■JRとの綿密な協定が必要
有事の際に電車は動くのかという一利用者の視点を自衛隊の戦略輸送に転じて考えた本特集ですが検証を進める程に現実は深刻です。
計画運休と本土防衛、JR各社が計画運休という制度を導入し、実際の有事の際には多発するであろうJアラートによるミサイル飛翔情報と共に非常停止を頻発した場合、有事の際に、自衛隊が専守防衛を貫徹する為に戦略機動、移動しなければならない時に、安全第一で計画運休、部隊は移動出来ず戦線が次々と手遅れに近い状況へ拡大、この可能性はある。
鉄道連隊、陸上自衛隊第101施設隊という鉄道専門部隊が1966年まで維持されていまして、自衛隊全体では2015年まで、比較的最近と言うことに驚きます、ディーゼル機関車を海上自衛隊が弾薬補給処での輸送用に維持していました。海上自衛隊のディーゼル機関車は専ら補給処内での輸送が任務でしたが、第101施設隊は旧陸軍鉄道連隊を範としています。
第101施設隊の訓練は、架線修理や鉄道線路敷設とポイントや信号の運行管理から貨物ホーム設営まで、鉄道線を維持のみ成らず敷設まで含めて実施できる水準のものでした。有事の際に国鉄が輸送不能となった際に鉄道輸送を自衛隊が代行する、というものです。当時は国鉄ストが度々起きており、有事の際にストが起きる可能性が現実で在ったのですね。
国鉄ストが有事の際に発生した場合には第一線へ移動する部隊には大変な影響が生じますが、令和時代には有事の際に職員が危険にさらされる懸念があるとしてストは起きないが計画運休が起こる可能性が、ということ。ストで有ろうと計画運休であろうと運行出来無い事には変わりがありません、そして安全を保障しようにも結局は“万一”が残るという。
ただ、今日的視点から見ますと、2016年熊本地震におけるJR各社と新幹線開通にともなう経営移管の第三セクター鉄道の再開への時間を見るとおり、鉄道は安易に修復できないほどに複雑なものとなっており、特に信号系統や運行システムは自衛隊が簡単に代行できるものでもありません。第101施設隊も廃止から半世紀以上が過ぎており、これが現実だ。
ダメコン、ダメージコントロールについて、有事の際の輸送を考えるならば平時の内に鉄道会社と政府が国民保護計画と武力攻撃事態を念頭に整備しておく必要があると考えます。計画運休が有事の際に必要となるのはどういう条件でどの条件がそろった際に運行再開可能か、平時にはこの協定が重要と思う。寧ろ協定は平時にこそ結ぶ必要があると考えます。
鉄道施設周辺での警察警備強化や緊急時の救急搬送優先権という条件が在れば良いのか、主要駅毎に防護用機関銃陣地が必要なのか、路線が弾道弾迎撃網下に収まっていれば運行できるのか、どれも駄目ならば政府が対応できる鉄道職員を準備し鉄道と線路の上下分離を有事法制に盛り込む必要があるか、緊急時に動かせ命令だ、という時代ではありません。
緊急時には社会全体を停止させる必要があるのではないか、これは2019年多発した巨大災害を念頭に災害には社会を停止させる事で被害が及ばないようにするという消極的な確実論を示したものでした。しかし、緊急時にこそ動かなければならない状況というものは在るように思うのですよね。鉄道会社についてはその公共性故の税制優遇もあるのですから。
緊急時に社会を止める、しかし緊急時ならば危機管理機能も停滞させて良いのか、と問われれば、それは2019年に多発した台風災害を前に、被害ほぼなし、被害情報が入ってきていないから、と消極的姿勢を長期間継続し、結果的に初動の立ち上がりを遅滞させた千葉県庁の対応が妥当だったのか、という視点にも進んでしまいます。賛同は少ないでしょう。
鉄道を一例として示しましたが、日本は専守防衛を堅持しています。その上で国内インフラに依存する事で自衛隊は広大な国土を少ない部隊で防衛してきました。日本列島を欧州に移動させれば北海道稚内の位置に北欧デンマークの首都コペンハーゲン、沖縄南部の位置にはなんと北アフリカリビアのトリポリが来る程に、日本列島は長大なのですから、ね。
有事の際の指定公共機関、電話網や物流網と陸運業や建築業、しかし過去の戦争、イラク戦争やウクライナ東部紛争を視ますと電話会社等は通信遮断を念頭に空爆かミサイル攻撃を受けているのですよね。攻撃を受ける可能性は、特に近年の巡航ミサイル長射程化等により常に万全の安全というものは在り得ません。どう有事の際に維持するのかは課題です。
民間インフラを有事の際に用いる、これを期待できるかどうかで、自衛隊は国土戦でありながら外地で戦う外征軍隊のような戦略展開や策源地機動基盤等が必要となってしまいます。だからこそ、有事法制が一旦整備された現代だからこそ、平時の内に指定公共機関協力企業の安全確保、そして有事の際の運用継続計画を国と協定する必要、在ると思います。これを本論の結論としましょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
有事の際に電車は動くのかという一利用者の視点を自衛隊の戦略輸送に転じて考えた本特集ですが検証を進める程に現実は深刻です。
