■韓国中枢狙う陸軍新兵器
北朝鮮から飛翔体、こうしたニュース速報が入るたびに身構えるのですが、注意せねばならないのは戦略軍の弾道弾か陸軍のロケット弾かということ。
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北朝鮮が飛翔体を発射し日本国内から確認されたのは2020年に入り始めての事です。ただ、韓国合同参謀本部第一報から当初は弾道ミサイルではないかとの疑義をもったのですが、我が国防衛省の発表などから我が国EEZ排他的経済水域に到達していないとの事、弾道ミサイルではなく、人民軍陸軍が開発するKN-25長距離ロケット弾ではないかと考えました。
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飛翔体発射は2日1237時頃で日本海沿岸の元山付近から二発が発射されたと韓国合同参謀本部は発表していまして、飛翔距離はおよそ240km、高度は35kmだったと発表していまして、国際航空連盟FAIの定義では宇宙空間は100kmから、少なくとも宇宙空間を経由していません。そして北朝鮮は金主席が視察したとの報道映像を公開、そこにはKN-25が。
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KN-25であれば日本本土へ到達する事はありません、特にKN-25運用は人民軍陸軍であり、射程は勿論任務が違います。弾道ミサイルを所管するのは朝鮮人民軍隷下の戦略軍、管轄が違うのですね。ただこのKN-25,ロケット弾としては450mmと破格の大きさが在りまして、一発当たり威力はクラスター弾頭を採用した場合、一発で広範囲を制圧可能でしょう。
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KN-25,北朝鮮人民軍が新たに開発しているとみられる450mmロケット弾です。ロケット弾ではありますが、先端に誘導翼を有しており誘導弾、即ちミサイルに区分されるものですが、具体的にミサイルとして開発されたというよりは既存ロケット弾の設計を拡大し大型化した上で、大気圧や重力影響下で直進を維持するよう誘導翼を装着した、というもの。
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83式600mm自走ロケットシステム。これは1984年の映画“ゴジラ”にて東京湾防衛に晴海埠頭に展開した架空の装備です。73式大型トラックを原型とした自走ロケット発射器に二発が搭載されていました、劇中では至近距離でゴジラを狙うものの外れるか効果が無く、あっさり終了しているのですが。KN-25,見方によってはこの600mmに近い大きさが。
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北朝鮮は砲兵火力を重視しており、冷戦時代から203mmカノン砲の砲身肉厚を内筒挿入により、更なる高圧に対応させ射程を延伸させた170mmカノン砲を開発しており、特に南北軍事境界線付近に7000門ともいう、自衛隊特科火砲定数は300門、膨大な火砲を集め、韓国侵攻に際しては第一撃での軍事境界線付近に展開する米韓連合軍撃破を期しています。
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KN-09ロケット弾、これは2014年に開発された8連装300mmロケット砲です。射程は180kmから200kmに達するとされ、実は北朝鮮は2000年代に入り、従来の砲兵を補完する長射程ロケット砲の開発に注力してきました。この背景には韓国砲兵近代化が挙げられます。韓国軍の砲兵火力は自衛隊よりも遥かに多い2200門、北朝鮮は数の上で圧倒的に優位ですが問題は質です。
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MLRS多連装ロケットシステム、自衛隊も装備しているもので韓国軍は新規調達すると共にドイツ連邦軍等で余剰となったMLRSを大量取得しており、軍事境界線付近に展開する北朝鮮火砲の内、122mm牽引砲等は開戦と同時に大量のMLRSにより面制圧される懸念があり、ロシアのトチカ戦術弾道弾と類似する玄武3型戦術弾道弾の開発等、韓国軍の火力はより射程を延伸しました。
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KN-09は軍事境界線のはるか後方から韓国軍砲兵陣地や策源地へ大火力集中させる為に開発されたものと考えられています。そしてKN-25は、このKN-09を大型化させ威力と共に射程を延伸したものと考えられるでしょう。KN-25が初めて試験されたのは2019年8月24日、日本海に向けての実験で、この際は高度97kmで380km程度を飛翔しています。この運用は砲兵に近い。
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F-16戦闘機、在韓米軍と在日米空軍、及び韓国空軍が大量に展開させているF-16戦闘機も北朝鮮砲兵部隊には最大の鬼門で、仮に北朝鮮が緒戦において砲兵火力を展開させた場合、その位置は音響標定や対砲レーダ装置により北朝鮮砲兵陣地の位置が即座に暴露し、数時間以内にF-16戦闘機の反撃が開始され、徹底した航空攻撃に曝される事となるでしょう。
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RQ-4無人偵察機等による偵察も、特に軍事境界線付近では北朝鮮砲兵陣地は暴露しており、更に北朝鮮には少数のMiG-29戦闘機は配備されていますが、その稼働率は低く、大量のF-16戦闘機の反撃を前に人民軍空軍は短時間で運用が難しくなる可能性があります。その点で、長射程ロケット砲は航空優勢に左右されぬ反撃手段として不可欠なのかもしれない。
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KN-25の運用思想は単純明快で、北朝鮮内陸部の秘匿された掩砲所から有事の際に韓国の指揮中枢等を直接攻撃する事が狙いで、特にロケット弾で有れば航空優勢を喪失している状況でも対処可能ですし、なにしろ多連装、KN-25で四連装、KN-09で八連装ですから、同時多数を発射する事で韓国軍野戦防空システムを飽和状態に陥れ、突破も可能でしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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北朝鮮から飛翔体、こうしたニュース速報が入るたびに身構えるのですが、注意せねばならないのは戦略軍の弾道弾か陸軍のロケット弾かということ。
