■財政再建と防衛安全保障
日本は緊縮財政のやりすぎで景気後退から立ち直れないという論調を聞いたあとで、実際の財政支出を内閣府HPなどで調べますと驚かされます。
財政再建。実のところ日本では緊縮財政を行った分だけ特別会計の大盤振る舞いをおこなっていますので、財政破綻を回避し防衛力整備を行うという視点ももちろん忘れては成りません。防衛省が外敵から国家を守るように財務省も財政破綻から国家を守る、どちらが崩れても日本という国家を存続することに危機が及ぶ点はかわりなく、両立は必須です。
財政破綻は現実的な脅威として考えなければ、1990年代から続く低成長時代、2020年代まで継続しており、しかも東日本大震災後の電力不足と短期間とはいえ過去の急激な円高放置政治による製造業の空洞化、打つ手無い少子高齢化に国内の需要不足、この状況では財政破綻という懸念は、日本程の経済大国ならば起きないだろう、とは平和ボケそのもの。
赤字国債の無際限な発行により戦車でも戦闘機でも、という理念には厳しい現実をみる必要はあるでしょう。こう考えるのは赤字国債を発行しても経済破綻しないという一部識者や評論家の意見が、それならば何故世界には債券発行により経済破綻する諸国が大半なのか、という現実の命題に確たる答えがないためです、日本は何故に特殊なのでしょうか。
財政無制限論、という無茶苦茶な論理がありまして、これは要するに、通貨を発行する主体である国家は通貨発行権を例えば欧州中央銀行のような主体に預けない限り破綻はない、という理論です。ただこれは無茶を通り過ぎていまして、ジンバブエやベネズエラが財政破綻した事実を無視し論点のすり替えを行っています。財政を無限とするには税収が要る。
日本の国債は外債ではないとしていますが、それならば何故日本国際は外債ではなく金融機関が引き受けられるのか、その担保を辿りますと、それは日本の将来性でも若者の活力でもなく、単に対外資産、1991年から2021年まで連綿と続く世界第一位の対外資産が一つの担保になっているとしか考えられません、これを切り崩さねば国債は無限だ。しかし。
対外資産。しかし、これも高度経済成長時代から安定成長時代まで連綿と蓄え続けた国民の資産ではあるものの、これ以上積み重ねる余地がなくなれば目減りに転じます。サウジアラビア並の安価に掘れる油田やオーストラリアのようなレアメタル鉱山でも日本国内に発見されない限り、稼いで税収を伸ばす方向に転じない限り、国債は実のところ有限です。
日本政府は緊縮財政であるために経済が回らないとの指摘もありますが、実はかなり政府は予算を投じています。2001年の小泉政権の改革先行プログラムと緊急対応プログラム、2002年改革加速プログラム、2008年の福田内閣の安心実現緊急総合政策、同年麻生政権生活対策、生活防衛緊急対策、2009年経済危機対策、とこう立て続けに行っているのですね。
自民党から民主党へ2009年には政権交代があり、鳩山政権明日の安心緊急経済対策、2010年菅内閣デフレ緊急対策、同年デフレ緊急対応、2011年に円高総合対応策、2012年野田内閣日本再生加速、自民党へ政権が戻り2013年阿部政権での日本経済再生緊急経済対策、好循環実現経済対策、2014年緊急経済対策、2016年未来経済投資、そしてコロナ対策予算へ。
618兆円、総額にして618兆円規模となっていまして、これを年度予算とは別に特別会計により実施し、母屋で粥を啜りつつ離れですき焼きを毎日やっていると批判される所以です。こうしたGDP比率では5%規模、経済対策を今世紀に入り僅か20年間で年間GDPに匹敵する規模のものを実施しているのですね、これでは緊縮とは流石にいえないでしょう。
経済対策の方向性が間違っていないのか、こう問われる事があるでしょうが、この点については否定しません。そもそも財政再建と経済刺激という矛盾する政策が進むあたりに政治の問題がある様なのですよね、目的があって手段が示されても、手段と目的は計画の進展と共に次第に前者が目的化し本来目的が空文化している事が少なくない政策が実に多い。
歳出過剰の状態にあることは否めず、もっとも防衛費はそれほど伸びていませんので緊縮という印象をあたえるのかもしれませんが、これは政治の選択と支持した国民の選択ですので、歳出規模に対して 防衛費の比率が低い点はまた別の問題というべきです。その上で必要な防衛政策と費用というものを、増税か憲法改正かで論点とすべき次元の問題です。
財政再建が重要です。そして、目的と手段の視点から考えますと、財政再建と防衛の問題、両立するには例えば同盟国との関係強化や包括連携協定締結国との防衛協力、防衛装備品移転に関する政治的制約の撤廃など、財政再建を阻むのは憲法を含む制度も一端にあるとの認識も必要なのかもしれません。この視点を考えることも、重要なのかもしれません。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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日本は緊縮財政のやりすぎで景気後退から立ち直れないという論調を聞いたあとで、実際の財政支出を内閣府HPなどで調べますと驚かされます。
