◆既に政治問題のF-Xアクロバット、二転三転四転
9月11日2020時に毎日新聞が報じたところによれば、アメリカ議会上院は2010会計年度の国防歳出法案に、輸出型のF-22戦闘機に関して、その研究と開発費を盛り込んだとのことだ。
アメリカ議会上院がF-22の輸出型開発を国防歳出法案に盛り込んだことで、週明けには議会下院とともに両院協議会を開き、最終調整を行うとのこと。既に七月の時点で、現在米空軍に供給しているF-22については生産終了が決定しており、米空軍向けのF-22戦闘機に対しても禁輸の決定が盛り込まれている。しかし、輸出仕様の特別型については開発される余地が残されており、今回はこれが盛り込まれたとのこと。
F-4後継機が必要と提唱されてからかなりの年数を重ねたが、F-22に関しては二転三転どころか、四転、どちらかというとブルーインパルスのコークスクリューのように動いており、輸出の可能性が生じては、やはり駄目だということになり、輸出出来ないけれども輸出型は輸出出来るかもしれない、という状況。現時点では不確定要素が多い。
一方で、米軍再編の関係で、在日米軍から三沢基地のF-16飛行隊を撤退させ、嘉手納基地のF-15飛行隊も削減の計画があるとの報道があり、もちろん、米空軍は貼り付け部隊ではなく、シンボル的な意味以上のものは無かったのかもしれないが、一つの潮流として受け取られている。もっとも、三沢基地米軍区画の日本返還などの動きが無いところを見れば、米空軍三沢基地は維持されるようで、タイミングの背景には政治的なものもあるのかもしれない。
F-22、輸出型の開発という事は開発費が上乗せされるとともに、ライセンス生産が認められる可能性も低い。調達価格は、2機で護衛艦1隻に匹敵する規模になるだろうが、はたして、輸出型が開発されたとして、航空自衛隊はF-4の後継機として、F-22を二個飛行隊配備することが出来るのか、ということも気になるところだ。
もっとも、F-22は一個飛行隊定数がF-4の18~24機に対して12機となっているので、調達数は削減できるのかもしれないが、そもそも現在の防衛大綱に定められた戦闘機定数がF-22の導入を見越したものであるので、少数しか認められないならば精鋭を、という点に理解できないでもない。他方で、高価であることには変わりないのも確かであり、防衛大綱の定数をF-22を前提としない数字に戻し、F-2の増産、米国供給部品を国内で供給する必要も生じようが、柔軟に検討する必要はあるのかな、と。また、F-22というものは、一つの政治外交上のカードとなっているようだが、これをどのように使うかが新政権外交力には、一つの試金石となるだろう。
HARUNA
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