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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【京都発幕間旅情】山陰地方-地酒と海鮮の旅,松江城望む海沿い鮨屋と国鉄気風の米子駅前街

2019-09-05 20:14:11 | グルメ
■いずもの国,美味の旅路
 くらまの麓をいずもの国へ。大昔は知らなかったのですが日本には本当に無数の地酒がありまして、京都市内で手に入るものなどほんの僅か、ここを旅路と共に巡るのは楽しい。

 いずも空母化、F-35B戦闘機搭載、と話題に護衛艦いずも、が挙がる機会が増えていますが、今回は別の出雲を、出雲の国、即ち山陰地方の散策です。散策するだけでは物足りない、なにか旅の記録に美味しいものを頂きたい、そんな視点から先日の美保航空祭の旅情を。

 高尾山レッドクラブ、美保基地は鳥取県で高尾山分屯基地は島根県、レッドクラブというくらいですし、JR西日本には山陰本線の臨時特急かにかにエクスプレスなんていう凄い名前の特急もあります。山陰地方は蟹が身近なところだと思っていたのですが、さてさて。

 米子駅、鳥取県西部の人口15万名都市、境港線を日本海側へ進みますと海の幸で有名な境港市に至りまして、その道中に航空自衛隊美保基地がある。鳥取県の人口が56万名といいますので主要都市の筆頭にあり、映画“八岐大蛇の逆襲”舞台となった事で有名ですね。

 松江市へ。米子駅から普通列車でも40分ほど、読書と宍道湖の車窓を愉しんでいますと指呼の距離にあります。人口20万都市で、お隣島根県の県庁所在地、島根県68万の誇り、県庁の隣に国宝松江城の威容が轟いています、いきなり隣県まで散策の歩みを伸ばした。

 美保基地航空祭散策へ臨んだ山陰地方は前回美保航空祭を撮影した際に旅程の限界から松江城を探訪する機会がなかった為に是非今回は尼子氏と京極氏そして松平氏が育み、小泉八雲の著書にも描かれた情緒を満喫したく、米子からいきなり松江へ歩みを進めました。

 松江城から松江駅まで街の情景を歩いてみますと、松江市は宍道湖と中海を結ぶ島根半島と本州の境界に在りまして、駅と松江城とを大河が隔てていました、大橋南詰という200mくらいの橋梁を渡りますと、成程、川向こうに松江城を望む立地に小粋なお店が見える。

 寿司、山陰を探訪するのだから海の幸と向き合わねば礼を失するというものでしょう。実は松江駅前で一杯やろうと思っていたのですが、臨海部、宍道湖は日本海ではないのですが、風光明媚な立地の瀟洒なお店、旅情を感じるには立ち寄りたい、取りあえずビールを。

 初音寿司、この名を聞いて初音温泉とか新京極近くの初音湯を思い出して暖簾をくぐった、とは大将さんには内緒だ。開店から半世紀という。握りの梅、松竹梅の梅から注文しました、お寿司は色々あるのですが、大将の力量を学ぶは先ず松竹梅の梅から始めるのが好い。

 ビールで口寄せ代わりに続き地物の麦焼酎をロックで、早速は烏賊から日本海の海に鍛えられた歯応えと独特の甘みを、清酒か焼酎かは少し考えたのですが、お隣が麦の水割りを立て続けに嗜んでいましたので、察しましたのは、きっと麦焼酎がお勧めなのだろうと。

 平政と鯵の握りが。烏賊を頂いた時点で揃ったと思ったらば、まだあったのですね。順に頂くところですが、鮪は〆に取っておいて次は海老を、香りが控えめの麦焼酎と仕上がりにより歯応えと独特の風味を愉しみつつ鮭に蛸とを順に頂きます。子河豚唐揚げ等もある。

 初音寿司、有名なお店なのでしょうか、お隣の紳士は近くの大学の教授さんとの事でなんと中谷元防衛大臣の同級生という。実は明日、美保で航空祭があるのですよ、という流れで高知での同窓会写真を見せて頂き、不思議な雰囲気と旅のこの醍醐味を愉しめましたね。