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北朝鮮が飛翔体を発射し日本国内から確認されたのは2020年に入り始めての事です。ただ、韓国合同参謀本部第一報から当初は弾道ミサイルではないかとの疑義をもったのですが、我が国防衛省の発表などから我が国EEZ排他的経済水域に到達していないとの事、弾道ミサイルではなく、人民軍陸軍が開発するKN-25長距離ロケット弾ではないかと考えました。
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飛翔体発射は2日1237時頃で日本海沿岸の元山付近から二発が発射されたと韓国合同参謀本部は発表していまして、飛翔距離はおよそ240km、高度は35kmだったと発表していまして、国際航空連盟FAIの定義では宇宙空間は100kmから、少なくとも宇宙空間を経由していません。そして北朝鮮は金主席が視察したとの報道映像を公開、そこにはKN-25が。
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KN-25であれば日本本土へ到達する事はありません、特にKN-25運用は人民軍陸軍であり、射程は勿論任務が違います。弾道ミサイルを所管するのは朝鮮人民軍隷下の戦略軍、管轄が違うのですね。ただこのKN-25,ロケット弾としては450mmと破格の大きさが在りまして、一発当たり威力はクラスター弾頭を採用した場合、一発で広範囲を制圧可能でしょう。
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KN-25,北朝鮮人民軍が新たに開発しているとみられる450mmロケット弾です。ロケット弾ではありますが、先端に誘導翼を有しており誘導弾、即ちミサイルに区分されるものですが、具体的にミサイルとして開発されたというよりは既存ロケット弾の設計を拡大し大型化した上で、大気圧や重力影響下で直進を維持するよう誘導翼を装着した、というもの。
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83式600mm自走ロケットシステム。これは1984年の映画“ゴジラ”にて東京湾防衛に晴海埠頭に展開した架空の装備です。73式大型トラックを原型とした自走ロケット発射器に二発が搭載されていました、劇中では至近距離でゴジラを狙うものの外れるか効果が無く、あっさり終了しているのですが。KN-25,見方によってはこの600mmに近い大きさが。
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北朝鮮は砲兵火力を重視しており、冷戦時代から203mmカノン砲の砲身肉厚を内筒挿入により、更なる高圧に対応させ射程を延伸させた170mmカノン砲を開発しており、特に南北軍事境界線付近に7000門ともいう、自衛隊特科火砲定数は300門、膨大な火砲を集め、韓国侵攻に際しては第一撃での軍事境界線付近に展開する米韓連合軍撃破を期しています。
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KN-09ロケット弾、これは2014年に開発された8連装300mmロケット砲です。射程は180kmから200kmに達するとされ、実は北朝鮮は2000年代に入り、従来の砲兵を補完する長射程ロケット砲の開発に注力してきました。この背景には韓国砲兵近代化が挙げられます。韓国軍の砲兵火力は自衛隊よりも遥かに多い2200門、北朝鮮は数の上で圧倒的に優位ですが問題は質です。
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MLRS多連装ロケットシステム、自衛隊も装備しているもので韓国軍は新規調達すると共にドイツ連邦軍等で余剰となったMLRSを大量取得しており、軍事境界線付近に展開する北朝鮮火砲の内、122mm牽引砲等は開戦と同時に大量のMLRSにより面制圧される懸念があり、ロシアのトチカ戦術弾道弾と類似する玄武3型戦術弾道弾の開発等、韓国軍の火力はより射程を延伸しました。
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KN-09は軍事境界線のはるか後方から韓国軍砲兵陣地や策源地へ大火力集中させる為に開発されたものと考えられています。そしてKN-25は、このKN-09を大型化させ威力と共に射程を延伸したものと考えられるでしょう。KN-25が初めて試験されたのは2019年8月24日、日本海に向けての実験で、この際は高度97kmで380km程度を飛翔しています。この運用は砲兵に近い。
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F-16戦闘機、在韓米軍と在日米空軍、及び韓国空軍が大量に展開させているF-16戦闘機も北朝鮮砲兵部隊には最大の鬼門で、仮に北朝鮮が緒戦において砲兵火力を展開させた場合、その位置は音響標定や対砲レーダ装置により北朝鮮砲兵陣地の位置が即座に暴露し、数時間以内にF-16戦闘機の反撃が開始され、徹底した航空攻撃に曝される事となるでしょう。
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RQ-4無人偵察機等による偵察も、特に軍事境界線付近では北朝鮮砲兵陣地は暴露しており、更に北朝鮮には少数のMiG-29戦闘機は配備されていますが、その稼働率は低く、大量のF-16戦闘機の反撃を前に人民軍空軍は短時間で運用が難しくなる可能性があります。その点で、長射程ロケット砲は航空優勢に左右されぬ反撃手段として不可欠なのかもしれない。
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KN-25の運用思想は単純明快で、北朝鮮内陸部の秘匿された掩砲所から有事の際に韓国の指揮中枢等を直接攻撃する事が狙いで、特にロケット弾で有れば航空優勢を喪失している状況でも対処可能ですし、なにしろ多連装、KN-25で四連装、KN-09で八連装ですから、同時多数を発射する事で韓国軍野戦防空システムを飽和状態に陥れ、突破も可能でしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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