■防衛フォーラム
新年最初の防衛フォーラムは話題としては2023年のものなのですけれども海上防衛関連の情報を中心にまとめてみました。
海上自衛隊が導入する護衛艦もがみ型7番艦によど進水式が三菱重工長崎造船所長崎工場において挙行されました。によど、令和3年度発注の護衛艦で四国の一級河川仁淀川の名前を冠した護衛艦、海上自衛隊では護衛艦ちくご型護衛艦として命名されていますが、第二次大戦中は建造中止となった大淀型軽巡洋艦二番艦の予定艦名となっていました。
によど建造は令和6年度中に防衛省への引き渡しが予定されています。もがみ型護衛艦は3900t型護衛艦として基準排水量は3900tとして設計されていますが、満載排水量は5500tと比較的大型であり、イギリス海軍の31型フリゲイトの5700tに迫るものとなっています。当初は建造費を500億円に抑えるため様々な装備が後日装備とされていましたが。
もがみ建造時点ではMk41VLS垂直発射装置が後日装備とされ、07式対潜誘導弾はご術搭載とし、Sea-RAM簡易防空ミサイルと127mm艦砲及びSSM-2艦対艦誘導弾や短魚雷発射装置のみとなっていましたが、によど進水式においては既にVLSを搭載して建造されています。もがみ型は12隻が量産され、続いて大型化した改良型が12隻量産されます。■
ドイツ海軍はフリゲイトザクセン艦上でのレーザー兵器試験を完了させました。LWDレーザー兵器実証実験機、MBDA社とラインメタル社が共同開発したもので、BAAINBwドイツ連邦軍装備技術運用局の支援を受け、2022年6月から一年間にわたり評価試験を実施、レーザー発射は100回以上、6の様々な戦闘状況にわけ試験を実施しています。
ザクセン艦上での実験は、特に無人機による攻撃からの艦隊防護に念頭を置いて実施され、イギリス国防省とオランダ国防省からも評価試験へ要員が派遣されています。水上戦闘艦は長らく、艦対艦戦闘と対空戦闘及び対潜戦闘を主眼として能力を構築してきましたが近年、無人機による飽和攻撃や小型無人艇の自爆攻撃という新しい脅威に曝されています。■
アメリカ海軍の幽霊艦隊こと無人艦隊USVDIV-1が横須賀基地に初めて前方展開しました。無人水上艦レンジャーとマリナーから構成される無人艦隊はアメリカ海軍では幽霊艦隊とも呼ばれ、9月15日、アーレイバーク級ミサイル駆逐艦シャウプの先導とともに世界で最も過密下交通量を誇る浦賀水道を通り自律航行のまま横須賀へ入港しています。
レンジャーとマリナーはガルフクラフト造船所製、全長59mと全幅10mの小型艦で、もともとは民間の海上石油掘削リグへ交代要員や物資を輸送するためのものでした。40フィートコンテナ4個などを搭載する物資輸送能力を持つものですが、この装備を海軍は将来的にはイージスシステムと連接するセンサーノード艦として、艦隊の目とする方針です。■
中華民国台湾海軍は初の国産潜水艦進水式を挙行しました。これは9月28日に台湾本島南部の高雄市にあるCSBC造船所において行われた進水式であり、新潜水艦は海鯤、ハイクンと命名されています。1989年にオランダから潜水艦を導入して以降、中国の政治圧力により各国が断念し、これまで台湾は潜水艦を輸入することが叶いませんでした。
潜水艦の導入については、台湾はアメリカのクリントン政権時代から導入交渉を継続していて、1990年代にF-16戦闘機とともに通常動力潜水艦6隻を導入するとの合意が為されたともいわれますが、アメリカに通常動力潜水艦建造能力はすでになく、オーストラリアと韓国は中国への配慮から輸出要請を拒否、これにより台湾が独自設計で建造することに。
海鯤はディーゼルエレクトリック方式で水中排水量は2500t程度、全長は80mで台湾独自技術が応用されているものの、半分近くの技術は欧米各国からの支援によるものであり、戦闘システムや魚雷などはアメリカのロッキードマーティン社より協力を受けたとしています。海鯤は海鯤級潜水艦の一番艦となり、最終的に8隻が建造される計画です。■