 華の舞松江駅前店、実は前の美保航空祭帰路に此処に立ち寄りますと、蟹が凄く安かったのですよね。寿司を愉しむ、そんな日ですが実は蟹を食べたかった。ビールを取りあえず、という野暮なことはせずにここは清酒から、酒宴では、ビールは口を湿らせるだけのもの。

 天穏、板倉酒造さんのお酒です。甘口、とは一言で表現が難しいのですが、山頂の清水のような、暑い日に山登りをしまして山頂で頂く冷たい水の様なほの甘い風味が印象的な清酒で、まあ、この日色々歩き回りましたので特に美味しく感じました。さて肴はどうする。

 蟹をどん、と頬張りたかったのですが、何分令和元年は蟹不漁という。外国漁船の底引き網というのですが、これを含めて海を護ってゆかねば、とおもいつつ、実はここ混む時間帯ですが六人席を充ててくれまして、店の厚意を考えればなにか美味しいものを頂きたい。

 牡蠣、牡蠣を愉しむ事としました。蟹が無ければ牡蠣を、平仮名にしますと何かこの二つは似ているのですよね。生牡蠣を頂けるのは海が近い証か。殻つきの牡蠣、生牡蠣はカキフライや牡蠣入り煮込みうどんとは一風高い品格を感じる、あくまで個人的な意見ですよ。

 生牡蠣にポンズとレモンを絞って口に落とし込む、ぶちんと薄皮が口に広がりますと磯の香りというか、海の香りと聞いて連想する共通の風味が広がりまして、もう一つ三つ余分に頼むべきだったか、少し考えてしまう。しかし次の注文は焼酎の雷電、知っているのか。

 喉黒、お勧めを聞いてみますと今年はもうすぐ漁獲枠が一杯になるので旬は今ですよ、という。喉黒、鱸科の魚なのですが、300mくらいの水深に居まして、海釣りでもチヌさんというか鯛狙う普通の竿では厳しいのです。これを炙りで頂けるという、雷電と喉黒、と。

 鯛ならば鈹つきよりも本身と薄造りよりも、素で野で蛮に分厚い切り身を沢山の清酒か、醤油なくバーボンをロックで溶ける氷と共に噛締めるのが趣味というか好みなのですが、喉黒は鈹がなければ脂の良い白身が解れてしまいそうで、炙った鈹と、しかし、美味い。

 JR山陰本線はそれ程本数が多くはありません、が、松江と米子でしたら意外と遅くまで終電がありますので、本数が少ない分、列車を一本遅らせてもう一品、特急ではなく次の普通にすることとしてもう一杯もう二杯、と楽しめるのが、本数の少ない路線の醍醐味やも。

 JR米子駅、駅ビルはそろそろ建て替えの時期を迎えているのでしょうか、地方支社を兼ねて事務棟と保線員待機や商業ビルを兼ね備えた、国鉄時代の駅舎、という。国鉄時代を僅かでも知る身としては、この重厚という機能美と大きさを備えた駅舎は大事にしてほしい。

 C-2輸送機、重工というか巨大と云いますか、日曜日の美保基地航空祭は混雑も無く、しかしC-2輸送機五機編隊を撮影する事が出来まして、非常に満足でした。その後は境港線で境港慣行を時間許す限り考えたのですが、米子行五分後、境港行三五分後と聞き、米子へ。

 米子庄屋、米子駅前の、そうですね駅前の立体駐車場の隣といいますか、映画“八岐大蛇の逆襲”で宇宙人が造った巨大怪獣が米子駅の次に破壊する建物、の隣というと特撮映画愛好家には分りやすいでしょうか。ここ、看板に蟹が在ったので入ったのですが、まあ。

 鯵のなめろう、軽く炙ってある。蟹は解禁前なのでしょうか、季節限定、とありましたね。山地に近い場所ですと脚の欠けた蟹等が安価に楽しめるのですけれども、不漁というのは案外ほんとうに厳しい現状なのでしょうか。ハイボールとともに美味しさを手早く頂く。

