■足利市76ha焼失し延焼中
首都圏で現在山林火災が拡大中、消防の消火活動は強風に覆われ思うように進まず、東京都知事と栃木県知事は自衛隊に対し災害派遣要請を出しました。
青梅市の火災は鎮火、足利市の火災は延焼中です。山林火災、これは消防水利から遠い場所で延焼した場合、消防車が現場近くへ進出する事が難しく、また現場付近い進出できたとしても消火栓や消防水利、溜め池等が近くに無い場合は遠方の水源からポンプ車を繋ぎ合わせ、また山林を緊急伐採し防火帯を構築するか、大型ヘリコプターの出番となります。
立川防災航空祭。自衛隊では東京消防庁や警視庁航空隊を始めとした関係機関との共同訓練を日常的に行っているほか、東部方面ヘリコプター隊の駐屯する立川駐屯地記念行事を“防災航空祭”と位置づけ、災害派遣等の展示を毎年9月に、昨年はCOVID-19により中止されましたが、今回の災害派遣においてもその普段からの備えが活用されたのでしょう。
陸上自衛隊では木更津駐屯地第1ヘリコプター団、相馬原駐屯地第12ヘリコプター隊、航空自衛隊では入間基地入間ヘリコプター空輸隊に配備されています。ヘリコプター部隊は北宇都宮駐屯地や立川駐屯地に霞ヶ浦駐屯地、厚木航空基地、館山航空基地、入間基地、百里基地などにも配備されているのですが、大型ヘリコプターと云えば上記の二つに集う。
CH-47J/JAヘリコプターは陸上自衛隊と航空自衛隊に75機が配備されている大型ヘリコプターです。取得費用は1980年代で42億円、現在は55億円とかなり高価なヘリコプターなのですが輸送力は非常に大きく、機内定員は55名ですが過去には200名を無理矢理運んだ事例があり、国内でも災害派遣時に80名程を輸送した事もあります。吊下げ能力も高い。
バンビバケットという、CH-47には大型の消火用水槽に7.5tの水を収容し吊下げて空中から一気に散水する事が出来ます。7.5tという水がどの程度か問いますと、消防車の内部に搭載するタンクが2tといいますので、消防車数台分の放水を一気に山林火災の真上で散布し、延焼を食い止めるというもの。この方式は福島第一原発事故でも用いられた方法です。
放水展示というものは稀に例えば小牧航空祭など、航空祭等でも展示されるのですが、UH-1などの多用途ヘリコプターによる放水とはCH-47が行う放水量は文字通り桁が違いまして、もちろん見学者に飛沫が飛ばないように配慮はしているのですが、風向きによっては数百m先まで霧雨のように飛んでくるものでして、水の威力を実感したものでした。
バンビバケットに収容する膨大な水は、ダムや河川等からホバーリングしつつくみ上げる方式か、飛行場でホースにより充填する方法があります。CH-47JAの航続距離は1000kmありますので、一旦満タンとしたならば何度も水源と火災現場を往復し消火活動を行う事が可能です。放水は胴体下部の点検窓を開けて、風向きと高度を確認した上で的確に狙う。
東京都での山林火災は本日1630時に鎮火が確認されました。この火災は23日、青梅市沢井の住宅付近から火が出て木造二階建家屋を全焼させ隣家の空き家二軒を焼くと共に強風に煽られ飛んだ火の粉が火災現場から離れた寺院や山林に飛び火、およそ10か所で同時に火の手が上がったとのこと。消防の出動により建物火災は鎮火しますが山林火災は広がる。
青梅の火災は本日24日に災害派遣要請が出され、まず現場に近い立川駐屯地より多用途ヘリコプターが情報収集等に出動、続いて千葉県木更津駐屯地より第1ヘリコプター団のCH-47輸送ヘリコプターが消火任務に加わり、消火活動を実施しました。派遣規模は3機との事で、1620時頃、鎮火したという。9万5000平方mの山林が焼けたとの報道でした。
栃木県での火災は今月21日1500時頃、足利市西宮町で発生しました。強風と共に火災は拡大、栃木県知事は21日に陸上自衛隊宇都宮駐屯地第12特科隊へ災害派遣要請を出し、第12特科隊では情報収集を進めると共に群馬県相馬原駐屯地に司令部を置く第12旅団が隷下の第12ヘリコプター隊等を出動させ、ヘリコプターによる消火活動を実施しています。
76.5ヘクタールへ延焼、足利市は23日、住宅地への延焼のおそれがあるとして先ず火災現場近くの44軒に避難勧告を出しましたが、避難勧告は72軒へ拡大、24日時点で177軒に避難勧告が出され、周辺の学校は休校となる。消火活動は続いていますが強風により消火の見通しは立たないという事ですが、幸い24日までに負傷者や民家への延焼はありません。
自衛隊への放水は140回行われましたが、住宅街に最も近い場所では火災が70mにまで迫っているとの事です。天気予報を見る限りは明後日金曜日26日には西日本を中心に広範囲で降雨が予報されていますので、受託街への延焼を阻止出来れば幸いですが、上空からの映像を見る限り里山と住宅地が入り組んだ地形となっており、予断を許さないようです。
夜間の空中消火は不可能ではありませんが、消火を行う事と夜間飛行する事により生じる危険などから一旦打ち切り、明日朝0630時から消火活動を再開するとの事です。山林火災は落雷や強風による木々の摩擦で発生する事も皆無ではないのですが、大半は火の不始末か煙草、その他といた人為的な要因によるものが大半といいます。注意せねばなりません。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