海上自衛隊はトマホーク巡航ミサイル取得を一年前倒しし導入計画を早める、ワシントンDCを訪問中の木原稔防衛大臣がオースティン国防長官とワシントンDC近郊の国防総省において開かれた日米防衛相会談において合意に至りました。これにより当初計画では2026年度より引き渡し予定のミサイルが2025年度より受領することとなります。
トマホーク巡航ミサイルの導入は400発が国産巡航ミサイル完成までのつなぎとして海上自衛隊の護衛艦用に導入される事が既に決定していますが、当初はblock4仕様を導入する計画であったものを、block4仕様は半数の200発に留め、残る200発は改良型のblock5を導入するとし、計画では2025年度から2027年度にかけ受領することとなります。■
イタリア海軍のパオロタオンディレヴェル級哨戒艦六番艦ルッジェーロディラウリアが進水式を挙行しました。パオロタオンディレヴェル級は哨戒艦ですが127mm艦砲と近接防御用の76mm艦砲にテセオ艦対艦ミサイルなどを搭載する哨戒艦で、単なる法執行任務を超えて一定以上の水上戦闘などに対応する能力を有しているのは特徴となっている。
パオロタオンディレヴェル級哨戒艦は艦砲と対艦ミサイルのみを搭載する哨戒艦型と、艦砲と対艦ミサイルに加えてアスター対空ミサイル用シルヴァーA50垂直発射装置を有する哨戒艦プラス型、そしてこれら兵装に加えて魚雷発射管と対潜戦闘能力を有する哨戒艦フル武装型があり、いずれもNH-90ヘリコプター2機の艦上運用能力を有しています。
ルッジェーロディラウリアは哨戒艦プラス型として建造され哨戒艦プラス型はルッジェーロディラウリアを以て計画されていた3隻の建造を完了します。パオロタオンディレヴェル級そのものは16隻の建造が計画、満載排水量6200tと護衛艦むらさめ型に相当する余裕ある船体は横須賀基地へ親善訪問に用いられるなど、航続距離の長さも特徴です。■
アメリカ海軍は初のSPY-6レーダー搭載艦であるイージス艦ジャックルーカスを竣工させました。アーレイバーク級ミサイル駆逐艦の75番艦にあたり、フライトⅢの1番艦、先進的なSPY-6レーダーの搭載とともにイージスシステムもベースライン10に改良され、またこの為に発電能力と冷却能力が従来のアーレイバーク級よりも強化されました。
ジャックルーカスとは1945年硫黄島の戦いにおいて最年少で議会名誉勲章を叙勲した海兵隊の上等兵、その後陸軍に再入隊し第82空挺師団の空挺兵として臨み将校に昇進したのちの陸軍大尉として退役しています。イージス艦ジャックルーカスの発注は2013年、就役は2023年10月7日ですので、アメリカも建造にほぼ十年間を要したことになります。■
ブラジル海軍は初の原子力潜水艦アルバロアルベルトの実証原子力区画製造を開始しました。原子力潜水艦の保有を目指すブラジルは陸上において実証原子力発電区画を開発し、陸上での試験では良好な評価を示しています。今回製造されるものはアルバロアルベルトにそのまま搭載される事ではなく、評価試験に合格した場合に実用炉に活かされる。
アルバロアルベルトはフランスの協力を受けて導入される通常動力型潜水艦リアチュエロ級に原子力区画を挿入するもので、これはフランスのスコルペヌ型潜水艦改良型とされています。ただ、商用原子炉のように数年おき核燃料燃料を交換できない原子力潜水艦は20%濃縮ウラン燃料を必要とし、また冷却系統も長期にわたり自動化されたものが要る。
ブラジル海軍では独自開発の20%濃縮ウラン用48MW加圧水型原子炉を開発しており、この出力は64000hpとされています。スコルペヌ型潜水艦改良型には原子力モジュールを追加することで全長を延伸する構造を採用、通常動力型もブラジル海軍は導入する。通常動力潜水艦へ原子力区画を追加する設計方式は中国海軍が初期に行った方式と似ています。■
韓国海軍が導入するイージス艦正祖大王が公試を開始しました。正祖大王はチョンジョデワンと発音します。韓国海軍は最初のイージス艦世宗大王、こちらはセジョンデワンと発音するのですが、2008年に就役させ、二番艦栗谷李珥チュルゴクユイ、三番艦西厓柳成龍ソエリュソンニョンと2012年までにセジョンデワン級を3隻整備してきました。
