■扶桑型&伊勢型戦艦への一視点
戦艦大和新造に対する批判として旧式戦艦の活用という視点があるようですが、これ、不可能ではないのですよね、問題は費用対効果です。
戦艦の近代化改修、日本海軍はワシントン海軍軍縮条約により海軍休日という、戦艦を建造しない期間が長く続いたため、8年程度で交代させるはずの旧式戦艦を長期運用することとなり、例えば金剛型巡洋戦艦などは高速戦艦に改装、一新しています。長門型戦艦なども煙突などが一新したが、世界は広い、ド級戦艦を准新戦艦とした事例があったのです。
カイオデュイリオ級戦艦とコンテディカブール級戦艦、イタリア海軍のこの二つの戦艦は1910年代のド級戦艦、ドレッドノートと同世代の戦艦であるのですが、抜本的な改修によりワシントン海軍軍縮条約明けの新戦艦にある程度対抗できる水準まで改良されています。ただ、日本も扶桑型や伊勢型に同じ改修をすべきだった、とは中々、手間が掛かり過ぎる。
ドレットノート、1906年に出現したイギリスの戦艦は敵駆逐艦を排除する副砲を廃止しつつ、従来の戦艦が連装砲二基四門という常識を破り、同一口径同一砲を多数搭載し、遠距離での命中精度を確保する、という従来の戦艦を一新する概念でした。イタリアはこれを受け1909年に試験艦的なド級戦艦ダンテアリギエーリを建造、評価試験に臨みました。
コンテディカブール級戦艦は続いて1910年に起工、船体前部に305mm三連装砲と連装砲、船体中央部に三連装砲、船体後部に連装砲と三連装砲を積む設計でした、コンテディカブールとカイオジュリオチェザーレにレオナルドダビンチの3隻を建造、速力21ノットで常備排水量は22922t、3番艦は1916年に事故で沈むが手堅くまとまった戦艦でした。更に。
カイオデュイリオ級戦艦は1912年、二番艦アンドレアドリアとともに揃って起工し、主砲配置などはコンテディカブール級と同一、艦橋構造物などの配置が違いますが、常備排水量22964t、速力21ノットとなっています。ただ、イタリアで不幸なのは第一次世界大戦とともに、各国がド級戦艦を上回る戦艦、超ド級を建造する中で停滞、乗り遅れてしまう。
フランチェスコカラッチョロ級戦艦として4隻の超ド級を計画していたのですが、これが大戦を受け敵国ドイツは地中海まで進出する気配はありませんでしたし、陸軍強化の予算を捻出すべく建造中止となりました。そして超ド級戦艦を保有しないまま、イタリアは海軍休日を迎える。日本などは、扶桑型、伊勢型、長門型など6隻そろえているのに、です。
イタリアは、海軍休日下、コンテディカブール級とカイオデュイリオ級の改修を決意します。ド級戦艦は先ず、速度が遅い、また艦砲も305mm砲では威力が話になりません。そこで先ず、近代化改修に際して、船体延長を決意したのですね。エンジンを一新し艦首形状も一新し高速化、全長は176mから10m以上延伸しました、そしてエンジンを換える。
305mm艦砲では対抗できない、そこで奥の手といいますか、イタリアは艦砲の砲身を削って305mmから320mmに広げています。速力は27ノット、艦砲はエンジン強化の代償に船体中央部の三連装砲を撤去し320mm砲10門となりました。第二次大戦を生き延びたこれらの戦艦は、一隻をソ連に譲渡したほか1955年前後まで現役で運用可能な性能があった。
日本も、扶桑型や伊勢型を船体延長し艦砲を減じエンジンを刷新すれば速力が27ノットには強化されたでしょうし、36cm艦砲も削れば38cm艦砲、クイーンエリザベス級戦艦などへ対抗出来たかもしれません、ただ、この回収の費用対効果よりは、新造したほうが早いようにも見えるのですよね。ただ戦後まで使われた事をふまえると、評価は難しいですね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
戦艦大和新造に対する批判として旧式戦艦の活用という視点があるようですが、これ、不可能ではないのですよね、問題は費用対効果です。
戦艦の近代化改修、日本海軍はワシントン海軍軍縮条約により海軍休日という、戦艦を建造しない期間が長く続いたため、8年程度で交代させるはずの旧式戦艦を長期運用することとなり、例えば金剛型巡洋戦艦などは高速戦艦に改装、一新しています。長門型戦艦なども煙突などが一新したが、世界は広い、ド級戦艦を准新戦艦とした事例があったのです。