首都圏で現在山林火災が拡大中、消防の消火活動は強風に覆われ思うように進まず、東京都知事と栃木県知事は自衛隊に対し災害派遣要請を出しました。
青梅市の火災は鎮火、足利市の火災は延焼中です。山林火災、これは消防水利から遠い場所で延焼した場合、消防車が現場近くへ進出する事が難しく、また現場付近い進出できたとしても消火栓や消防水利、溜め池等が近くに無い場合は遠方の水源からポンプ車を繋ぎ合わせ、また山林を緊急伐採し防火帯を構築するか、大型ヘリコプターの出番となります。
立川防災航空祭。自衛隊では東京消防庁や警視庁航空隊を始めとした関係機関との共同訓練を日常的に行っているほか、東部方面ヘリコプター隊の駐屯する立川駐屯地記念行事を“防災航空祭”と位置づけ、災害派遣等の展示を毎年9月に、昨年はCOVID-19により中止されましたが、今回の災害派遣においてもその普段からの備えが活用されたのでしょう。
陸上自衛隊では木更津駐屯地第1ヘリコプター団、相馬原駐屯地第12ヘリコプター隊、航空自衛隊では入間基地入間ヘリコプター空輸隊に配備されています。ヘリコプター部隊は北宇都宮駐屯地や立川駐屯地に霞ヶ浦駐屯地、厚木航空基地、館山航空基地、入間基地、百里基地などにも配備されているのですが、大型ヘリコプターと云えば上記の二つに集う。
CH-47J/JAヘリコプターは陸上自衛隊と航空自衛隊に75機が配備されている大型ヘリコプターです。取得費用は1980年代で42億円、現在は55億円とかなり高価なヘリコプターなのですが輸送力は非常に大きく、機内定員は55名ですが過去には200名を無理矢理運んだ事例があり、国内でも災害派遣時に80名程を輸送した事もあります。吊下げ能力も高い。
バンビバケットという、CH-47には大型の消火用水槽に7.5tの水を収容し吊下げて空中から一気に散水する事が出来ます。7.5tという水がどの程度か問いますと、消防車の内部に搭載するタンクが2tといいますので、消防車数台分の放水を一気に山林火災の真上で散布し、延焼を食い止めるというもの。この方式は福島第一原発事故でも用いられた方法です。
放水展示というものは稀に例えば小牧航空祭など、航空祭等でも展示されるのですが、UH-1などの多用途ヘリコプターによる放水とはCH-47が行う放水量は文字通り桁が違いまして、もちろん見学者に飛沫が飛ばないように配慮はしているのですが、風向きによっては数百m先まで霧雨のように飛んでくるものでして、水の威力を実感したものでした。
バンビバケットに収容する膨大な水は、ダムや河川等からホバーリングしつつくみ上げる方式か、飛行場でホースにより充填する方法があります。CH-47JAの航続距離は1000kmありますので、一旦満タンとしたならば何度も水源と火災現場を往復し消火活動を行う事が可能です。放水は胴体下部の点検窓を開けて、風向きと高度を確認した上で的確に狙う。
東京都での山林火災は本日1630時に鎮火が確認されました。この火災は23日、青梅市沢井の住宅付近から火が出て木造二階建家屋を全焼させ隣家の空き家二軒を焼くと共に強風に煽られ飛んだ火の粉が火災現場から離れた寺院や山林に飛び火、およそ10か所で同時に火の手が上がったとのこと。消防の出動により建物火災は鎮火しますが山林火災は広がる。
青梅の火災は本日24日に災害派遣要請が出され、まず現場に近い立川駐屯地より多用途ヘリコプターが情報収集等に出動、続いて千葉県木更津駐屯地より第1ヘリコプター団のCH-47輸送ヘリコプターが消火任務に加わり、消火活動を実施しました。派遣規模は3機との事で、1620時頃、鎮火したという。9万5000平方mの山林が焼けたとの報道でした。
栃木県での火災は今月21日1500時頃、足利市西宮町で発生しました。強風と共に火災は拡大、栃木県知事は21日に陸上自衛隊宇都宮駐屯地第12特科隊へ災害派遣要請を出し、第12特科隊では情報収集を進めると共に群馬県相馬原駐屯地に司令部を置く第12旅団が隷下の第12ヘリコプター隊等を出動させ、ヘリコプターによる消火活動を実施しています。
76.5ヘクタールへ延焼、足利市は23日、住宅地への延焼のおそれがあるとして先ず火災現場近くの44軒に避難勧告を出しましたが、避難勧告は72軒へ拡大、24日時点で177軒に避難勧告が出され、周辺の学校は休校となる。消火活動は続いていますが強風により消火の見通しは立たないという事ですが、幸い24日までに負傷者や民家への延焼はありません。
自衛隊への放水は140回行われましたが、住宅街に最も近い場所では火災が70mにまで迫っているとの事です。天気予報を見る限りは明後日金曜日26日には西日本を中心に広範囲で降雨が予報されていますので、受託街への延焼を阻止出来れば幸いですが、上空からの映像を見る限り里山と住宅地が入り組んだ地形となっており、予断を許さないようです。
夜間の空中消火は不可能ではありませんが、消火を行う事と夜間飛行する事により生じる危険などから一旦打ち切り、明日朝0630時から消火活動を再開するとの事です。山林火災は落雷や強風による木々の摩擦で発生する事も皆無ではないのですが、大半は火の不始末か煙草、その他といた人為的な要因によるものが大半といいます。注意せねばなりません。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)