■スーダン邦人救出作戦
72時間の停戦時間が終了し既に6時間を過ぎましたが現在邦人輸送、いや邦人救出作戦というべき状況は大きな分水嶺を超えようとしています。
アメリカ軍が実施した大使館員救出作戦はヘリコプターが用いられたと昨日報道されていますが、本日公開となった写真では3機のMH-47特殊戦ヘリコプターが用いられていることが判別できました。これは自衛隊も多数を運用するCH-47の特殊作戦仕様であり、海兵隊のMV-22可動翼航空機よりも低速ではありますが大きな輸送力を有しています。
MV-22は航続距離と巡航速度の大きさが利点であり、また海兵隊にはこうした事態に備え中東にMV-22を装備するSPMAGTF-CR海兵危機対応空地特別任務部隊が置かれているのですが、特殊作戦航空機ではありません。MH-47の投入には夜間低空飛行可能という特殊作戦機を投入しなければ大使館救出任務を遂行不能、厳しい戦況があるのかもしれません。
スーダン邦人輸送の概況について。日本時間1715時頃、ジブチへ展開していた航空自衛隊のC-2輸送機が、離陸しました。続いて1755時頃にC-130H輸送機の離陸も確認され、2機の輸送機がスーダン国内の飛行場へ向かっています。速度の速いC-2輸送機が先行したのは、先ず邦人輸送の空港を調整のため確保する部隊とチームが搭乗しているのでしょう。
増派へ。本日24日にはいり航空自衛隊のC-2輸送機2機が増強派遣されています。この2機の増強、理由は不明ですが、現在大使館員と共に移動している60名の邦人救出にはジブチを夕方に離陸した機体だけでも対応できる規模であり、どういった任務を想定しているのか、まだ収容できていない邦人がいるのか、輸送防護車等を運んでいるのかは、不明だ。
停戦合意として日本時間21日1300時から三日間、反乱軍であるRSF停戦期間を発表しています。この72時間、各国が停戦期間が在留自国民避難への重要な機会になるとして救出活動を急いでいます。ただ、停戦期間にも航空攻撃や砲撃、かなり激しい戦闘の様子が現地の声として報道されており、戦闘継続かほんとうに停戦なのか、状況がみとおせません。
ドイツ軍が300名以上を退避させ101名がベルリンまで退避している。フランスは388名を退避、日本人を含む外国人が含まれるという。中国外務省は現地の中国人第一陣を退避させたと発表しています。トルコ外務省によればトルコは退避作戦を継続中ですが、ハルツームの集合地域付近で爆発があり、一部が避難車両へ収容できなかったとしています。
日本大使館員と在留邦人はハルツーム国際空港、日本大使館から500mほどの距離にあるのですが、ここでの収容を断念し陸路でハルツーム市をでて周辺都市の飛行場に向かい、ここで航空自衛隊輸送機に収容される計画です。指呼の距離にあるハルツーム国際空港は現在、旅客機や地上施設が破壊されるなど、空港施設が使用できない状況が背景にある。
スーダン国内のどの空港から収容するのかについては、情報保全の観点から開示されていません。日本時間今朝0800時頃にハルツームからの移動を開始したことが報道され、10時間近くを経てジブチへ展開していた航空自衛隊輸送機が離陸を開始したため、所要時間からある程度の推測ができるのかもしれません。各国は救出に苦労している状況です。
ポートスーダン、紅海沿岸にありハルツームの北東700kmの港湾都市は現在各国の陸路による退避拠点となっています。ポートスーダンには国際空港も整備されており、この周辺地域では比較的情勢が安定しているという。サウジアラビア軍などによる救出が行われているほか、ハルツームを脱出した国連機関の臨時退避先としても機能しているもよう。
サーバル作戦、思い出すのは2013年にフランス軍が実施したマリ介入作戦です。この作戦はアフリカのマリ共和国において北部地域で勢力を伸ばしていたMNLA解放戦線の開放地域に民兵組織MOJWAなどが合流し制御不能となり、マリ政府が旧宗主国であるフランス政府に救援を要請、フランスは当時のオランド大統領が軍事介入を決断した軍事作戦です。
フランス軍は第3機械化歩兵旅団を中心に全ての旅団から即応部隊を抽出、空軍輸送機と共に同盟国や友好国へ輸送機による輸送支援を要請、マリ国内へ展開すると極めて短期間で武装勢力を一蹴し、AUアフリカ連合を中心としたPKO国際平和維持部隊へ安定化任務を移管しています。フランスの事例を示しましたが、スーダンは今後どう展開するのか。
スーダン政府が友好国、バシール政権時代のスーダンは中国との防衛協力等を深めていましたが、こうした友好国へ救援要請を示し、RSF叛乱軍の掃討支援を要請する可能性はあります、ただ今その動きは表立っていない。少なくともRSFと国軍、戦力は国分の半数近くである、これでは内戦に繋がりかねない規模の叛乱軍であり、放置した場合は巨大な人道危機へ繋がります。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