セジョンデワン級は3隻を竣工させましたが、今回公開試験を開始したチョンジョデワンはセジョンデワン級バッチ2として建造が進められたもので2022年に進水式を完了しています。バッチ1の全長は167mでしたがバッチ2では170mと若干延伸しており、艦内容積が拡張されました。バッチ2も3隻建造し、イージス艦6隻体制を目指します。■
アメリカ海軍はノースロップグラマン社との間で57㎜誘導砲弾の開発契約を結びました。57mm艦砲はフリーダム級沿海域戦闘艦やインディペンデンス級沿海域戦闘艦の主砲やズムウォルト級駆逐艦の副砲として採用、ズムウォルト級は今後主砲の155mm先進砲を撤去し搭載区画を極超音速兵器に転用するため、やはり57㎜砲が主砲となります。
57mm砲用の誘導砲弾はHE /High Explosive砲弾といい、小型高速水上目標や小型無人機の大群によるスウォーム攻撃に備えているとのこと。ノースロップグラマン社は誘導砲弾として既にPGK /Precision Guidance Kitの開発経験があり、この技術が応用されます。艦砲の誘導砲弾として既にガリレオ社が76mm艦砲の誘導型開発を提案しています。■
中華民国台湾はコルベット富江を竣工させました。富江は台湾が大車輪で量産を進める双胴船方式の沱江級コルベットの3番艦となっています。建造を担当した龍徳造船蘇澳鎮造船所では屋内型造船施設において4番艦、5番艦、6番艦を建造しており、最終的に12隻を導入する計画、また後期建造艦については装備などを改良する見込み。
沱江級コルベットはプロトタイプ的な1番艦とともに武装を強化した2番艦以降の量産型に分けられ、量産型の満載排水量は685t、プロトタイプは最高速力44ノットを発揮しましたが量産型は38ノット、特筆すべきは対艦ミサイルを雄風II型対艦ミサイルと雄風Ⅲ型対艦ミサイルで12発搭載し海剣二型艦対空ミサイルも16発搭載する武装の強さです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
新年最初の防衛フォーラムは話題としては2023年のものなのですけれども海上防衛関連の情報を中心にまとめてみました。
海上自衛隊が導入する護衛艦もがみ型7番艦によど進水式が三菱重工長崎造船所長崎工場において挙行されました。によど、令和3年度発注の護衛艦で四国の一級河川仁淀川の名前を冠した護衛艦、海上自衛隊では護衛艦ちくご型護衛艦として命名されていますが、第二次大戦中は建造中止となった大淀型軽巡洋艦二番艦の予定艦名となっていました。
によど建造は令和6年度中に防衛省への引き渡しが予定されています。もがみ型護衛艦は3900t型護衛艦として基準排水量は3900tとして設計されていますが、満載排水量は5500tと比較的大型であり、イギリス海軍の31型フリゲイトの5700tに迫るものとなっています。当初は建造費を500億円に抑えるため様々な装備が後日装備とされていましたが。
もがみ建造時点ではMk41VLS垂直発射装置が後日装備とされ、07式対潜誘導弾はご術搭載とし、Sea-RAM簡易防空ミサイルと127mm艦砲及びSSM-2艦対艦誘導弾や短魚雷発射装置のみとなっていましたが、によど進水式においては既にVLSを搭載して建造されています。もがみ型は12隻が量産され、続いて大型化した改良型が12隻量産されます。■
ドイツ海軍はフリゲイトザクセン艦上でのレーザー兵器試験を完了させました。LWDレーザー兵器実証実験機、MBDA社とラインメタル社が共同開発したもので、BAAINBwドイツ連邦軍装備技術運用局の支援を受け、2022年6月から一年間にわたり評価試験を実施、レーザー発射は100回以上、6の様々な戦闘状況にわけ試験を実施しています。
ザクセン艦上での実験は、特に無人機による攻撃からの艦隊防護に念頭を置いて実施され、イギリス国防省とオランダ国防省からも評価試験へ要員が派遣されています。水上戦闘艦は長らく、艦対艦戦闘と対空戦闘及び対潜戦闘を主眼として能力を構築してきましたが近年、無人機による飽和攻撃や小型無人艇の自爆攻撃という新しい脅威に曝されています。■
