北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

COVID-19大陸封鎖計画!政府-非常事態宣言視野に法改正準備と厚労省のクラスター対策

2020-03-06 20:12:19 | 国際・政治
■アジア-欧州-中東-北米,拡大
 政府は中国と韓国からの邦人含む入国者の二週間隔離方針を明示し、漸くではありますが国境管理強化を行い大陸封鎖による更なる感染拡大阻止を試みています。

 日本国内での感染は347名となり、クルーズ船を含めた感染者数は1057名です。NHK本日1030時の集計を引用します。クルーズ船からの感染者は696名で内33名が重篤、また6名がお亡くなりになりました。日本国内での感染は前述の通り347名で昨日と比較し31名が新たに感染拡大となっています。重篤患者は27名で既に6名が死亡しています。

 このほか、武漢からの政府チャーター機による帰国者のうち、14名が感染していますが、重篤患者や死者はありません。北海道では感染者が7名増加し90名となった、本日6日付1556時のNHK報道です。北海道での新しい感染は札幌市と石狩地方にオホーツク海側、広範に広がっており、束を示すクラスターという局地感染拡大の増大が懸念されています。

 クラスター感染。日本型の感染対策として厚生労働省が進めている対策という。これは局地感染アウトブレイクが生じている地域が限られ、僅かな感染場所から大量感染が生じているとして、その感染場所を一つ一つ洗い出し、厚生労働省からクラスター対策班を現地へ派遣、濃厚接触者等潜在的感染者を探し出し次の感染拡大を回避する、という施策です。

 経済的影響は深刻で、観光需要一つとっても北海道全域での感染拡大が進む中、本日1445時のNHK報道では観光需要の減退により2000億円の観光消費が吹き飛ぶ懸念があります。一方、製造業も中国からの部品供給が中断した事での影響が大きく、更にこの影響が中国での完成品製造に影響するという負のスパイラルを構成、沈静化や楽観要素がありません。

 国内患者、退院は248名、死亡は12名、新型コロナウィルスは現在、指定感染症とされているため、感染が確認された時点で強制入院措置が執られています。感染確認は全体で1057名に達していますが、23%に当たる方が既に退院、しかし12名が死亡しており、我が国での致死率はクルーズ船を含めますと1.1%となります。クルーズ船をのぞく場合は1.72%に。

 世界の感染状況について、AFP通信が日本時間本日0200時時点での感染状況を集計しており、こちらを参照しましょう。現在世界85カ国9万7510名が感染しており、昨日5日に世界で確認された新規の感染者は2699名、新たに100名の方がお亡くなりになったとのこと。最大感染地域は中国本土の8万0409名、3012名の方がお亡くなりになっています。

 世界の感染状況、韓国は中国に次いで感染者が多く6088名が感染確認されており35名が死亡、イタリアは感染者3858名で148名が死亡、イランが感染者3513名で死者107名、フランスが感染者377名であり内の死者は6名、イランと韓国にイタリアでの感染拡大が深刻となっていまして、さらにフランスでの急激な感染拡大が進んでいます。そして。

 中国から始まった感染拡大は、アメリカに達しました。アメリカは中国からの人的移動を全面遮断していますが、水際対策に重点を置きすぎた結果、国内の対策が後手に回ったとの批判もCDCなどから示されていまして、NHK本日1441時での報道では4日までに全米の感染者数は99名であるのに対し既に10名が亡くなっており、10%以上に上っている。

 アメリカ国内での感染はニューヨーク州やフロリダ州などの東海岸にも達していまして、特に初期症状がインフルエンザと似ているために医療機関では新型肺炎を察知できない可能性、またアメリカ全体で新型コロナウィルス検査機関が7州にしかなく、各国ともに共通する点ですが遺伝子のPCR検査態勢の遅れが正確な感染状況を把握できない現状です。

 WHO世界保健機関は、本疾病が中国武漢において発生した当初から正しく恐れることを主張していますが、実のところその実体は中国当局の情報統制により、極めて曖昧模糊とした情報しか入手できていません。その上で、我が国横浜港に入港した巨大クルーズ船ダイヤモンドプリンセス号での検疫隔離により生じた結果に、厳しい実体が見えつつあります。

 ダイヤモンドプリンセス号での感染は、接触感染と飛沫感染だけでは説明が難しい事例があり、厚生労働省幹部がNHKなどに私見として示した感染経路の一つに、空気感染、すなわちエアロゾル感染の可能性を示しています。そして通常、客船検疫隔離では感染拡大が阻止できる理想的な手段であるのですが、感染力の強さが予想以上であった可能性もある。

