■90式戦車部隊を眺めつつ
本日千歳市では航空自衛隊千歳基地航空祭が三年ぶりに盛大に行われたとの事ですが日曜特集は同じ千歳市の東千歳駐屯地祭です。
第7師団祭、この行事を撮影した2011年当時は流石に2020年代を見通す事は出来ませんでしたが、2018年に再訪した際には第71戦車連隊へ10式戦車が配備開始されていました、しかしそれ以上に予測出来なかったのは2020年代に本州の戦車部隊がまだ74式という。
戦車として完成された域にある、とは運用している方のお話しでしたが、しかし射撃競技会などを幾度か見せて頂く機会がありまして、考えさせられましたのは個人の技量がかなり反映されるもので、この点で90式はある程度まで平均値が高い、その先は難しいが。
74式戦車を含む第二世代戦車は、戦車を構成する三要素、機動力と打撃力に防御力のうち二つしか満たしていません、第二世代の戦車は対戦車ミサイルの脅威が顕在化し、500mmや750mmという装甲を貫徹するミサイルを前には、従来装甲の限界が指摘されていました。
複合装甲という技術が開発される前には、ミサイルに耐えるには率直に相当に装甲を厚くし機動力を断念するか、機動力を重視し装甲は形状の工夫や車高の低減で薄さを補うか。こうした究極の選択しかなく、動きが遅ければその分狙われ、装甲が薄ければ早くとも。
第三世代戦車が開発された背景には戦車に搭載可能な大きさの1500hpクラスのエンジンが開発され、一方で装甲についても技術が進み均一圧延鋼板換算で800mmとか1000mm相当の複合装甲、イギリスのチョバム研究所が編み出した新技術が背景にありました。
セラミックとチタン合金などミサイルのメタルジェットの直撃に耐える耐熱性と徹甲弾の貫徹を防ぐ硬度の装甲が開発された、ミサイルのメタルエットの高熱と高圧摩擦にも戦車砲弾の特にAP弾が叩きだす衝撃にも耐える装甲が実現した、という事情があります。
第二世代戦車を改良する案として、M-60-2000構想という、早い話がエンジンを強化型に換装し砲塔をM-1戦車のものに置き換える構想が示されたり、イスラエルがサブラ改修キットとしてM-60戦車を第三世代相当に改良する装備、なんてものが考えられはしました。
改造すれば新しい戦車を買わずとも良いということで、南アフリカのオリファントやイランのズフィカルのようにセンチュリオンを改良した事例はあるのですが。もっともコスト面を考えますと、イスラエルのサブラなどはトルコに提示された費用が五億円程度でした。
第二世代戦車、設計の思想が第三世代戦車と異なりますので、例えば砲弾は防ぐという第三世代戦車の設計に対して第二世代戦車は砲弾貫徹を念頭に被害局限を考慮、例えば砲弾を複数の弾薬庫、床下始め分ける事で一気に誘爆するのを防ぐ等の設計が執られています。
サブラのように度を過ぎて改修するとあまり変わらない費用で第三世代戦車の新車が買えますし、中途半端であればあまり意味が無い、とも思うのです。だから近代化改修しても限界がある、ということは理解しているのですが、しかし現状のまま、というのはすこし。
レオパルド1やAMX-30など、世界の第二世代戦車はそこまで本気に成らずとも第三世代戦車が揃うまでの期間に第二世代戦車が有事の際、優勢を確保するほどではなくとも後れをとらないよう改良する、こうした施策は行われていました、ただ74式戦車の場合は。
暗視装置の改良や弾道コンピュータの追加、レーザー測距装置の搭載など行われるべきなのですが、行われなかったのですよね。ただ、それならばもう少し90式戦車の量産を、多少スペックダウンしてでも全部隊へ配備できるよう施策があってよかったと、思うのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
本日千歳市では航空自衛隊千歳基地航空祭が三年ぶりに盛大に行われたとの事ですが日曜特集は同じ千歳市の東千歳駐屯地祭です。
第7師団祭、この行事を撮影した2011年当時は流石に2020年代を見通す事は出来ませんでしたが、2018年に再訪した際には第71戦車連隊へ10式戦車が配備開始されていました、しかしそれ以上に予測出来なかったのは2020年代に本州の戦車部隊がまだ74式という。
戦車として完成された域にある、とは運用している方のお話しでしたが、しかし射撃競技会などを幾度か見せて頂く機会がありまして、考えさせられましたのは個人の技量がかなり反映されるもので、この点で90式はある程度まで平均値が高い、その先は難しいが。
74式戦車を含む第二世代戦車は、戦車を構成する三要素、機動力と打撃力に防御力のうち二つしか満たしていません、第二世代の戦車は対戦車ミサイルの脅威が顕在化し、500mmや750mmという装甲を貫徹するミサイルを前には、従来装甲の限界が指摘されていました。
複合装甲という技術が開発される前には、ミサイルに耐えるには率直に相当に装甲を厚くし機動力を断念するか、機動力を重視し装甲は形状の工夫や車高の低減で薄さを補うか。こうした究極の選択しかなく、動きが遅ければその分狙われ、装甲が薄ければ早くとも。
第三世代戦車が開発された背景には戦車に搭載可能な大きさの1500hpクラスのエンジンが開発され、一方で装甲についても技術が進み均一圧延鋼板換算で800mmとか1000mm相当の複合装甲、イギリスのチョバム研究所が編み出した新技術が背景にありました。
セラミックとチタン合金などミサイルのメタルジェットの直撃に耐える耐熱性と徹甲弾の貫徹を防ぐ硬度の装甲が開発された、ミサイルのメタルエットの高熱と高圧摩擦にも戦車砲弾の特にAP弾が叩きだす衝撃にも耐える装甲が実現した、という事情があります。
第二世代戦車を改良する案として、M-60-2000構想という、早い話がエンジンを強化型に換装し砲塔をM-1戦車のものに置き換える構想が示されたり、イスラエルがサブラ改修キットとしてM-60戦車を第三世代相当に改良する装備、なんてものが考えられはしました。
改造すれば新しい戦車を買わずとも良いということで、南アフリカのオリファントやイランのズフィカルのようにセンチュリオンを改良した事例はあるのですが。もっともコスト面を考えますと、イスラエルのサブラなどはトルコに提示された費用が五億円程度でした。
第二世代戦車、設計の思想が第三世代戦車と異なりますので、例えば砲弾は防ぐという第三世代戦車の設計に対して第二世代戦車は砲弾貫徹を念頭に被害局限を考慮、例えば砲弾を複数の弾薬庫、床下始め分ける事で一気に誘爆するのを防ぐ等の設計が執られています。
サブラのように度を過ぎて改修するとあまり変わらない費用で第三世代戦車の新車が買えますし、中途半端であればあまり意味が無い、とも思うのです。だから近代化改修しても限界がある、ということは理解しているのですが、しかし現状のまま、というのはすこし。
レオパルド1やAMX-30など、世界の第二世代戦車はそこまで本気に成らずとも第三世代戦車が揃うまでの期間に第二世代戦車が有事の際、優勢を確保するほどではなくとも後れをとらないよう改良する、こうした施策は行われていました、ただ74式戦車の場合は。
暗視装置の改良や弾道コンピュータの追加、レーザー測距装置の搭載など行われるべきなのですが、行われなかったのですよね。ただ、それならばもう少し90式戦車の量産を、多少スペックダウンしてでも全部隊へ配備できるよう施策があってよかったと、思うのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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