アメリカ海軍の幽霊艦隊こと無人艦隊USVDIV-1が横須賀基地に初めて前方展開しました。無人水上艦レンジャーとマリナーから構成される無人艦隊はアメリカ海軍では幽霊艦隊とも呼ばれ、9月15日、アーレイバーク級ミサイル駆逐艦シャウプの先導とともに世界で最も過密下交通量を誇る浦賀水道を通り自律航行のまま横須賀へ入港しています。
レンジャーとマリナーはガルフクラフト造船所製、全長59mと全幅10mの小型艦で、もともとは民間の海上石油掘削リグへ交代要員や物資を輸送するためのものでした。40フィートコンテナ4個などを搭載する物資輸送能力を持つものですが、この装備を海軍は将来的にはイージスシステムと連接するセンサーノード艦として、艦隊の目とする方針です。■
中華民国台湾海軍は初の国産潜水艦進水式を挙行しました。これは9月28日に台湾本島南部の高雄市にあるCSBC造船所において行われた進水式であり、新潜水艦は海鯤、ハイクンと命名されています。1989年にオランダから潜水艦を導入して以降、中国の政治圧力により各国が断念し、これまで台湾は潜水艦を輸入することが叶いませんでした。
潜水艦の導入については、台湾はアメリカのクリントン政権時代から導入交渉を継続していて、1990年代にF-16戦闘機とともに通常動力潜水艦6隻を導入するとの合意が為されたともいわれますが、アメリカに通常動力潜水艦建造能力はすでになく、オーストラリアと韓国は中国への配慮から輸出要請を拒否、これにより台湾が独自設計で建造することに。
海鯤はディーゼルエレクトリック方式で水中排水量は2500t程度、全長は80mで台湾独自技術が応用されているものの、半分近くの技術は欧米各国からの支援によるものであり、戦闘システムや魚雷などはアメリカのロッキードマーティン社より協力を受けたとしています。海鯤は海鯤級潜水艦の一番艦となり、最終的に8隻が建造される計画です。■
海上自衛隊はトマホーク巡航ミサイル取得を一年前倒しし導入計画を早める、ワシントンDCを訪問中の木原稔防衛大臣がオースティン国防長官とワシントンDC近郊の国防総省において開かれた日米防衛相会談において合意に至りました。これにより当初計画では2026年度より引き渡し予定のミサイルが2025年度より受領することとなります。
トマホーク巡航ミサイルの導入は400発が国産巡航ミサイル完成までのつなぎとして海上自衛隊の護衛艦用に導入される事が既に決定していますが、当初はblock4仕様を導入する計画であったものを、block4仕様は半数の200発に留め、残る200発は改良型のblock5を導入するとし、計画では2025年度から2027年度にかけ受領することとなります。■
イタリア海軍のパオロタオンディレヴェル級哨戒艦六番艦ルッジェーロディラウリアが進水式を挙行しました。パオロタオンディレヴェル級は哨戒艦ですが127mm艦砲と近接防御用の76mm艦砲にテセオ艦対艦ミサイルなどを搭載する哨戒艦で、単なる法執行任務を超えて一定以上の水上戦闘などに対応する能力を有しているのは特徴となっている。
パオロタオンディレヴェル級哨戒艦は艦砲と対艦ミサイルのみを搭載する哨戒艦型と、艦砲と対艦ミサイルに加えてアスター対空ミサイル用シルヴァーA50垂直発射装置を有する哨戒艦プラス型、そしてこれら兵装に加えて魚雷発射管と対潜戦闘能力を有する哨戒艦フル武装型があり、いずれもNH-90ヘリコプター2機の艦上運用能力を有しています。
ルッジェーロディラウリアは哨戒艦プラス型として建造され哨戒艦プラス型はルッジェーロディラウリアを以て計画されていた3隻の建造を完了します。パオロタオンディレヴェル級そのものは16隻の建造が計画、満載排水量6200tと護衛艦むらさめ型に相当する余裕ある船体は横須賀基地へ親善訪問に用いられるなど、航続距離の長さも特徴です。■
アメリカ海軍は初のSPY-6レーダー搭載艦であるイージス艦ジャックルーカスを竣工させました。アーレイバーク級ミサイル駆逐艦の75番艦にあたり、フライトⅢの1番艦、先進的なSPY-6レーダーの搭載とともにイージスシステムもベースライン10に改良され、またこの為に発電能力と冷却能力が従来のアーレイバーク級よりも強化されました。
