■大津駐屯地祭2007 観閲行進
平成19年度大津駐屯地創立記念行事、昨日の記事では記念式典の様子を掲載したが、本日は観閲行進の様子を掲載したい。駐屯地祭は記念式典、観閲行進、訓練展示、装備品展示という流れでおこなわれる。
観閲行進の先頭は、第2教育団副団長と本部付隊、幕僚による車輌行進から開始される。副団長が乗車している装甲車は、82式指揮通信車。第2教育団には指揮通信車は配備されていない為、この車輌は信太山駐屯地の第37普通科連隊本部管理中隊から借用した車輌である。
後続には徒歩行進を行う共通教育中隊の隊員が行進している。
大津駐屯地祭における観閲行進は教育部隊ということもあり、徒歩行進が中心である。牽引車により自走が中心となった特科部隊や戦車を装備する機甲科部隊は昔から車輌行進が中心であったが、今日では、徒歩行進の代名詞であった普通科部隊にも高機動車や軽装甲機動車が広く配備されており、駐屯地祭全般では徒歩行進主体の行事というものも珍しくなってきているように思う。
装備する64式小銃は、戦後初の国産小銃として開発されたもので、30口径(7.62㍉)、重量は4.4kg、全長99.0㌢。二脚が装備されており、連射時の発射速度は毎分500発で同世代の30口径小銃のFAL(650~700発)やH&K G-3(800発)と比べて低く抑えられており、連射時の安定性に繋がっているといえる。
64式小銃は、発射速度を抑え、二脚を装備していることから陣地戦における防御戦闘に適したものということもできる。他方、連射時の反動を低下させる為に、7.62×51㍉NATO弾から発射薬を減らした減装弾を使用している。ただ、ガス圧利用作動方式を採用していることから、NATO弾への切替も可能だ。
ただ、ピストン桿止用バネピンなどのように非常に小型の部品などもあり、構造が複雑で部品点数が多いのが難点。前期教育では分解を3分以内、結合を5分以内で出来るようにならねばならない。安全装置が一旦引き出して回さねばならない点や、照準眼鏡装着を考慮してかサイトが折畳式になっているので、射撃時振動などで突如倒れて照準が出来なくなるので、テープで固定する必要があったりするようだ。
着用している迷彩服は、迷彩2型戦闘服とよばれ、1992年頃から装備化が進められた。以前の迷彩1型は、迷彩の斑点が大きく、100㍍以上の距離での迷彩効果を狙ったものであるが、小さな斑点を用いた迷彩2型は50㍍以下での近接戦闘で迷彩効果を期したものである。これは、対機甲戦から、ゲリラコマンド対処のような近接戦闘への脅威対象の変化を意識したものといわれている。
徒歩行進に続き、車両行進へと観閲行進は進む。観閲行進では音楽隊がその間演奏を続けているが、徒歩行進からテンポの速い曲へとかわる、これが車両行進開始を示すものである。
車両行進では、第3師団の車輌を中心に、第2教育団第4陸曹教育隊の車輌が参加、最後には祝賀飛行がおこなわれる。
第37普通科連隊第5中隊と第4中隊、第3中隊の軽装甲機動車。重量4.5㌧、二軸四輪駆動の装輪装甲車で、乗員は4名。ただし、車内容積の余裕は多く、訓練展示などでは7名(8名?)を詰込んで運用している例もある。毎年100輌以上が調達されており、陸上自衛隊の装甲化を一気に推し進めた。一個小銃班に二輌程度が配備され、緻密な火力戦闘への対応を期している。
第37普通科連隊第2中隊、第3中隊、第4中隊、第5中隊の高機動車。重量2.5㌧の野戦車輌で、1993年から配備開始、毎年数百両が配備された。ホイールベースは3.4㍍とかなり大型だが、四輪転舵方式を採用し旋回半径は5.6㍍。以外に小回りが利く。加速性も良く、今年度からは中央即応集団所要分に装甲が施された改良型の配備が開始された。
第4陸曹教育隊普通科教育中隊の120㍉重迫撃砲。牽引しているのは高機動車であるが、120㍉重迫を牽引している時は迫撃砲の備品扱いとなり、重迫牽引車とよばれる。砲弾ラックの装備など、若干仕様が異なるのだとか。120㍉重迫は射程が長く、従来、特科大隊の105㍉軽砲が実施していた任務を部分的に実施し、直掩射撃を行うことが出来る。普通科連隊の重迫撃砲中隊、旅団普通科連隊の本部管理中隊重迫撃砲小隊などが運用。
昨年第3師団に配備されたばかりの96式装輪装甲車が今津駐屯地より観閲行進に参加。
14.5㌧の四軸八輪式装甲車で、北部方面隊の一部普通科連隊や戦車大隊へ装備が進められている。八輪式であるため、装軌式に準じた不整地突破能力も有する。
第3戦車大隊の74式戦車。師団改編で戦車大隊が二個戦車中隊まで削られてしまったが、師団機動打撃戦力の根幹を担う装備である。ただ、旧式化が進んでいることも事実。ところで、2000年9月に三菱重工が8800万円で防弾装甲付戦車改修を受注し、上富良野で試験をしていたようだが、新戦車配備までに74式は装甲などの改修が行われうるのか、気になったりする(参考:軍事研究通巻414)。
観閲行進は、姫路駐屯地から展開した第3特科隊、第3高射特科大隊の車輌の観閲行進が行われたが、撮影アングルを行進正面から撮影しようとした為、FH-70なんて中砲牽引車の正面しか写らなかった。あれではトラックにしかみえないので、93式近距離地対空誘導弾の写真を掲載。その上空には祝賀飛行の三機編隊が写っている。
観閲行進の最後は祝賀飛行により締めくくられた。先頭から八尾駐屯地に駐屯する第3飛行隊のOH-6D観測ヘリ、UH-1J多用途ヘリ、そして明野駐屯地から飛来したAH-1S対戦車ヘリコプターが飛んでいる。
祝賀飛行を終えて、駐屯地祭は訓練展示の模擬戦準備へと移行してゆく。
HARUNA
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