計画運休と本土防衛、JR各社が計画運休という制度を導入し、実際の有事の際には多発するであろうJアラートによるミサイル飛翔情報と共に非常停止を頻発した場合、有事の際に、自衛隊が専守防衛を貫徹する為に戦略機動、移動しなければならない時に、安全第一で計画運休、部隊は移動出来ず戦線が次々と手遅れに近い状況へ拡大、この可能性はある。
鉄道連隊、陸上自衛隊第101施設隊という鉄道専門部隊が1966年まで維持されていまして、自衛隊全体では2015年まで、比較的最近と言うことに驚きます、ディーゼル機関車を海上自衛隊が弾薬補給処での輸送用に維持していました。海上自衛隊のディーゼル機関車は専ら補給処内での輸送が任務でしたが、第101施設隊は旧陸軍鉄道連隊を範としています。
第101施設隊の訓練は、架線修理や鉄道線路敷設とポイントや信号の運行管理から貨物ホーム設営まで、鉄道線を維持のみ成らず敷設まで含めて実施できる水準のものでした。有事の際に国鉄が輸送不能となった際に鉄道輸送を自衛隊が代行する、というものです。当時は国鉄ストが度々起きており、有事の際にストが起きる可能性が現実で在ったのですね。
国鉄ストが有事の際に発生した場合には第一線へ移動する部隊には大変な影響が生じますが、令和時代には有事の際に職員が危険にさらされる懸念があるとしてストは起きないが計画運休が起こる可能性が、ということ。ストで有ろうと計画運休であろうと運行出来無い事には変わりがありません、そして安全を保障しようにも結局は“万一”が残るという。
ただ、今日的視点から見ますと、2016年熊本地震におけるJR各社と新幹線開通にともなう経営移管の第三セクター鉄道の再開への時間を見るとおり、鉄道は安易に修復できないほどに複雑なものとなっており、特に信号系統や運行システムは自衛隊が簡単に代行できるものでもありません。第101施設隊も廃止から半世紀以上が過ぎており、これが現実だ。
ダメコン、ダメージコントロールについて、有事の際の輸送を考えるならば平時の内に鉄道会社と政府が国民保護計画と武力攻撃事態を念頭に整備しておく必要があると考えます。計画運休が有事の際に必要となるのはどういう条件でどの条件がそろった際に運行再開可能か、平時にはこの協定が重要と思う。寧ろ協定は平時にこそ結ぶ必要があると考えます。
鉄道施設周辺での警察警備強化や緊急時の救急搬送優先権という条件が在れば良いのか、主要駅毎に防護用機関銃陣地が必要なのか、路線が弾道弾迎撃網下に収まっていれば運行できるのか、どれも駄目ならば政府が対応できる鉄道職員を準備し鉄道と線路の上下分離を有事法制に盛り込む必要があるか、緊急時に動かせ命令だ、という時代ではありません。
緊急時には社会全体を停止させる必要があるのではないか、これは2019年多発した巨大災害を念頭に災害には社会を停止させる事で被害が及ばないようにするという消極的な確実論を示したものでした。しかし、緊急時にこそ動かなければならない状況というものは在るように思うのですよね。鉄道会社についてはその公共性故の税制優遇もあるのですから。
緊急時に社会を止める、しかし緊急時ならば危機管理機能も停滞させて良いのか、と問われれば、それは2019年に多発した台風災害を前に、被害ほぼなし、被害情報が入ってきていないから、と消極的姿勢を長期間継続し、結果的に初動の立ち上がりを遅滞させた千葉県庁の対応が妥当だったのか、という視点にも進んでしまいます。賛同は少ないでしょう。
鉄道を一例として示しましたが、日本は専守防衛を堅持しています。その上で国内インフラに依存する事で自衛隊は広大な国土を少ない部隊で防衛してきました。日本列島を欧州に移動させれば北海道稚内の位置に北欧デンマークの首都コペンハーゲン、沖縄南部の位置にはなんと北アフリカリビアのトリポリが来る程に、日本列島は長大なのですから、ね。
有事の際の指定公共機関、電話網や物流網と陸運業や建築業、しかし過去の戦争、イラク戦争やウクライナ東部紛争を視ますと電話会社等は通信遮断を念頭に空爆かミサイル攻撃を受けているのですよね。攻撃を受ける可能性は、特に近年の巡航ミサイル長射程化等により常に万全の安全というものは在り得ません。どう有事の際に維持するのかは課題です。
民間インフラを有事の際に用いる、これを期待できるかどうかで、自衛隊は国土戦でありながら外地で戦う外征軍隊のような戦略展開や策源地機動基盤等が必要となってしまいます。だからこそ、有事法制が一旦整備された現代だからこそ、平時の内に指定公共機関協力企業の安全確保、そして有事の際の運用継続計画を国と協定する必要、在ると思います。これを本論の結論としましょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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例えば災害で関門トンネルや橋が通行止めになると、九州ではスーパーやコンビニに空棚が増えるなど、状況が目に見えます。
列車繋がりで書くと、昔、広島が大雨で線路が不通になった時に、山陽本線の一部が不通となりなりました。
この時に山陰本線経由の迂回で九州方面に貨物輸送していると思っていたら、線路は旅客部門が管理しているので、路線があっても貨物輸送が出来ないとの事でした。