◆自衛隊出動!、首都圏と南西諸島で防衛体制整う
本日、森本防衛大臣によりミサイル破壊措置命令が発令されました、これは自衛隊法に基づく命令です。
ミサイル破壊措置命令は自衛隊法第82条の3第3項に基づき発令されたもので、北朝鮮が間もなく長距離弾道弾実験を行う発表とともに、我が国南西諸島上空を飛翔しフィリピン周辺に落達するとの想定に際し、我が国領域に落下する飛行経路を飛翔した際、自衛隊が迎撃し、被害を防ぐ構え。
迎撃は二段構えとなっており、洋上のイージス艦が長距離索敵が可能である高性能なSPY-1レーダーと射程1000kmを越えるスタンダードSM-3誘導弾が第一の迎撃を行い、この迎撃を突破した目標に対しては陸上に配備された航空自衛隊のペトリオットPAC-3が射程15~20kmにおいて直撃し、弾頭を破砕することで地上での爆発を防ぐとのこと。
森本防衛大臣は今回のミサイル破壊措置命令に先立ち、ペトリ音ミサイルが配備されていない南西諸島南部に対し、ミサイル破壊措置準備命令を発令し、特に弾道ミサイルの落下の危険性がある宮古島と石垣島へ航空自衛隊のペトリオットミサイル部隊を海上自衛隊の輸送艦が輸送支援を行い、今日までに展開を完了しました。
今回海上自衛隊の輸送艦三隻のうち二隻が展開に協力しており、輸送艦くにさき、は芦屋基地の高射隊を呉基地よを3日に出港し翌日午後までに宮古島へ輸送し、航空自衛隊のレーダーサイトである宮古島分屯基地へ、輸送艦おおすみ、は白山分屯基地と饗庭野分屯基地の高射隊を石垣島へ輸送し石垣港等の射撃陣地へ輸送しています。
沖縄本島にも那覇基地と知念分屯基地より防空体制が整えられています。一方、京都、大阪、神戸、名古屋、福岡の防空体制は大穴があいています。今回派遣の白山分屯基地の第14高射隊は三重県の分屯基地から名古屋中京地区を、饗庭野分屯基地の第12高射隊は滋賀県の分屯基地から京阪神地区を、芦屋基地の高射隊は福岡の防空に当たる部隊でしたが、ペトリオットミサイルPAC-3の不足から現在の状況となりました。
万一、北朝鮮の弾道ミサイルが首都圏方面に飛翔した場合を想定し、首都東京を防空する準備も完了しています。航空自衛隊は首都圏の四カ所にPAC-3を配備しました。配備カ所は防衛省によれば陸上自衛隊朝霞訓練場、陸上自衛隊習志野演習場、航空自衛隊市ヶ谷基地、航空自衛隊習志野分屯基地、この四カ所です。
イージス艦は本日、続々と佐世保基地を出港し、所定の海域へ急行中です。今回佐世保基地を出港したのはイージス艦こんごう、イージス艦みょうこう、イージス艦ちょうかい、の三隻で海上自衛隊ではこのほかイージス艦きりしま、の護衛艦こんごう型四隻が弾道ミサイル防衛能力を有する護衛艦となっています。
今回はミサイル防衛対応イージス艦四隻が稼働状態においてミサイル実験が行われることとなりました。イージス艦きりしま、は来週上旬に鹿児島港で行われる一般公開を中止しており、南西諸島以外の、恐らく首都圏への弾道ミサイルを警戒する海域へ展開していると考えられるでしょう。
更に佐世保基地にはイージス艦あたご、が停泊しており、弾道ミサイル防衛対応改修はまだ完了していませんが、SPY-1レーダーはミサイル防衛対応前のイージス艦みょうこう、が1998年に弾道ミサイル追尾に成功しているため、今回も追尾支援へ派遣される可能性があり、特に前回のミサイル実験が上昇に失敗したため探知を開始できず、次の機会には発射施設により接近し警戒すると発表されていますので、今回は前進するのかもしれません。
陸上自衛隊も海上自衛隊と航空自衛隊が迎撃任務に当たる一方、万一の着弾に備えて展開しています。防衛省によれば陸上自衛隊は今回も南西諸島に部隊を派遣しています。ミサイル部隊が展開する宮古島と石垣島に加え、西表島と波照間島に陸上部隊を派遣しました。
四月の弾道ミサイル事案に際しては有毒なミサイル推進剤ヒドラシンの拡散に備え、化学防護部隊を展開させました。ヒドラシンは糜爛性で発がん性のある劇物ですがロケット燃料として多用されています、万一人口密集地にこれが拡散した場合には防護装備を有する陸上自衛隊部隊が住民の救出と毒物の中和に当たることになるでしょう。
また、仮に全国の公表された経路以外に落下した場合にも災害派遣が迅速に行われるでしょう。このほか、防衛省発表にはありませんが、全国の航空自衛隊警戒管制施設においてもレーダーを発射台方向に向け、警戒を強化していると考えられます。自衛隊の準備態勢は出来得る最善の準備を行いました。
落ちるかもわからない、と一部の方が考える弾道ミサイルですが、これまで北朝鮮の弾道ミサイルで落下せず宇宙に達したものはありません。ミサイルが海上に落下した場合には、海上自衛隊が我が国の排他的経済水域圏内であった場合に限られますが、海上自衛隊や海上保安庁によりミサイルの破片を捜索する可能性があります。
例えば、2009年に北朝鮮が日本海に対して弾道ミサイル実験を行った際には、予告期間において日本海を警備管区とする舞鶴地方隊では舞鶴基地在泊艦艇の出港準備を行っていました。まだ全ての配置が完了したわけではないと防衛大臣は記者会見で述べていますが、北朝鮮がミサイル実験を行う期間は12月10日、それまでに展開を完了するとのことです。
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