財政再建。実のところ日本では緊縮財政を行った分だけ特別会計の大盤振る舞いをおこなっていますので、財政破綻を回避し防衛力整備を行うという視点ももちろん忘れては成りません。防衛省が外敵から国家を守るように財務省も財政破綻から国家を守る、どちらが崩れても日本という国家を存続することに危機が及ぶ点はかわりなく、両立は必須です。
財政破綻は現実的な脅威として考えなければ、1990年代から続く低成長時代、2020年代まで継続しており、しかも東日本大震災後の電力不足と短期間とはいえ過去の急激な円高放置政治による製造業の空洞化、打つ手無い少子高齢化に国内の需要不足、この状況では財政破綻という懸念は、日本程の経済大国ならば起きないだろう、とは平和ボケそのもの。
赤字国債の無際限な発行により戦車でも戦闘機でも、という理念には厳しい現実をみる必要はあるでしょう。こう考えるのは赤字国債を発行しても経済破綻しないという一部識者や評論家の意見が、それならば何故世界には債券発行により経済破綻する諸国が大半なのか、という現実の命題に確たる答えがないためです、日本は何故に特殊なのでしょうか。
財政無制限論、という無茶苦茶な論理がありまして、これは要するに、通貨を発行する主体である国家は通貨発行権を例えば欧州中央銀行のような主体に預けない限り破綻はない、という理論です。ただこれは無茶を通り過ぎていまして、ジンバブエやベネズエラが財政破綻した事実を無視し論点のすり替えを行っています。財政を無限とするには税収が要る。
日本の国債は外債ではないとしていますが、それならば何故日本国際は外債ではなく金融機関が引き受けられるのか、その担保を辿りますと、それは日本の将来性でも若者の活力でもなく、単に対外資産、1991年から2021年まで連綿と続く世界第一位の対外資産が一つの担保になっているとしか考えられません、これを切り崩さねば国債は無限だ。しかし。
対外資産。しかし、これも高度経済成長時代から安定成長時代まで連綿と蓄え続けた国民の資産ではあるものの、これ以上積み重ねる余地がなくなれば目減りに転じます。サウジアラビア並の安価に掘れる油田やオーストラリアのようなレアメタル鉱山でも日本国内に発見されない限り、稼いで税収を伸ばす方向に転じない限り、国債は実のところ有限です。
日本政府は緊縮財政であるために経済が回らないとの指摘もありますが、実はかなり政府は予算を投じています。2001年の小泉政権の改革先行プログラムと緊急対応プログラム、2002年改革加速プログラム、2008年の福田内閣の安心実現緊急総合政策、同年麻生政権生活対策、生活防衛緊急対策、2009年経済危機対策、とこう立て続けに行っているのですね。
自民党から民主党へ2009年には政権交代があり、鳩山政権明日の安心緊急経済対策、2010年菅内閣デフレ緊急対策、同年デフレ緊急対応、2011年に円高総合対応策、2012年野田内閣日本再生加速、自民党へ政権が戻り2013年阿部政権での日本経済再生緊急経済対策、好循環実現経済対策、2014年緊急経済対策、2016年未来経済投資、そしてコロナ対策予算へ。
618兆円、総額にして618兆円規模となっていまして、これを年度予算とは別に特別会計により実施し、母屋で粥を啜りつつ離れですき焼きを毎日やっていると批判される所以です。こうしたGDP比率では5%規模、経済対策を今世紀に入り僅か20年間で年間GDPに匹敵する規模のものを実施しているのですね、これでは緊縮とは流石にいえないでしょう。
経済対策の方向性が間違っていないのか、こう問われる事があるでしょうが、この点については否定しません。そもそも財政再建と経済刺激という矛盾する政策が進むあたりに政治の問題がある様なのですよね、目的があって手段が示されても、手段と目的は計画の進展と共に次第に前者が目的化し本来目的が空文化している事が少なくない政策が実に多い。
歳出過剰の状態にあることは否めず、もっとも防衛費はそれほど伸びていませんので緊縮という印象をあたえるのかもしれませんが、これは政治の選択と支持した国民の選択ですので、歳出規模に対して 防衛費の比率が低い点はまた別の問題というべきです。その上で必要な防衛政策と費用というものを、増税か憲法改正かで論点とすべき次元の問題です。
財政再建が重要です。そして、目的と手段の視点から考えますと、財政再建と防衛の問題、両立するには例えば同盟国との関係強化や包括連携協定締結国との防衛協力、防衛装備品移転に関する政治的制約の撤廃など、財政再建を阻むのは憲法を含む制度も一端にあるとの認識も必要なのかもしれません。この視点を考えることも、重要なのかもしれません。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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