北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

平成22年度防衛予算概算要求と新防衛大綱画定に関しての考察

2009-09-07 23:43:09 | 防衛・安全保障

◆将来ビジョンの展示が必要

 平成22年度防衛予算概算要求の概要が提示された。概容は一応目を通したが、思えば防衛予算概算要求ほど、数ある予算請求の中で継続して一般に議論され、複数の専門誌などで論評され、検証されるものは無いのではないかと考える次第。

Img_0840  さてさて、装備品の調達計画や、技術開発に関する計画、防衛政策の観念などが例年通り提示されており、日本の向かうべき防衛体系が記されているのだが、新しく発足する民主党政権は、予算編成などの面で官僚主導を排し、首相官邸に創設される国家戦略局を中心に政治主導を求めるとのこと。なるほど、立法府よりも完了が立法することが常態化し、議員立法なる変った言葉が誕生する日本においては、一つの方向性と言えるやもしれない。

Img_9073  防衛政策については、他方で、計画されてから装備品が整備され、教育訓練を経て日本の防衛体系を形作るまでは一定以上の年数を要することから、この点、政権が変わるごとでの朝令暮改だけは避けなければならないのもまた重要で、ここのところがどのように政策として実現するかが微妙であるが、国家戦略局を主体として、例えば平成30年代の本土防衛および国際貢献任務への対応を可能とした部隊編制を記した“師団30構想”や、シーレーン防衛と考えられる実任務への対応を目指した“自衛艦隊30構想”、本土防空とミサイル防衛に必要な部隊編制を示した“要撃30構想”というような長期計画があってもいいのでは、とも考えた次第。

Img_0001  つまりは、中期防衛力整備計画と防衛大綱の中間に当たるもの、もしくは防衛力整備計画に示された部隊編成についてもっと踏み込んだものが必要では、という提案だ。これは米軍のフォース21構想やFCS計画、もしくはフロムザシー構想などのように、長期計画として防衛の在り方を俯瞰できるようなビジョンを提示し、その実現のために防衛力整備計画を進めてゆく、という方式が、理想的というよりも、納税者から為政者、国際社会にとっても判りやすいのでは、と思った次第。

HARUNA

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コメント (6)
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