■第3戦車大隊の74式戦車
74式戦車は第3戦車大隊では自衛隊で最後まで61式戦車が運用されていましたので歴史は新鮮です。しかしそれ以上に改めて現場の声を振り返るのも新鮮でした。
74式戦車は第二世代戦車であり、しかも暗視装置が赤外線アクティヴ方式であり装甲の追加なども行われず、レオパルド1A4戦車やAMX-30にM-60A3戦車が長らく世界で第一線の位置を維持しようと改良を重ねた点とは対照的で、とはわたしの基本的な理解でした。
第二世代戦車の終盤に開発された74式戦車、1974年にはレオパルド2の一次試作車も完成していましたし、これより後の第二世代戦車といいますとイタリアのOF-40か、第三世代への橋渡し的といえるイスラエルのメルカヴァMk1くらいのもので設計は洗練される。
第二世代戦車の定義は、機動力防御力打撃力3要素の内、打撃力ともう一つのみを満たしているというものですが、油圧懸架装置、射撃統制装置に弾道コンピュータを採用、レーザー測距装置と連接、15km/hまでですが砲安定装置を搭載、74式はかなり高性能です。
現場の声は、しかし、故障が少ないという点で信頼されているようでして、なるほど90式戦車が長らく自動装填装置の不具合に改修を重ねた点を思い起こせば理解できるものでしたし、改良されていないといっても74式戦車は最後にコータム搭載で能力は強化された。
信頼されている74式戦車、暗視装置を89式装甲戦闘車の系統である熱線暗視装置追加搭載を行った事例もありますが、もう少し車体全体の改良は出来なかったものかとも考えてしまいます、制度として信頼に応えられる改良ができなかったのは、とも考えるのです。
T-72戦車が改良を重ねてT-72B3戦車となり、シリアで威力を発揮した事例、勿論今年のウクライナ戦争で再び撃破される定番、ロシア版九五式軽戦車や現代のBT-7のような扱いとなっていますが、あれも改修されているからこそ現役に留まれているのだと受け止める。
74式を改良していれば2030年代まで、とは流石に考えません、そこまで足回りの寿命を見越してはいないでしょう、ただ、例えば普通科隊員がJGVS-V3からJGVS-V8暗視装置に取り換える様に、戦車に装備する暗視装置をもう少し取り替えられれば、とも思います。
コングスベルク社製RWS遠隔操作銃搭でも搭載していましたらば、あの暗視能力は大したものですから戦車長の外部視察装置として応用できたかもしれません、改良型のCROWSⅡであれば12.7mm機銃に加えてジャベリンミサイルも搭載でき不期遭遇にも対処できる。
FCS系は、ただ生半可なものでは参りません、2000mの射場で戦車射撃を見ますと案外命中していますが、第二世代戦車は元々2000mで初弾命中50%を期していたといい、これが第三世代戦車は4000mで95%を期すという、改良でどうにかなるならば、すばらしい。
防御力、これは74式戦車、砲塔が避弾経始というAP弾などを丸みを帯びた形状の砲塔で滑らせる構造なのですが、第三世代戦車で主流となるAPFSDS弾は初速が早くそのまま貫徹する為、純粋に装甲厚を増すか堅いセラミック等を用いる複合装甲でなければ防げない。
爆発反応装甲を装着すれば少なくとも単純なRPGロケットくらいならば防げる、APASDF弾や新世代の対戦車ミサイル等は無理ですが。余り増加装甲で重くすると砲塔が回りません、ただ、74式が1980年代半ばに砲塔を改良砲塔としていればなあ、とも考えてしまう。
しかし、74式戦車の話題を改めて考えてみると、寧ろ90式戦車を自動装填装置や目標自動追尾装置を断念して、平凡な性能だが安価な戦車に仕立て乗員の練度に依存する手堅い戦車としていれば、今頃全国の戦車部隊へ配備していたのかな、とも考えてみるのですよね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