72時間の停戦時間が終了し既に6時間を過ぎましたが現在邦人輸送、いや邦人救出作戦というべき状況は大きな分水嶺を超えようとしています。
アメリカ軍が実施した大使館員救出作戦はヘリコプターが用いられたと昨日報道されていますが、本日公開となった写真では3機のMH-47特殊戦ヘリコプターが用いられていることが判別できました。これは自衛隊も多数を運用するCH-47の特殊作戦仕様であり、海兵隊のMV-22可動翼航空機よりも低速ではありますが大きな輸送力を有しています。
MV-22は航続距離と巡航速度の大きさが利点であり、また海兵隊にはこうした事態に備え中東にMV-22を装備するSPMAGTF-CR海兵危機対応空地特別任務部隊が置かれているのですが、特殊作戦航空機ではありません。MH-47の投入には夜間低空飛行可能という特殊作戦機を投入しなければ大使館救出任務を遂行不能、厳しい戦況があるのかもしれません。
スーダン邦人輸送の概況について。日本時間1715時頃、ジブチへ展開していた航空自衛隊のC-2輸送機が、離陸しました。続いて1755時頃にC-130H輸送機の離陸も確認され、2機の輸送機がスーダン国内の飛行場へ向かっています。速度の速いC-2輸送機が先行したのは、先ず邦人輸送の空港を調整のため確保する部隊とチームが搭乗しているのでしょう。
増派へ。本日24日にはいり航空自衛隊のC-2輸送機2機が増強派遣されています。この2機の増強、理由は不明ですが、現在大使館員と共に移動している60名の邦人救出にはジブチを夕方に離陸した機体だけでも対応できる規模であり、どういった任務を想定しているのか、まだ収容できていない邦人がいるのか、輸送防護車等を運んでいるのかは、不明だ。
停戦合意として日本時間21日1300時から三日間、反乱軍であるRSF停戦期間を発表しています。この72時間、各国が停戦期間が在留自国民避難への重要な機会になるとして救出活動を急いでいます。ただ、停戦期間にも航空攻撃や砲撃、かなり激しい戦闘の様子が現地の声として報道されており、戦闘継続かほんとうに停戦なのか、状況がみとおせません。
ドイツ軍が300名以上を退避させ101名がベルリンまで退避している。フランスは388名を退避、日本人を含む外国人が含まれるという。中国外務省は現地の中国人第一陣を退避させたと発表しています。トルコ外務省によればトルコは退避作戦を継続中ですが、ハルツームの集合地域付近で爆発があり、一部が避難車両へ収容できなかったとしています。
日本大使館員と在留邦人はハルツーム国際空港、日本大使館から500mほどの距離にあるのですが、ここでの収容を断念し陸路でハルツーム市をでて周辺都市の飛行場に向かい、ここで航空自衛隊輸送機に収容される計画です。指呼の距離にあるハルツーム国際空港は現在、旅客機や地上施設が破壊されるなど、空港施設が使用できない状況が背景にある。
スーダン国内のどの空港から収容するのかについては、情報保全の観点から開示されていません。日本時間今朝0800時頃にハルツームからの移動を開始したことが報道され、10時間近くを経てジブチへ展開していた航空自衛隊輸送機が離陸を開始したため、所要時間からある程度の推測ができるのかもしれません。各国は救出に苦労している状況です。
ポートスーダン、紅海沿岸にありハルツームの北東700kmの港湾都市は現在各国の陸路による退避拠点となっています。ポートスーダンには国際空港も整備されており、この周辺地域では比較的情勢が安定しているという。サウジアラビア軍などによる救出が行われているほか、ハルツームを脱出した国連機関の臨時退避先としても機能しているもよう。
サーバル作戦、思い出すのは2013年にフランス軍が実施したマリ介入作戦です。この作戦はアフリカのマリ共和国において北部地域で勢力を伸ばしていたMNLA解放戦線の開放地域に民兵組織MOJWAなどが合流し制御不能となり、マリ政府が旧宗主国であるフランス政府に救援を要請、フランスは当時のオランド大統領が軍事介入を決断した軍事作戦です。
フランス軍は第3機械化歩兵旅団を中心に全ての旅団から即応部隊を抽出、空軍輸送機と共に同盟国や友好国へ輸送機による輸送支援を要請、マリ国内へ展開すると極めて短期間で武装勢力を一蹴し、AUアフリカ連合を中心としたPKO国際平和維持部隊へ安定化任務を移管しています。フランスの事例を示しましたが、スーダンは今後どう展開するのか。
スーダン政府が友好国、バシール政権時代のスーダンは中国との防衛協力等を深めていましたが、こうした友好国へ救援要請を示し、RSF叛乱軍の掃討支援を要請する可能性はあります、ただ今その動きは表立っていない。少なくともRSFと国軍、戦力は国分の半数近くである、これでは内戦に繋がりかねない規模の叛乱軍であり、放置した場合は巨大な人道危機へ繋がります。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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