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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

海上自衛隊 ソマリア海賊対処に東アフリカ沖派遣を検討 (第一回)

2009-01-10 18:52:30 | 防衛・安全保障

■ソマリア海賊対処を考える

海上自衛隊がソマリア沖に跳梁跋扈する海賊対策に派遣される可能性が現実みを帯びてきた。これについて、本日は少し書いてみたい。仮に派遣されるとして、どの程度長期化するのか、その根本原因の解決に必要な点を踏まえて、考える必要があるからだ。

Img_7379  さて、“東京湾炎上”、という映画があった。東宝が1975年に公開した映画である。20万㌧の原油を満載した巨大タンカー“アラビアンライト”が、テロリストにシージャックされる。テロリストは、資源の先進国占有を打破するべく、タンカーに機雷を取り付け東京湾に進入、日本政府に対して、鹿児島県の石油備蓄基地喜山CTSを航空自衛隊の火力により爆破せよ、さもなければタンカーを爆破すると要求した。

Img_2555 喜山CTSを爆破すれば南九州一帯が爆発により壊滅し、タンカーが爆破されれば京浜工業地帯のコンビナートにも引火、首都圏一帯が大被害を受ける、という内容、果たして政府は、そしてタンカーの乗組員はどう立ち向かうか、という内容の映画だ。

Img_2509  そこまで深刻な状況には至らなかったが、ソマリア沖で15万㌧タンカー“高山”が複数の不審船から銃撃を受け、ドイツ海軍のフリゲイト“エムデン”に救出されるという事件が2008年4月に起きていた。“エムデン”に日本のシーレーンの一端が守られた、ということで一部で話題になっていたが、海賊被害というものは、ここまで切迫した状況に至っている、という典型的な事例であった。

Img_7761  ほんの十年前、もしかしたら朝鮮半島有事に派遣されるのでは、イラクの停戦監視に派遣されるかもしれない、台湾海峡で、などなどと想像はしたものの、まさか海上自衛隊が海賊対策のためにアフリカ沖に派遣されるとは、想像することさえも難しかったのではないだろうか。そもそも海賊といえば、“マラッカ海賊海峡”という本が当時でていたが、ロシアのスラヴァ級ミサイル巡洋艦が派遣されるなど話題をよんだものの、被害には上限が考えられた。

Img_0791  マラッカ海峡は、世界有数の国際海峡であるものの、同時にこの国際海峡の安全を確保することが東南アジア地域の発展に不可欠という、共通認識があったことから取締りには沿岸国も精力的であり、シンガポール、マレーシア、インドネシアの三ヶ国が、ホットパーシュート方式という互いの領海まで海賊を追跡する方式が効果を上げていた。

Img_7187  東南アジアでは、1980年代をピークとしてヴェトナム難民、ボートピープルを狙った海賊行為が有名で、これが終息するとマラッカ海峡を航行するレジャー目的のヨットやクルーザーを狙った海賊行為や、積み荷を満載して乾舷が低くなっている小型貨物船や小型タンカーなどが、漁民と兼業の海賊に襲撃される事例があり、稀に大型貨物船が狙われる事例が出ていた程度であるのだが、取締りを海軍や警察機構が精力的に実施したことで、その数は抑制的になっている。

 しかし、ソマリアの現況は、まったく異なる状況となっている。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文および写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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