6436名、行方不明者3名、負傷者43792名に達する。

Img_3929  同時に住宅被害は全壊104906棟を含む512882棟、公共建造物その他4848棟、橋梁破壊320、道路破壊10069に達し、神戸の都市機能を麻痺させ、結果的に経済的な被害の事例として、神戸港の取引量低下や、アメリカ総領事館を初め、安政の五カ国条約開港以来の公館の大阪移転へとつながり、今日に至る。(消防庁資料「阪神・淡路大震災第108報」)更に山陽新幹線や東海道線を含む36箇所での軌道崩壊は計り知れない経済的被害をもたらした。

Img_3971  現在、直下型よりも広範囲が被災するプレート型地震である、東海地震、東南海地震、南海地震の危険性が指摘されており、特に直下型地震とは異なり、東海地震の場合、海底を震源とするプレート型地震は、津波による被害を伴うことで、沿岸部を走る東海道本線、東海道新幹線、東名高速道路などの主要交通機関、また太平洋岸の港湾施設に大きな被害を与えることが危惧される。また、気象庁の情報に基づき内閣総理大臣により大規模地震対策特別措置法が発動されれば被害は極限される見通しだが、別の問題を内包する。

Img_3974  同法は、商業施設営業などの経済活動や自動車、鉄道による公共交通を著しく遮断するもので、経済的な損益が大きく、その発動には非常に抑制的となる可能性が指摘される。他方で、政府の地震調査研究推進本部の「南海トラフの地震の長期評価について」では東南海地震が、更に和歌山県潮岬周辺での海溝型地震として南海地震の複合発生が危惧されている。これにより激甚災害該当地区が関東から東海、紀伊半島、四国沿岸にかけ広域化する危険性が指摘される。

Img_3900  対処方法としては、消極的であるが耐震補強の強化、自治体の対処マニュアル、初期の48時間に対応する自衛隊(予備を含む)の動員計画、広域航空救急搬送体制の確保、経済復興計画の見通し、港湾・飛行場施設の機能確保などにより被害を最低限に抑えることが期待できるが、何よりも、心の備えなど身近な防災対策が、最終的には必要なのかもしれない。

HARUNA

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