北大路機関

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【G3X撮影速報】入間基地航空祭二〇二四(3)T-4練習機飛行展示と編隊飛行(2024-11-03)

2025-02-09 20:00:25 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■T-4練習機
 入間基地には中部航空方面隊司令部が置かれています。

 T-4練習機の編隊離陸、中部航空方面隊司令部飛行隊のT-4練習機が離陸してゆきます。まえは航空総隊司令部飛行隊だったのですが改編により入間の航空方面隊ごとに司令部飛行隊が置かれていて、連絡飛行などに活躍しているわけですが。

 T-4練習機をみますと、これは北大路機関で延々特集している話題ですから聞き飽きているかたも多いとおもうのですが、やはり気になるのは後継機の話です。結局自衛隊にとってT-4というのは練習機であるとともにほかの用途にも使われている。

 連絡機や司令部要員の技量維持のための年間最低飛行時間を飛行するための航空機です。ボーイングT-7A練習機をもとに日米共同開発を行うという方向性が示されているようですが、T-7AはもともとがJAS-39戦闘機の設計を応用して大規模に再設計した。

 T-7Aはコスト圧縮のために主翼には何もつるせないように設計されていますので増槽を装着できず、つまり日本の国土の特色、基地が訓練空域に隣接していないという状況に航続距離で対応できません、航空法では陸地50km以内で超音速飛行できない。

 航空法を緩和しては、という話がありますが、超音速飛行の制限は衝撃波、ソニックブームにより家屋のガラスが割れないようにするもので、実際、航空法適用外の米軍機が超音速飛行を行った際に家屋ガラス被害が大量発生した実例があります。

 T-7Aの主翼強度を強化すればいい、という反論があるのですが、それでは再設計の幅が大きくなって、F-16を原型にF-2戦闘機を開発したような、なんのために既存機を導入するのか本末転倒になってしまいます。つまり新規開発とかわりありません。

 ボーイング社では軽量戦闘機という、かつてのF-5戦闘機を思わせるT-7Aを原型として機体を再設計した戦闘機の構想を出していますが、まさかこの開発費を日本から捻出してアメリカだけで生産するという訳にもいきませんから、ねえ。

 多用途機として用いる場合、特に司令部要員のウイングマーク維持のための年間最低飛行時間確保を行うには、T-7Aの飛行コストがどのていど抑えられているのかも未知数ですし、なによりT-7Aそのものが計画として上手くいっているとは言いがたい。

 T-6テキサンⅡを次期初等練習機として採用する計画ですので、もしかすると、連絡機や技量維持飛行のための司令部飛行隊の航空機としてはT-6が採用されてT-4練習機とは別枠になる可能性もあるのかなあ、とおもったりするのですけれども。

 T-4練習機、標的曳航は任務に含まれていませんが、前任のT-33練習機とは違い、放射性降下物調査など、用途は色々広がっていますので、戦闘機を運用する要撃飛行隊の航空団にも配備されています、便利な航空機ゆえに、後継機が難しく。

 フライトシュミレーターで技量維持飛行が認められれば、例えばF-35などは運用コストを低減した背景にフライトシュミレーターで飛行訓練をかなり代替できる、という特性がありますので、このあたり、T-4後継機がどうなるのかにも繋がりますが。

 防衛省はT-7後継機選定に、提案されたフライトシュミレーター併用の機種を、必要要目満たさず、という理由で一次選定段階から脱落させていますので、航空機で無ければならない用途は多く、いったん示された日米共同開発の方向性の行方は気になるのだ。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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