74式戦車は第3戦車大隊では自衛隊で最後まで61式戦車が運用されていましたので歴史は新鮮です。しかしそれ以上に改めて現場の声を振り返るのも新鮮でした。
74式戦車は第二世代戦車であり、しかも暗視装置が赤外線アクティヴ方式であり装甲の追加なども行われず、レオパルド1A4戦車やAMX-30にM-60A3戦車が長らく世界で第一線の位置を維持しようと改良を重ねた点とは対照的で、とはわたしの基本的な理解でした。
第二世代戦車の終盤に開発された74式戦車、1974年にはレオパルド2の一次試作車も完成していましたし、これより後の第二世代戦車といいますとイタリアのOF-40か、第三世代への橋渡し的といえるイスラエルのメルカヴァMk1くらいのもので設計は洗練される。
第二世代戦車の定義は、機動力防御力打撃力3要素の内、打撃力ともう一つのみを満たしているというものですが、油圧懸架装置、射撃統制装置に弾道コンピュータを採用、レーザー測距装置と連接、15km/hまでですが砲安定装置を搭載、74式はかなり高性能です。
現場の声は、しかし、故障が少ないという点で信頼されているようでして、なるほど90式戦車が長らく自動装填装置の不具合に改修を重ねた点を思い起こせば理解できるものでしたし、改良されていないといっても74式戦車は最後にコータム搭載で能力は強化された。
信頼されている74式戦車、暗視装置を89式装甲戦闘車の系統である熱線暗視装置追加搭載を行った事例もありますが、もう少し車体全体の改良は出来なかったものかとも考えてしまいます、制度として信頼に応えられる改良ができなかったのは、とも考えるのです。
T-72戦車が改良を重ねてT-72B3戦車となり、シリアで威力を発揮した事例、勿論今年のウクライナ戦争で再び撃破される定番、ロシア版九五式軽戦車や現代のBT-7のような扱いとなっていますが、あれも改修されているからこそ現役に留まれているのだと受け止める。
74式を改良していれば2030年代まで、とは流石に考えません、そこまで足回りの寿命を見越してはいないでしょう、ただ、例えば普通科隊員がJGVS-V3からJGVS-V8暗視装置に取り換える様に、戦車に装備する暗視装置をもう少し取り替えられれば、とも思います。
コングスベルク社製RWS遠隔操作銃搭でも搭載していましたらば、あの暗視能力は大したものですから戦車長の外部視察装置として応用できたかもしれません、改良型のCROWSⅡであれば12.7mm機銃に加えてジャベリンミサイルも搭載でき不期遭遇にも対処できる。
FCS系は、ただ生半可なものでは参りません、2000mの射場で戦車射撃を見ますと案外命中していますが、第二世代戦車は元々2000mで初弾命中50%を期していたといい、これが第三世代戦車は4000mで95%を期すという、改良でどうにかなるならば、すばらしい。
防御力、これは74式戦車、砲塔が避弾経始というAP弾などを丸みを帯びた形状の砲塔で滑らせる構造なのですが、第三世代戦車で主流となるAPFSDS弾は初速が早くそのまま貫徹する為、純粋に装甲厚を増すか堅いセラミック等を用いる複合装甲でなければ防げない。
爆発反応装甲を装着すれば少なくとも単純なRPGロケットくらいならば防げる、APASDF弾や新世代の対戦車ミサイル等は無理ですが。余り増加装甲で重くすると砲塔が回りません、ただ、74式が1980年代半ばに砲塔を改良砲塔としていればなあ、とも考えてしまう。
しかし、74式戦車の話題を改めて考えてみると、寧ろ90式戦車を自動装填装置や目標自動追尾装置を断念して、平凡な性能だが安価な戦車に仕立て乗員の練度に依存する手堅い戦車としていれば、今頃全国の戦車部隊へ配備していたのかな、とも考えてみるのですよね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)