■トランプ次期大統領
アメリカABCテレビは先程次期大統領としてドナルドトランプ氏の当選確実を報じました。
アメリカ大統領選挙2024は、ハリス副大統領とトランプ前大統領という初の女性大統領誕生か返り咲き政権復帰かという過去に無い大統領選となりました。再選に敗北した元大統領の再選はハーディング大統領以来といわれています。保護主義的な政策とアメリカ第一主義を掲げている政策を進めた故に不確定要素が多いトランプ氏ではありますが。
保護主義的な政策、というものですが忘れてはならないのは我が国もTPP環太平洋包括協力協定に対して非常な懸念と反対があり、またその枠組み形成過程に参加することで最適化することが出来ました。他方で、行き過ぎたグローバリゼーション、少なくとも1990年代にこの言葉が生まれた頃の上限を超えたグローバリゼーションの進展について。
ハリス政権では、アメリカ国民のグローバリゼーションの行き過ぎによる国内産業の空洞化や、アメリカのポテンシャル低下を、更にこれを加速する可能性がある環境対策、地球環境を有権者の経済よりも優先する施策にたいし、支持を掬うことが出来なかったことが一つあげられるように思います。つまりグリーンニューディールの失敗、という。
焦燥感、これは岩盤支持層よりも有権者の選択肢が流動的な激戦区、という、つまりほぼほぼ共和党か民主党かが明確に支持層がしめされている州ではなく、選挙ごとにどちらの候補者に支持があつまるかが分かれている激戦区の州に、ラストベルト、といわれる20世紀中に最盛期を迎えその後は過疎化が進む地域の支持者投票行動に影響した、と。
経済全般を見れば、特にITサービスにおいてアメリカの地位は圧倒的です、が、それは都市部、IT大手が集中しているのはサンフランシスコなど一部に集中しており、この恩恵は地方都市に及んでいないとともに、自由主義経済を標榜するアメリカでは再分配制度が伝統的に支持されておらず、この怨嗟の声があることも投票行動に影響した。
ラストベルト、日本に当てはめれば1950年代に強い競争力を持っていた繊維産業を基盤産業としていた都市の現状、もしくは鉱山が閉山してしまった地方都市の現状をみると、理解できるのかもしれません。ただ、生産施設が残る地域には非関税障壁でも関税障壁でも、政府の保護があれば再稼働できる、こうした可能性がある地域に人は住んでいる。
変革を求める国民性、トランプ政権時代はもちろん、チェンジ、と叫んだことで成立したオバマ政権を見ればわかるように、アメリカでは保守的なものよりは思い切って変革、その結果がどうなる科への不確定要素まで容認した上で変革を求めるとともに、自由、それは公的保険や年金も自由の阻害と受け取る、自由を第一とする国民性があります。
自由と変革、結果的にこれは環境政策も影響するものですし、自由を求めるのはアメリカの場合、存在しない圧政よりも現実のインフレなどの成約要素からの自由を求める声が影響した、とも考えられるのかもしれません。何をやるかわからない不確定要素よりも、今までに無いことを挑戦する、開拓精神、というものへの支持ということなのか。
世界の安全保障への影響はどうか。日本の場合は、この視点を考えたいのですが、第一次トランプ政権にいたる2016年大統領選挙で、トランプ氏は候補者として、”日本の核武装”というものを挙げていました、要するに中国や北朝鮮の攻撃はアメリカに頼らず日本自身が自衛すべきで、そのために必要ならば核武装も容認できる、というもの。
核武装は現実として為されていません、保守的な安倍政権時代でしたが、当時の安倍総理は大統領就任前にトランプタワーへ赴き、このための調整がかなり大変だったと謂うことですけれども、実情を説明するとともに、例えば”中国の原潜が狙っているのは日本の潜水艦では無くハワイ以東のアメリカ原潜である”など一つ一つ説明しています。
F-35戦闘機開発中止論やジェラルドFフォード級空母の中止論、あとはNATO殻の脱退なども掲げていましたが、これも一つ一つ説明することで、最適な結果、当初は空軍にF/A-18を採用させF-35を断念するという持論だったようですが、最適な結果へ修正されています。これはトランプ氏がビジネス界出身であることと無関係ではないのでしょう。
ビジネスマン出身であるため、合理的に利益があるならば、説明することで回避できます。なによりも最適解については補佐官が理解しているものの大統領との立場上その最適解を選択できないところがあり、ここを外交的に首脳会談などを通じて説明することが出来れば、ビジネスマンは柔軟に対応し、各論ではなく総論で結果をだすものだから。
ウクライナ情勢はどう影響するか。戦々恐々としているという報道などもあるようですが、まず、大変ではあってもゼレンスキー大統領は大統領選を行うべきでしょう、それは不正選挙を回避し、またロシア占領地での物理的な選挙のむずかしさはありますが、それこそEUの選挙監視団などを全面的に引き入れて任期切れの現状を解消すべきです。
ゼレンスキー大統領は困難な状況でも選挙を行うことで正統性を確保することでしか、まず、ウクライナの総意を代表としている正統性を確保できないのかもしれません。その上で、結局のところ北朝鮮人民軍まで戦線に参戦している状況は、アメリカの安全保障にも、北朝鮮の核が東海岸まで射程に含めている関係上直接影響する点を強調すべきだ。