 ビルの一階に飲食店街の様なものが形成されていまして、実はこの先に続く一寸風情と個性が強い廊下の様な回廊を過ぎますと東横イン等駅前のホテル街まで近道になったりします。蟹は無かったのですが、かにかにエクスプレス運行期間等に安くあるのでしょうかね。

 水月、米子市東町のお寿司屋さんです。松江のお寿司屋さんの翌日に米子のお寿司屋さん。しかしこの日は日曜、実は米子市内には日曜日お休みというところも多く、前日の下見は無駄に。しかし此処には暖簾が。御通しは寄せ豆腐、とにもかくにも梅の握りの注文から。

 千代むすび、鳥取のお酒です。口に含みますと切れ味が良く、この日の疲れが酒気に圧されて暖かく抜けてゆくようだ。切子硝子の盃に冷の清酒が注がれる様子は麗しいと云えるほど。御通しが直ぐに出まして清酒と合うと分かりますと共に素早くカウンターに並ぶ。

 炙り鱧に鱚と魬に鮭と鮪や烏賊と蛸が並ぶ。舌鼓とはこういうことを言うのだろうな、と箸で運び含めば解れる鮨、自然と話題は航空祭へ。今年の航空祭は例年ならば米子駅前でもジェットの響きが凄いとの事ですが静かだったという、ブルーインパルスも来なかった。

 紋甲烏賊と共に、米子の話題をいろいろと。市内の祭事はガイナ祭というものが有名で、山陰の方言でガイナとは大木を意味するという。そこで、あのエヴァンゲリオンで有名なガイナックスの語源がこちらの方だ、という事を知ったのです。すると話題は当然、と。

 嘉楽刀、お隣島根県の粕取り焼酎を。意外でしたが米子の皆さん、エヴァンゲリオンとガイナックスは知っていても八岐大蛇の逆襲は知らないのですね。米子駅はじめこのお店の界隈も怪獣と防衛隊の戦いで事細かに描かれます、すると昭和の米子の話題をお教え頂く。

 カリフォルニアワインの白、お話が盛り上がってきますと軽い果実酒の芳醇な酸味で舌の滑りを。ここで米子城というお話を知りまして、また、少し離れていますが日吉神社というところが米子の初詣、一つの定番とも。近くには賀茂神社もあり、なにか京都みたい。

 栄螺がホシザキの冷蔵陳列棚に並んでいましたので〆にこの壺焼きを頂く事に。栄螺の栄養沢山の苦みに合うのは、芋焼酎でしょう、という事で黒霧島、日本中当方の一つの定番がこの黒霧島である。もっとも、群馬では代わりに霧の榛名、清酒が定番になるのですが。

 壺焼きが出来上がりました。しかし酔ってきましたね、考えればこの日は梯子を重ねて七杯、あまり呑みすぎると後々が大変ですので。栄螺はお隣福井は小浜の海水浴場で観光用の素潜り漁が出来まして子供の頃に散々食べましたが当時その苦味は刺激が強すぎました。

 栄螺は一旦出したものが刻まれて壺焼きとなっていまして、腸を出す難しさが無いのが酔って低下した集中力には優しい。咬み応えとじゃりじゃり気分の腸を口で潰すと、美味い、が、ぐんと突き上げる苦みと旨味の奔流を黒霧島の個性と香りでまま胃へ食道へと導く。

 水月、米子市東町のお寿司屋さんは東町バス停の目の前という好立地なのですが、米子駅前を国道9号線に向けて歩みを進めてゆきますと、そう遠くはありません。梯子酒ですので、満腹ですが、そう遠くは感じませんでしたね。米子、次もまた散策したいと思います。

 自衛隊行事へ進出した際には地物のお寿司を、と北大路機関広報行事紹介にておすすめしている当方はどんなお店で一杯やっているのか、なんて聞かれる事がありましたので、今回は山陰の米子と松江のお店を紹介しました。散策し出会ったお店が、旅の出逢いですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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