北大路機関

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おうりゅう就役!新潜水艦に軽巡洋艦艦名継承を【1】新3000t型潜水艦量産への艦名提言

2020-03-04 20:04:52 | 防衛・安全保障
■おうりゅう,明日神戸で就役
 海上自衛隊は現在、潜水艦を従来の16隻体制から22隻体制へ向け着実に建造と従来艦の改良を進めています。

 おうりゅう。そうりゅう型潜水艦11番艦が明日、三菱重工神戸造船所にて自衛艦旗を受領し竣工します。平成27年度計画2900t型潜水艦8126号艦として建造された本館は2018年10月4日に進水式を迎え建造、満載排水量は4200tに達し長大な水中航行能力を誇ります。おうりゅう、に続き12番艦とうりゅう、が建造中、続いて新型潜水艦も建造中です。

 そうりゅう型潜水艦は海上自衛隊初のAIP潜水艦、スターリング機関を搭載した非大気依存潜水艦として建造された自衛隊潜水艦の転換点というべき新型艦でしたが、おうりゅう機関部は意外にもAIP機関を搭載せず、AIP区間や従来の鉛電池区画の全てがGSユアサ製の画期的なリチウムイオン電池を搭載し、その水中航行能力を大幅に向上させました。

 3000t型潜水艦、おうりゅう、とうりゅう、に続く新潜水艦は現そうりゅう型を拡大した新型潜水艦を建造しており、リチウムイオン電池区画に特化した新潜水艦となるでしょう。ただ、瑞祥動物に由来する現行の潜水艦名はほぼ使い果たした印象があり、水中航行能力を大幅に延伸させる新型潜水艦については、その艦名をもう再考の必要はないでしょうか。

 潜水艦に旧海軍軽巡洋艦の伝統的な河川名を継承させる事は出来ないか。あぶくま型護衛艦として海上自衛隊は現在、沿岸用護衛艦として6隻を運用しています。これは護衛艦いすず型、ちくご型、と量産された河川名を冠した沿岸用護衛艦の系譜にありますが、1995年防衛大綱の改訂により護衛艦定数が削減、結果、沿岸用護衛艦は大削減される事になる。

 地方隊へ沿岸用の小型護衛艦からヘリコプター等の運用能力を持つ護衛艦を配備させる事で一隻当たりの能力を高める事で質的維持を期し、護衛艦隊用の大型護衛艦が沿岸警備任務にあたる地方隊へ移管、続いて自衛艦隊直轄への統合運用への改編により護衛艦の沿岸用と艦隊用との区分が消滅し、結果的に河川名を冠した護衛艦は現在建造されていません。

 そうりゅう型潜水艦、海上自衛隊潜水艦も少し後、2000年代より大きな転換を迎える事となりました、うずしお型、ゆうしお型、はるしお型、おやしお型、と海象の艦名はAIP動力方式潜水艦への転換と共に転換する事となりました。その一番艦そうりゅう進水式は海上自衛隊が潜水艦おやしお型に続く新型潜水艦に瑞祥動物の艦名を冠名した瞬間でした。

 空母蒼龍。しかし、日本海軍に少しでも知識が有れば気づくように、そうりゅう、は空母蒼龍の艦名です。蒼龍は真珠湾攻撃に参加しインド洋攻撃を経てミッドウェー海戦にて戦没しましたが、日本海軍空母部隊の礎となり、加えて先進的な設計は戦時急造計画雲龍型航空母艦へ大きな影響を及ぼしました。敢えて航空母艦艦名を潜水艦に継承させるという。

 うんりゅう、潜水艦そうりゅう型は続いて空母雲龍の艦名を受け継ぎ、りゅう型として海上自衛隊潜水艦の新しい主力を構成しています。ディーゼルエレクトリック方式からAIP方式に、この転換により海上自衛隊潜水艦の潜航能力は大きく向上しました。加えて満載排水量4200tと通常動力潜水艦では世界屈指の規模、ハワイやインド洋まで航続距離内に。

 おやしお型潜水艦から水中排水量は3500tとかなり大型であり、原子力潜水艦を除けば潜水艦の大型化はそのまま潜水艦の最重要要素である静粛性の喪失に繋がる為、好い事はない、と1990年代に様々な媒体で軍事専門家が指摘しており、欧州の中型通常動力潜水艦と比較し海上自衛隊潜水艦の乗員数の多さも自動化に失敗している証拠、と批判されている。

 ハワイやインド洋まで、海上自衛隊潜水艦は日常的にハワイでの米海軍訓練施設を利用していますが、実は日本からハワイまで相当な距離がありまして通常動力潜水艦には通常、韓国海軍の様に潜水艦救難艦などを随伴させる程の距離です。そして海上自衛隊潜水艦は長期航海が多く乗員は三交替制、欧州潜水艦の多くは短期航海へ二交代制をとっています。

 蒼龍は航空機運用における歴史的な艦名であり、潜水艦に冠名することはいかがなものか、とある元艦隊司令官が仰っていた言葉ですが、当方も、そうりゅう即ち蒼龍といえば、真珠湾攻撃などの戦史に数多く描写されていることからどうしても潜水艦よりも航空母艦の雄姿を思い浮かべます、昨今は潜水艦そうりゅう型が多数となり、大分慣れましたが、ね。

 しかし、海上自衛隊潜水艦の能力は高く、海象、その中でも大潮や満潮と潮を冠した艦名では毎年一隻基本的に建造する中で艦名を使い果たしてしまう事も否定できません。そこで瑞祥動物、ということなのですが、将来を考えますと、沿岸用護衛艦の艦名として使われなくなっている河川名を、敢えて潜水艦に冠してみてはどうか、と考えてしまいます。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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