欧州全体の安全保障にロシアウクライナ戦争は直結している、具体的にはウクライナが失陥することとなれば、その次は間違いなくカリーニングラードを巡るポーランドやバルト三国との戦争に展開します、それはアメリカにとって競争相手ではなく市場としての欧州を喪失することに直結するとともに、欧州という緩衝地帯がなくなるということ。
西半球は難攻不落、という概念はルーズベルト政権までのモンロードクトリンを支えたアメリカの理念ですが、この理念の前提さえもロシアウクライナ戦争は失わせる、次の戦争の懸念が生じている、ゼレンスキー大統領は戦っているのはウクライナではなく自由主義なのだ、という点を強調することで、相互利益の面から戦争継続ができる。
ウクライナを見捨てるのではないかという懸念があるようですが、例えば今回の北朝鮮人民軍参戦を一線と捉えて、アメリカ以外にも多くの国が負担しているものの最大のウクライナ支援国はアメリカであり、この上で、例えばマクロン大統領が今年夏から主張しているような、ウクライナへのNATO地上部隊派遣を真剣に検討すべきと考えます。
NATO地上部隊を後方支援や特殊部隊と防空部隊派遣などで限定的にでも実施することで、アメリカに対して負担は全欧で担っている、という部分を強調するとともに、トランプ氏が忌避している十年単位での戦争の長期化ではなく、もちろん拡大の懸念、世界の終焉さえ懸念に含まれますが、決定的な打撃を与えて敵を後退させる覚悟が必要とおもう。
バイデン大統領が2022年に、軍事力の抑止力を軽視していた、ロシアがウクライナに侵攻した場合は経済制裁は行うがアメリカ軍の介入は無い、と発言、これはロシアのプーチン大統領に対して経済制裁を我慢するならばウクライナを獲れる、と誤認させ開戦そのものを回避できなかったという現実を無視するべきではありません。
台湾海峡については。中国の海洋進出を放置し続けたのはオバマ政権時代までで、結局安全保障上は台湾海峡有事というものを中国の海洋進出放置により危険な段階まで高めたのはオバマ政権時代までであり、トランプ政権以降は中国への厳しい施策に転換、これはバイデン政権、民主党政権となった今日でも継続されている点は重要でしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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アメリカABCテレビは先程次期大統領としてドナルドトランプ氏の当選確実を報じました。
アメリカ大統領選挙2024は、ハリス副大統領とトランプ前大統領という初の女性大統領誕生か返り咲き政権復帰かという過去に無い大統領選となりました。再選に敗北した元大統領の再選はハーディング大統領以来といわれています。保護主義的な政策とアメリカ第一主義を掲げている政策を進めた故に不確定要素が多いトランプ氏ではありますが。
保護主義的な政策、というものですが忘れてはならないのは我が国もTPP環太平洋包括協力協定に対して非常な懸念と反対があり、またその枠組み形成過程に参加することで最適化することが出来ました。他方で、行き過ぎたグローバリゼーション、少なくとも1990年代にこの言葉が生まれた頃の上限を超えたグローバリゼーションの進展について。
ハリス政権では、アメリカ国民のグローバリゼーションの行き過ぎによる国内産業の空洞化や、アメリカのポテンシャル低下を、更にこれを加速する可能性がある環境対策、地球環境を有権者の経済よりも優先する施策にたいし、支持を掬うことが出来なかったことが一つあげられるように思います。つまりグリーンニューディールの失敗、という。
焦燥感、これは岩盤支持層よりも有権者の選択肢が流動的な激戦区、という、つまりほぼほぼ共和党か民主党かが明確に支持層がしめされている州ではなく、選挙ごとにどちらの候補者に支持があつまるかが分かれている激戦区の州に、ラストベルト、といわれる20世紀中に最盛期を迎えその後は過疎化が進む地域の支持者投票行動に影響した、と。
経済全般を見れば、特にITサービスにおいてアメリカの地位は圧倒的です、が、それは都市部、IT大手が集中しているのはサンフランシスコなど一部に集中しており、この恩恵は地方都市に及んでいないとともに、自由主義経済を標榜するアメリカでは再分配制度が伝統的に支持されておらず、この怨嗟の声があることも投票行動に影響した。
ラストベルト、日本に当てはめれば1950年代に強い競争力を持っていた繊維産業を基盤産業としていた都市の現状、もしくは鉱山が閉山してしまった地方都市の現状をみると、理解できるのかもしれません。ただ、生産施設が残る地域には非関税障壁でも関税障壁でも、政府の保護があれば再稼働できる、こうした可能性がある地域に人は住んでいる。
変革を求める国民性、トランプ政権時代はもちろん、チェンジ、と叫んだことで成立したオバマ政権を見ればわかるように、アメリカでは保守的なものよりは思い切って変革、その結果がどうなる科への不確定要素まで容認した上で変革を求めるとともに、自由、それは公的保険や年金も自由の阻害と受け取る、自由を第一とする国民性があります。