カイオデュイリオ級戦艦とコンテディカブール級戦艦、イタリア海軍のこの二つの戦艦は1910年代のド級戦艦、ドレッドノートと同世代の戦艦であるのですが、抜本的な改修によりワシントン海軍軍縮条約明けの新戦艦にある程度対抗できる水準まで改良されています。ただ、日本も扶桑型や伊勢型に同じ改修をすべきだった、とは中々、手間が掛かり過ぎる。
ドレットノート、1906年に出現したイギリスの戦艦は敵駆逐艦を排除する副砲を廃止しつつ、従来の戦艦が連装砲二基四門という常識を破り、同一口径同一砲を多数搭載し、遠距離での命中精度を確保する、という従来の戦艦を一新する概念でした。イタリアはこれを受け1909年に試験艦的なド級戦艦ダンテアリギエーリを建造、評価試験に臨みました。
コンテディカブール級戦艦は続いて1910年に起工、船体前部に305mm三連装砲と連装砲、船体中央部に三連装砲、船体後部に連装砲と三連装砲を積む設計でした、コンテディカブールとカイオジュリオチェザーレにレオナルドダビンチの3隻を建造、速力21ノットで常備排水量は22922t、3番艦は1916年に事故で沈むが手堅くまとまった戦艦でした。更に。
カイオデュイリオ級戦艦は1912年、二番艦アンドレアドリアとともに揃って起工し、主砲配置などはコンテディカブール級と同一、艦橋構造物などの配置が違いますが、常備排水量22964t、速力21ノットとなっています。ただ、イタリアで不幸なのは第一次世界大戦とともに、各国がド級戦艦を上回る戦艦、超ド級を建造する中で停滞、乗り遅れてしまう。
フランチェスコカラッチョロ級戦艦として4隻の超ド級を計画していたのですが、これが大戦を受け敵国ドイツは地中海まで進出する気配はありませんでしたし、陸軍強化の予算を捻出すべく建造中止となりました。そして超ド級戦艦を保有しないまま、イタリアは海軍休日を迎える。日本などは、扶桑型、伊勢型、長門型など6隻そろえているのに、です。
イタリアは、海軍休日下、コンテディカブール級とカイオデュイリオ級の改修を決意します。ド級戦艦は先ず、速度が遅い、また艦砲も305mm砲では威力が話になりません。そこで先ず、近代化改修に際して、船体延長を決意したのですね。エンジンを一新し艦首形状も一新し高速化、全長は176mから10m以上延伸しました、そしてエンジンを換える。
305mm艦砲では対抗できない、そこで奥の手といいますか、イタリアは艦砲の砲身を削って305mmから320mmに広げています。速力は27ノット、艦砲はエンジン強化の代償に船体中央部の三連装砲を撤去し320mm砲10門となりました。第二次大戦を生き延びたこれらの戦艦は、一隻をソ連に譲渡したほか1955年前後まで現役で運用可能な性能があった。
日本も、扶桑型や伊勢型を船体延長し艦砲を減じエンジンを刷新すれば速力が27ノットには強化されたでしょうし、36cm艦砲も削れば38cm艦砲、クイーンエリザベス級戦艦などへ対抗出来たかもしれません、ただ、この回収の費用対効果よりは、新造したほうが早いようにも見えるのですよね。ただ戦後まで使われた事をふまえると、評価は難しいですね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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これを生かすには大方針を立ててドラスティックな大改装をやるしかないでしょう。
「30ノット艦隊」という大方針を立て、扶桑型・伊)型は中央2砲塔を撤去し重量軽減と機関増設のスペースを確保し、パイダルパートへの水平・垂直両方向に十分な対14in砲弾に対する防御力と
29ノット以上の速力を与える、攻撃力は30%の減となりますが21-23ノットの米14in砲艦に対し機動について大きなアドバンテージと劣らない防御力を得る、というのはいかがでしょうか。
注)数字4桁を入れすに投稿ボタンを押してしまったための再投稿です。