ジャックルーカスとは1945年硫黄島の戦いにおいて最年少で議会名誉勲章を叙勲した海兵隊の上等兵、その後陸軍に再入隊し第82空挺師団の空挺兵として臨み将校に昇進したのちの陸軍大尉として退役しています。イージス艦ジャックルーカスの発注は2013年、就役は2023年10月7日ですので、アメリカも建造にほぼ十年間を要したことになります。■
ブラジル海軍は初の原子力潜水艦アルバロアルベルトの実証原子力区画製造を開始しました。原子力潜水艦の保有を目指すブラジルは陸上において実証原子力発電区画を開発し、陸上での試験では良好な評価を示しています。今回製造されるものはアルバロアルベルトにそのまま搭載される事ではなく、評価試験に合格した場合に実用炉に活かされる。
アルバロアルベルトはフランスの協力を受けて導入される通常動力型潜水艦リアチュエロ級に原子力区画を挿入するもので、これはフランスのスコルペヌ型潜水艦改良型とされています。ただ、商用原子炉のように数年おき核燃料燃料を交換できない原子力潜水艦は20%濃縮ウラン燃料を必要とし、また冷却系統も長期にわたり自動化されたものが要る。
ブラジル海軍では独自開発の20%濃縮ウラン用48MW加圧水型原子炉を開発しており、この出力は64000hpとされています。スコルペヌ型潜水艦改良型には原子力モジュールを追加することで全長を延伸する構造を採用、通常動力型もブラジル海軍は導入する。通常動力潜水艦へ原子力区画を追加する設計方式は中国海軍が初期に行った方式と似ています。■
韓国海軍が導入するイージス艦正祖大王が公試を開始しました。正祖大王はチョンジョデワンと発音します。韓国海軍は最初のイージス艦世宗大王、こちらはセジョンデワンと発音するのですが、2008年に就役させ、二番艦栗谷李珥チュルゴクユイ、三番艦西厓柳成龍ソエリュソンニョンと2012年までにセジョンデワン級を3隻整備してきました。
セジョンデワン級は3隻を竣工させましたが、今回公開試験を開始したチョンジョデワンはセジョンデワン級バッチ2として建造が進められたもので2022年に進水式を完了しています。バッチ1の全長は167mでしたがバッチ2では170mと若干延伸しており、艦内容積が拡張されました。バッチ2も3隻建造し、イージス艦6隻体制を目指します。■
アメリカ海軍はノースロップグラマン社との間で57㎜誘導砲弾の開発契約を結びました。57mm艦砲はフリーダム級沿海域戦闘艦やインディペンデンス級沿海域戦闘艦の主砲やズムウォルト級駆逐艦の副砲として採用、ズムウォルト級は今後主砲の155mm先進砲を撤去し搭載区画を極超音速兵器に転用するため、やはり57㎜砲が主砲となります。
57mm砲用の誘導砲弾はHE /High Explosive砲弾といい、小型高速水上目標や小型無人機の大群によるスウォーム攻撃に備えているとのこと。ノースロップグラマン社は誘導砲弾として既にPGK /Precision Guidance Kitの開発経験があり、この技術が応用されます。艦砲の誘導砲弾として既にガリレオ社が76mm艦砲の誘導型開発を提案しています。■
中華民国台湾はコルベット富江を竣工させました。富江は台湾が大車輪で量産を進める双胴船方式の沱江級コルベットの3番艦となっています。建造を担当した龍徳造船蘇澳鎮造船所では屋内型造船施設において4番艦、5番艦、6番艦を建造しており、最終的に12隻を導入する計画、また後期建造艦については装備などを改良する見込み。
沱江級コルベットはプロトタイプ的な1番艦とともに武装を強化した2番艦以降の量産型に分けられ、量産型の満載排水量は685t、プロトタイプは最高速力44ノットを発揮しましたが量産型は38ノット、特筆すべきは対艦ミサイルを雄風II型対艦ミサイルと雄風Ⅲ型対艦ミサイルで12発搭載し海剣二型艦対空ミサイルも16発搭載する武装の強さです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)