自由と変革、結果的にこれは環境政策も影響するものですし、自由を求めるのはアメリカの場合、存在しない圧政よりも現実のインフレなどの成約要素からの自由を求める声が影響した、とも考えられるのかもしれません。何をやるかわからない不確定要素よりも、今までに無いことを挑戦する、開拓精神、というものへの支持ということなのか。
世界の安全保障への影響はどうか。日本の場合は、この視点を考えたいのですが、第一次トランプ政権にいたる2016年大統領選挙で、トランプ氏は候補者として、”日本の核武装”というものを挙げていました、要するに中国や北朝鮮の攻撃はアメリカに頼らず日本自身が自衛すべきで、そのために必要ならば核武装も容認できる、というもの。
核武装は現実として為されていません、保守的な安倍政権時代でしたが、当時の安倍総理は大統領就任前にトランプタワーへ赴き、このための調整がかなり大変だったと謂うことですけれども、実情を説明するとともに、例えば”中国の原潜が狙っているのは日本の潜水艦では無くハワイ以東のアメリカ原潜である”など一つ一つ説明しています。
F-35戦闘機開発中止論やジェラルドFフォード級空母の中止論、あとはNATO殻の脱退なども掲げていましたが、これも一つ一つ説明することで、最適な結果、当初は空軍にF/A-18を採用させF-35を断念するという持論だったようですが、最適な結果へ修正されています。これはトランプ氏がビジネス界出身であることと無関係ではないのでしょう。
ビジネスマン出身であるため、合理的に利益があるならば、説明することで回避できます。なによりも最適解については補佐官が理解しているものの大統領との立場上その最適解を選択できないところがあり、ここを外交的に首脳会談などを通じて説明することが出来れば、ビジネスマンは柔軟に対応し、各論ではなく総論で結果をだすものだから。
ウクライナ情勢はどう影響するか。戦々恐々としているという報道などもあるようですが、まず、大変ではあってもゼレンスキー大統領は大統領選を行うべきでしょう、それは不正選挙を回避し、またロシア占領地での物理的な選挙のむずかしさはありますが、それこそEUの選挙監視団などを全面的に引き入れて任期切れの現状を解消すべきです。
ゼレンスキー大統領は困難な状況でも選挙を行うことで正統性を確保することでしか、まず、ウクライナの総意を代表としている正統性を確保できないのかもしれません。その上で、結局のところ北朝鮮人民軍まで戦線に参戦している状況は、アメリカの安全保障にも、北朝鮮の核が東海岸まで射程に含めている関係上直接影響する点を強調すべきだ。
欧州全体の安全保障にロシアウクライナ戦争は直結している、具体的にはウクライナが失陥することとなれば、その次は間違いなくカリーニングラードを巡るポーランドやバルト三国との戦争に展開します、それはアメリカにとって競争相手ではなく市場としての欧州を喪失することに直結するとともに、欧州という緩衝地帯がなくなるということ。
西半球は難攻不落、という概念はルーズベルト政権までのモンロードクトリンを支えたアメリカの理念ですが、この理念の前提さえもロシアウクライナ戦争は失わせる、次の戦争の懸念が生じている、ゼレンスキー大統領は戦っているのはウクライナではなく自由主義なのだ、という点を強調することで、相互利益の面から戦争継続ができる。
ウクライナを見捨てるのではないかという懸念があるようですが、例えば今回の北朝鮮人民軍参戦を一線と捉えて、アメリカ以外にも多くの国が負担しているものの最大のウクライナ支援国はアメリカであり、この上で、例えばマクロン大統領が今年夏から主張しているような、ウクライナへのNATO地上部隊派遣を真剣に検討すべきと考えます。
NATO地上部隊を後方支援や特殊部隊と防空部隊派遣などで限定的にでも実施することで、アメリカに対して負担は全欧で担っている、という部分を強調するとともに、トランプ氏が忌避している十年単位での戦争の長期化ではなく、もちろん拡大の懸念、世界の終焉さえ懸念に含まれますが、決定的な打撃を与えて敵を後退させる覚悟が必要とおもう。
バイデン大統領が2022年に、軍事力の抑止力を軽視していた、ロシアがウクライナに侵攻した場合は経済制裁は行うがアメリカ軍の介入は無い、と発言、これはロシアのプーチン大統領に対して経済制裁を我慢するならばウクライナを獲れる、と誤認させ開戦そのものを回避できなかったという現実を無視するべきではありません。
台湾海峡については。中国の海洋進出を放置し続けたのはオバマ政権時代までで、結局安全保障上は台湾海峡有事というものを中国の海洋進出放置により危険な段階まで高めたのはオバマ政権時代までであり、トランプ政権以降は中国への厳しい施策に転換、これはバイデン政権、民主党政権となった今日でも継続されている点は重要でしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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