 グランドプリンセス号、北米周辺航路を航行する巨大クルーズ船ですが、現在カリフォルニア沖において検疫中です。ダイヤモンドプリンセス号は3600名という大量の乗員乗客を収容しており、その検疫は困難を極めましたが、同等の巨大客船において昨日、感染者が確認、感染者は下船の後に発症し死亡しました。CNN報道では36名が発症したという。

 我が国の対応は。公立学校の十四日間にわたる緊急閉鎖要請、そして大規模集会や興行の自粛要請、新型コロナウィルスに関する非常措置が取られたのは二月末、政府は十日間の後に次の非常措置を執るとの方針を示し、その一端が6日に発表されました。それは中国と韓国からの入国者検疫隔離、そして非常事態宣言に関する現行法の一部改正というもの。

 我が国ではインフルエンザ特別措置法が改正される。この応用の必要性は野党はじめ、もともと民主党連立政権時代の法律、指摘されていました。しかし、事実上の憲法停止に近い強力な権限を盛り込んでおり、実のところ安易に拡大運用することは出来ません。このため法改正を行い、時限立法の形で新型コロナウィルスを特別措置法の対象とするという。

 インフルエンザ対策特別措置法は憲法上の人権や財産権の制約に関する条項が盛り込まれており、例えば外出自粛要請により床面積1000平米を越える劇場や映画館に体育館や公共施設の閉鎖、予防接種の強制実施、医療施設設置への土地や建物に関する強制接収、さらには火葬や埋葬に関する特例が明示され、感染者収容と犠牲者についての措置が可能に。

 国民生活安定緊急措置法による様々な物資、既に感染予防用にマスクが国民生活安定緊急措置法の適用対象となりましたが、この安定供給が明示されています。また、行政上の申請期限の延長、既に納税確定申告期日延長が明示されましたが、運転免許証なども含め申請期限が延長されうる。一見、後手後手の対応と思われるかもしれませんが大変な決断だ。

 中国と韓国からの入国者への14日間の検疫隔離、時機を逸したかにみえる施策ではありますが、検疫隔離とはいえ膨大な人口移動を伴う中国と韓国からの交通遮断は安易な決定では難しく、とくに隔離施設の目安がなければ成り立ちません。目処、これは背景にインフルエンザ特別措置法の一部改正による新型コロナウィルスへの対応目処が考えられます。

 日本からの旅行者の帰国へも影響しますが、我が国外務省が中国全域を渡航延期勧告指定地域としたのは先月3日、渡航延期勧告から一ヶ月と少しを経ての実施ですので、渡航延期勧告を無視しなければならない喫緊の旅行計画だったのでしょうが、韓国や中国には旅客機のハブ空港が多く、トランジット利用者には大きな影響が生じるのかもしれません。

 政治的決断は大変で、隔離を行うとして問題となりますのは施設です。この点、非常事態法制のない我が国では現行憲法の範囲内において実施する必要があり、人の移動の自由への制限と共に大規模な収容施設を準備する必要も障壁が大きく、今回、非常事態宣言を念頭とした法整備に目処がついたことが入国管理強化への大きな分岐点となったのでしょう。

 恣意的運用を行えば事実上の集会の禁止や報道統制さえも行う事が可能となり、国会閉会中にも政令により独裁的な行政を疾病対策と危機管理の名の下に展開可能、国会の閉鎖も可能となります。このため、この法案に慎重姿勢を示したのが投じ野党であった自民党であり、恣意的運用を規制する付帯決議を要請、民主党連立政権により認められています。

 自民党としては慎重であったのは、紛れもなく財産権や基本的人権に関わる憲法停止を盛り込む非常事態法制であり、逆に民主党連立政権時代の野党でなければ、こうした強権措置は議論出来なかった可能性もあるでしょう。ただ、菅官房長官の定例会見では現時点では国内の感染拡大状況は非常事態宣言を公布する状況には至っていない認識、とのこと。

 日本国内の感染拡大はまだ状況が流動的であり、クルーズ船からの感染者よりも国内の感染状況は抑えられている状況です。しかし同時にPCR検査体制の限界から、把握されていない感染も想定できるため、予断は許さないところです。こうしたなか、梅花前線は北上し観覧の少ない梅花祭は終わろうとしています。桜の季節には一定の感染封じ込め成果を期待したいものです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする