北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

軽装甲機動車・高機動車に続く普通科部隊用車両はどうなるか

2009-01-04 22:18:44 | 防衛・安全保障

■陸上自衛隊普通科の主力車両

 本日は多忙につき、問題提示のみ。続く車両は何か、という問いを行ったのみで、回答は無い旨を先に提示しておきたい。

Img_0355_1  陸上自衛隊の普通科連隊や、偵察隊(機甲科だが)を構成する軽装甲機動車の装備数は既に1200輌を超え、また1992年より装備が開始された高機動車は、職種を問わず、実に3000輌以上が調達、93式近距離地対空誘導弾や96式多目的誘導弾システムなどのように各種装備品の運用母体としても活躍している。

Img_9034  軽装甲機動車や公機動車が装備化される以前は、専ら徒歩機動に依拠する普通科連隊が大半であり、結果、地形防御を活かした防御戦を中心とした運用を強いられるなど、機械化部隊と比べれば劣るがあった。もっとも、重厚な機械化部隊であれば、航空攻撃に対して脆弱となるのだが、徒歩では機動性に限界がある。

Img_8803_1  この点、普通科部隊を自動車化した高機動車や、暫定的ながらも装甲化させた軽装甲機動車の意義は大きいのだが、軽装甲機動車は、市街地ではともかくとして、四輪車であるがゆえの不整地突破能力への限界などがあり、特に運用者からは傾斜地での野戦運用には難点が指摘されているようだ。もちろん、装甲車であるので、例えば競合地域の警戒や輸送部隊の護衛には適した車両なのだが、従来通りの野戦を想定した演習場では使い辛いのかもしれない。

Img_9214  高機動車は、少なくとも傾斜地での転倒の危険性は低く、車体が大きいので汎用性が高く、現場からも好評のようだが、砲迫の制圧危険地域やIEDのような装備を使用するゲリラコマンド対処には少々限界がある。中央即応連隊用に装甲化された高機動車の調達が始まっているようだが、車体形状がもともと装甲車では無い為、現状の汎用性を活かしたまま防御力を付与させるというには限界があるのかもしれない。

Img_0811  軽装甲機動車は、小銃班に複数配備されるため、小部隊でも柔軟な運用が出来る一方で、車両そのものの数が増えるため、師団後方支援連隊の普通科直接支援中隊による支援が必要なほどに、整備には負担が大きくなる。配備構想が不明確なので断言は出来ないが、仮に全中隊を軽装甲機動車により充足した場合は、整備にかかる負担も倍以上となるのではないか。この点、将来戦闘車にどのように反映されるかが興味の湧くところである。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文および写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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