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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

陸上自衛隊アフガニスタン人道支援任務派遣問題を考える② 万全の準備とともに

2009-09-19 23:50:40 | 国際・政治

◆派遣するのならば万端の装備で

 アフガニスタン情勢は、予断を許さない状況にあるが、万全の装備と共に展開させれば陸上自衛隊ならば、なんとかなるのではないか、と考えたいところだ。

Img_8991_1  東西冷戦下、陸上自衛隊は北海道でソ連軍機甲部隊の破城鎚のような打撃に耐え、持ち堪えることを念頭に対機甲戦の戦術研究と部隊訓練を続けてきた。NATO諸国と比べれば、ソ連と海が隔てているとはいえ、NATO諸国のような同盟国軍は北海道に駐屯しておらず、戦術核兵器も配備されていない状況下、よくその圧力に耐え、抑止力を維持することが出来た。

Img_3720  冷戦終結後は、柔軟に対遊撃戦にシフトし、同時に航空優勢の確保に不安のある状況下での対機甲戦では難しかった機械化を、高機動車、軽装甲機動車によりかなりの部分まで実現することが出来た。全般的に陸上自衛隊の練度は高く、特に射撃技術では隊員の水準は各国の陸軍を凌駕している。

Img_0386  その陸上自衛隊、アフガニスタン派遣であるが、カナダ軍は、自国陸軍の機甲戦力では不足ということがあり、ドイツから最新鋭のレオパルド2戦車の緊急調達を決定、最新のA6を20両リースし、全てをカナダではなくアフガニスタンで現地受領、オランダ軍余剰のA6型を20両、A4型を80両購入することとなった。日本も90式戦車の派遣を含め柔軟に考えるべきかもしれない。

Img_6384  オランダ軍は、有効射程や射撃速度等の面で現在、世界最高の自走榴弾砲と呼ばれるPzH-2000自走榴弾砲を3両派遣している。昨年、間接照準射撃での修正射方法に問題があり、少なくない民間人への被害が生じていると問題になったが、最新鋭火砲を投入しなくてはならない程の状況があることを意味している。

Img_4417  加えて、イラク派遣の際と異なり、ソ連軍アフガン侵攻、タリバンと軍閥との内戦、さらに米軍のアフガニスタン空爆と対テロ戦争と、長期間戦乱が続いたこともあり、地雷原と不発弾が広範に分布しており、仮に復興人道支援を行うのであれば、第一に敵対勢力との交戦の危険性がある中で、地雷処理を行わなければなるまい。

Img_5764  基本的に、山間部からの突発的な戦闘が多く、各国は装甲車を持ち込んでいる。イラク派遣では96式装輪装甲車などを派遣したが、各国はRPGを筆頭とした携帯対戦車火器による攻撃に備え、装甲防御力を強化した車両を開発、もしくは既存装甲車に対ロケット弾用の改造を施して投入している。

Img_4000  イラク派遣では、110㍉個人対戦車弾、いわゆるパンツァーファウストⅢや、84㍉無反動砲、いわゆるカールグスタフを装備し、自爆車両の宿営地突入に備えたが、アフガニスタン派遣の場合は、山間部から補給道路に撃ち下ろされる事を考えると、より射程が長い直接照準火器を装備する必要がある。

Img_6821_1  また、山間部に派遣するという事もあり、突発的事態に際して、部隊の救出や救急搬送を行うにはどうしてもヘリコプターが必要となるのだが、高出力のエンジンを搭載していなければ、谷間を低空飛行するヘリが上の尾根から機銃掃射されるという状況も発生しており、反撃の為の機銃搭載も含め検討するべきだろう。

Img_0440  イラク派遣と比べると、地域的には高山部という事もあり危険な地域は多く、しかも軍閥の武装解除もできていない中でタリバンの残存勢力との戦闘が起きるため、各国のISAF派遣部隊は復興よりも治安回復に躍起な状況、陸上自衛隊の派遣には不安な要素が残るもののk、万全な装備と共に派遣すれば、恐らく世界が日本に期待する任務を遂行することはできるのでは無いか、と考える次第。

HARUNA

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コメント (5)
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